在スペイン日本国大使館付属 マドリッド日本人学校 文責 久保 俊博 平 成 27年 10月 1日 Ｎ Ｏ ． ７ ある 少年 と その 担任 の先 生 のお 話で す。 そ の女性 の先生 は，少 年が ４年生 のとき の担任 でした 。クラ スの中 でそ の少年 だけは ，どう しても 好きに なれま せん でした 。なぜ ならい つも汚い格好をしていて，授業中はいつも居眠りをしていたからです。しかし，ある日，過 去の学籍簿をめくると，１年の学籍簿には「優秀で素直ないい子。この学校の誇りです」と 書いてありました。２年生のときの学籍簿では「お母さんが病気になり毎日が大変らしい。 それでもめげず，よく勉強しています」とありました。しかし、３年生の学籍簿には「母親 死亡。父親がアルコール中毒になった」と書いてありました。 それを見て先生は，１０歳の男の子がどんな毎日を過ごしているか，その背景など想像も しなかった自分の感受性の足りなさを思い知らされました。 その後，二人は放課後，一緒に勉強するようになります。あるとき，少年がふと「今日は 僕のお誕生日なんだ」と言いました。その子にとって心を開く最初の扉だったと思います。 その先生は，夕方，小さい花束とケーキを持って少年の家を訪ねました。汚れた暗い部屋に 一人ぽつんと座っていた少年は，先生の姿を見て子どもらしい笑顔を見せました。 しばらくして先生が帰ろうとしたら，少年は部屋の奥から小さいビンを持ってきました。 「これ，先生にあげる」と言って差し出したビンは，ふちが蝋(ろう)で閉めてありました。 先生はそれをもらって帰り，蓋を開けてみると，中は香水でした。お母さんが使っていた 香水だったのです。きっと彼にとって唯一の宝物だったのだと思います。先生は香水が逃げ ないようにまた蝋を垂らし、きちんと蓋をしました。 その後，少年は勉強を続け，成績がどんどん伸びていきました。そしてその子が６年生に なるとき，先生の転勤が決まりました。 し ばらく して， 先生は その少 年に手 紙を書 きました。しかし， なかな か返 事が来 ません でした 。何と なく気 にはな りながら，もうその 少年と は縁 が切れ たよう な気持 ちでい ました 。そん なとき，一通の手紙 が来ま した。そこにはこう書かれてありました。 「先生のおかげで高校に入学できました。」 ３年後，今度はカードが届きました。 「 父はま だ大変 な状態 ですが ，高校 を無事 に卒業することがで きまし た。卒業後は医学部に進みます」と書いてありました。 先生は「もうこの子は大丈夫だ」と思いました。そして，１０年近く月日が流れ，少年の ことを忘れかけていた頃，一通のきれいな封書が届きました。それは結婚式の招待状でした。 「先生のおかげで僕は医師になり，すてきな人と結婚することになりました。ぜひ結婚式 に来てください」 先生は感動して，しばらく手紙を握りしめたまま，その場に立ち尽くしました。 結婚式の日，先生は大事にしまっていたあのビンを出してきて，蝋を切って蓋を開け，底 のほうに少しだけ残っていた香水をつけました。 式場へ行くと，立派な医師に成長したあの少年がハグをしてくれました。かつての少年の 姿が先生の脳裏によみがえり，「よくぞここまで頑張ったね」と心の底から祝福の言葉を贈り ました。 彼は先生を抱きしめて，嬉しそうにこう言いました。 「あぁ、お母さんのにおいだ」 そして，「お母さんが生きてたら，お母さんに座ってもらう席でした」と言って，自分の隣 の席に先生を座らせたそうです。 結果として，この少年は小さい頃に，とても辛い思いを経験してしまいました。でも，彼 は先生と出会ったことで，人として本当の愛情を知り，そこから，彼は自分の人生を自分で 切り開いていったのだと思います。しかも，そのきっかけを作ってくれた先生を忘れずにい たことが，彼の人生をさらに有意義なものにした…と。 人の 縁というものは，年月 が経過しないと分から ないことが多いですが，周 りの人 といろいろな関わりを 持って，懸命に生きる ことが人間として尊い…と いうこ とになるのではないで しょうか。縁を生かす 。生きていく上で，とても 大切な ことの一つだと痛感します。子供たちにも，ゆっくり伝えていきたいと思 います。 久 保 俊 博 文化祭に むけて，学 校全体が動 き始めました。 今年のスローガンは， 「Love & Peace ～果てなき海に果てをつくろう～」 ９名の実行委員会の中で話し合い，この言葉に 決まりました。 先日，ホールの会で発表され，２６名の児童生 徒たちは，このスローガンの下，一致団結して取 り組んでいます。 保 護者 の 皆さ ま， 当日を お楽しみに…！ ９月１３日 日 （ 日 ）， 家 族参観日が行 われました。 １～４時間目は授業参観。５～６時間目は，体 育館にて「ソフトバレーボール」を行いました。 低学年，高学年それぞれ５チームに分かれ，保 護者の皆さまにも参加していただきました。低学 年では，特別ルールもつくられ，ラリーも長く続 いていました。みなさん，楽しいひとときを過ご すことができたのではないかと思います。 保護者の皆さまには，当日の感想も書いていた だきありがとうございます。 低学年の試合の様子 高学年の試合の様子 あの厳しい 暑さを忘れる 程，過ごしや すい日々が続いています。秋がもう足下まで来て いることを実感します。 意外とこの時季には，寒暖の差から体調を崩し や す く な り ま す 。日 本 で はRSウイルス感染症がは や り 始 め た … と のニ ュ ー スも入ってきました。 ご自愛下さい。 １ ０月２４日 （ 土 ）， 補 習 授 業校 がバザーを 予定していま す。今年もそのバザー会場の一角をお借りして， 日本人学校のバザーを行います。 販売可能な本や衣類，食器，日用品などがござ いましたら，学校の地下倉庫前に３つの回収箱を 用意しております。 １０月９日までお待ちしております。ご協力を よろしくお願いいたします。 日 １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ １０ １１ １２ １３ １４ １５ １６ １７ １８ １９ ２０ ２１ ２２ ２３ ２４ ２５ ２６ ２７ ２８ ２９ ３０ ３１ 曜 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 日 月 火 水 木 金 土 行 事 予 定 中学部中間テスト、全校集会 中学部中間テスト、部活動 発育測定 給食 部活動なし、職場体験学習 第２回英語検定 イスパニアデー 給食 部活動なし 文化祭 振替休業日 第２回実力テスト 給食 部活動 第２回漢字検定 読書週間（～11/6） 給食 部活動 今月の生活目標：自分の気持ちを正し く伝えよう！
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