アプリケーション ・ ブリーフ I2Cの条件つきデータ

アプリケーション・ブリーフ
I2Cの条件つきデータ・トリガ機能
(LAB_WRX109)
レクロイの I2CBus TD パッケージ
は、強力なトリガ機能を持ち、特
定のデータ・パターンを検出する
条件を設定することができます。
これらの機能を利用すると、特定
のバス・イベントだけを確認する
ことができるので、 デバッグやデ
ザインの検証などが迅速に行うこ
とができます。
回る温度でトリガをかける場合の
例を考えて見ます。I2CBus TD のト
リガ機能では、データ・トリガ条
件は符号なし整数で設定すると仮
定しているので、2の補数で与え
られる数値を使って、特定の値を
超える条件を記述しようとすると、
上限を決めないといけないことに
注意してください。そうしなけれ
ば、マイナスの値全てが対象とな
こうした機能が役立つアプリケー ってしまいます。I2CBus TD で提供
ションの例としては、I2C 出力の温 される範囲設定機能では、こうし
度センサ出力のモニタが上げられ た条件を 簡単に記述することが
ます。I2C バスをモニタしていて、 できます。
設定した値を上回った温度でトリ
ガをかけることができると、設計 図 1 で示すように、温度 40 度 C は
上の上限温度範囲外での振る舞い 9 ビ ッ ト の バ イ ナ リ 値 で は
を検証することができます。例え 001010000 になり、2 バイト・ワー
ば、LM75 のような I2C 出力を持つ ドに組み込まれると、バイナリ値
温度センサーにおいては、現在の がワードの中に左詰めで配置され
温度は、例えばマイクロコントロ るので、16 進数で 0x2800 になりま
ーラのような I2C のバス・マスター す。読み取り温度が 2 の補数形式
によって、2 バイトワードのデータ で示されるので、最も高い正の温
として読み取られます。このワー 度値はバイナリ値で 011111111 に
ドデータには温度の読み取り値が なります。そして、それは 2 バイ
含まれていますが、そのビット長 ト・ワードでは 0x7F80 になります。
は装置ごとに異なります。LM75 の したがって、40 度 C よりも高い温
場合は、現在の温度の読み取り値 度はすべて 0x2800 と 0x7F80 の間
は、9 ビット長の 2 の補数で表され、 の範囲の 2 バイト・ワードの値に
2 バイトワードの MSB の位置から なることが分かります。
始まります(図 1 参照)。
I2CBus TD パッケージを使用して、
特定の温度、例えば 40 度 C、を上 この条件でトリガを掛けようとす
ると、 ADDR+DATA トリガーを利用
するのが適切です。ADDR は、正し
い I2C 装置を特定してデータの転
送方向を読み出しにするためにバ
イナリの「1001xxx」にセットしな
ければなりません。次のページの
図 2 で示すように、トリガ設定の
DATA 部分では、この例で示したト
リガ条件を実現するために
INRANGE トリガを選択し、下限を
0x2800、上限を 0x7F80 に設定しな
ければなりません。
【アプリケーション例】
● I2C 出力の温度センサーの範囲
外検出
● I2C 出力の AD 変換器のオーバー
フロー検出
● I2C 出力センサーの特定範囲の
検出
【対応オシロスコープ】
● WaveSurferXs シリーズ
● WaveRunnerXi シリーズ
【必要なオプション】
● I2Cbus-TD
¾ I2C プロトコルでトリガ機
能の追加
¾ I2C プロトコルのデコード
機能追加
図 1:I2C バス・マスターで LM75 から送られる現在の温度の値を読む場合のバス・トラフィックの図。
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複雑なデータ・パターンの入力が
簡単に行えるように、、I2CBus TD
トリガー・セットアップ・メニュ
ーでは、 直接アドレスとデータ
をバイナリまたは 16 進のフォー
マットで直接入力することがで
きます。正しいパラメータを設定
するのは、タッチスクリーンでパ
ターンを入力するのと同様に簡
単にでき、つまみを回して設定す
るような面倒な操作は必要あり
ません。
図 2:この例で紹介した条件設定を行った I2C トリガー設定メニュー。「4$」アドレ
スを示し、$は 4 ビット・データの内のいくつかのビット(その全てではない)が任意
の値であることを示しています。バイナリ・モードにすると各々のビットについて
設定を確認することができます。
一旦正しいトリガー・パターンを
設定したなら、デコードされたバ
ス・トラフィック情報を表示する
ために I2CBus TD のデコード・オ
プションを ON にしてください。
Serial Decode 機能の設定でプロ
トコルに I2C を選択し、クロック
とデータを入力しているチャン
ネルを設定するだけです。対応す
るアドレスとデータ・パターンは、
クロックとデータ波形(図 3)の
上に重ねて表示されます。
I2CBus TD パッケージに含まれる
条件つきデータ・トリガ機能を用
いて、I2C バス上の特定のデータ
条件を検出することが簡単に行
えるので、対象となるイベントを
検証することが非常に簡単です。
図 3:16 進値 0x3180 が INRANGE トリガ設定の範囲内でセットされる 0x7F80
と 0x2800 の間に入るので、トリガがかかります。
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