2015年7月28日 平成27年度税制改正 受取配当等の

くちきデイリーニュース
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2015 年 7 月 28 日(火)
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平成 27 年度税制改正
受取配当等の益金不算入制度の見直し
平成 27 年改正・受取配当等の益金不算入
平成 27 年税制改正では、法人税率が引き
下げられる一方で、課税ベースを拡大する
改正項目が盛り込まれています。その中の
一つが「受取配当等の益金不算入」制度の
見直しです。今回の改正では、二重課税排
除という制度の基本的な考え方を踏まえつ
つ、次の点が見直されています。
⑴ 株式等の区分の改正
支配目的の株式等と支配目的の乏しい株
式等(資産運用目的の株式等)との区別が
一層明確化され、株式等の区分が次のよう
に見直されました。
(改正後)株式等の区分と益金不算入割合
区分
不算入割合
①完全子法人株式等
(保有割合 100%)
100%
(負債利子控除なし)
②関連法人株式等
(保有割合 1/3 超)
100%
(負債利子控除あり)
③その他の株式等
(5%超・1/3 以下)
50%
(負債利子控除なし)
④非支配目的株式等
(保有割合 5%以下)
20%
(負債利子控除なし)
⑵
負債利子控除の改正
上記の区分改正に伴い、負債利子控除の
計算が煩雑になることを考慮して、③と④
[email protected]
については、負債利子控除の計算は行わな
いこととされました(改正後は関連法人株
式等のみ負債利子控除の計算を行うことと
なります)。また、負債利子控除割合の計算
における総資産の帳簿価額から減算又は加
算する金額の取扱いについて、
「その他有価
証券に係る評価益等相当額」又は「評価損
等相当額」が除外されました。
⑶ 株式投信の全額益金算入
公社債投資信託以外の証券投資信託(株
式投信)について、全額益金不算入(改正
前は収益分配金の 1/2)とされました。
適用初年度は「原則法」により計算
また、関連法人株式等に係る負債利子控
除額の簡便法における基準期間が、H27.4.1
から H29.3.31 に開始する事業年度とされ
ます。簡便法に経過措置が設けられなかっ
たため、適用初年度ではすべての法人が「原
則法」により計算することになります。
なお、この原則計算の場合、
「当期末及び
前期末の総資産の帳簿価額の合計額」、「当
期及び前期の期末関連法人株式等の帳簿加
価額の合計額」が計算で用いられますが、
この「前期末」は改正後の規定で再計算し
たものを用いることとなります。
この改正は、H27.4.1 以
後に開始する事業年度か
ら適用されます!
補足と解説
平成 27 年度 法人税関係法令の改正の概要
⑴ 投資法人の金銭の分配の額について、次のとお
Ⅱ 受取配当等の益金不算入制度の見直し
り見直しが行われました(法 23①)
。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph
イ 投資法人の金銭の分配の額が、配当等の額に該
/hojin/kaisei_gaiyo2015_5/01.htm
当することが明確化されました。
【引用】改正の内容(一部)
ロ 利益の額を超える金銭の分配の額であって、そ
受取配当等の益金不算入制度について、次のとお
の利益の額を超える部分の金額が投資法人の計算
り見直しが行われました。
に関する規則に規定する一時差異等調整引当額の
1 益金不算入の対象となる株式等の区分及び益金
増加額と同額であるものは、配当等の額(改正前:
不算入割合の改正
資本の払戻し等の額)に該当することとされました
配当等の額の益金不算入額の計算に当たり法人
(法 23①二、法規8の4)
。
が保有する株式等の区分及び益金不算入割合につ
⑵ 公社債投資信託以外の証券投資信託(特定株式
いて、次表のとおり株式等の区分及び益金不算入割
投資信託を除きます。)の収益の分配の額のうち配
合が改正されました(法 23①⑥⑦)
。
当等の額とされる部分の金額については、本制度の
⑴ 完全子法人株式等(略)
対象から除外され、その収益の分配の額の全額が益
⑵ 関連法人株式等
金の額に算入されることとなりました(旧法 23①
関連法人株式等とは、内国法人が他の内国法人の
三、旧法令 19)
。
発行済株式等の総数又は総額の3分の1を超える
3 負債利子がある場合の控除計算の見直し
数又は金額の当該他の内国法人の株式等を、その内
内国法人が各事業年度において支払う負債の利子
国法人が当該他の内国法人から受ける配当等の額
がある場合の配当等の額の益金不算入額の計算に
の計算期間の初日からその計算期間の末日まで引
ついて、次のとおり見直しが行われました。
き続き有している場合における当該他の内国法人
⑴ 負債利子がある場合の控除計算の対象となる株
の株式等(完全子法人株式等を除きます。)をいい
式等が、上記1⑵の関連法人株式等に限定されると
ます(法 23⑥、法令 22 の3)
。
ともに、その関連法人株式等に係る配当等の額につ
⑶ その他の株式等
いて益金の額に算入しない金額は、関連法人株式等
その他の株式等とは、完全子法人株式等、関連法
につきその事業年度において受ける配当等の額の
人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当
合計額からその負債の利子の額のうちその関連法
しない株式等をいいます。
人株式等に係る部分の金額として次の算式(原則
⑷ 非支配目的株式等
法。省略)により計算した金額を控除した金額とさ
非支配目的株式等とは、内国法人が他の内国法人
れました (法 23④、法令 22)。
の発行済株式等の総数又は総額の 100 分の5以下に
⑵ 上記1⑵の関連法人株式等に係る負債利子があ
相当する数又は金額の当該他の内国法人の株式等
る場合の控除計算の簡便法について、適用すること
を、その内国法人が当該他の内国法人から受ける配
ができる法人が平成 27 年4月1日に存する内国法
当等の額の支払に係る基準日(配当等の額が資本の
人とされ、基準年度が平成 27 年4月1日から平成
払戻し以外のみなし配当事由によるものである場
29 年3月 31 日までの間に開始した各事業年度とさ
合にはその支払に係る効力発生日の前日)において
れました(法令 22④)
。控除すべき負債の利子の額
有する場合における当該他の内国法人の株式等(完
は次の算式(簡便法)により計算した金額となりま
全子法人株式等を除きます。)及び特定株式投資信
す。
託の受益権をいいます(法 23⑦、措法 67 の6、法
令 22 の3の2)。
2 配当等の額の範囲の見直し