第3学年1組 音楽科学習指導案 展開場所 1 題材名 曲の特徴を感じ取って聴こう 音楽室 4時間扱い 教材名 組曲「アルルの女」から「メヌエット」「ファランドール」 ビゼー作曲(鑑賞) 2 題材について (1) 題材観 学習指導要領とのかかわり 第3学年 B 鑑賞 (1)ア イ ウ (ア)音色 旋律 音の重なり 〔共通事項〕ア (イ)反復 変化 本題材では,楽曲の雰囲気や曲想を感じ取って聴いたり,旋律の反復,変化や重なりに気を付けて 聴いたりして曲の特徴や構造を捉え,楽曲のよさや面白さを味わうことをねらいとしている。初めに 「メヌエット」と「ファランドール」を鑑賞し,2曲の雰囲気の違いを感じ取る。次にこれらの曲の 特徴や構造を捉える活動を行い,それぞれの曲のよさや面白さを感じ取る。再び2曲を鑑賞し,それ ぞれのよさや面白さの違いを感じ取る。そして,2曲のうちから1曲を選択してそれぞれの楽曲のよ さや面白さを伝える活動を行う。 (2) 児童の実態 (男子18名 女子15名 計33名) 音楽の学習に前向きに取り組み,曲想に気を付けて歌ったり,拍の流れにのってリコーダー演奏を したりしている。しかし,自分の思いをもち,それを積極的に声や音で表現するところまでには達し ていない。曲を鑑賞することを好み,曲想を感じ取ることはできるが,音楽を形づくっている要素に 注目して曲の特徴や構造に気付くところまでには至っていない。「ユモレスク」を鑑賞した時に楽曲 のよさや面白さを記述させた。その内容を読むと,曲想の変化や強弱の変化から曲全体の流れを捉え ている児童が多く,旋律の反復や変化が曲の流れをつくっていることに気付いている児童は少なかっ た。また, 「白鳥」を鑑賞した時にも楽曲のよさや面白さを記述させた。この時も曲想を感じ取るこ とはできたが,チェロやピアノの音が表わしているものあるいは二つの楽器の組み合わせによって表 されている音楽の様子について感じ取れた児童は学級の3分の2くらいであった。 (3) 指導観 「メヌエット」は A-B-A の三部形式の曲である。曲のはじめと終わりの部分はハープの伴奏に のせてフルートの美しい旋律が演奏され,中間部はオーケストラによる華やかで厚みのある演奏にな っている。 「ファランドール」はオーケストラの堂々とした感じの「三人の王の行進」の旋律で始ま り,途中で太鼓のリズムにのって木管楽器が「ファランドール舞曲」の旋律を軽快に演奏する。この 二つの旋律が交互に反復されたり,重なったりして曲が進み,クライマックスをつくっていく曲であ る。この2曲の雰囲気や曲想は異なっているのでその違いを捉えやすい。 初めにこの2曲を聴き比べ,曲の雰囲気や曲想の違いを感じ取らせ,同じ作曲家がつくったこの2 曲に興味をもたせる。次に曲に合わせて体を動かす活動を行い,音楽を形づくっている要素に注目さ せ,楽曲の特徴や構造を捉えさせたい。 それぞれの楽曲の特徴や構造を捉えさせるために楽器の音色や旋律に注目させる。「メヌエット」 では曲に合わせて楽器を演奏するまねをし,曲の流れをつかませる。そのうえで旋律を口ずさむ活動 を行い,旋律の反復や変化に気付かせたい。また,曲を聴いて気が付いたことを板書して整理するこ とで視覚的にも楽曲の特徴を捉えさせ,ビゼーがこの曲をつくる時に工夫したわざを考えるヒントに したい。 「ファランドール」では二つの旋律を口ずさみ,その特徴と違いを感じ取らせる。そのうえで曲に 合わせて旋律が変わるたびに右手や左手を上げる活動を行い,曲の流れをつかませる。旋律が聴こえ る順番を板書し,二つの旋律が交互に反復されたり,重なったりしていることに気付かせ,楽曲の構 造を捉えさせたい。また,この曲を面白くしている作曲家のわざを見つけさせるために,音楽の変化 に合わせて体を動かす活動を行い,旋律以外の音楽を形づくっている要素に注目させる。体を動かす 活動を通して気が付いたことを板書して整理し,この曲をつくる時にビゼーが工夫したわざに気付か せたい。その後,ビゼーの工夫したわざに気を付けて2曲を鑑賞し,それぞれの曲のよさや面白さの 違いを感じ取らせる。 学習のまとめとして2曲から1曲を選び,楽曲のよさや面白さをワークシートに記述する活動を行 う。ワークシートに記述する時はキーワードを提示したり,前時までに学習した掲示物を参考にした りして児童が自信をもって記述できるようにしていきたい。 3 題材の目標 ・楽器の音色を味わい,曲想を感じ取って聴く。 ・旋律の反復,変化や重なりを捉え,楽曲のよさや面白さを感じ取って聴く。 4 題材の評価規準 音楽への関心・意欲・態度 鑑賞の能力 ① 楽曲の雰囲気や曲想を捉えて聴く学習に進ん ① 楽器の音色,強弱,旋律の反復や変化を聴き取 で取り組もうとしている。 り,それらが生み出すよさを感じ取りながら, 楽曲の特徴に気を付けて聴いている。 ② 二つの旋律の反復や重なり,楽器の音色,強弱, 速度の変化を聴き取り,それらが生み出す面白 さを感じ取りながら,楽曲の構造に気を付けて 聴いている。 ③ 曲想とその変化や音楽を形づくっている要素 のかかわり合いから,感じ取ったことを言葉に 表すなどして,楽曲の特徴や演奏のよさに気付 いて聴いている。 5 指導と評価の計画(4時間扱い) 時間 ◎ねらい ・教師の働きかけ ○学習内容 ・学習活動 ☆〔共通事項〕 ◇評価規準 【評価方法】 第 1 ◎楽器の音色を味わい,曲想を感じ取って聴く。 一 ○「メヌエット」を聴き,曲想を感じ取る。 次 ・どんな感じの曲なのか発表する。 ・演奏していた楽器について発表する。 ・演奏している楽器の真似をしながら聴 く。 ・発言を曲の感じと音楽のもとに分けて板書 する。 ・楽器の音色に気を付けて聴かせ,曲の流れ をつかませる。 ☆音色 フルートとハープ,それ以外の楽器の音 色の違いに気付く。 ○「ファランドール」を聴き,曲想を感じ 取る。 ・どんな感じの曲なのか発表する。 ・発言を曲の感じと音楽のもとに分けて板書 する。 ・二つの旋律を口ずさみ,旋律の変わり方 に合わせて右手や左手を上げる。 ・二つの旋律があることに気付かせ,曲の流 れをつかませる。 ☆旋律 二つの旋律に気付く。 ・2曲を比較して違いを話し合う。 ・様々な聴き方を取り上げる。 ・今日のひとこと感想を書く。 ◇(関-①)楽曲の雰囲気や曲想を捉えて聴 く学習に進んで取り組もうとしている。 【発言の内容,鑑賞の様子】 第 二 次 2 ◎旋律の反復,変化や重なりを捉え,楽曲のよさや面白さを感じ取って聴く。 ○曲の特徴に気を付けて「メヌエット」を 聴く。 ・前時の学習を生かし,楽器を演奏する真 似をしながら聴く。 ☆音色 ・前時の学習を想起させる。 ・体を動かしながら鑑賞させ,曲の流れをつ かませる。 はじめと終わりの部分はフルートとハ ・演奏されている楽器について聴き取ったこ ープで演奏され,中の部分はたくさんの とを板書し,曲の流れを視覚的にわかりや 楽器で演奏されていることに気付く。 すくする。 終わりの部分はフルートとハープだけ ではなく,違う楽器も加わっていること に気付く。 ・主な旋律を口ずさみ,旋律の種類に応じ て右手や左手を上げたり,立ったり座っ ・中の部分だけ違う旋律になっていることに 気付かせる。 たりして聴く。 ☆反復 同じ旋律が反復され,曲の流れが A-B -A になっていることに気付く。 ・曲の中で変化しているものを見つける。 ・体を動かしながら聴かせ,変化している要 ☆変化 素に気付かせる。 旋律,演奏楽器の種類や数,強弱が変化 していることに気付く。 ・ビゼーがこの曲で工夫したわざを考え る。 ・今日のひとこと感想を書く。 ・発言を板書して整理し,ビゼーのわざを考 えさせる。 ◇(鑑-①)楽器の音色,強弱,旋律の反復 や変化を聴き取り,それらが生み出すよさ を感じ取りながら,楽曲の特徴に気を付け て聴いている。 【発言の内容,鑑賞の様子】 3 ○曲の構造に気を付けて「ファランドー ル」を聴く。 本時 ・二つの旋律を口ずさみながら聴き,旋律 (3/4) の変わり方に合わせて右手や左手を上 げる。 ・単元の導入で学習したことを想起させる。 ・二つの旋律が聴こえる順番を板書して曲の 流れをつかませる。 ☆反復 二つの旋律が交互に反復されているこ とに気付く。 ☆音の重なり 曲の初めの方で旋律が追いかけっこを していることや終わりの部分で二つの 旋律が重なっていることに気付く。 ・曲に合わせて体を動かしながら聴き,旋 律以外に変化しているものを見つける。 ☆変化 曲が進むにつれて楽器の種類や数,強 弱,速度が変化していることに気付く。 ・気が付いたことを発表し合い,ビゼーが この曲で工夫したわざをまとめる。 ・今日のひとこと感想を書く。 ・掲示物をヒントに何に気を付けて聴いたら よいか考えさせ,そのポイントに合った体 の動きをしながら鑑賞させる。 ・曲の中から旋律以外に変化している要素に 気付かせる。 ・発言を板書して整理し,ビゼーのわざに気 付かせる。 ◇(鑑-②)二つの旋律の反復や重なり,楽 器の音色,強弱,速度の変化を聴き取り, それらが生み出す面白さを感じ取りなが ら,楽曲の構造に気を付けて聴いている。 【発言の内容,鑑賞の様子】 4 ○「メヌエット」や「ファランドール」の よさや面白さを伝え合う。 ・ 「メヌエット」と「ファランドール」を 聴き,自分の気に入った曲を 1 曲選ぶ。 ・掲示物を使い,今まで学習してきたことを 確認する。 ・体を動かしながら聴き,今まで学習してき たことを想起させる。 ・選んだ曲のよさや面白さをワークシート に記述する。 「メヌエット」 ☆反復 同じ旋律が反復されていることに気付 く。 ☆変化 ・それぞれの曲を選んだ理由を書かせる。 ・キーワードを使ってそれぞれの曲のよさや 面白さを記述させる。 楽器の種類や数,強弱が変化しているこ とに気付く。 「ファランドール」 ☆反復 二つの旋律が交互に反復されているこ とに気付く。 ◇(鑑-③)曲想とその変化や音楽を形づく ☆変化 っている要素のかかわり合いから,感じ取 二つの旋律の重なり方,楽器の種類や ったことを言葉に表すなどして,楽曲の特 数,強弱,速度が変化していることに気 徴や演奏のよさに気付いて聴いている。 付く。 【発言の内容,記述】 ・それぞれのよさや面白さを共有し合う。 ・様々な感じ方を紹介する。 ○「メヌエット」と「ファランドール」を 味わって鑑賞する。 ・今日のひとこと感想を書く。 6 ・学習のまとめとして鑑賞させる。 本時の指導 (1) 本時の目標 ・「ファランドール」を曲の構造に気を付けて聴き,曲のよさや面白さを感じ取る。 (2) 展開 過 時 ○主な学習内容 ・学習活動 程 配 「発問」 『予想される児童の様子』 5 ○学習の雰囲気づくりをする。 ・教師の働きかけ 〔共通事項〕の扱 ◇評価規準 【評価方法】 い ・今月の歌「さようなら」を歌う。 ・教師がアルトパートを歌い,旋 律の重なり方について考えさ せる。 め 5 ○前時までの学習を振り返り,本時 あ のめあてをつかむ。 て 「ファランドール」でビゼーさんがくふうしたわざを見つけよう。 を も ・ビゼーの工夫したわざを見つける つ ために何をしたらよいのか考え る。 ・掲示物を使い,前時までの学習 を想起させる。 ・掲示物をヒントに考えさせる。 『曲の流れを調べればよい。 』 見 通 し を も つ 8 ○曲の流れを捉える。 ・二つの旋律(アとイ)を口ずさみ, ・旋律アと旋律イを聴かせ,それ その違いを確認する。 「旋律アと旋律イはどんなふうに ぞれの旋律の特徴をつかませ る。 聴こえるのでしょうか。 」 ・旋律アの時は右手を旋律イの時は ・教師も一緒に行い,自信をもっ 左手を上げながら聴く。 て活動に参加できるようにさ せる。 ・曲の流れがわかるように旋律の 順番を板書する。 ・気が付いたことを発表する。 『旋律アと旋律イが交互にでてく ・発言を整理し,ビゼーがこの曲 反復 で工夫したわざに気付かせる。 二つの旋律が交互 る。 』 に反復されている 『最後で旋律アと旋律イが重なっ ことに気付く。 ている。 』 音の重なり 『旋律アと旋律アが追いかけっこ 曲の終わりの部分 をしている。 』 で二つの旋律が重 なっていることや 考 え 20 ○旋律以外に曲の中で変化してい 曲の初めの方で同 るものを見つける。 を 「このほかにもビゼーさんが工夫 深 したわざがあります。曲の中で変 め 化しているものです。それらを見 る つけてみましょう。そのためには 何に気を付けて聴いたらよいで すか。 」 じ旋律が追いかけ っこをしているこ とに気付く。 ・今までの学習を想起させ,聴く ポイントを見つけさせる。 『楽器の音に気を付けて聴けばよ い。 』 『強さに気を付けて聴けばよい。』 ・曲に合わせて楽器を演奏する真似 ・鑑賞しながら演奏していた主な をしながら聴く。 楽器の音を板書し,曲の流れを つかませる。 ・曲に合わせて体を動かしながら聴 ・旋律アの時は右手を旋律イの時 く。 『強い時は手を高く上げる。 』 『弱い時は手を低く下げる。 』 は左手を上げながら聴かせる。 ・強弱や速度が変化していること に気付かせる。 『速い時は速い動きをする。 』 『遅い時は遅い動きをする。 』 ・気が付いたことを発表し合い,ビ ・発言を板書して整理し,ビゼー 変化 ゼーがこの曲で工夫したわざを がこの曲で工夫したわざに気 曲が進むにつれて まとめる。 付かせる。 楽器の種類や数, 『楽器の音が変わっている。 』 ◇(鑑-②)二つの旋律の反復や 強弱,速度が変化 『楽器の数が変わっている。 』 重なり,楽器の音色,強弱,速 していることに気 『強い時と弱い時がある。 』 度の変化を聴き取り,それらが 『速くなっている。 』 生み出す面白さを感じ取りな 付く。 がら,楽曲の構造に気を付けて 聴いている。 【発言の内容,鑑賞の様子】 振 6 ○曲の構造に気を付けて「ファラン り ドール」を鑑賞する。 返 ・今日のひとこと感想を書く。 ・ビゼーが工夫したわざに気を付 る けながら鑑賞させる。 1 ○次時の内容を知る。 (3) 板書の工夫 「ファランドール」でビゼーさんがくふうしたわざを見つけよう。 曲の流れ せ ビゼーさんのわざ 1 2 3 4 5 6 7 8 ア ア イ ア イ ア イ ア ん と と り ア イ つ ○せんりつアとイをこうごに くりかえしている。 ○せんりつアとアがおいかけっこ をしている。 ○さいごでせんりつアとイが 楽 オーケ バイ フルー バイ フルー バイ フルー オーケ 器 ストラ オリン ト オリン ト オリン ト ストラ ○楽器の音を変えている。 の写真 の写真 の写真 の写真 の写真 の写真 の写真 の写真 ○楽器の数を変えている。 重なっている。 強 強 弱 だん 強 ○強さを変えている。 さ い い だん い ○はやさを変えている。 強い は お お は は は は は は や そ そ や や や や や や さ い い い い い い い い (4) 本時の評価と教師の働きかけ 評価の判断 児童の様子と教師の働きかけ 「十分満足できる」状況(A)と判 二つの旋律の反復や重なりの中で音色,強弱,速度が変化してい 断される児童の学習状況 ることがこの曲を面白くしていることに気付いている。 「努力を要する」状況と思われる児 板書を通して二つの旋律の反復や重なりを捉えさせたり,一緒に 童への指導の手だてや働きかけ 体を動かしながら聴いたりしてこの曲の面白さを感じ取らせる。
© Copyright 2025 ExpyDoc