NO.63

地域医療連携室
携室 診療連携広報誌
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63
Kyushu
yushu Rosai Hospital
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ハロー
理念
共に創りだす安全で良質な医療
基本方針
地域医療支援病院
地域医療と勤労者医療の推進
患者の権利と責務の尊重
● 生命の尊厳の尊重
●
●
●
●
安全で高度な医療の実践
安全で高度な医療の実践
優れた医療人の育成
脊椎骨粗鬆症性椎体骨折の診断と治療
(経皮的椎体後弯矯正術 BKP)
その1
診断編
勤労者骨・関節疾患治療研究センター 副センター長 兼 第二脊椎外科部長
はじめに
日本は高齢化社会に邁進し、総人口の4人に1人は65歳
以上となりました。昨年、男女とも平均寿命は80歳を超え、
健康寿命との差は約10年。これからの課題としては、如何
にこの10年を短くすることが重要で、そのためには、骨粗鬆
性骨折を発生させないことも一要因となります。椎体骨折は
50歳以上で増加傾向。一方、大腿骨近位部骨折は70歳以
上で増加傾向にあります。椎体骨折は、転倒のみならず日
常の生活活動(前屈、物を持ち上げる、階段を上がる、咳
等)により発生することがあるので、明らかな外傷がなくと
も骨折が起こることを留意しておく必要があります。今回
は、診断について述べさせていただき、次回は当科でも
2014年3月から導入した椎体骨折の一手術、経皮的椎体後
弯矯正術(Balloon Kyphoplasty: BKP)について紹介させ
ていただきます。
生活習慣病と骨粗鬆症
生活習慣病と骨粗鬆症は、いずれも加齢に伴い増加する
疾患であり、これらの疾患は併存することが多く、近年、生
活習慣病自体が骨代謝に影響を及ぼすことが明らかとなっ
てきています。現在、生活習慣病関連骨粗鬆症として確立
されている原因疾患は、糖尿病と慢性腎臓病(chronic
kidney disease:CKD)であり、生活習慣病が関わる骨粗
鬆症では、骨密度が保たれているわりに骨脆弱性が高まっ
ており、骨質劣化型が多いとされています。生活習慣病に
おける骨脆弱性の亢進機序の一つに、酸化ストレスの増大
今村 寿宏
や、高ホモシステイン血症が関与するとされ、生活習慣病と
骨粗鬆症が単なる併存ではなく、動脈硬化進展との接点
が明らかとなってきました。よって、生活習慣病が多い場
合、椎体骨折のリスクは極めて高いと考えられるので、軽微
な外傷等でも十分、骨折の可能性を疑う必要があります。
椎体骨折の診断
発生部位としては胸腰椎移行部が多く、理学所見での圧
痛点と骨折部位は必ずしも一致しません。L4∼5あたりの腰
痛を訴え、同部位に圧痛あるにも関わらずMRIを撮影する
と、Th12椎体骨折であることもあります。転倒等、外傷後に
腰痛が発生した場合は、腰椎のみならず胸腰椎移行部もレ
線撮影し、坐位、臥位、両方撮影すると診断がつくことがあ
ります(図1)。一枚のフィルムに胸腰椎移行部から下位腰椎
まで含んで撮影するのではなく、別々に撮影した方が診断
の精度が上がります。照射角度が異なることから、見たい
椎体を中心に撮影しないと、椎体によっては斜位になり椎
体形状が把握しにくいことがあります。
図1. 単純レ線における椎体骨折診断
(臥位と坐位にて椎体高の変化を認める)
臥位
坐位
(次頁へ続く)
どのような椎体骨折が圧潰進行するのか
MRIにてT1WI低信号域が椎体広範囲に及ぶ全体型
は、骨折による浮腫、出血が広範囲に認められる症例(図
2A)、また、低信号域が部分型であっても、椎体上縁ある
いは下縁の皮質骨及び軟骨終板が破壊されている(図2
B)と椎体は圧潰進行し疼痛遷延や脊柱管に骨片が突出
していくような破裂骨折に増悪するため、注意を要します。
次回は当科でも2014年3月から導入したBKPを中心に
お話させていただきます。
なお、2015年8月27日に院内講堂で開催した第二回骨
粗鬆性椎体骨折セミナーにご来場いただいた連携医療機
関の皆様並びに当院スタッフに、この場をお借りして御礼
申し上げます。
図2. どのような骨折が圧潰していくか?
受傷後2ヵ月
受傷時
A)MRI で T1WI low が椎体広範囲に及ぶ全体型
骨折による浮腫、出血が広範囲
B)低信号域が部分型であっても椎体上縁あるいは
下縁の皮質骨および軟骨終盤が破壊された骨折
(椎体骨折診療ガイドより抜粋 2014,P85 ∼)
Kyushu Rosai Hospital
専門看護師・認定看護師のご紹介
上段 【左から】荒田直樹(集中ケア)、山中貴正(救急看護)、安部美和(感染管理)、佐々木香代(がん化学療法看護)、
岩崎玲奈(がん看護専門看護師)、大倉尚子(感染管理)
【枠外】穴繁英雄(集中ケア)
下段 【左から】杉本美由紀
(皮膚排泄ケア)
、
下畑由美
(皮膚排泄ケア)
、
田中総子
(救急看護)
、
安永惠
(脳卒中リハビリ
テーション看護)
、
完山優衣
(脳卒中リハビリテーション看護)
がん看護専門看護師
岩﨑 玲奈
がんの患者さんとそのご家族は、治療とその副作用、症状の緩和、心のつらさなど様々な悩みを抱えて生活さ
れています。患者さんのもつ悩みは、治療内容や生活背景によって異なり、治療経過の中でも変化していきます。
患者さんが自分らしい生活を継続していけるよう診断期から終末期までのシームレスなサポートを心がけていま
す。また、訪問看護師との同行訪問を開始し、自宅での療養に関わることもできるようにもなってきております。
Kyuro
2 Hello!
安部 美和、大倉 尚子
感染管理認定看護師
患者・家族・訪問者はもちろん、現場で働く全ての人を感染源から守ることが感染管理認定看護師の役割で
す。院内に限らず、感染対策加算カンファレンスや勉強会やコンサルテーション等地域の感染対策も積極的にお
こなっています。感染管理にお悩みの際は、ご相談ください。
皮膚・排泄ケア認定看護師
下畑 由美、杉本 美由紀
褥瘡や瘻孔などの創傷管理や、ストーマ・失禁などの排泄に関する専門的ケアを行っています。ストーマ保有者
へのセルフケアを支援し、褥瘡や失禁による苦痛を軽減できるよう活動しています。入院患者さんだけでなく、在
宅ケアを受けている方やそのご家族、ケアに携わっている医療者の方々の相談にも応じています。褥瘡ケアでは
訪問看護師との同行訪問ができるようになり、さらに地域へ貢献したいと考えています。
山中 貴正、田中 総子
救急看護認定看護師
主に救急外来で業務しています。常に理論的根拠を用いた実践と、その看護実践に対してクリティカルシンキ
ングを行いながら、病院全体の救急看護の質の向上を目指しています。
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
安永 惠、完山 優衣
脳卒中は複雑な病態であること、合併症を併発しやすい疾患であること、再発予防には基礎疾患の管理が必
要であること、後遺症に対するリハビリが重要であること、家庭内・地域・社会での役割変更が余儀なくされるこ
となどから、人生におけるQOLを大きく変貌させてしまう疾患でもあります。私たち認定看護師は、急性期から
回復期への予後を見通した対応や患者の回復過程に沿った質の高い看護の提供をめざしています。
がん化学療法看護認定看護師
佐々木 香代
抗がん剤治療全般の看護を専門として外来化学療法室で勤務しています。患者さんとご家族にとって確実・安
全・安楽に抗がん剤が継続できるように治療に対する悩みなどもアドバイスしています。
集中ケア認定看護師
荒田 直樹、穴繁 英雄
主に手術後や生命の危機的状況にある患者さんとそのご家族のケアを行う領域の看護分野です。患者さんは
呼吸・循環が不安定であるため、フィジカルアセスメントを行いながら、早期離床・早期回復を目指しケアを行っ
ています。
今年度新たに2名の
認定看護師が追加されました!
糖尿病看護認定看護師
椿 啓子、甲斐 千夏
【左から】甲斐 千夏、椿 啓子
糖尿病は生涯にわたる治療やセルフケアが必要な慢性期疾患です。私たちは患者さんが糖尿病の悪化
を予防して、糖尿病とうまく付き合い「生活者」として健康な生活を継続できるよう、他の医療スタッフと協
力し療養生活を支援します。地域の皆様のお役に立てるように、糖尿病の予防を支援する活動にも力を入
れていきたいと考えています。
Kyuro
3 Hello!