放射線飛跡を可視化する プラスチックの開発とその応用 S

National Institute of Technology , Maizuru College
放射線飛跡を可視化する
プラスチックの開発とその応用
電子制御工学科
石川 一平(博士(工学)) [email protected]
プラスチック等の絶縁固体に放射線が当たると、表面に数 nm サイズの放射線損傷(潜在
飛跡)が生じる。この損傷は極めて小さいが、化学薬品でエッチングすることで、図 1 に示
すように損傷を拡大することができる。放射線損傷部のエッチング速度 VT の方が損傷を受
けていない部分の速度 VB よりも速いため損傷が拡大される。拡大された損傷(穴)はエッ
チピットと呼ばれ光学顕微鏡等で観測が可能となる。
本研究で使用しているプラスチックは PADC(ポリ・アリル・ジグリコ-ル・カ-ボネ-
ト)で通称 CR-39 と呼ばれている固体飛跡検出器の一種である。本研究では、PADC をベー
スとしたプラスチックを製造し、放射線飛跡の可視化に関して性能評価を行っている。
開発したプラスチックの応用として、従来品よりも短時間で放射線飛跡の可視化が可能な
プラスチックの開発を行った。短時間の観測が可能となったことで授業等の放射線教育用の
教材としての応用が期待できる。また、このプラスチックを用いた出前授業および一般向け
の公開講座を行い、放射線教育の効果について実践評価を行っている。
エッチング前
放射線
エッチング
被照射面
エッチング後
S
基礎材料
エ
ネ
ル
ギ
ー
環
境
材
料
生
産
・
製
造
VB
VTt
潜在飛跡
10 µm
エッチピット
図1
飛跡生成理論および観測図
活用事例(製品構想、ビジネスモデル、プロジェクト提案
など)
1. プラスチックを用いたアルファ粒子測定装置の開発
計
測
・
制
御
情
報
・
通
信
技術相談等についての対応可能事項
防
災
2. プラスチックの放射線損傷の測定
減
災
・
1. 放射線教育
著書,関係論文,学会発表,ホームページ
1. 石川一平, 中津徳人, 清原修二, “放射線教育のためのプラスチック板を用いた可
・
医
療
福
祉
バ
イ
オ
視化計測技術の検討”, 日本高専学会誌,Vol. 18, No. 3, pp. 53-56 (2013.07).
・
2. Ippei Ishikawa, Atsuya Kishi, Wataru Kada, Fuminobu Sato, Yushi Kato and
Toshiyuki Iida, “Response of CR-39 track detector to low-energy heavy ion
beams”, Radiation Measurements, Vol.43, pp.S79-S81 (2008.08).
Keywords
Allyl diglycol carbonate、CR-39、放射線教育、アルファ線、放射線損傷
文
化
・
都
市
計
画