P--1 橈骨動脈閉塞に対し橈骨動脈 PTA を先行して内シャント術 を行った 1 例 県立広島病院 移植外科1)、 県立広島病院 腎臓内科2) ○札場保宏1)、山下正博1)、金井 亮2)、大谷真帆子2)、小田川誠治2)、 清水優佳1)、内藤隆之2)、石本達郎1)、小川貴彦2)、板本敏行1) 【症例】84歳、男性。保存期腎不全であったが、呼吸困難のためICUに緊急入院後、 人工呼吸器管理を開始し、内頸静脈に透析用カテーテルを留置しCHDFが開始された。 5病日目にHDに移行し、7病日目に気管切開術が施行された。HDからの離脱は困難 でVascular accessの作成が必要となった。橈骨動脈の拍動は触知せず、エコーにて も血流が確認できないため、閉塞しているものと考えられた。易感染状態のため、人 工血管による内シャント術あるいは長期留置カテーテルの選択は困難な状況であっ た。このため橈骨動脈のPTAを行った後に、自己血管による前腕内シャント術を行 うこととした。橈骨動脈PTAは左上腕動脈からアプローチした。造影を行うと橈骨 動脈は起始部から閉塞していた。エコーを併用し、ガイドワイヤーを橈骨動脈の末梢 まで誘導した後、3mm4cmPTAバルーンによる橈骨動脈全域の拡張術を施行した。 PTAによる血流再開は確認できなかったが、狭窄部位の拡張は可能であった。翌日 に左内シャント術を施行した。術中の血栓除去により動脈血の再開を認め、橈側皮静 脈と橈骨動脈の端側吻合による内シャント術を施行した。術後も内シャント閉塞を認 めず経過し、術後9日目から穿刺可能となった。 【考察】高齢者の透析導入では、 合併症を認めることも多く、Vascular accessの作成に苦慮することがあるが、橈骨 動脈閉塞症例でも、橈骨動脈PTAを先行することで自己血管内シャント術が行い得 るものと考えられた。 P--2 バスキュラーアクセスに対する血流抑制術の経験 ~術後経過・合併症から学ぶ~ 腎不全センター幸町記念病院 外科1)、 腎不全センター幸町記念病院 内科2)、 岡山大学消化器外科学3) ○松田浩明1)、岡 良成1)、高津成子2)、勝部亮一3)、尾山貴徳3)、 吉田龍一3)、宮﨑雅史1) 【目的】バスキュラーアクセス(VA)の血流抑制術後経過・合併症に学んだ教訓。 【方 法】arteriovenous fistula(AVF)、arteriovenous graft(AVG)に施行した血流抑制 術11症例。年齢65.1±14.0歳。血液透析期間131.9±96.7ml/分。AVF10例、AVG1例。 手術適応は静脈高血圧(シャント肢腫脹)6例、過剰血流(心不全)4例、スティー ル症候群1例、シャント吻合部瘤1例、シャント肢静脈怒張1例(以上重複あり)。 術前上腕動脈血流量は静脈高血圧症例1872.6±1415.2(836.3~5875.3)ml/分、心不 全症例では2987.1±1978.1(1387.7~5875.3)ml/分。 【結果】血流抑制術の方法は banding8例(Miller法変法2例含)、graft inclusion technique(GIT)2例、橈骨動 脈吻合部遠位結紮1例(スティール症候群)。吻合部瘤でGIT施行例を除く血流抑制 率(術後/術前上腕動脈血流量)は43.4±14.8(中央値40.4、25.0~69.5)%。全例で 症状は消失。合併症は閉塞2例、症状再燃再手術2例、血流減少によるPTA継続1例。 【結語】術前の中心静脈狭窄の有無の確認が必要。術後長期のシャント血流量推移 の予測は困難。症状の改善とVA機能維持、慎重な手術選択と経過観察が肝要。 ― 113 ― P--3 当院における上腕伴走静脈表在化内シャントの臨床経過 独立行政法人地域医療機能推進機構 徳山中央病院 腎総合医療セン ター ○荒巻和伸、馬場智枝子、田原正則、三角 拓、土田昌弘、三井 博、 那須誉人 Ⅰはじめに バスキュラーアクセスとして、前腕撓側の内シャントが一般的であるが、透析患者の 高齢化が進むにつれ表在静脈が荒廃してシャント作製困難な症例に遭遇することが多 くなっている。この様な症例に対して、我々は上腕動脈の伴走静脈を皮下トンネルに 通して表在化し内シャントを作製する方法を行ってきた。それらの症例の背景及び経 過について検討する。 Ⅱ対象と検討項目 対象は2006年より2014年12月までの約8年間に当院にて作製した9症例。(作製時年 齢59歳~88歳)これらの症例について原疾患や他のアクセスからの変更(シャント 作製時期)などや、アクセスとしての予後(無処置の一次開存およびPTA施行して の二次開存)について実際のPTA施行所見も提示して検討する予定である。 P--4 バスキュラーアクセス管理における超音波検査とシャントト ラブルスコアリング併用の有用性について おさふねクリニック ○松本吉弘、恒次永里子、阿波加和美、守時美佳、中田淳子、中村明彦 【背景】バスキュラーアクセス(VA)の管理は聴診が基本であるが、近年シャント トラブルスコアリング(STS)が、その有用性から広く用いられている。しかし超音 波検査(US)とSTSの併用による有用性の報告は少ない。 【目的】VA管理にUSとSTSの併用により閉塞率が低下するか否か検討した。 【対象と方法】対象は過去2年間に血液透析(HD)を行った114例(平均年齢68歳、 男性71例、平均透析歴6.8年、自己血管/人工血管:97/17)。前半はUS単独、後半 はSTS併用とし、各々1次開存・2次開存率・閉塞率を算出。USは各患者に応じた 間隔で行い、同日にSTSも行った。血管内治療の適応基準はUSにて最狭窄部径1.55mm 未満尚且つSTS3点以上とした。 【結果】US単独からSTSとの併用により、1次開存、2次開存率、閉塞率はそれぞれ、 92.6%→95.9%、73.3%→77.8%、12.6%→9.0%へと改善傾向であった。全期間を通し 閉塞の寄与因子として人工血管である事のみが関連していた。 【考察】USとSTSの併用により閉塞率が有意な低下を示さなかった原因として、人工 血管比率が高いことが考えられた。しかし、若年の非糖尿病から高齢の糖尿病患者で 75~90%と開存率は幅はあるものの観察期間中の加齢、14.9%と高い人工血管比率を 考慮するとSTSにUSを併用することの有用性を示していると考える。 ― 114 ―
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