旅館業法の特例によって ゲストハウス・ビジネスはどうなるのか

コンサルティング 基礎講座
中谷 龍海
アーキテン一級建築士事務所 代表
【外国人旅行者の増加と
新しい宿泊関係サービス】
海外旅行で格安の宿を予約するときよく利用される
ものにインターネットの宿泊場所紹介サイト「Air
[なかたに・たつみ]渡辺明次建築綜合研究室、古橋建築事務所を経て、
1986年アーキテン一級建築士事務所設立、現在に至る。一級建築士。
す。なお、
「ゲストハウス」とは一般的な呼称であり、
法律上での名称ではありません。
【国家戦略特別区域法】
平成25年12月 7 日成立の「国家戦略特別区域法」で
bnb」
(エアビーアンドビー)があります。このサイ
すが、平成26年 5 月 1 日付で「国家戦略特別区域法に
トで調べてみると、都心に位置する私のオフィスがあ
おける旅館業法の特例の施行について」厚生労働省よ
るマンションの 6 物件が登録されています。ここ 1 年
り各都道府県知事(特別区等を含む)宛てに下記のよ
ほど前からほぼ毎朝、スーツケースやリュック姿の外
うな通知を出しました(一部抜粋)
。
国人旅行者(アジア系が多い)を目にしています。私
自身、若い頃バックパッカーとして 3 か月のヨーロッ
パ旅行で家族経営の安宿(ペンションやゲストハウス)
に泊まり、その便利さをたくさん経験しました(もち
ろん当時はインターネットなどない時代でしたが)
。
ところで、アベノミクスの成長戦略の一つである規
制緩和策「国家戦略特別区域法」により、特別区域内
であれば旅館業法の規制緩和が適用されることとなり、
いま新しいビジネスチャンスとして注目されています。
これは「個人の住宅の空き部屋などを、外国人向けの
滞在施設として利用できる」もので、従来、旅館業法
によって手続きに時間がかかり細かい設置基準をクリ
アしなければならなかったものが個人で参入できるま
でにハードルが低くなります。また、日本でも副業と
してAirbnbをはじめとしたインターネット利用によ
る宿泊マッチングサービスに登録する人が増えていま
す。
こうした事情を踏まえ、その規制緩和の内容と問題
について、もう少し詳しく解説していきたいと思いま
Consulting Basic Lecture
旅館業法の特例によって
ゲストハウス・ビジネスはどうなるのか
1 旅館業法の特例の内容
国家戦略特別区域会議が、国家戦略特別区域外
国人滞在施設経営事業(国家戦略特別区域におい
(※)
て外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及
びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用
させるとともに外国人旅客の滞在に必要な役務を
提供する事業として政令で定める次の要件に該当
する事業をいう。
)を定めた区域計画について、内
閣総理大臣の認定を受けたときは、当該認定の日
以後は、当該国家戦略特別区域外国人滞在施設経
営事業を行おうとする者は、その行おうとする事
業が当該要件に該当している旨の都道府県知事(保
健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又
は区長。以下同じ。
)の認定(以下「特定認定」と
いう。
)を受けることにより、当該事業については、
旅館業法第3条第1項の規定は適用しないものと
すること(法第13条、施行令第3条及び施行規則
関係)
。
2015. 9 ◆ 不動産フォーラム21
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