第 10 回 炎症・脂質代謝・メタボリサーチフォーラム http://www.metaborf.jp 会期 2016 年 2 月13 日(土) 13:00 ∼18:00 会場 東京大学 山上会館 2 階 大会議室 会費 一般:1,000 円 学生、大学院生、初期研修医は無料です。 ●本フォーラム終了後、情報交換会を用意しております● 特別講演 プロスタグランジンと 炎症慢性化 成宮 周 先生 京都大学医学研究科 特任教授 同 メディカル・イノベーション・センター長 当番 世話人 小室 一成 〔東京大学〕 深水 昭吉 〔筑波大学〕 事務局 東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科 〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1 門脇 孝 教授室 Tel: 03-5800-8815 Fax: 03-5800-9797 伊藤 裕 〔慶應義塾大学〕 顧問 清水 孝雄 〔国立国際医療研究センター〕 代表 世話人 新井 洋由 〔東京大学〕 小川 佳宏 〔東京医科歯科大学〕 深水 昭吉 〔筑波大学〕 門脇 孝 〔東京大学〕 小室 一成 〔東京大学〕 世話人 高柳 広 〔東京大学〕 水島 昇 〔東京大学〕 【共催】炎症・脂質代謝・メタボリサーチフォーラム/帝人ファーマ株式会社 開会のご挨拶………………………………………………………………………………………………… 13 : 00 〜 13 : 05 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科 教授 小室 一成 一般演題 ■ 第Ⅰセッション……………………………………………………………… 13 : 05 〜 14 : 20 【座長】 慶應義塾大学 医学部 腎臓・内分泌・代謝内科 教授 I - 1 東京大学大学院 医学系研究科 分子生物学 教授 伊 藤 裕 水 島 昇 NFIA は褐色脂肪遺伝子エンハンサー選択的な PPARγとの共局在 により褐色脂肪の遺伝子プログラムを制御する わき ひろのり ○脇 裕典 1, 2/平池 勇雄 1/于 静 1/三宅 加奈 1/鈴木 顕 1/仲木 竜 1/中村 正裕 1/小林 博文 1/ 孫 威 1/青山 倫久1/廣田 雄輔 1/冨岡 恵 1/長野 学 4/大野 晴也 4/沖 健司 4/米田 真康 4/ 堤 修一 3/油谷 浩幸 3/山内 敏正 1/門脇 孝1 1 3 東京大学大学院 医学研究科 糖尿病・代謝内科/ 2 東京大学大学院 医学研究科 脂肪細胞機能制御学/ 東京大学 先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス分野/ 4 広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 分子内科学 褐色脂肪組織は肥満症の治療標的として注目される。FAIRE-seq を用いてゲノム上の褐色脂肪組織に 特異的な転写制御領域をマッピングした。これらの領域のモチーフ解析で同定した N F I A は褐色脂肪 遺伝子のエンハンサー上で脂肪細胞分化のマスターレギュレーター PPARγと共存(co-localize)し、 C2C12 筋細胞への導入で褐色脂肪細胞へと形質転換した。NFIA 欠損マウスの新生児褐色脂肪組織で は褐色脂肪遺伝子の減少、骨格筋遺伝子の上昇が認められ、NFIA が褐色脂肪特異的遺伝子転写の重要 な制御因子であることが示唆された。 I - 2 細胞質 DNAセンサー STING 活性化の新規機構の発見 む か い こうじろう ○向井 康治朗 1/田口 友彦 1/新井 洋由 1, 2 1 東京大学大学院 薬学系研究科 衛生化学教室/ 2AMED CREST 炎症の初期過程において自然免疫応答は重要な役割を担っている。最近、細胞質に露出した DNA を認 識し炎症応答を惹起する分子 STING が同定されたが、その活性化機構の詳細は分かっていなかった。 本研究において私は、定常状態で小胞体に局在する STING が、刺激に応じてゴルジ体に移行し、そこ でパルミトイル化修飾を受けてゴルジ体の脂質ラフトで活性化することが炎症応答に必要であることを 見出した。STING のパルミトイル修飾阻害による炎症抑制の可能性について議論する。 I-3 DNA メチル化によるエピゲノム記憶の分子機構と 機能的意義に関する研究 つじもと か ず た か ○辻本 和峰 1/橋本 貢士 2/袁 勲梅 3/川堀 健一 1/加瀬 早織 1/小川 佳宏 1, 4 1 2 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 分子内分泌代謝学分野/ 同 メタボ先制医療講座/ 3 同 臓器代謝ネットワーク講座/ 4 AMED CREST 我々は既に、乳仔期のマウス肝臓において核内受容体 PPARα依存的な DNA 脱メチル化により脂肪酸 β酸化遺伝子発現が制御されることを明らかにした(Diabetes 2015)。最近では、リガンドにより活 性化された PPARαを介して標的遺伝子である FGF21 が DNA 脱メチル化されること、この時期に一 旦確立した DNA メチル化状態は成獣期まで記憶・維持されることを証明した。本発表では、乳仔期の DNA メチル化によるエピゲノム記憶の分子機構と成獣期における機能的意義を議論したい。 一般演題 ■ 第Ⅱセッション……………………………………………………………… 14 : 20 〜 15 : 10 【座長】 II-1 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 分子内分泌代謝学分野 教授 東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授 小川 佳宏 門脇 孝 オートファジー不全マウスの全身網羅的解析 よ し い さ お り ○吉井 紗織 1, 2/久万 亜紀子 2, 3/栗川 義峻 2/山本 篤 4/板倉 英祐 5/原 太一 6/ 設楽 浩志 7/水島 昇 2 東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 細胞生理学分野/ 2 東京大学 医学系研究科 分子生物学分野/ 3 科学技術振興機構 さきがけ/ 東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 産科婦人科学/ 5 千葉大学 融合科学研究科・ナノバイオロジーコース/ 6 群馬大学 生体調節研究所 細胞構造分野/ 7 東京都医学総合研究所 基盤技術研究センター 1 4 オートファジーは細胞質の大規模な分解系で、細胞質の品質管理や飢餓時の栄養供給に大切である。オー トファジー不全マウスは新生仔致死であるが、このマウスに神経でのみオートファジー活性を戻すこと で成体まで生き延びるオートファジー不全マウスモデルを構築した。このオートファジー不全マウスは 成長不全、肝脾腫、肺炎、糸球体腎炎、鉄欠乏性貧血などの様々な異常をきたした。特に顕著であった 鉄欠乏性貧血の原因を調べたところ、鉄吸収に関連する因子の発現低下、その理由として転写誘導不全 が観察された。 II-2 自己免疫疾患を抑制する重要因子の発見とその分子基盤の解明 た か ば ひろゆき ○高場 啓之/高柳 広 東京大学大学院 医学系研究科 免疫学教室 リウマチなどの自己免疫疾患は、主に自己応答性の T 細胞の自己寛容の破綻によって引き起こされると 考えられている。このような T 細胞はすべて胸腺で創られるが、確率論的に自己反応性の T 細胞が出来 上がってしまう。この問題を避けるために、自己成分応答性の T 細胞は細胞死が誘導されるという「負の 選択」機構が存在している。今回の発表では、これまで免疫学の教科書で説明されてきた T 細胞の「負 の選択」と自己免疫寛容について、新たなパラダイムを提供する。 休憩 ………………………………………………………………………………………………………………… 15 : 10 〜 15 : 20 一般演題 ■ 第Ⅲセッション……………………………………………………………… 15 : 20 〜 16 : 35 【座長】 東京大学大学院 薬学系研究科 衛生化学教室 教授 東京大学大学院 医学系研究科 免疫学 教授 新井 洋由 高柳 広 III-1 NAD 前駆体の NMN 産生酵素 Nampt の Sirt1・6 を介した Diabetic renal fibrosis 抑制作用 むらおか ひろかず ○村丘 寛和/長谷川 一宏/脇野 修/伊藤 裕 慶應義塾大学大学院 医学研究科 腎臓・内分泌・代謝内科学 細胞内呼吸に必須の補酵素 NAD の保持には、その前駆体である NMN(Nicotinamide mononucleotide) の産生酵素で、長寿遺伝子 Sirtuin を活性化する Nampt(Nicotinamide phosphoribosyltransferase)が 重要であり、同酵素の腎での機能を解析した。我々は、糖尿病性腎症で、近位尿細管 Sirt1 を介する「尿 細管・糸球体連関」を見出し、研究を継続している。今回新たに、Nampt が Sirt1 のみならず Sirt6 も 活性化し、糖尿病性腎症の腎線維化を抑制する新規の病態抑制機構を同定した。 III-2 ホスホリパーゼ活性を持つアルギニンメチル化酵素の 小脳機能に対する役割 きむ じゅんだる ○金 俊達1/石田 純治1/加香 孝一郎 2/濱田 樹理 1/深水 昭吉 1, 2 1 筑波大学 生命領域学際研究センター/ 2 筑波大学 生命環境系 哺乳類において、唯一の細胞膜結合型アルギニンメチル化酵素である PRMT8 は、神経細胞の樹状突 起に発現しているが、その機能については不明であった。私たちは、PRMT8 遺伝子欠損マウスを解析 し、小脳神経細胞の樹状突起の分岐が抑制されているが、運動機能は亢進していることを明らかにした。 また、分子機構の解析により、PRMT8 は細胞膜リン脂質の分解酵素として作用し、ホスファチジルコ リンから神経伝達物質アセチルコリンの前駆体を産生することを見出した。以上の結果は、PRMT8 が リン脂質代謝を制御し、脳機能を調節することを示唆している。 III-3 圧負荷後心臓リモデリングにおける マクロファージ低酸素シグナルの役割 あ べ はじめ ○安部 元 1/武田 憲彦 1, 2/砂河 孝行 3/仙波 宏章 1/相馬 桂 1/小山 雄広 1/和氣 正樹 1/ 加藤 愛巳 1/真鍋 一郎 1/永井 良三 4/小室 一成 1 1 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科/ 2 JSPS さきがけ/ 3 東京医科歯科大学/ 4 自治医科大学 心筋傷害後の心臓リモデリング過程では、心筋組織の低酸素環境と共に炎症シグナルの活性化が引き起 こされるが、その詳細な機構は不明であった。本研究では心臓リモデリング過程において浸潤する炎症 細胞の低酸素応答に注目することで、炎症シグナルの活性化が臓器リモデリングにおいて果たしている 役割につき解析を行った。その結果、圧負荷後の心筋組織に集積する Ly6C high monocytes が線維化 抑制に働き、心筋保護的に作用していることを見出した。現在、Ly6C high monocytes 心筋保護作用の 分子機構解明を試みると共に、Ly6C high monocytes 由来心筋保護因子の探索を継続している。 休憩 コーヒーブレイク……………………………………………………………………………… 16 : 35 〜 16 : 50 特 別 講 演 …………………………………………………………………………………… 16 : 50 〜 17 : 50 【座長】 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科 教授 小室 一成 筑波大学 生命領域学際研究センター 教授 深水 昭吉 プロスタグランジンと炎症慢性化 成宮 周 京都大学医学研究科 特任教授、同メディカル・イノベーション・センター長 炎症は本来生体の防御反応であり、病原体などの刺激によって惹起され、局所での血管・細胞 反応の結果、当初の炎症刺激が排除され終息する。しかし、炎症は往々にして慢性化する。慢性 炎症は、自己免疫疾患、がん、神経変性疾患、血管病、代謝疾患など様々な慢性病態の基盤をなす。 炎症が慢性化する機序として、抗原による免疫反応の結果として免疫炎症への転化、positive feedback loop の形成による炎症過程の増幅と細胞浸潤の持続、血管新生、線維化など組織リモ デリングが関わる。ここでは、様々な遺伝子発現変化の結果、多様な炎症伝達物質の相互作用が 起こる。プロスタグランジン(PG)は、その合成を阻害するアスピリン様薬物が抗炎症作用を発 揮することから、急性炎症のメディエーターとされてきた。我々は、PG 作用を介達する各受容体 をクローニング、各々の欠損マウスを作成し、炎症での意義を明らかにしてきた。その結果、PG が、急性炎症のみならず、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、血管増殖因子などと協調して 炎症の慢性化に働いていること、これが、上記の様々な慢性疾患のみならず、社会ストレスによ るうつ状態発現にまで働いていることを示唆する所見を得た。これらの結果は、これまで急性炎 症でのみ働くと考えられてきた PG の役割に変革を迫るものである。 Young Investigator Award 表彰 ……………………………………………………………… 17 : 50 〜 17 : 55 東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授 門 脇 孝 閉会のご挨拶 ………………………………………………………………………………………………… 17 : 55 〜 18 : 00 筑波大学 生命領域学際研究センター 教授 深水 昭吉 情報交換会 …………………………………………………………………………………………………… 18 : 00 〜 19 : 30 memo 会場地図 東京大学 山上会館 〒113- 8654 東京都文京区本郷7- 3- 1 TEL 03 - 3812 - 2111(代表) 最寄駅:本郷三丁目駅(地下鉄大江戸線、丸ノ内線) 春日駅(地下鉄三田線) 東大前駅(地下鉄南北線) 湯島駅又は根津駅(地下鉄千代田線) ●効能・効果、用法・用量、効能・効果に関連する使用上の注意、用法・用量に 関連する使用上の注意、禁忌・原則禁忌を含む使用上の注意等については 添付文書をご参照ください。 TCT013-SW-1502-2 2015年2月作成
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