第2回全国銃剣道指導者研修会 ≪国庫補助事業≫ 第 2 回全国銃剣道指導者研修会(主催=日本武 道館・全日本銃剣道連盟、後援=文部科学省)が、 11 月 13 日~15 日の 3 日間、千葉県勝浦市の日本 武道館研修センターで、63 名(地域指導者 51 名、 教員 5 名、女子 7 名)が参加して実施された。 本研修会は国庫補助事業として、全国で銃剣道 を指導する中学、高等学校の教員、及び社会体育 指導者を対象に、銃剣道指導者の養成と資質向上 に寄与することを目的に開催された。 ■第 1 日(11 月 13 日) 開講式の主催者挨拶では、 酒井健全日本銃剣道連盟会 長が「現在、中学校の武道 授業として銃剣道を実施し ている学校は残念ながらあ りませんが、来年の1月か ら銃剣道を実施する予定の 学校が1校あります。今後、 酒井 会長 さらに実施校が増えるよう 連盟としても取り組んでまいります。教員とのチ ームティーチングで、外部指導者が中学校で授業 を実施することも可能です。今日参加している皆 さんは、本研修会の趣旨をしっかりと理解し、実 り多き研修会にしていただきたいと思います」と 述べた。 続いて、三藤芳生日本武道館理事・事務局長は 「本研修会は国庫補助事業であり、全日本銃剣道 連盟と日本武道館による共催事業です。目的は、 中学校武道必修化を含めた銃剣道の普及振興、指 導者の指導力向上にあります。中学校武道必修化 については、柔道が6割強、 剣道が3割強、その他武道 が1割弱となっています。 これは、それぞれの種目の 歴史と実績が反映されてい ます。しかしながら、中学 校の武道必修化は、今後も 三藤 理事・ 継続して実施される見込み 事務局長 ですので、受講生の皆様方 には銃剣道の素晴らしさを存分に指導できるよ う、指導力の向上に努めていただきたいと思いま す」と述べた。 開講式終了後、鈴木健講師 が『全日本銃剣道連盟におけ る必修化への対応と取り組 みについて』と題して、講演 を行った。中学校武道必修化 の現状について、「連盟では 銃剣道の採用に向け、必修化 鈴木 副会長 兼専務理事 に対応したパンフレットの 作成、日本武道館と共催で全 国指導者研修会・指導法研究事業の実施、文部科 学省や武道議員連盟等の関係機関への働きかけ 等、採用に向けて努力しています。また、銃剣道 授業化活動を進める中で3つの課題が浮き彫り になりました。それは①銃剣道に関する認識の不 足、②指導者の不足、③PR活動の不足というこ とです。これらの課題をクリアしていくとともに、 今後は銃剣道の利点について積極的にアピール していくことが重要であると考えています」と講 話した。 続いて、滝沢講師が中心になり、 『学校授業にお ける銃剣道指導法』を行った。素振りから始まり、 基本動作の足さばきを2チームに分かれてリレー 形式で行った。その後、目標物として新聞紙とボ ールを突き、実際に突く感触を確かめた。最後に 二人組で「銃剣道の形(授業用)」の1、2本目を 行い、初日は終了した。 実際に木銃を使用しての直突の練習 グループC「社会体育指導者」 御山講師が「直突」、「連続突き」、「突き流し」、 「払い突き」と基本の突きを指導した。その後「銃 剣道の形」、「木銃対刀の形」の指導を行った。御 山講師より「腰を曲げずに正しい姿勢で突くこと。 また技の起こりをなくすように意識することが大 事」と指導した。 ボールを突いて突きの感触を確かめた ■第 2 日(11 月 14 日) 二日目は、A(中学校必修化対応)、B(高校部 活動)、C(社会体育指導者)に分かれ(A、B班 は合同で実施) 、目的別実技研修を行い、最後に情 報交換会を行った。 ■第 3 日(11 月 16 日) 最終日は、二日目に行った情報交換会の発表を 班ごとに行った。閉講式の講師代表挨拶では佐藤 亨講師より「私の知っている先生の言葉で『若い ときに流さない汗は、老人になって涙となる』と いう言葉があります。今一生懸命稽古をしなけれ ば、指導するときに悔し涙になるという事です。 この研修会を機に自分自身の質を向上させられる よう一歩一歩前進し、頑張っていただきたい」と 総括の挨拶が述べられ、3日間の研修会は無事終 了した。 【目的別実技研修】 グループA・B「必修化・部活動」 滝沢講師が中心となり、中学校の武道授業を想 定し、基本動作を中心に行った。まず、手ぬぐい を使用して「構え」、「直れ」、「足さばき」を行っ 【参加者の声】 た。 「足さばき」は、すり足で前後左右への動き方 ≪大阪府・男性≫ を確認しながらゆっくり行い、徐々にスピードを 私が本研修会への参加を希望しましたのは、 文科省 上げて行った。続いて木銃の説明をし、 「持ち方」、 が後援し、 学校教育への導入の気配が見られたからで 「歩き方」、「正座の仕方」を指導した。そして、 す。 今日まで私の周囲には銃剣道に携わる方はおらず、 基本の「直突」を行い、「銃剣道の形(授業用)」 自分自身も日本武道協議会が謳う9武道の中で、 唯一 の1、2本目を二人組で演武発表し、午前は終了 見た事が無い銃剣道を、 どの様に学校現場に導入する した。滝沢講師から「正しい構えをとり、真っ直 のか、大いに興味の湧く処でした。今の大阪では理解 ぐ突くこと。また、残心をしっかり取ることが重 が得にくいと思われますが、 実際に銃剣道を知らなけ れば議論をするにしても実のある検討ができないと 要」との説明があった。 考えたからです。 国体等において理解の無い方から心 無い言葉があり苦労されたという話をお聞きし、 銃剣 道に対する正しい理解の不足を感じました。 今回体験 させて頂いた事を今後の銃剣道を論ずる際の礎とし、 伝達する際の一助にしたいと思います。私の様な未経 験門外漢にも参加の機会をいただきました事を厚く 感謝いたします。 てぬぐいを使用して基本動作の練習 午後は、まず「打ち払い」「払い突き」を行い、 仕上げに「銃剣道の形(授業用)」の5本目と6本 目を学習した。その後、実際に用具を着用して「直 突」、「脱突」、「下突」の練習を行った。滝沢講師 から「元立ちは相手に突かせてあげる気持ちで受 けることが大事」との説明があった。 ≪北海道・男性≫ 中学校武道必修化は、 指導者に関する問題が多々あ るように思います。 学校教育の中で銃剣道は中々理解 していただけません。しかし、実際に銃剣道に携わっ ている指導者、 関係者は真剣に取り組んでいるという 事を知ってもらえたら良いと思います。現職の自衛官 やOBが指導することは難しいと感じますし、 指導者 の継続性も大きな障害だと思います。 銃剣道は安全で 楽しいスポーツだという事を多くの方に理解しても らいたいです。
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