「European Utility Week 2014」 視察

Management
「European Utility Week 2014」 視察 計器サービス事業部 岡本 行平
◆欧州におけるメータリング ・ 再生可能エネルギー事情の視察
市は、 首都アムステルダムのスキポール空港より北方約 40 kmの
2014 年 11 月 3 日~ 11 日 (9 日間) にかけて、 世界最大
北ホラント州のほぼ中央に位置し人口約 55,000 人の市です。 「太
級のスマートメーター、 スマートグリッドを中心とした展示会である
陽の町」 は、 自然エネルギーを積極的に用いて、 完全ゼロエミッ
「European Utility Week 2014」、オランダの「世界最大級のゼロ・エミッ
ションコミュニティの実現を目標としており、 開発計画は、 「水に囲ま
ションの町」 の実情、フランスの 「スマートコミュニティ実証プロジェクト」
れたモダンな町」 というビジョンが 1992 年に決定し、計画に 10 年、
の実情、 EDMI マレーシア工場について、 視察を行いました。
施工に 10 年を費やしました。 湿地帯(湖)の真中を埋め立てし、「太
今回の視察は、 大崎電気工業 川端副社長を団長とし、 東北計
陽の町」 が建設されていることが特徴的でした。
器工業、 中部精機、 中国計器工業、 九電テクノシステムズ、 沖
縄電機工業の各社と、 当社からは、 福島取締役、 計測システム
事業部山本部長と岡本の 3 名、 総勢 12 名の参加となりました。
ヘーアヒューホワールト市
太陽の町
都市計画は 「ラディール ・ ラディオーゼ」 と呼ばれる円状に開発
を行い、 全ての住民は同じ距離感を持って住むという考えを持ち、
自転車で 10 分以内にメイン道路に出られるものとなっており、 計画
展示会場 (RAI 国際見本市) の入口にて ( 筆者右から 4 番目)
通り住民の主な移動手段となっていました。
◆ 「European Utility Week 2014」 (オランダ アムステルダム)
住宅約 1,600 戸には 2.5 メガワットの太陽光パネル (約 5 万㎡)
世界各地域で開催されているメータリング展示会の内、 最大規
を設置し建築デザインに取り入れ、 3 基の風車 (2 メガワット) を導
模を誇り、 出展企業数は 380 社、 入場者数は 10,000 人と、 い
入しており、 再生可能エネルギーで 「太陽の町」 の電力の約 4 分
ずれも昨年を上回る規模での開催となりました (日本からは、東芝、
の 1 をカバーしているとのことでした。
パナソニック、 NEC の 3 社が出展)。 また、 大崎電気は子会社で
ある EDMI 社がソケット式のスマートメーターや宅内表示器等を展
示していました。 展示やカンファレンス内容の印象として、 メーター
単体より、 電気事業者やアグリゲータ、 ICT ソリューション企業の
連携によって行われるデマンドレスポンスなどの電力需給調整や、
太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの系統への導入、 ま
た消費者によるエネルギー管理などのシステムソリューションの展
示が多く、 ユーザーの注目が集まっている事を感じました。
全ての家に太陽光が注ぐ配置
太陽光パネルと風力発電
住宅、 商業地区、 学校、 託児所、 医療、 ケアセンターを完備し、
学校は将来的に高齢者向けのアパートにも転換できるように予め設
計されていました。 また、 建設住宅は 30%を社会賃貸プログラム
と呼ばれる低所得者向けに建設し残り 70%を分譲住宅として販売
し、 両者を混在しており、 高所得者から低所得者、 若年者から高
齢者の様々な階層のふれあいができる住宅を建築していました。 環
EDMI 社製スマートメーター
境にやさしいだけではなく、 社会一体性や住民の健康、 生活の質、
集いの場、 安全性に配慮したまちづくりがなされていました。
開発当初から再生エネルギーの技術も今ほど進んでいないにもか
かわらず 地球環境を考え、 リスクを取ってでも未来への展望に明
確なビジョンをもっていたことが伺えました。 さらに既存の小学校に
対し人口動態を見極めながら、 将来的には高齢者向けアパートに
Itron ・ 東芝 LandisGyr の展示ブース
用途替えする計画を事前に打ち出すなど、 時代に応じた柔軟さも
◆環境先進都市 「ヘーアヒュホワールト市」 の視察
垣間見えました。 持続可能性社会を目標に、 常に人を中心に考
干拓地が多いオランダは国土の四分の一が海抜ゼロメートル以下
え、 行政一体となって困難な事業にチャレンジする精神、 街作りを
といわれるため、 地球温暖化の進行が国土に甚大な被害をもたら
実行させた行動力を、 実際の現場を見て、 肌で感じることが出来、
とても貴重な勉強になりました。
す可能性があり、 環境意識の高い国です。 ヘーアヒューホワール
◆リヨンスマートコミュニティプロジェクトの視察
備の構築、 運用を一括で行う仕組みとなっていました。 DCC は国
NEDO がフランス第二の都市であるリヨン市の再開発地域におい
内を 3 分割しそれぞれに競争入札で委託通信会社を決定する手
て、 省エネルギー、 再生可能エネルギーの大量導入及び次世代
法を採り、 2 地域がテレフォニカ、 1地域がアキーバ社となりました。
自動車の普及を見据え、 グランドリヨン共同体とともに、 都市再開
EDMI 社はアキーバ社傘下に食い込み、 通信ハブ設置 (約 1,000
発に合わせてスマートコミュニティの実証と日本の先進的な省エネ
万個) を勝ち取ったとの事でした。 日本においても将来的に電力
技術を導入することで、 欧州の先進的な環境目標の達成に貢献
自由化やスマートコミュニティが進展すれば、メーターの設置、検針、
することを目指したものです。 面的に広がりのあるコミュニティ全体
料金請求業務は電力会社が行うという常識は通用しなくなり、 この
のスマート化を目指した実証は、 NEDO として初めての取組とのこと
分野でも競争が始まるかもしれないと感じました。
でした。
イギリスのメーター通信インフラの構成図
目指す 4 つのプロジェクト
プロジェクト期間は 2012 年 1 月から 2016 年 3 月となっており、
EDMI マレーシア工場はシンガポール本社から国境を越えて車
建設中のものが大半であり、Task1 の建設状況と Task2 の EV カー
で 1 時間ほどの距離にあります。 土地面積 28,330 ㎡、 従業員
シェアリング運転状況を視察しました。
約 220 人、 高低圧のスマートメーター、 ガスメーターを製造してお
りました。 電気計器の製造能力は 120 万台/年のとのことでした
が、 生産拡大のためのスペースは充分にある反面、 校正試験能
力は 7.5 万台/月しかなく、 その試験工程がボトルネックとなって
いるとのことでした。 また、 監視カメラが随所に設置されており、 高
額な部品倉庫の出入口は 1 カ所にして警備員を配置する等セキュ
リティ管理が想像以上に徹底されていたところが印象的でした。
◆まとめ
住居、 店舗からなる複合ビル (建設中)
EV と充電器
9 日間の視察を通じて、 スマートメーターを始めとする、 欧州にお
複合ビルは 2015 年 5 月完成予定でしたが、 建築中の状況から
ける電力業界について、 様々な知識と視野を広げることができまし
も全面ガラスを採用し、 太陽光を室内に取り入れる構造が見受け
た。 今後の動向についても注視していきたいと思います。 また今回
られました。想定エネルギーの約 15%を太陽光で、約 83%をコジェ
の視察を通じ、 得た知識と貴重な人脈を、 今後の業務に、 活かし
ネレーションで供給し、 省エネ技術を合わせてビル内で消費する以
ていきたいと思います。 今回の視察の機会を与えてくださった方々、
上のエネルギーを創出するビルを目指していました。
視察期間中、 業務を支えていただいた方々に、 深く感謝申し上げ
30 台の電気自動車 (EV) と太陽光発電 (PV) と連携した充電
ます。
インフラを用いて、 EV 予約状況と PV 発電量予測に基づき PV 利
◆終わりに
用率が 70%以上になる充電計画を立案するシステムが導入され
今回、 視察のみならず、 訪問各国の歴史、 文化等に触れること
ていました。 最終的には Task1 ~ Task3 の取得データを管理し、
ができました。
自治体をターゲットユーザにした地区のエネルギーを中心とした見
える化で、 効果的 ・ 効率的な都市計画推進の支援を行っていき
たいとの事でした。
◆ EDMI 社によるレクチャー及び工場視察
大崎電気の海外子会社である EDMI 社より、英国でのスマートメー
ター及びその通信インフラの整備計画について説明を受けました。
通信インフラは、 エネルギー ・ 気候変動省が主管する DCC (Data
Communications Company) という第三者機関が国全体の通信設
ノートルダム ・ ド ・ フルヴィエールバジリカ聖堂
ローマ劇場 (紀元前 43 年に建てられた劇場)
視察・見学とも、時間が余ることなく活動し、充実した 9 日間でした。