アンチ・ドーピング JADA,WADA ってなんだ 薬剤師とドーピング <ドーピングを禁止するわけ> 競技の世界においてドーピングが禁止されるのには、 ① スポーツ精神 スポーツは、薬物の力を借りずに、本来人間が持ち合わせている能力を訓練によって最大限に 引きだし、フェアな精神で競い合うものといった精神に反する。 ② 社会的影響の考慮 スポーツ選手が青少年に与える影響は大きい。また、ドーピングに限らず、薬物乱用防止の上 からも社会的影響を考慮するならば、ドーピングは好ましいものではない。 ③ アスリートの健康 薬物によって、驚異的な記録が引き出せたとしても、その代償が競技者の命ということもある。実 際に、ツールドフランス(自転車競技)で、エリスロポイエチンを使用した選手が命を落とした事例な どがある。また、薬物使用者本人だけでなく、他の競技参加者に危害が及ぶことがある。 といった理由によります。 ドーピングの規制監視は、現在、世界レベルでは WADA が、日本国内では JADA が中心になって 行っています。 <WADA> 世界アンチ・ドーピング機構(WADA:World Anti-Doping Agency) http://www.wada-ama.org/en/t3.asp?p=30639&pp=29645 WADAは、1999 年 11 月にアンチ・ドーピングのための世界統一機関として設立されました。現在、 カナダ モントリオールの本部とスイス ローザンヌのヨーロッパ事務所にて活動を展開しています。 アジア・オセアニア地域事務所は、我が国の国立スポーツ科学センター内に設立さています。 2000 年のシドニーオリンピック大会で、WADAは 28 競技種目のすべての国際競技連盟から、オリ ンピック前の競技外検査実施の同意を取り、実際に 82 ヶ国 27 競技で実に 2,000 件以上もの競技 外検査を実施しています。現在、2004 年アテネオリンピック大会での統一基準を適用するために 積極的な活動を実施しています。IOCや各国際競技連盟、各国オリンピック委員会、各国政府など と連携し、アンチ・ドーピング活動の啓発や、世界統一基準となる「世界アンチ・ドーピング規程」の 関係機関等への普及など、ドーピング全廃のために活動を続けています。 <JADA> http://www.anti-doping.or.jp/ 2001 年、日本国内におけるアンチ・ドーピング活動のマネジメントを行う機関として JADA が設立さ れました。これにより、世界標準のアンチ・ドーピング活動が国内において可能となりました。国内 での国際競技大会に加え、国民体育大会をはじめとする国内大会やジュニア大会にいたるまで、 ドーピングに関する情報提供や指導を積極的に実施し、スポーツ関連の医事関係団体に対しても 啓発活動を実施しています。 JADA ならびに関連組織については下図を参照してください(JADA ホームページより引用)。 <THE WORLD ANTI-DOPING CODE version 3.0> (世界アンチ・ドーピング規程) ドーピング禁止薬剤リストであり、毎年見直されます。このリストが、ドーピングの国際標準となりま す。 http://www.anti-doping.or.jp/index2.html から、英文(原本)ならびに日本語版を参照することができます。 <JADA認定商品マーク> 様々な、スポーツ飲料やサプリメントが世の中に出回っていますが、中にはドーピング規定に抵触 してしまう成分が含まれているものもあります。JADA はメーカーから商品成分情報の提出を受け、 実際に分析を行い、ドーピング規定に合致した製品であることを認定した商品について、「JADA 認 定商品マーク」の表示を許可しています。 マークは、青空の下で走る人の絵柄と、ドーピング検査クリアの「OK」を意味する円を組み合わせ、 クリーンで、健全なスポーツマン精神を表現しているそうです。 現在、国内メーカーで JADA 認定商品を発売しているのは、 ・ 大塚製薬株式会社 ・ 味の素株式会社 ・ サントリー株式会社 ・ 森永製菓株式会社 ・ 明治乳業株式会社 ・ 明治製菓株式会社 ・ キリンビバレッジ株式会社 です。不注意による、ドーピング検査陽性を避けるためにも、JADA 公式認定商品を利用しましょ う。 <国体のドーピング検査> 国体においても JADA によりドーピング検査が行われます。現段階では、全ての競技者への検査 は難しく(予算、検体数の関係上)、全参加選手の 1%(約 300 検体)の検査が予定されています。 検査には、競技会検査(競技実施当日の検査)と競技外検査(抜き打ち検査)があります。 国体におけるドーピング情報は日本体育協会ホームページ http://www.japan-sports.or.jp/doping/kokutai.html#kabu に掲載されています。「選手必携書」、Q&A などの国体のドーピング検査についての情報がありま す。 <ドーピングと薬剤師> ドーピングに関しても、日頃の啓蒙や相談などを通して、薬剤師が積極的に関与していくべきです。 日本薬剤師会は、アンチ・ドーピング活動を今後の薬局・薬剤師活動の一つとして位置づけ、本年 度開催の「彩の国 まごころ国体」(埼玉県)をモデル事業とし、薬剤師の積極的なかかわりを進め ていくことになっています。 選手を送り出す県としても、「気軽にドーピングの相談ができる薬局・薬剤師」として協力する体制 を整える必要があります。 ドーピングに関する資料は、上記団体のホームページを参照してください。また、日本薬剤師会・ 埼玉県薬剤師会・日本体育協会アンチドーピング部会ドーピングデータベース作業班が作成した 「薬剤師のためのアンチ・ドーピング ガイドブック」(平成 16 年 7 月)が、薬事情報センターにありま すので、ご相談ください。なお、「薬剤師のためのアンチ・ドーピング ガイドブック」(平成 16 年 7 月)は、日本薬剤師会から各県の支部に対して配布予定となっています。
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