No.79 2015 - 日本投資顧問業協会

一般社団法人
日本投資顧問業協会
投資顧問
JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION
No.79
2015
Contents 目 次
「投資家、受益者の期待に応え得る資産運用業の確立、発展を目指して」
01 巻頭言 岩間会長 03 協会の動き
14 ラップ口座
平成27年8月10日発行 通巻79号
〈巻 頭 言〉
投資家、受益者の期待に応え得る資産運用業の確立、発展を目指して
一般社団法人 日本投資顧問業協会
会長 岩間 陽一郎
金融・資本市場の活性化に関する有識者会合の提言を初めとする多くの場で、今後の日本経済の持
続的成長を実現する上で、1,700 兆円に及ぶ個人金融資産を初めとする我が国の保有する資産を如何
に効率的に運用し成果を得るかが大きな課題としてクローズアップされている。持続的な企業価値の
向上を促し、株式市場の活性化を招来し、中長期的な投資資金を呼び込み、リスクマネーの効率的供
給に繋げ、企業のイノベーションを刺激し経済成長を確固たるものにする好循環の実現こそ資本主義
自由市場を前提とする我が国にとって最大の課題であるとする認識が格段の深まりを見せている。デ
フレの克服と財政健全化という困難な課題の解決のためにもこの好循環の実現が必須の条件であるこ
とを考慮すれば当然の帰結とも言えよう。
上記の課題解決に必要な環境整備の一環として、日本版スチュワードシップ・コードが導入され、
さらには新たなコーポレートガバナンス・コードが施行され企業価値の持続的向上に向けて投資家と
企業経営者がともに努力する体制が整った事は既に内外から好感をもって迎えられ投資家の日本市場
再評価の動きを齎しつつある。貯蓄から投資への流れを促進するための施策としても NISA の導入に続
きジュニア NISA の実現を見、401K の拡大も図られている。
一方、東京をアジアにおける金融・資本市場の中核都市とする構想も従前以上に具体化に向けた取
り組みが図られつつある。中でも、アセットマネジメント・センターとしての東京の可能性に着目す
る構想は従来から一歩踏み込んだものと捉える事が出来る。この構想が実現すれば、我が国のアセッ
トマネジャーが東京で従来に増して海外の有力プレーヤーと腕を競う場面が増えるであろうし、新た
に有能なアセットマネジャーの輩出を促す契機となることが期待される。
この様な動きが指し示す所は何か?資産運用業界の実力は社会の期待に応えられるものとなってい
るのか?これらの質問に対して今や資産運用に携わる我々は責任を持って結果で答え示さなければな
らないということであろう。昨事務年度に金融庁から示されたモニタリングの基本方針においてフィ
デューシャリー・デューティーの重要性が示された。今事務年度においても継続的に掲げられるべき
方針と考えるが、まさにこれを体して、投資家、受益者の利益を第一に運用の成果をしっかり示す事、
- 1 -
プロとしての実力を発揮する事こそが改めて言うまでもなく我が業界に問われるのである。
望ましいアセットマネジメント会社の経営の在り方、実力のあるアセットマネジャーを初めとする
人材育成の強化、アセットマネジメントを支える周辺業務の整備強化等々取り組むべき課題は多くあ
る。我が国の資産運用業の実力を国際レベルで比較すると、その経済規模から見て現状は欧米に質・
量ともに水をあけられていることは残念ながら否めない。しかしながら見方を変えれば今後の発展可
能性の余地が高い分野とも言えるのである。この可能性を梃にアセットマネジメント会社の経営者は
日夜努力をしているのであるが、残念ながら業界だけの努力では差を急速に詰めることが至難な面も
ある。資産運用の高度化を実現し競争力を向上するためには正当かつ相応の報酬水準の確保も必要で
ある。国際水準から見て低すぎると言われて久しい運用報酬の是正に対するアセットオーナーのご理
解を初めとして、産業としての成長発展への政策的支援を引き続き期待したい。資産運用業界の健全
な発展は日本経済の将来にとって重要であると認識頂けるならば国際水準の運用報酬への是正の動き
が示されることほど我々を鼓舞してくれるものは無いように思う。
当協会の役割も会員へのコンプライアンス支援など自主規制の有効性を保持し高める努力とともに、
日本経済の中での業界としての役割、機能を一層発揮してほしいという社会の要請に積極的に応えて
いくべき段階に至っているとの認識を強くする昨今である。引き続き、協会の運営について、ご理解
とご協力をお願いしたい。
- 2 -
協会の動き
●第 31 回定時総会の開催
平成 27 年6月 18 日、東京証券会館8階ホールにて第 31 回定時総会を開催しました。
総会では、平成 26 年度事業報告および公益目的支出計画実施報告がなされた後、平成 26 年度財務
諸表等および平成 27 年度理事選任について審議が行われ、いずれも原案どおり可決・承認されました。
また、同日開催された理事会において、協会長に岩間陽一郎が、副会長には宇治原潔、多田正己、
山本幸次が、副会長専務理事には長尾和彦が選定されました。
なお、総会議案の詳細につきましては当協会ウェブサイト、協会ディスクロージャー資料をご覧く
ださい。
※URL:http://www.jiaa.or.jp/profile/disclosure.html
●拡大版コーポレートガバナンス研究会の開催について
〇平成 27 年度第1回拡大版コーポレートガバナンス研究会を開催しました
平成 27 年4月7日(火)午前9時から、当協会大会議室において、平成 27 年度第1回拡大版コー
ポレートガバナンス研究会が開催され、池尾座長(慶応義塾大学経済学部教授)をはじめ、研究会メ
ンバー全員が出席しました。
平成 27 年度の拡大版コーポレートガバナンス研究会は「競争力の強い資産運用会社を目指す経営戦
略」をテーマとし、第1回の研究会には、三井住友アセットマネジメント株式会社 横山邦男代表取締
役社長兼 CEO をゲスト・スピーカーにお招きし、資産運用会社の現役経営者の立場から、資産運用業
の社会的使命、資産運用業界の課題、経営戦略、フィデューシャリー・デューティー等についてお話
しいただきました。その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。
〇平成 27 年度第2回拡大版コーポレートガバナンス研究会を開催しました
平成 27 年6月9日(火)午前 10 時から、当協会大会議室において、第2回拡大版コーポレートガ
バナンス研究会が開催され、池尾座長(慶応義塾大学経済学部教授)をはじめ、研究会メンバー全員
が出席しました。
第2回の研究会には、日興アセットマネジメント株式会社 柴田拓美代表取締役社長兼 CEO をゲス
ト・スピーカーにお招きし、同社で取組まれている活動状況、監督と業務執行の分離や社外取締役の
導入などのガバナンス体制、コーポレートガバナンス・コードと日本版スチュワードシップ・コード
についてのお考えをお話しいただきました。その後、参加メンバーによる自由討論が行われました。
- 3 -
●各種研修の実施状況
○平成 26 年度投資助言・代理会員地区セミナーを開催しました
平成 27 年3月に東海地区、近畿地区、福岡地区およ
び関東地区で投資助言・代理会員セミナーを開催しま
した。近畿地区では財務局証券検査指導官から、
「最近
の投資助言業者に係る検査の状況等について」と題し
てご講演をいただきました。また、東海地区、福岡地
区、関東地区では、当局担当官から、投資助言業者の
現状、事業報告書の改正等に関するお話をいただきま
した。その他、協会事務局から投資助言・代理会員の
業務上の留意点等について説明を行いました。
○平成 26 年度第3回 FM アナリスト研修を実施しました
平成 27 年3月 17 日に第3回 FM アナリスト研修を
「資産運用業界の将来」というテーマで開催しました。
あずさ監査法人
パートナー
金融事業部ファイナン
シャルサービス・ジャパン企画担当ヘッド 資産運用
インダストリーヘッドの神谷精志氏を講師に迎え、こ
の先 15 年後の投資家の姿を考察するとともに、将来の
資産運用業界への影響と課題についてご講演いただき
ました。
○投資運用会員向けコンプライアンス研修を実施しました
平成 27 年3月 23 日に投資運用会員向けコンプライ
アンス研修を「当協会の自主規制ルールについて」と
いうテーマで開催しました。当協会の大槻幸孝調査役
(当時)から、AIJ 事件を踏まえた再発防止策以降の
自主規制ルールについて説明しました。
- 4 -
○松重証券検査課長の講演会について
平成 27 年5月 28 日に証券取引等監視委員会事務局
の松重友啓証券検査課長を講師に迎え、
「証券検査を巡
る最近の動向について~平成 27 年度証券検査基本方
針と最近の指摘事例~」と題してご講演いただきまし
た。講演では、平成 27 年度証券検査基本方針について、
その基本的考え方や証券検査における検証事項等、最
近の検査における主な指摘事例について説明いただき
ました。
○大森証券取引等監視委員会事務局長の講演会について
平成 27 年6月 18 日に開催された第 31 回定時総会終
了後、証券取引等監視委員会の大森泰人事務局長を講
師に迎え、
「資産運用(金融)を考える」というテーマ
でご講演いただきました。講演では、これまでの経済
思想に触れた後、金融制度改革とその影響、今後の金
融政策の方向感等について解説いただきました。
- 5 -
●苦情相談の状況(平成 27 年4月~平成 27 年6月)
(1)協会は、お客様等からの会員の行う業務に関する相談、苦情対応及びあっせん業務を、特定非
営利活動法人「証券・金融商品あっせん相談センター」
(FINMAC)に業務委託しています。
(2)平成 27 年4月~平成 27 年6月に FINMAC が対応した苦情・相談、あっせんは、苦情が 13 件、
相談が 39 件、あっせんが0件(表1)となっており、それぞれの具体的内容は表2、表3のよ
うになっています。
苦情・相談の状況(平成 27 年4月~27 年6月)
(表 1)受付状況
(単位:件)
区分
投資運用会員
投資助言・代理会員
その他
合計
苦
情
8
5
0
13
相
談
16
17
6
39
あっせん
0
0
0
0
24
22
6
52
合
計
(注)
・その他には、一般的な問合せや非会員に対する苦情・相談を記載(以下同じ)
。
・苦情とは、会員の行う業務に関し、会員に責任若しくは責務に基づく行為を求めるもの、又は、
損害が発生するとして賠償若しくは改善を求めるものなど、会員に不満足を表明するものをい
う(苦情及び紛争の解決のための業務委託等に関する規則第 2 条)。
(表 2)苦情の内容
区分
(単位:件)
投資運用会員
投資助言・代理会員
その他
合計
(1)勧誘・契約に関する苦情
4
2
0
6
(2)会費つり上げ
0
0
0
0
(3)運用、助言内容の不満
0
2
0
2
(4)契約不履行等
1
0
0
1
(5)その他の苦情
3
1
0
4
8
5
0
13
合
計
(表 3)相談の内容
区分
(単位:件)
投資運用会員
投資助言・代理会員
その他
合計
(1)業者の内容
0
3
1
4
(2)契約・勧誘に関する相談
5
4
0
9
(3)途中解約
3
0
1
4
(4)運用、助言内容の相談
2
7
2
11
(5)その他の相談
6
3
2
11
16
17
6
39
合
計
- 6 -
●会員の動き(平成 27 年3月1日~6月 30 日)
協会の会員は、投資運用業のうち、①投資一任業務(従来からの有価証券の一任運用、および不
動産等を原資産とする金融商品の一任業務)を行う会員、②ファンド運用業務(ベンチャー企業育
成や事業再生等を目的として組成されたファンドの運用を行う業務)を行う会員、投資助言・代理
業を行う会員で構成されています。
平成 27 年6月末現在の会員数は、次のとおりです。
会員数
投資運用会員
投資助言・代理会員
737
261
○入会会員一覧
・投資運用業者の入会
5件
業者名
協会入会日
ニュース証券株式会社
平27年 3月27日
株式会社ザイマックス不動産投資顧問
平27年 5月15日
株式会社スプリング・インベストメント
平27年 5月15日
大和企業投資株式会社
平27年 6月12日
公共投資顧問株式会社
平27年 6月16日
・投資助言・代理業者の入会
13 件
業者名
協会入会日
株式会社 S.O.W.フィナンシャルイノベーション
平27年 3月 2日
株式会社リサ・パートナーズ
平27年 3月20日
あおぞら不動産投資顧問株式会社
平27年 3月27日
FP&証券アナリスト宮川集事務所
平27年 3月27日
株式会社 M2・インベストメント・アドバイザリー
平27年 4月 9日
デュエットリサーチ株式会社
平27年 4月24日
株式会社エスコンアセットマネジメント
平27年 4月24日
株式会社ファーストリッチ投資顧問
平27年 5月29日
てらの・ファイナンシャルプランニングオフィス
平27年 6月 1日
日神不動産投資顧問株式会社
平27年 6月 3日
ホテルバリュー・アドバイザーズ合同会社
平27年 6月15日
株式会社クオンタムジャパン
平27年 6月18日
Cornerstone Real Estate Advisers Japan 株式会社
平27年 6月22日
- 7 -
476
○退会会員一覧(18 社)
業者名
退会日
資格喪失理由
EVOLUTION JAPAN アセットマネジメント株式会社
平27年 3月16日
退会意思表明のため
スター・マイカ株式会社
平27年 3月26日
投資助言・代理業登録の廃止
阪急電鉄株式会社
平27年 3月26日
投資助言・代理業登録の廃止
SBI キャピタル株式会社
平27年 3月31日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社オフィス出島
平27年 3月31日
投資助言・代理業登録の廃止
プレビデンティア・ストラテジー株式会社
平27年 3月31日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社ホットスコープ
平27年 3月31日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社ライフスタイルインベストメント
平27年 3月31日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社プラチナムグローブアセットマネージメントジャパン
平27年 4月20日
投資運用業登録の廃止
ハクエイ堂株式会社
平27年 4月21日
投資助言・代理業登録の廃止
燦キャピタルマネージメント株式会社
平27年 4月27日
投資助言・代理業登録の廃止
GK アセットマネジメント株式会社
平27年 4月27日
投資助言・代理業登録の廃止
新日鉄興和不動産株式会社
平27年 4月28日
投資助言・代理業登録の廃止
株式会社タップジャパン
平27年 4月30日
会費未納による資格喪失
ランドマークインベストメント株式会社
平27年 4月30日
会費未納による資格喪失
株式会社リライズ・インベストメント
平27年 6月15日
投資助言・代理業登録の廃止
MCP アセット・マネジメント証券株式会社
平27年 6月30日
平成 27 年 7 月 1 日付で MCP 投資顧問㈱と合併のため
国際投信投資顧問株式会社
平27年 6月30日
平成 27 年 7 月 1 日付で三菱 UFJ 投信㈱と合併のため
※当協会ウェブサイトに最新の会員名一覧(電話番号入り)を掲載しています。
詳細につきましては、そちらをご覧ください。
URL: http://www.jiaa.or.jp/profile/kaiin.html
- 8 -
統計数値で見る投資顧問業
日本投資顧問業協会では、四半期ごとに投資運用会員の契約資産に関する統計を作成し、協会のホー
ムページ(下記)で公開しています。今回掲載したデータ以外にも、多種の詳細なデータを公開し
ていますので、是非ご覧ください。
日本投資顧問業協会ホームページ統計資料:http://www.jiaa.or.jp/toukei/
1.契約資産残高は過去最高の 232 兆円
単位:兆円
契約資産残高
260
240
220
200
180
平成 27 年 3 月末時点
ファンド運用
不動産関連有価証券
232 兆 3133 億円
海外顧客
160
年金以外(国内)
140
国内年金資金
120
100
80
60
40
20
0
※投資一任、投資助言、ファンドの契約資産の合計
※数値は、各年全て3月末時点の残高(以下同様)
平成 27 年3月末の契約資産残高は、232 兆 3,133 億円となり、3月末ベースでは、3年連続過去最
高を更新しました。平成 24 年の秋以降、良好な市場環境を背景として増加傾向が継続しています。
契約資産の内訳を見てみると、国内年金資金の割合が 50%を超えており、当業界において年金資金
の存在が非常に大きいことが分かります。年金の資金は、公的年金(年金積立金管理運用独立行政法
人など)と私的年金(企業年金基金など)に分けることができますが、その残高推移は次ページのと
おりです。
- 9 -
単位:兆円
公的年金と私的年金の契約資産残高推移
100
公的年金
私的年金
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
公的年金の契約資産残高は、平成 22 年3月末(約 69 兆円)をピークに一時減少しましたが、平成
24 年3月末以降増加に転じ、平成 27 年3月末の残高は 87 兆円となり、年金資産残高の約四分の三と
なっています。
2.ラップ口座:契約資産残高、件数ともに過去最高を更新
ラップ口座の件数・金額の推移
金額:億円
件数
45,000
450,000
400,000
件数
40,000
金額
350,000
35,000
300,000
30,000
250,000
25,000
200,000
20,000
150,000
15,000
100,000
10,000
50,000
5,000
0
0
平成 27 年3月末のラップ口座の契約状況は、契約件数が 30 万 7,346 件、契約資産残高が 3 兆 8,973
億円となり、過去最高を大きく更新しました。
- 10 -
● 事業日誌
27.3.4
(平成 27 年3月1日~平成 27 年6月 30 日)
平成 26 年度投資助言・代理会員東海地区セミナー(於:安保ホール)
(1)平成 26 年度会員の臨店監査における主な指摘事項
(2)金融商品取引業者等に対する検査における主な指摘事項
(3)投資助言・代理会員(不動産系列の会員を除く)向け自主規制ルール遵守状況等調査票の
回答結果から
(4)比較広告等に関する留意事項
3.5
平成 26 年度投資助言・代理会員近畿地区セミナー(於:大阪会館)
(1)最近の投資助言業者に係る検査の状況について
(2)平成 26 年度会員の臨店監査における主な指摘事項
(3)金融商品取引業者等に対する証券検査における主な指摘事項
(4)投資助言・代理会員(不動産系列の会員を除く)向け自主規制ルール遵守状況等調査票の
回答結果から
(5)比較広告等に関する留意事項
3.6
プレス発表
・契約資産残高統計(平成 26 年 12 月末)
3.10
平成 26 年度投資助言・代理会員福岡地区セミナー(於:A.R.K ビル)
(1)平成 26 年度会員の臨店監査における主な指摘事項
(2)金融商品取引業者等に対する証券検査における主な指摘事項
(3)投資助言・代理会員(不動産系列の会員を除く)向け自主規制ルール遵守状況等調査票の
回答結果から
(4)比較広告等に関する留意事項
3.13
平成 26 年度投資助言・代理会員関東地区セミナー(於:東京証券会館)
(1)事業報告書の様式変更について
(2)平成 26 年度会員の臨店監査における主な指摘事項
(3)金融商品取引業者等に対する証券検査における主な指摘事項
(4)投資助言・代理会員(不動産系列の会員を除く)向け自主規制ルール遵守状況等調査票の
回答結果から
(5)比較広告等に関する留意事項
3.17
平成 26 年度第 3 回FMアナリスト研修(於:東京証券会館)
・資産運用業界の将来
3.18
第 156 回自主規制委員会
(1)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)について
(2)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および自主規制ルール遵守状況等調査
票(不動産・助言)について
(3)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)について
(4)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)について
(5)コンプライアンス研修「当協会の自主規制ルールについて」の開催について
3.19
第 31 回業務委員会
(1)平成 27 年度会長候補者選考要領について
(2)平成 27 年度研修計画について
(3)コーポレートガバナンス・コード原案 ~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向
上のために~の確定について
(4)コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について
(5)平成 26 年金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等の公表に
ついて
- 11 -
(6)「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)の
公表について(システムリスクに係る金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針等の改
正)
(7)「金融商品取引業者等検査マニュアル」等の一部改正(案)の公表について
(8)会社法の一部を改正する法律及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の
整備等に関する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備に関する内閣府令(案)」等
の公表について
(9)信用取引及び市場デリバティブ取引に係る平均単価を「単価」とする取引報告等に関する
関係機関の規則改正等について
(10)日本証券業協会「社債市場の活性化に向けたインフラ整備に関するワーキング・グループ」
報告書「社債権者保護のあり方について」
3.23
投資運用会員向けコンプライアンス研修(於:東京証券会館)
・当協会の自主規制ルールについて
3.25
第 338 回理事会
(1)業務委員会委員長報告
(2)自主規制委員会委員長報告
(3)平成 27 年度会長候補者選考要領(案)について
(4)平成 27 年度事業計画(案)について
(5)平成 27 年度収支予算(案)について
(6)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)について
(7)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および同(不動産・助言)について
(8)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)について
(9)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)について
(10)平成 27 年度研修計画(案)について
(11)入会承認および退会等報告(入会4件、退会1件)
(12)その他報告
4.22
第 339 回理事会
(1)業務委員会および自主規制委員会の委員の委嘱について
(2)平成 27 年度会長候補者選考委員会委員長報告
(3)平成 27 年度協会役員候補者の推薦依頼について
(4)入会承認および退会等報告(入会4件、退会6件)
(5)その他報告
5.27
第 340 回理事会
(1)第 31 回定時総会の開催および提出議案等について
(2)入会承認および退会等報告(入会4件、退会7件)
(3)その他報告
5.28
研修(於:東京証券会館)
・証券検査を巡る最近の動向について~平成 27 年度証券検査基本方針と最近の指摘事例~
6.3
プレス発表
・契約資産残高統計(平成 27 年3月末)
6.5
第 32 回業務委員会
(1)コーポレートガバナンス・コードの公表および「コーポレートガバナンス・コードの策定
に伴う上場制度の整備について」に寄せられたパブリック・コメントの結果について
(2)金融商品取引法の一部を改正する法律案について
(3)平成 26 年金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等に対する
パブリックコメントの結果等について
(4)非清算店頭デリバティブ取引に係る証拠金規制に関する信託協会からの依頼に対する会
員意見提出について
- 12 -
(5)「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の一部改正(案)に
対するパブリックコメントの結果等について(システムリスクに係る金融商品取引業者等
向けの総合的な監督指針等の改正)
(6)「金融商品取引業者等検査マニュアル」等の一部改正(案)に対するパブリックコメント
の結果等について
(7)「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」及び「金融分野における個人情
報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針」の改正案に対する意
見提出について
(8)「会社法の一部を改正する法律及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の
整備等に関する法律の施行に伴う金融庁関係内閣府令の整備に関する内閣府令(案)」等
に対するパブリックコメントの結果等について
(9)企業年金連合会の 2014 年度資産運用実態調査について
(10)業務各部会の一年間の活動状況について
6.10
第 157 回自主規制委員会
(1)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)の集計結果について
(2)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および自主規制ルール遵守状況等調査
票(不動産・助言)の集計結果について
(3)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)の集計結果について
(4)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)の集計結果について
(5)自主規制各部会の一年間の活動状況について
6.12
第 341 回理事会
(1)業務委員会委員長報告
(2)自主規制委員会委員長報告
(3)規律委員会の委員について
(4)入会承認および退会等報告(入会4件、退会1件、会員資格の変更1件)
(5)自主規制ルール遵守状況等調査票(投資一任)の集計結果について
(6)自主規制ルール遵守状況等調査票(不動産・運用)および同(不動産・助言)の集計結果
について
(7)自主規制ルール遵守状況等調査票(ファンド)の集計結果について
(8)自主規制ルール遵守状況等調査票(ラップ)の集計結果について
(9)その他報告
6.18
第 31 回定時総会(於:東京証券会館)
6.18
第 342 回理事会
(1)会長の選定について
(2)副会長および専務理事の選定等について
6.18
証券取引等監視委員会
大森事務局長講演会(於:東京証券会館)
・資産運用(金融)を考える
6.18
プレス発表(於:兜倶楽部)
・定時総会開催結果の報告
- 13 -
ラップ口座
一般社団法人 日本投資顧問業協会
調査役 中村 喜則
○はじめに
ここ数年のラップ口座の市場の拡大は著しい。取扱い金融機関における各社の注力度合いも高く、
また、メディア媒体においても経済誌のみならず一般購読者向けの雑誌等において、ラップ口座に関
する記事が掲載されることも珍しくなくなった。平成 26 年からスタートした少額投資非課税制度(N
ISA)と共に業界では、特に注目の商品の一つとなっている。
但し、ラップ口座が個人投資家のみならず世間一般的に、どの程度理解され、浸透しているかとい
えば、個人投資家にとって代表的な投資貯蓄商品である投資信託と比較すると、国内では歴史が浅い
ということもあり、理解度・浸透度は比べものにならず、その普及において今後の課題となっている
のであろう。
「ラップ口座という名称は耳にしたことはあるが、内容はよくわからない」といった方も
多いのではないか。
このような状況のなか、ラップ口座の市場が拡大している一方で、「主な顧客である個人投資家は、
ラップ口座を家計のなかでどのように位置づけており、また、それに対して何を求めているのか」と
いった漠然とした思いがあり、改めて、ラップ口座とそのビジネスについて、私自身の考え等を整理
してみたい。
○ラップとは
そもそも、ラップ口座という名称については、特段の法律上の定めはなく、商業的、一般的に使用
された外来名称である。つまり、そのサービス自体は海外からの輸入である。紙面の関係上、海外の
ラップ口座事情等は別の機会に紹介させていただくこととして、ここでは国内のラップ口座をテーマ
とする。
自主規制機関である一般社団法人
日本投資顧問業協会では、自主規制ルールにおいて、ラップに
ついて以下の通り規定している。
証券業を営む会員が、投資顧問業務(投資一任契約に係る業務又は投資助言業務をいう。
)に係る報
酬と売買執行手数料、口座管理料等の手数料を運用資産残高に応じて一括して徴収する契約を顧客と
の間で締結し、その契約に基づいて行う業務(
「ラップ業務」という。
)を運営する場合には、
~ (途中 省略) ~
なお、本基準において、証券業とは、金融商品取引法(以下「金商法」という。
)第 28 条第1項及
び第2項に規定する業又は金商法第 33 条の2第2号に規定する登録金融機関が、金商法の登録を受け
た行為のいずれかを行う業をいう。また、信託業務(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1
条第1項の認可を受けた金融機関が営む同項に規定するものをいう。
)を営む会員で、登録金融機関と
して証券業務を行う者は、特に定めのない限り「証券業を営む会員」に含まれる。
「ラップ業務に関する業務運営基準」より抜粋
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つまり、投資家が支払う各種の報酬・手数料等において、投資一任契約に基づく運用報酬や証券会
社等に支払う売買手数料、保管管理手数料等を一括して包み込む(英語で「ラッピング」
)形態の証券
サービスの一種である。運用会社又は販売会社からみれば、投資運用業と第一種金融商品取引業の2
つの業に係るサービスを提供し、投資家は、その対価としての報酬等を一括して支払うサービス形態
である。まさに業を跨いだ金融商品・サービスである。
○ラップ口座(国内)の歩み①
ラップ口座は、今から 40 年程前に証券売買委託手数料の自由化を契機として米国において開始され
たサービスであるが、国内において、取り扱われるようになったのは、平成 16 年の「有価証券に係る
投資顧問業の規制等に関する法律」
(以下「投資顧問業法」)の改正がその背景のひとつとなっている。
そもそも国内では、平成 10 年の金融システム改革法において、証券取引法および投資顧問業法等の
改正によって、証券会社における投資一任業務の兼業が認められた。
しかしながら、証券会社が投資一任業を兼業する場合、投資顧問業法上、証券会社の立場からする
と、
①自己売買に係る書面の顧客への交付義務が過大な負担となること。
②専業義務が課せられている投資一任業務等を兼業することにより、証券業以外の業務を営むことが
できなくなるおそれがあること等を理由として事実上は進展しなかった。
この様な経緯があるなか、規制の見直しとして、平成 16 年に投資顧問業法の改正が行われた。この
改正における証券業と投資一任業の兼業に係る内容としては、
①証券会社が投資一任業務を営む場合の自己売買記録の書面の顧客への交付については、一定要件の
下、内閣総理大臣の承認を受け、交付しないことが可能となった。
②証券会社が投資一任業務を営む場合、証券業以外の業務を営むことができるよう、兼業に係る規制
が緩和された。
これにより、名実ともに、証券会社が投資一任業務を兼業することができるようになったのである。
ちなみに、投資顧問業法は金融商品取引法(平成 19 年9月 30 日施行)により、同法に統合されるか
たちで廃止となっている。
○ラップ口座(国内)の歩み②
次ページのグラフは、過去 10 年間の投資一任(助言)契約に係るラップ口座(契約数・金額)と株
式相場の推移である。
(平成 26 年度は四半期毎の統計数値を掲載)
現在の国内ラップ口座の市場規模は、平成 27 年3月末時点で、契約件数 307,346 件、契約金額3
兆 8,973 億円となり、平成 26 年3月末に比べ、件数は 201,640 件(+190.76%)、金額は2兆 5,213 億
円(+183.23%)増加した。
(日本投資顧問業協会 統計資料 投資一任契約資産における「ラップ口座
を利用する顧客との契約状況」より)
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この 10 年間を振り返ると、平成 25 年3月末あたりを起点として大きく市場が拡大している。それ
以前の契約金額の合計は、5,000 億円を挟んで推移していた。現在の市場規模から比較するとその規
模こそ小さいものの、平成 18 年から 20 年にかけて、堅調に市場が拡大した時期もあった(平成 20
年3月末 約 7,500 億円)が、平成 20 年のリーマンショック等の影響もあり、その後の約5年間は、
約 5,000~6,000 億円前後の市場規模で推移した。
平成 25 年度といえば、前年の 12 月に誕生した第2次安倍政権のいわゆる「3本の矢」と言われる
アベノミクスに対する政策期待や日銀の異次元緩和政策による「デフレからインフレへ」といった政
策効果の影響もあり、為替の円高トレンドの転換、株式市場の上昇トレンドの起点となった時期であ
る。まさに市場の転換点となった年であり、投資家心理の好転に沿う形でラップ口座に対しても影響
を及ぼしたことは容易に想像される。しかし、それだけではなく、数ある金融貯蓄商品の中から、投
資家がラップ口座に着目し、選択する理由や背景等があったはずであり、これらを把握することによ
り、現在、投資家が抱えている問題や今後の課題に向けた対応等を考えてみることとする。
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○金融商品の購入から投資一任契約の締結へ
投資家がラップ口座を通じて投資を行う場合、自らが直接、株式、投資信託等の売買に係る投資判
断を行って購入するのではなく、運用の専門家である投資運用業者(以下「証券会社等」
)に運用を委
託する契約(投資一任契約)を締結する。つまり、投資家自身の資金運用を「専門家に任せる」といっ
た契約の締結に係る判断を行うことになる。自己責任で投資判断を下す投資形態から自己責任で投資
判断を専門家に一任する形態である。ここに、従来の証券投資との大きな違いがあり、この認識や理
解がラップ口座のスタートとなる。
○背景
ラップ口座が注目を浴びている主な要因の一つに、個人投資家の従来の運用形態からの転換が挙げ
られる。個人金融資産 1,700 兆円と言われる時代において、長期にわたるデフレ経済の下、ゼロ金利
が継続してきたなかで、潜在的な運用ニーズはあるものの、元本確保を第一の目的としてきた個人投
資家の行動心理に大きな変化が起きたということである。運用ニーズのきっかけは、上述した政策期
待等が挙げられるが、長くゼロ金利の預貯金等に預け入れることに慣れた投資家にとって、
「いざ、リ
スクをとって運用する」といってもそれがある程度まとまった資金であればあるほど、
「投資したいが
投資判断がつかない」といった投資家心理が大きく影響する一方で、デフレからインフレ期待への転
換又はその継続の見通しが、
「実質的に預貯金が目減りする」といった心理を後押しする形となったの
であろう。その結果として、
「貯蓄から投資へ」のプロセスのなかで、運用を専門家に委託する一つの
形態であるラップ口座が投資家の需要に沿ったということであろう。
一方で、商品を提供する証券会社等においても、中長期的な取引を通じてストック収益の拡大を目
指す資産管理型営業を展開していくにあたって、ラップ口座を投資家のコアとなる金融資産を獲得す
る主軸の一つに据えた経営戦略が大きな要因となっている。
「平成 26 事務年度金融モニタリング基本方針(平成 26 年9月)
」では、金融庁の重点施策及び監督
上の着眼点として、顧客ニーズに応える経営(資産運用の高度化)
、顧客の信頼・安心感の確保等が項
目に挙げられており、各社の経営方針の下、その戦略と投資家のラップ口座に対する需要が重なった
現れなのであろう。
○投資信託とラップ口座
「運用を専門家に任せる」代表的な形態としては、投資信託があり、ラップ口座と比べて投資家に
とって慣れ親しんだ商品で、その歴史ははるかに古い。現在の公募投信の市場規模は、平成 27 年5月
末時点で、約 102 兆円(一般社団法人 投資信託協会の統計資料より)であり、25 倍以上の開きがあ
る。なかでも、最近では「ラップ型投信」と呼ばれる投資信託も現れ、
「バランス型投信」、
「ターゲッ
トイヤー型投信」等も含めると様々な金融商品が開発されている。投資家自身による投資判断や証券
会社等の営業担当者による顧客への勧誘においては、
「どれが投資家自身又は顧客のニーズに沿った運
用手法、内容等であるのか」といった従来にない高度な判断が各々の立場で求められている。ここで
は、各商品の内容についての説明は省くが、「投資家は自らの人生設計を踏まえた運用方針に沿って、
投資内容・方法等を判断、選択する」のであろう。双方にとってどれが最適な判断、選択又は提案で
あるかは、まさに其々である。
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但し、各商品・サービス等においては、明確な区別やメリット・デメリットはある。例えば、過去
の運用実績、コンサルティング(提案又は購入、契約後のフォロー)内容、投資家が支払うコスト、
税制の扱い(コストの一部)
、運用結果に対する情報提供量(内容・方法)等である。
○ラップ口座の小口化とファンドラップ
従前は、国内におけるラップ口座は、主に富裕層を対象とした商品・サービスであった。投資一任
契約における最低契約金額が、大手証券会社等では 5,000 万円、なかには3億円以上といった金額で
ないとそのサービスの提供を受けられず、一般の個人投資家にとっては無縁の商品であった。しかし、
昨今では、一部の金融機関において最低契約金額が 300~500 万円迄、低下してきており、それが市場
の拡大の大きな要因となっている。この点について大きく貢献した商品が、ポートフォリオを投資信
託で構築する運用手法「ファンドラップ」である。
個別運用であるラップ口座の場合、従来は、リスク分散等を図ったポートフォリオを構築する為、
一定規模の契約金額が必要とされていたが、
「ファンドラップ」は、投資対象を投資信託に限定するこ
とにより合同運用のメリットが得られ、且つ小口化(契約金額の少額化)することが可能となった新
しいサービスである。市場の拡大において、このサービスが及ぼした影響は大きく、ファンドラップ
が幅広い投資家層に受け入れられたことが「ラップ口座の大衆化」を促し、市場の拡大につながって
いる。
○金融商品の販売から投資一任契約の締結へ
セルサイド(証券会社等)の視点からバイサイド(投資家)に対する勧誘行為等について考えてみ
る。従来のビジネスモデルとの大きな違いは、
「金融商品の販売から投資一任契約の締結」であり、そ
れは「商品の販売から運用の受託へ」を意味する。後者は、受託資産の拡大、つまり顧客の資産の増
加が証券会社等の利益と比例する為、双方のインセンティブに基づく行動が同一のベクトルに向かっ
ていくということである。証券会社等は販売者ではなく運用の専門家として投資家から運用業務等を
一任されるわけだが、この意味するところは、顧客に対する忠実義務といった受託者責任を負うこと
であり、全てにおいて、顧客との利益相反行為を防止し、信頼関係が損なわれないよう公正性・適正
性を確保することが求められる。
ラップ口座(投資一任契約)は、契約前の広告・勧誘等における行為、プロセスを除くと契約の締
結時からが事実上のビジネス(報酬等の発生)のはじまりであり、一任された運用業務等における定
期的な情報開示、運用報告等の充実においては、全てが委託者である顧客の為の行為である。例えば、
運用報告会の開催を通じた運用結果内容(運用実績等)の説明だけでなく、顧客によっては、個別の
対応が必要となるかもしれない。運用報告等においては、対象顧客が機関投資家や年金基金と異なり、
個人投資家層であることを勘案したわかり易い情報開示・報告に努めることで、顧客の理解や信頼を
深め、中長期的な取引関係を構築することにより、金商業者として安定的な収益の確保を目指してい
く。
また、併せて投資家教育も含めた投資家の金融リテラシーの向上への貢献を図っていく。これらが、
各社が目指す資産管理型の経営なのであろう。
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○資産運用市場におけるラップ口座の発展に向けて
日本投資顧問業協会の統計によると、
平成 27 年3月末の投資運用会員の契約資産は、約 232 兆円で、
そのうち、投資一任契約資産は、約 199 兆円であり、ラップ口座の市場規模(約4兆円)は、全体の
わずか約2%である。個人金融資産 1,700 兆円の規模を勘案すると、投資一任契約を伴ったラップ口
座の普及は、まだ緒についたばかりで、家計の中心的な資産運用手段の一つとはなっていない。また、
国内におけるラップ口座の歴史が浅いことから、現在は、ビジネスモデルが確立されていない過渡期
といえる。
今後、
「貯蓄から投資へ」といった流れのなかで、ラップ口座が、数ある投資貯蓄商品の中から真の
意味でその存在を確立できるかどうかは、関係者の「フィデューシャリー・デューティー」を踏まえ
た行動等を通じて、国民(投資家)の信頼を獲得することができ、まさに「忠実義務」の理念が健全
な資産運用ビジネスの発展に寄与したと言える場合のみであろう。
自主規制機関の調査役の立場から、
「将来の健全な資産運用ビジネスを担う一翼として、貢献できれ
ば」と考え、個人的見解・意見を述べさせていただいた。
*フィデューシャリー・デューティー
他者の信認を得て、一定の任務を遂行すべき者が負っている幅広い様々な役割・責任の総称。
(平成 26 事務年度金融モニタリング基本方針(平成 26 年9月)
)より
以
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上
投 資 顧 問 No.79 2015
平成27年8月10日発行
編集兼発行人
宮保 貞
発
一般社団法人 日本投資顧問業協会
行
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東京都中央区日本橋茅場町1-5-8
東京証券会館7階
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FAX 03(3663)0510
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