マ テリアルハ ン ドリング機 TLllCX1 3の開発 … (1) 移動式 クレー ン ・荷役機械 マテ リアルハン ドリング機 丁Ll100‐ 3の 開発 =油 圧 ショベ ル型港湾荷役専用機械 における作業効率向上 について= 日立建機的 橋詰 淑 海 Yoshimi Hashizume 1 . は じめに 近年、アジアをは じめ世界の交易量が増加す る中、 中小港湾 における荷役設備、作業 の高能率化 は急務 となって い る。港湾の荷役作業 は、多様な貨物 の種 類や昼夜 を問わない稼動 など過酷な条件 を強 い られ る。現在、港湾の荷役機械 は、その 目的、役割 に応 じた コンテナクレー ン、ア ンロー ダ、 レー ル式 クレ ー ンな ど専用 の大型設備機械が主 である。そのため、 物流 の増減 に対応 した即応性、生産性、投資効率性 な ど、 さらに専 門熟練 オペ レー タの育成等 の課題 を 抱 えて い る。 日立建機いでは、建設機械 の経験 を生か し、大型 ルが元来持 つ 運転 の し易 さや スムーズでス ピー ディ な動 きによる効率的な新 しい荷役機械 として注 目さ れて い る。 以下、大型油圧 シ ョベ ルZAXISシ リー ズ 3型 を ベ ー ス と して開発 した マ テ リア ルハ ン ドリ ング機 TLl100-3の仕様、特長 につい て、その概要 を紹介 す る。写真 1に 船内の金属 スクラップを荷揚 げ中の TLl100-3を 示す。 2.マ テ リア ルハ ン ドリング機 開発 の ね らい ハ イポ ス ト式 マ テリアルハ ン ドリ ング機の開発 に あたっては、油圧 シ ョベ ルとクロー ラグ レー ンを製 油圧 シ ョベ ル をベ ースマ シンとしたマ テ リアルハ ン ドリ ング機 を開発 して きた。TLl100-3は 積 載量 造 して い るメリッ トを最大限に生か し、港湾荷役、 製材、 スクラップ、解体等 の業種 ・作業 をターゲ ッ 3,000∼5,000t級船舶に対応 してお り、鉱石、木材、 金属スクラップの荷揚 げ等 に使用す る。油圧 シ ョベ トとす る設計ですすめた。 具体的には、 ① 競 合す る従来のク レー ン式 に比べ て コス トパ フォーマ ンスの高 い、かつ短納期 の もの とす る。 ② 作 業範囲 は積載量 5,000t級 船舶 の荷揚 げが 可能 とす る。 ③ ハ イポス ト、 リフ トキャブを採用 して視界 を 確保す る。 ④ ク レー ン式 との比較を意識 した操作、作業性 を考えたオペ レータ本位の設計 とする。 ⑤ オ ペ レータの安全性に配慮する。 ⑥ 設 備機械 としての安全性、メンテナ ンス性を 十分 に精査 す る。 3 写真 1 ハ イポス ト式 マ テ リアルハ ン ドリング機 TLll∞ ‐ ⑦ 扱 い物は鉱石、木材、金属スクラップ等を対 象 とする。用途別にアタッチメントを準備 し、 交換 性 を考慮 す る。 03859878/09/¥5Cll1/論文石CLS 等 で あ る。 マ テ リアルハ ン ドリング機 T L l 1 0 0 ‐ 3 の 開発 … ( 2 ) 3 . 構 造 お よび特長 ムーズでスピーディなハ ン ドリング作業 上 部旋回体 は大型油圧 シ ョベ ルZX850-3(運 転質 量 80.5t、バ ケ ッ ト容量 3.4m3)を ベ ースに して い 3-1 ス 第 1 表 にT L l 1 0 0 - 3 の主 な仕様、第 1 図 にマ グネ ッ ト仕様 の作業範囲図を示す。 る。 マ テ リアルハ ン ドリング機 は作業特有 の細かな 第 1表 TLllm3の 操作性が求め られる。旋回回路 に改良を加 えるな ど マ テリアルハ ン ドル機 へ の最適化 を図った。その結 果、油圧 シ ョベ ルが元来持つス ピー デ ィな動 きにス ムーズ な操作性が加わ り、短 いサイクル タイムで効 主な仕様 率的な荷役作業 が可能 となった。 3-2 大 きな作業範囲 マ テ リアルハ ン ドリ ング機用 に開発 した ロングブ ー ム とロングアー ム によ り、最大作業半径 20.57m、 型 式 TLlllX13 最大作業高 さ20.97mの 作業範囲を確保 した。積載 量5,000t級の船舶 まで積み下ろ しが可能である。 イポ ス ト、 リフ トキャブで好視界 ハ キャブは イポ ス ト上の高 い位置 にあ り、かつ油 圧 シリンダ伸縮 の平行 リ ンク式で、上、前方にス ラ イ ドで き好視界が得 られる。写真 2に ハ イポス トと 3-3 ハ 運転質量 いす ゞAHる WGlXYSA 3 リフ トキャブを示す。 L:最 高地上高さ M′ :キ ヤブ最伸 長 時 半径 ※ :ポ ス ト高 さ32m、 マ グネ ッ ト質量 4910 kgの 値 写真 2 ハ イポス トとリフ トキヤブ ハ イポス トの高 さは、船舶 の大 きさ、岸壁 の規格、 そ の他顧客 の要望等 を考慮 して最適な高 さを決定す る。納入実績では3∼ 4mが 一般的である。 リフ トキャブは、油圧 シ リンダ平行 リンク式 を採 用 した。運転席のス イ ッチで上、前方 に移動 で き、 船倉手前佃1を見 ることがで きる。 また、視界性 の 向 上 と共 に周辺へ の安全 にも役立 つ。第 2図 に リフ ト キャブの可動範囲を示す。 3 マ グネッ ト仕様の作業範囲図 第 1図 TLllCXl‐ 22 建 設機械 2009.8. さらに作業中の視界 を広げるためにキャブ内足元 マ テリアルハ ン ドリング機 T L l l ∞‐ 3 の 開発 … ( 3 ) を防止す る。キ ャブが上昇中の時 で も速やかにキヤ プを下降させ、手す り付 のステ ップ、梯子 を介 して 地上に降 りることが可能である。 ンテナ ンス性 の 向上 3-6 メ 港湾 の荷役作業 は昼夜 を問わない稼動 など過酷な 条件 を強 い られる。従 って、整備作業は厳 しい制約 の 中で行 うことが多 く、 メンテナ ンス性 は重要な要 3 の優 れた整備性 を 件 である。T L l 1 0 0 - 3 は、Z X 8 5 0 ‐ ベ ースに、 第 2図 キ ヤブ可動範囲図 ① メ ンテナンスデッキ ② 上 部旋回体サイ ドウォーク ③ メ ンテナ ンス通路 ④ フ ロン ト部への自動給脂装置 ⑤ オ イルクーラの並列配置 ⑥ 開 閉式エアコンコンデ ンサ等 を採用 し、メンテナンス性の向上を図った。 3-7 様 々 な扱 い物 、 作 業 に合 わせ たア タ ッチ メン ト 扱 い物 の種類 によ り、「リフテ イ ングマ グネ ッ ト」 木材 グラ ップル」 「クラム 「グラ ップルバ ケ ッ ト」「 バ シェル ケ ッ ト」等 のアタッチメン トを用意 した。 第 3図 フ ロア面のガラス窓 の フロ ア面 にガラス窓 を設けた (第 3図 )。座 った ままの姿勢 で真下 の船内作業 を確認で きる。 定性 に優 れた大型足回 り 下部走行体 は、最大吊上荷重 100t級 のクロー ラ クレー ンCX1000の 足 回 りを採用 した。 ク ロー ラク 3-4 安 レー ンの大型足 回 りを使用す ることにより、安定性 を良 くする と共に フラッ トシユーが港湾岸壁の路面 保護 となる。岸壁 によってはフラッ トシユーの上に ゴムパ ッ トを装着 し、路面 の保護 に努 める場合 もあ る。 ペ レー タ、作業者の安全性 に配慮 3-5 オ キ ャブが高 い所 に位 置す るこ とか ら随所 に手す り、階段、梯子、通路 を設け、オペ レー タや作業者 が楽 に、 よ り安全 に移 動や メンテナ ンスがで きるよ うに配慮 した。 また、各ア タッチメ ン トの交換作業 を短時間かつ 簡便 にで きるアー ム先端 に装着するクイ ック ヒ ッチ をオプシ ョンと して準備 した。 4。 お わ りに 港湾物流産業 は時代 の流れ と共 に劇的に変化 した 産業 の一 つ である。その中で もとりわけ荷役設備 に 対す る要求 は 「よ り早 く」「よ り効率的 に」「よ り安 全 に」が常 に求 め られる。 しか も、その用途 。仕様 は港湾毎 に様 々である。今後 もグ ローバル化が急激 にすす む中、益 々増加 し、効率化 。簡素化 が大 きく 求 め られてい くもの と考えてい る。業界 を取 り巻 く 環境 。規制につい て も変化が起 こ り、機械設備 に対 す る要求 も変化 してい くことが予想 される。 これ迄 以上 に顧客志向の考 え方 を再認識 し、技術者 として 最高 の環境 。安全品質 の製品を提供 してい きた い と 考 えている。技術 は 日進月歩、新 しきは学び、良 き ものは習 い、お客様 との面談の中で、常 にお客様 と 一体 となった製品開発 に邁進す る所存である。 運転上の安全面では、プーム、アーム、キャプの 油圧 シリンダにシリンダロック機構 を採用 した。油 圧 シリンダホースの損傷な どで万一、油圧低下が起 こった場合 でも油圧 シリンダが ロ ックされ、急降下 (筆者紹介はp76掲載) 建設機械 2K109.8.23
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