平成27年4月01日 - So-net

院外茶話
vol.119
平成 27 年 4 月 1 日
勝利と成功
それは若者の幸福
健康と人
それは熟年の幸福
な遺伝子をもっていたら、やり直すのも辛そう
だから。
人の性格も大切な要因で、失業をして借金を
して先が見えなくても、何とかなると思える人
は幸福感が強い。協調性があって、切れにくく
て、前向きな性格がいい。
こういう人は自分だけでなく、周りに幸福感
をばらまいてくれるから、どうせ友人をもつな
ら楽天的な人がいい。
「人は常に幸福を求める。自殺ですら今より
幸福を求めたもの。」
これはパスカルの言葉です。
そもそも幸福とは何か。それは目指すべきも
のか。
人によって幸福の意味は多少違っても、今は
国をあげて幸福を求める時代で、研究論文は 10
年で数倍に増えた。哲学者に限らず経済学から
心理学、脳科学や教育学など、あらゆる人がこ
の分野に参入をしています。
あーすれば幸福になれるとか、これがないと
いけないとか言うけれど、中には誰かの怪しげ
な思いつきもあって、これを見分ける必要があ
る。
多分、幸福の印鑑を買っても、不幸の手紙が
きても、幸福とは関係がないと思う。
では、どうしたら幸福な生涯を送れるように
なるか。5-HTT という、もって生まれた遺伝子
があって、これが幸福感の大半を左右する。も
ちろん、全てではないけれど。
もし、神様がもう一度人生をリセットするチ
ャンスを与えてくれたら、私は自分の遺伝子を
調べてから、どうするか決めようと思う。不幸
幸福学の第一人者は、元ハーバード大学長の
デレック・ボック先生で、あらゆる切り口で幸
福について語ります。
夢を追って努力をする人は、幸福感が強い。
住んでいる所の気候は、あまり関係がない。
健康な人が幸福なのは当然。
男女を比べれば、女性の方がいい。
結婚をした方が幸せになれる。
もっともっとあるけど、これくらいにしてお
きます。
これは一般論であって、本当は男に生まれた
かったとか、結婚は失敗だったと思う人は、い
くらでもいるでしょうが。
一口に幸福と言うけれど、そこには二種類の
幸福があって、一つは若年性の幸福。もう一つ
は熟年性の幸福である。ただし、この言葉は、
今、私が考えただけなので、あまり信用しない
で下さい。
若年性幸福感と
若年性幸福感とはこんなもの。
二つに分けた理由は、幸福を感じるときの脳
内伝達物質の違いで、若年性の幸福感は主にド
ーパミンの分泌によるもの。喜びや興奮です。
熟年性の幸福は、気持ちのバランスや落着きで、
こちらはセロトニンの分泌による。
日本代表のサッカーチームが勝った時や、恋
愛をしている時。仕事の夢を達成したときの幸
福感はドーパミンによる。ガッツポーズをする
やつです。
一方、天気がよい日の散歩や、バーでジャズ
を聴きながらスコッチを飲むときの、しみじみ
とした幸福感はセロトニンによる。
ナイアガラの絶景を目の当たりにした時が
ドーパミン。陽だまりで流れる雲を見上げる時
が、セロトニンによる幸福感です。
これをぼんやり眺めれば、熟年性の幸福感。
こうして見ると幸福になるための条件は、時
とともに変わる。
遺伝子と性別は変わらないにしても、自分自
身も変わり続けて、以前は毛嫌いをしていたこ
とが結構楽しくなって、その反対のこともたく
さん起きる。
つまり、幸福も不幸も老化をする。
いくつになっても幸福を求めるのは当然だけ
ど、同じことをしいてはいけない。年なりのや
り方をしなければ。
夢を追って頑張るのはいい。毛利さんの宇宙
飛行も、本田選手の AC ミランもすごいけれど、
二人は特別な存在で、実際は夢が叶わなかった
人の方が多いはず。それでも夢をもって頑張っ
た方がいい。と、いうことになっている。
ただし、それは体力と気力が十分にあった人
生の前半の話で、成果もないままに努力だけを
続けていたら、ボロボロになってしまうかもし
れない。
若者が結婚でもすれば、幸福感は一機に高ま
って、ドーパミンはどんどんでる。でも、その
先には子育てがあって、仕事と育児に忙殺され
る中年になると、男も女も幸福の実感を失う。
それでも、何とかこの時期を乗り越えて、子
供が自立をする年齢になると、幸福感は再び回
復傾向をもつ。
こうして、年毎に変わる幸福感を、グラフに
示したものを幸福曲線と言う。
中年の頃に最悪だった幸福曲線が上昇傾向に
転じるのは、女性の方が少し早くて子供が育つ
頃。男性は子供が経済的に自立をする頃が多い。
50 代で上昇に転じた幸福曲線は、何と 80 代
まで上りつめる。
恋愛もしない。夢も健康も失っていくのに、
なぜ幸福度は上昇するか。
人はいいことがあった時の幸福に慣れるけど、
不幸な出来事にも慣れる。不幸のない幸福など
ないし、幸福のない不幸もないのだから。
初めて永久歯を 1 本なくした時はショックだ
った。でも、時が経てば慣れる。老眼鏡をかけ
て、杖をつけば愚痴が口をついて出るけれど、
いずれは慣れて、これが原因で不幸になること
はない。
例外的に人を不幸に陥れる病気とは、慢性
の痛みや、うつ病、不眠など。どれも延々と続
く苦痛です。これさえなければ、健康であるこ
とよりも、健康と思っていることの方が、気分
的には幸せになれる。
年とともに性格も変わる。協調性がでて、
外交的で情緒も安定して、要するに性格がよく
なれば、幸福感も増すのです。
西洋的な老いとは、加齢とともに身体機能
が低下することを示す。でも、東洋的な老いと
は、叡智と経験を蓄えることで、不幸を知って
今を暮らすことができれば幸福になれる。
こうなれば、家族や友人にも恵まれて、こ
れが幸福の老化と思うのです。