現代女学生隠し言葉辞典【ア】【アウト】的外れ、思ひが通じない等の意。庭球用語より転化。【アーク燈】頭のハゲタ先生の謂、「デンキ会社の社長さん」等と同意味。英語の arc-lamp より来る。【アブさん】風変りの人の総称。「あの人は普通ぢゃない、少しアブさんよ」等といふ。英語の abnormal より来る。【甘栗】甘い人の謂。【あまのぢゃく】妙に片意地を張る人。つんとすねたりする人の意。【アナウンサー】最近女学生間で流行し出した隠語で、無暗（むやみ）に人の事を告げ口する人の事。【天の橋立】はげたおつむりの形容語。【あぢさい】気の変り易い、冷淡な人。【アネキ】お姉さん。親しみの言葉として旺に用ひられている。【アメーバ】得体の知れぬ人。わけのわからぬ人。【アデイウ】永遠にさようなら。近頃はグードバイなどとは言はない。フランス語の adieu が軟か味があるのでこの方が使はれる。【アステイ】いい身分の人。大家のお嬢様の謂、多少蔑すむ意味も含まれている。『今日は三越、明日は帝劇』（※）より採ったもの。（註 ※）大正２年の帝国劇場パンフレットに掲載された三越の広告で使われたコピー【アルファ、オメガ】上級生と下級生との愛情の極度に濃い形容語。アルファは英語の alpha で、始めの意味があり、オメガはで終りの意味がある。これは希臘（ギリシャ）の字 Omega の一番初めの字が（α ／アルファ）で、最後の字が（ ω／オメガ）であるから出たので、 alpha and Omega と云へば始めと終りのこと、また全体のことを云ふ。