概要版 - 大和商工会議所

商工会議所LOBO(早期景気観測)
-2015年9月調査結果 (概要版・付帯調査)-
2015年9月30日
業況DIは、一進一退。先行きも慎重な見方続き、横ばい圏内の動き
ポイント
▶ 9月の全産業合計の業況DIは、▲17.3と、前月から▲2.4ポイントの
悪化。ただし、「好転」から「不変」への変化も押し下げ要因となったことに留
意が必要。好調な観光関連の牽引が続く中、住宅投資に加え、公共工事にも持ち
直しの動きがみられる。他方、価格転嫁の遅れや人手不足、人件費の上昇が足か
せとなる状況に変わりはなく、台風や大雨など天候不順の影響もあって、中小企
業の景況感は地域・業種などによってばらつき、一進一退の動きが続く。
従業員DI
売上DI
資金繰りDI
採算DI
▶ 先行きについては、先行き見通しDIが▲16.5(今月比+0.8ポイン
ト)と横ばい圏内の動き。観光需要の拡大や住宅・設備投資の回復、公共工事の
業況DI
仕入単価DI
持ち直しなどへの期待が伺える一方、家計負担の増大が消費者マインドを下押し
(下落の回答割合-上昇の回答割合)
する中、消費低迷の長期化を懸念する声も聞かれる。加えて、コスト増加分の価
格転嫁や人手不足などへの対応が遅れる企業では、先行きに対して慎重な見方が
続く。
2015年度の所定内賃金の動向
▶ 2015年度に「賃金の引き上げを実施した企業(予定含む)」(全産業)は、 59.9%
と6月調査より5.8%増加した。
▶ 一方、「引き上げを見送る(予定含む)」企業は、32.7%と6月調査より14.9%増加
した。特に、小売業では「現時点では未定」から「引き上げは見送る」に転じた企業の割合が
多く(「引き上げは見送る企業の割合」6月調査24.8%⇒9月調査44.9%)、先行き
への慎重な姿勢が伺える。
◆2015年度の所定内賃金の動向(全産業)
※円グラフの外側が9月調査、内側は6月調査
賃金の引き上げを
実施(予定含む)
賃金の引き上げ
は見送る
32.7%
59.9%
17.8%
28.1%
現時点では
未定
7.4%
54.1%
【参考】
2014年度所定内賃金の実績
・賃金を引き上げた・・・58.2%
・見送った・・・・・・・・・・ 41.8%
(出所)2015年3月LOBO調査
<業種別の賃金引き上げ状況>
(引き上げ)(見送り)
建
製
卸
小
サー
設 業:
造 業:
売 業:
売 業:
ビス業:
68.5%
67.4%
66.1%
46.5%
55.0%
28.4%
27.3%
27.4%
44.9%
32.7%
<賃金引き上げの内容>
定期昇給
:77.1%
ベースアップ
:30.8%
手当の新設・増額:12.5%
※賃金の引き上げを実施(予定含む)
した企業が対象。複数回答
[中小企業の声]
 従業員の定着のため一時金を増額して支給。また、人材確保のためにベアを実施
し、採用募集をしているが応募がない
(十和田 自動車販売業)
 最低賃金の引き上げに伴う人件費の増大が見込まれるため、大規模な設備投資を
計画していたが、見直さなければならない
(熊谷 ホテル業)
 売上高が過去最高となる見込みであり、業況・採算とも改善していることから、
従業員に期末賞与を支給する予定
(静岡 食料品卸売業)
 消費が伸びない中、仕入れ価格の上昇が続き、先行きの懸念が増しているため、
賃金は上げられない
(刈谷 食料品小売業)
 建築資材の仕入価格が高止まり、収益を圧迫しているが、社員のモチベーション
を上げるために定期昇給を行う
(勝山 建築土木業)
 定期昇給を実施できなかった分、秋に一時金の支給を検討中(京都 広告代理業)
 原材料費の上昇に加え、個人消費の低迷のため、業績がふるわない。利益確保
が見込めず、賃上げは厳しい
(坂出 菓子製造業)
 売上が伸び、業況も改善しているため、若手社員を対象にベアを実施する予定
(熊本 総合百貨店)