獣害を特産に大転換

協 会 報
(8)
平成27年12月号
地区協会コーナー
獣害を特産に大転換
∼イノシシ特産化プロジェクト∼
(一社)
羽咋郡市建設業協会
安永の書上という古文書の中で畑を荒らす動物としてイノシシと鹿の被害が訴えられています。
明和9年(1772年)加賀藩より「悪用しないこと」を条件に口郡(羽咋郡市・鹿島郡)に4挺の鉄砲が貸
し出され、イノシシ退治に取り組んでいます。
明治から大正にかけ一度絶滅(注1)したとされるイノシシが再び猛威を振るうこととなり、平成26年
度に能登の被害が加賀地域を超え、対策は喫緊の課題でした。
羽咋市でも平成24年に市内で1頭捕獲されたのをきっかけに、今年度
はすでに83頭(注2)の捕獲となっています。
市では、自然栽培農業を推進しており、栽培に適した山間部の農林業
被害が進めば、有害鳥獣対策の労務が増すばかりで、自然栽培はおろか、
農業全体の活力低下が危惧され、集落の維持にも影響を及ぼしておりま
す。
この状況の中、今年度よりイノシシの被害を特産に転換していく試みとして、国の交付金を活用し、地
元の理解も得て、10月25日より食肉処理場を開業しました。
開業に向け、職員を県内の先進地である白山ふもと会の獣肉処理施設に派遣し技術の習得に努めるほか、
宝達志水町をはじめ近隣自治体とともに、駆除され
たイノシシを廃棄ではなく食肉にしていくという流
れを作ることで、安全で安心な食肉を安定供給でき
るシステムを構築してきました。
また、他の施設ではほとんど廃棄されている皮の
活用も進めています。
県内では一般にイノシシを食べる習慣がなく、地
域全体の理解と販路の開拓も課題となっています。
数年後には「能登に来たらイノシシ食べないと」というような声が聞けるよう、事業を推進してまいり
ます。能登のイノシシにご期待ください。
注1:環境省 自然環境保全基礎調査
注2:平成27年11月15日現在
(資料提供:羽咋市農林水産課)