教習テキスト(新入会員用)

目次
はじめに
1、風を知ろう
負圧と揚力
小戸サンライズセーリングクラブ
OSSC
新入会員用
・・・・・・・・・・・・・・・4
2、乗艇時の服装
ウエットスイーツ
ドライスーツ
帽子
サングラス
靴
ライフジャケット
グローブ
時計
雑索
シャックルキー
ホイッスル
3、艤装品や名称を覚えよう
・・・・・・・・・・・・・・・6
・・・・・・・・・・・・・・・12
4、シートワーク
・・・・・・・・・・・・・・・14
ボゥラインノット
エイトノット・ダブルエイトノット
シートベンド・ダブルシートベンド
スクェアノット(リーフノット)
トートラインヒッチ
クリートノット
チェーンノット
クラブヒッチ
5、進める角度と方向転換・他艇の位置確認
6、出艇と着艇の手順
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・・・・・・・18
・・・・・・・・・・・・・・・20
-2-
はじめに
1、風速を知ろう
皆さんは先に行なわれたヨット体験教室やHP閲覧から、または海岸線か
ら海を眺めていた時、釣りやドライブをしていた時に青い海に浮かぶヨット
を目にして興味をもった方々がいらっしゃるのかも知れません。また、中に
は転勤や退職を機に福岡での生活を始められた方々も居らっしゃる事でし
ょう。
これからヨットを楽しむために、覚えておきたい事。
先ずは、ヨット(帆船)がどの様な仕組みで、海面を滑走しているのかを学
びましょう。
ヨットは風を原動力とし、これをセールに受けろ事で進む力を生み出します。
この構造は飛行機が空中に浮き上がる原理と同様に考えると理解しやすい
でしょう。
飛行機の主翼は上面が下面に比べて膨らんでいます。
プロペラやジェットの力で機体が前に進むと、主翼には青い矢印のような空
気の流れができます。翼の上は丸みを帯びているので、平坦な下面より風の
流れる距離が長いので、下面と比べ上面に流れている風の方が速く流れてい
る事になります。つまりここで圧力差が生じて(上面の圧力が下面に比べ低
い)いますので、翼が負圧である上に引っ張られようとします。主翼はこの
圧力差により上方に持ち上げられているのです。この時の翼の上面の圧力を
「負圧」と呼びます。
従って、飛行機が空を飛ぶのは翼に発生する揚力に依るものであり、ヨット
や帆船が風上に向かって走る力と同様と云う事になります。
陸から見るヨットは、静かで優雅に海面を走っているかのように見えます
が、既に乗艇された方々は実際にはかなりハードはスポーツだとお気付きで
しょう…。しかし、その一方で「ヨットはこれまでの海遊びとは全く違う楽
しさがある」とも感じたはずです。
新入会員の方々はヨットにも慣れはじめ、乗艇の度に楽しさを感じている
事と思います。また、前年度入会された会員の方々につきましては、早くも
1 年の月日が経ち、既にスキッパーとして活動されている方も居らっしゃる
ようです。
当クラブでは、「安全に楽しく」を根幹の1つとしておりますので、入会
3 年未満の方々に於きましては、活動中に事故や怪我が無いように、また、
自己のレベルを向上させるために、例年行なっている初心者ガイダンスに是
非とも参加して頂きたと考えます。
L
この様に楽しいマリンスポーツを続けるには、相応の知識と準備が必要と
なりますので、本書をその経験に奢る事なく安全に楽しく遊ぶ為に再確認と
して受止めて戴けると幸です。
L
T
S
D
《
-3-
図 1:風の流れによる負圧の発生と揚力作用
》
-4-
【負圧】
2、乗艇時の服装
負圧は日常生活に於いて、様々なところで感じる事ができます。
風のある雨の日に、傘を上手く風に乗せてあげるとフワッと浮き上がる感じ
を体験した事がありませんか?また、車を運転する方であれば、高速道路で
追越し車線を走行した車輌側に吸い込まれそうになったり、駅のホームで列
車が通過する際にも吸い込まれそうに成ったりした事が在ることと思いま
す。負圧の原理はこれと同じで、圧力の低い方に引き寄せられていく性質が
あります。
ヨットはこうした負圧が作用する原理を利用する訳ですが、負圧による揚力
だけではヨットは思い通りに前へは進めないでです。
前に進ませるには揚力を「分力」する必要があります。
図 1 のように負圧の発生により「揚力L」が作用します。この「揚力L」を
分力すると、
「分力T」と「分力S」とに分割でき、
「分力T」は前に進もう
とする力である一方、「分力S」は横流れする力となります。
この横流れしようとする「分力S」を打ち消す事が出来れば、ヨットは前に
進むことが出来るのです。そこで「分力S」の応力となる「応力D」が必要
となります。
この「応力D」となる重要なパーツが「センターボード」であり、横流れ「分
力S」をセンターボードの「応力D」の作用によって相殺させる事で、残力
は「分力T」だけとなるので、艇は「分力T」を推進力として前に進むので
す。
これが、ヨットの推進力の原理だと言うことです。
ディンギーヨットに乗るときは、動きやすい服装が基本であるに加え、季節
に応じた服装で乗艇する事が必要です。
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-6-
ウェットスーツ
ドライスーツ
ウ ェ ッ ト ス ー ツ は ド ラ イ ス ー ツ と 対 象 的 で 、生 地 に 水 を し み 込 ま せ 、
その水分を体温に近い温度に保ち、体温を逃がさないようにする効
果があります。また、身体に密着しており「沈」した場合や長時間
の海泳を強いられても体温の温存を一定時間保つ事が可能です。
一方、ドライスーツは衣類を着用した状態から更に着用するタイプ
のものと無着用の物があります。水を浸透させないタイプですので
寒い季節には防水と保温効果を兼ねていますし、首周りや袖口、裾
はゴムのパッキンで仕上げられている事から、海泳時に海水が流入
する心配はありません。唯、衣類着用タイプの物は幾分かの空気層
を有していますので相応の浮力も得られる分、身体に密着しておら
ずダブつきもあるので裂損の可能性もある事を理解しておいて下さ
い。無着用のタイプは着用タイプに比べ若干の密着度は増しますの
で動きやすくなっており、デザインの幅も広く近年では無着用ドラ
イスーツの方が主流となっているようです。主に水族館・漁業関係
者・ダイバー等の間では多く利用されていると聞かれます。
夏期前後でしたら、「短パン・Tシャツ」と行きたい所ですが、出
来るだけ長袖、長ズボン(スパッツ等)を着用しましょう。
これは外傷を防ぐと同時に、日射しによる体力消費、日焼け、風雨
による体温低下から守るためでもあるからです。何れにしても、そ
の時々の季節や体調にあった服装を着用するように心掛けましょう。
帽子
靴
日 射 病 や 熱射病の予防、冬は寒さ対策のため帽子を着用します。
デ ィ ン ギ ーに乗艇するならば、メッシュタイプの物よりもフルクロ
ス タ イ プ が良いでしょう。メッシュタイプは通気性が良い分、フル
ク ロ ス タ イプに比べ外部からの衝撃に弱いものです。また、「沈」
し た 場 合 や艇の破損等による海水の流入時には、フルクロスタイプ
は「ベイラー」の代用品となるので、こちらの方が実用的でしょう。
サングラス
ディンギーヨットの場合はマリンブーツ。クルーザーヨットの場合
はデッキシューズ等を準備します。運動靴でも大丈夫ですが、靴底
が滑り易い靴や長靴は避けましょう。ウォーターシューズを履かれ
る場合はフットベルトに足を掛けた時に足首に痛みを感じる場合が
あるので、その際はレッグサポーターやゲーターを装着すると良い
でしょう。冬場にウエットソックスを使用される方は、冬季用とし
て 1~ 2 サ イ ズ 大 き め の シ ュ ー ズ を 用 意 し て お く 必 要 が あ り ま す 。
ライフジャケット
海 上 に 出 ると強い日射しに加え、海面からの照り返しが目を刺激し
ま す 。 ま た、海水や風雨によるシャワーも目を守るために装着して
お き た い ものです。普段、眼鏡を使用されている方は既存の眼鏡に
追 着 す る アタッチメント式の物がありますが、近年のサングラスに
は 眼 鏡 セ ットのタイプがありますので、紛失や破損等を考えると後
者 の 方 が お薦めです。また、何れのタイプを選択されても、落下防
止 の バ ン ドと併用するとより良いでしょう。
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ライフジャケットは水上で命を守る重要な装備となります。きちん
と浮力があり、自分の体格や体重に合った物を装着しましょう。
出来るだけ目立つ色で動き易いタイプが好ましいです。股紐、腰紐
が付いているものは、面倒くさがらずに装着してください。また、
ライフジャケットには水感知自動(手動)式膨張タイプの物も在り
ますが、膨張の都度にボンベの交換が必要ですので、ウレタン式の
ライフジャケットをお薦めします。
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グローブ
雑索
操 船 に 作 業で必ず手にするギアが「シート」です。突然の強風に煽
ら れ シ ー トが手元からすり抜けたとき、シートの摩擦によって手の
平 に 火 傷 を負うかも知れません。また、コックピット何は薄く尖っ
た 金 属 も ありますので、自身を守る為にも装着を心掛けましょう。
特 に 初 心 者の場合は、艇に慣れるまではフルフィンガーグローブの
装 着 を お 薦めします。
乗艇時には沢山の予備部品を用意して海面に出て行きたいのですが、艇には
必要最低限の備品しか乗っていません。シートが断裂したならば結束シート
として…、シャックルが破損したならばその代わりとして…と云う具合にパ
ーツやギアが破損した場合は、この雑索を利用しスペアとして使用します。
また、時には自身を守るツールとも成りますので、携帯することをお薦めし
ます。(雑索の長さは自身の身長程度が好ましいでしょう)
時計
シャックルキー
海 面 に 出 ると大きな目標物もなく、太陽が傾斜しても今が何時なの
か は ベ テ ランであっても正確な時刻は分からないものです。
海 に 出 る 際にはハーバーに出艇申告(出艇時刻、帰着時刻)を提出
す る 必 要 があり、申告した時刻までに戻らなければなりません。
ま た 、 レ ースを行なう際には必ず必要なアイテムですので、用意し
て お く こ とを勧めます。当然に海上で使用するので、防水タイプの
物 を 選 択 するべきです。
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シャックルを解錠(施錠)する道具。
ボルト・カギ切り・ドライバーなどと艇の修理に必要なツールが1つになっ
ています。使い方によっては様々な用途に使用できますので、雑索と共に常
備しておいた方が便利です。
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ホイッスル
3、艤装品や名称を覚えよう
ピーク or トップ
ラフ
リーチ
風上から風下への声は届きやすいですが、逆の場合はなかなか届かないもの
です。レスキュー艇や他の艇に自艇の意向を伝えたい時、トラブルが発生し
たとき、落水や漂流した際に自身の存在をアピールするためのアイテムとし
て常備しておきましょう。形や音は様々ありますが、出来るだけ遠くまで音
が飛ぶものを選びましょう。
その他必要なものを書き出しましょう。
タック
フット
クリュー
スターン
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ミッドシップ
- 12 -
バウ
4、シートワーク(ロープワーク)
シートワークは艇に乗る為に必要な、最も基本的な知識の1つです。
シートの結び方は膨大な数(種類)があり、全てを覚えるのは難し
いでしょう。ですので、中でも最も実用するシートワーク 8 種類だ
けは確実に船の上で使いますのでマスターしておきましょう。
バテン
マスト
テルテール
◎
メインセイル
ボゥラインノット
bowline knot
【使用箇所】基本
カニンガム
マストトップ(浮球)
ラダー流れ止め
救命
サイドステー
スプレッダー
(もやい結び)
ジブクリュー
メインシートブロック
ライフライン
ブーム
フォアステー
ジブシート
メインシート
ジブセイル
アウトホールシート
◎
◎
エクステンション
タックシート
ティラー
エイトノット
eight knot
ダブルエイトノット double eight knot
【使用箇所】
ジブシートエンド
メインシートエンド
カニンガム
センターケース
センターボード
ブームバング
ラダー
- 13 -
- 14 -
(8 の字結び)
(二重 8 の字結び)
◎
◎
シートベンド
sheet bend
ダブルシートベンド double sheet bend
(継ぎ結び)
◎
トートラインヒッチ thoth line hitch
(自在結び)
(二重継ぎ結び)
【使用箇所】
バース
【使用箇所】
ジブシートベッド
曳航
1 つ目のループを造る
2 つ目のループを造る
2 つ目のループでもう一度回す
◎
◎
スクェアノット
リーフノット
square knot
(本結び)
reef knot
(アワビ結び)
◎
クリートノット
cleat knot
【使用箇所】
ポンツーン
【使用箇所】
タックシート
- 15 -
- 16 -
(舟留め結び)
◎
チェーンノット
chain knot
(鎖結び)
【使用箇所】
アウトホールエンド、ブームバングエンド、曳航
5、進める角度と方向転換・他艇の位置確認
艇位
風を動力として進むヨットは、ある一定の角度を除く全ての方位に向けて進
む事が出来ます。また、その進行方向にある艇位にも名称があるので覚えて
おきましょう。
クローズホールド
アビーム
クオーターリー
ランニング
風上から左右 45°の艇位
風上から左右 90°の艇位
風上から左右 135°の艇位
風上から左右 180°の艇位
基本的にヨットは風を受けて進むものですので、セールに風を受けることが
出来ない向かい風の場合は当然に風上に進むことは出来ません。
風が吹いてくる方向から左右に 45°の角度が限界角となっています。
方向転換
タッキング
ジャイビング
ラフ
ベア
◎
クラブヒッチ
clove hitch
【使用箇所】
曳航、係留
(巻き結び)
艇首が風上を向いて方向を変える事
艇首が風下を向いて方向を変える事
一定の角度での進行から風上に向う事
一定の角度での進行から風下に向う事
他艇の位置確認
艇を進めるにあたって他艇との衝突は避けなければなりません。
クルーは自艇の何処を他艇が航行しているかを確認し、その方向をスキッパ
ーに伝達しましょう。
(自艇はどの艇位にあっても、バウ(船首)は 12 時方
向となります)
12
11
3
10
3
8
4
5
7
4
1
2
9
5
12
6
11
7
8
10
9
6
- 17 -
2
1
- 18 -
6、出艇と着艇の手順
Window
出艇
クローズホールド
艤装が完了したら、バースからスロープへ艇を移動させます。この時バウを
風上に立てた艇位で移動することに注意しなければなりません。
クローズホールド
① クルーはバウ側のトレーラー取手を持ち、スキッパーは艇のスターンを
押します。艇を着水させたら、スキッパーは風上側のサイドステー付近
に移動し、サイドステーとガンネルを持ち、艇を風位に立てます。
② クルーはトレーラーの処理後、速やかにスターン側からコックピットへ
乗艇すると、センターボードを少し(1/4)だけ装填してジブセイルトリ
ムの準備を行ないます。(準備が出来たらスキッパーに連絡)
③ スキッパーはバウを少しだけ風下に傾け、艇を押しながら乗艇します。
乗艇したらラダーを装填させて艇を真っ直ぐに進めます。クルーはジブ
セイルのトリムを行ないながら、艇が 1 挺身分進んだ所でセンターボー
ドを 1/2 迄装填します。
④ 艇がスロープエンドまで進んだらセンターボード及びラダーを完全に装
填させます。この間クルーは他艇との接触がないように充分な見張りを
行なわなければ成りません。
アビーム
アビーム
クオーターリー
クオーターリー
ランニング
ジャイビング
タッキング
②
④
ラフ
③
ベア
《 センターボードを少しだけ装填 》
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《 スロープエンドでセンターボードを装填 》
- 20 -
着艇
用語集
① 艇が湾内へ入ったならば、メインセイルを降ろすためにクルーは速やか
に束ねていたメインハリヤードシートを解きます。合わせてタックシー
トも解いておきましょう。
② スキッパーはセイルが孕まないように一旦艇を風に立てます。これに合
わせてクルーはメインセイルを降ろします。
(ブームやメインセイルの着
水に注意しましょう)
③ メインセイルが降りたならば、スキッパーは船首を回頭しスロープに向
かいます。クルーはジブセイルをトリムし微速で進ませまながら、セン
ターボードの引揚げの準備を行ないます。
(ジブセイルは直ぐにシバー出
来るよう、ジブリーダーの元からジブトリムします)
④ スロープエンドに艇が近付いたならば、クルーはセンターボードを 1/2
迄、スロープエンドを過ぎた時点ではセンターボードを 1/4 迄引上げ、
着艇時には完全にボードはケース内に収納して於かなければなりません。
更に一連の作業に合わせてクルーはバウから海面に飛込むなどして艇が
スロープ底に接触しないように全身で艇を止めなければなりません。
スキッパーはこれに合わせて艇位の維持とラダーの引揚げに努めます。
⑤ 着艇したならば、クルーは艇がスロープ底に接触しないように現状を維
持し、スキッパーは陸へあがってトラックを持って来ましょう。
⑥ 艇の引揚げでは、出艇時とは逆にスキッパーがトレーラーの取手を持ち、
クルーがスターンを押し上げてバースまで移動します。
アビーム(ABEAM)-ウィンドアビーム(WIND-ABEAM)
艇の真横の風位でセーリングしている状態。ビームリーチと
同じ。
②
ウェーキ(WAKE)
走航時に艇の後方に現れる引き波。
ウェザーヘルム(WEATHER-HELM)
セーリング時に風上側へ切り上がろうとする舵の状態。リー
ヘルムの対語。軽度のウェザーヘルムは問題を起こさないが、
強い場合はティラーを常に大きく切ることになるので、ヘル
ムスマンを疲労させる。また切ったラダーが、大きな抵抗と
なって艇を減速させる原因となる。
ウラカゼ(ABACK)
裏風。風下側から風を受け、セールがバタついた状態、もし
くは裏帆にしたセールが風を受け止めている状態。
オーバートリム(OVER-TRIMMED)
シートを引き込みすぎて、セールが適切なアタックアングル
よりも引き込み過ぎとなった状態。ヒールは強くなるので、
スピードが出ると誤解しやすいが、セールの効果が下がるの
でスピードは落ちる。
オーバーヒール(OVER-HEEL)
限度以上に大きく傾くこと
オーバーラップ(OVERLAP)
レース中に 2 隻のヨットが前後方向に対して重なり合って
いる状態。オーバーラップすると追越される艇であっても、
風上艇が避航する義務が生じる。
カザミ(KAZAMI)
風見。目に見えない風を、視覚で分かり易く風向を示すため
に設置したリボン、毛糸、吹き流しなど
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カゼノシフト(WIND-SHIFT)
風のシフト。風向の変化。シフトの周期には数分の短期的な
シフトから、気圧配置の変化による中期的な変化、更に長期
的な季節による変化がある。
カンノンビラキ(WING-AND-WING)
観音開き。ランニング時にウィスカーポールを利用してジブ
をメインとは反対舷へ展開してセーリングするセイル状態。
クォーターリー(QUARTERING)
ヨットが斜め後ろからの風を受けてセーリングしている状
態。長時間でも快適にセーリングできる絶好の風位。ブロー
ドリーチに同じ
クリアスターン(CLEAR-ASTERN)
他艇のトランサムの延長線上より、自艇の船体もしくは艤装
が後方にあり、オーバーラップしていない場合の自艇の状態。
クリアヘッド(CLEAR-AHEAD)
他艇の船体もしくは艤装が、自艇のトランサムの延長線上よ
り後方にあり、オーバーラップしていない状態。
クルー(CREW)
乗組員
クローズホールド(CLOSE-HAULED)
一番風上側への風位でセーリングしている状態。
クローズリーチ(CLOSE-REACH)
クローズホールドとアビームの間の風位でセーリングして
いる状態。
ゲイカク(ATTACK-ANGLE)
迎角。迎え角。アップトリム。アタックアングルに同じ。
コウリョク(DRAG)
抗力。センターボードやセイルなど、水や空気の流れに中に
おかれた物体に働く力のウチ、流の速度方向に平行で逆向き
の成分。流れの速度方向に直角な成分は揚力。
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コウロケン(RIGHT-OF-WAY)
航路権。船舶が互いの衝突を避けるために、走行の状態によ
りどちらが避航すべきか、保持すべきかが定められている。
コースを保持することができる船舶が航路権を持つとする。
ヨットレースでは、さらに詳しいルールを適用している。
サーフィング(SUEFING)
セーリング中に後方から受けた波の力によって、ハルが浮き
上がり、艇が滑走状態になること。
サギング(SAGGING)
ジブシートの張力によって、直線状のフォアステーが弓なり
に湾曲する状態。その結果、ジブの中央部のドラフトが深く
なり、強風でのクロースホールドでは、のぼり角度が悪くな
る。
サバイバルセーリング(SURVIVAL-SAILING)
荒天時のセーリングの一種であるが、さらに激しい嵐に遭遇
したときに生存を賭けて生き抜くためのセーリング技術の
こと。
シーイー(CENTER-OF-EFFORT)
CE。セールの効果中心。効果中心はそれぞれのセールの面積
中心(重心)位置となる。セールが複数ある場合は、それぞ
れの CE の内分点が CE となる。CE が CLR より後方に位置す
るとウェザーヘルムとなる。
シーエルアール(CENTER-OF-LATERAL-RESISTANCE)
CLR。水中側面積中心。CE と対語。
シーマンシップ(SEAMANSHIP)
船を操縦し、運航するための技術のこと。精神的な意味はな
い。
シケ(STORM)
時化。嵐に同じ。
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シッソク(STALL)
失速。セイルの引き込み過ぎた時に風下側の流れが全面的に
剥離し、揚力が減少、抗力が増大する時に起きる現象。オー
バートリムによって起こるストールに同じ。
シバー(SHIVER)
セイルが風を受けないで、はためいている状態。
シフト(Wind-SHIFT)
風向が短期的に変化する事。
ジャイブ(JIBE)
風下側へ向けて風位を越えて方向転換する事。タックの対語。
ステアバイザウィンド(STEER-BY-THE-WIND)
決まったコースを保つのではなく、風のシフトに合わせて、
同じ風位でセーリングするようステアリングすること。
ストール(STALL)
セイルの引き込み過ぎた時に風下側の流れが全面的に剥離
し、揚力が減少、抗力が増大する時に起きる現象。オーバー
トリムによって起こる失速に同じ。
スパンカー(SPANKER)
スターンに設置するブームを備えた小型のセール。パワーボ
ートでは釣りをするときなどに、バウを風上へ立てるのに使
用。使用船は停船している事が多いので、避航しなければな
らない。
ジャストトリム(JUST-TRIM)
セイルをシートで調節して、最も適切な迎え角になっている
状態。 ルーズトリム、オーバートリムの対語。
スピンネーカー(SPINNAKER)
フリー(ランニング)のセーリング時に使う袋状のセール。
シャワー(SHOWER)
波しぶきの事。スプレーに同じ。
スピンネーカーハリヤード(SPINNAKER-HALYARD)
スピンネーカーを揚げるためのハリヤード。
シングルハンド(SINGLE-HANDED)
一人で艇を操ること。
スピンポール(SPINNAKER-POLE)
スピンネーカーを展開するために風上側へ突き出すポール
スキッパー(SKIPPER)
艇長。ヨットやボート乗船時に於ける最終判断者、責任者。
スピンポール(SPINNAKER-POLE-LIFT)
スピンポールを上方へ引き揚げておくためのロープ。ダウン
ホールと共にスピンポールの高さを保つ。
スターボード(STARBOARD)
右舷の事。
スプレー(SPRAY)
波しぶきの事。シャワーに同じ。
スターボードタック(STARBOARD-TACK)
スターボードから風を受けてセーイングしている状態。ブー
ムを左舷に見て航行する艇位。ポートタックの対語。
スロット(SLOT)
ジブとメインセイルとの隙間。
スターントリム(TRIMMED-BY-THE-STERN)
イーブンキールに比べて重心が後により、スターンが沈み加
減のトリム状態。スターン沈。
スロットコウカ(SLOT-EFFECT)
スロット効果。スロットによりメインセールの裏側を流れる
風を加速し、メインセールの効率を高めること。
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セーフリワードポジション(SAFE-LEEWARD-POSITION)
クローズホールドでセーリングしているとき、自艇が相手艇
の風下側から少し前に出た有利な位置。相手艇は追い抜くこ
とができない。
セイルトリム(SAIL-TRIM)
風位に合わせて推進力が大きくなるよう、セールの角度を調
節すること
ダウンウィンド(DOWNWIND)
目的地が風下側となるような風向の風、もしくはランニング
でセーリングしている状態の風
タッキング(TACKING)
風上側へ風位を越えて方向転換すること。ジャイブの対語。
ツイスト(TWIST)
セールのねじれのこと。ジブでは、ジブシートリーダーを後
方へ移動するほどツイストが大きくなり、ジブの上部から風
が逃げる。ジブではラフの上部から下部まで、同時に裏風が
入る状態にするのが、最も適切なツイスト量となる。メイン
セールのツイストは主にブームバングで調節する。
テイシン(BOAT-LENGTH)
艇身。自分の艇の長さ。接近した距離の大まかな目安。
ディンギー(DINGHY)
小舟。キールの代わりにセンターボードを備えている小型ヨ
ット。
デッドゾーン(DEAD-ZONE)
クローズホールドでもセーリングができない、風上側の風域
のこと。
テルテール(TELLTALL)
風の流れ具合を観察するためにセールに取り付けた細長い
糸、もしくはテープ。
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トゥルーウィンド(TRUE-WIND)
真の風。静止した状態で受ける風速、風向のこと。アパレン
トウィンドの対語。
トラッピ-ズ(TRAPEZE)
クルーが体重移動のために舷外へ乗り出すときに、胸元を吊
り揚げておくワイヤロープと金具。セーリングディンギーで
使う。
トリム(SAILTRIM)
セールトリムに同じ。
ナミカジ(COUNTER-STEERING)
波舵。艇が後進するときに、バウを向かせようとする方向と
は反対側へ、舵を切ること。たとえばヒーブ・ツーを行うと
きに、行き足が止まった状態で、ティラーを風下に切ること
ノボリ(CLOSE-HAULED)
上り。クローズホールド。
ハイクアウト(HIKE-OUT)
体重をかけてヒールを起こすために、舷外へ体を乗り出すこ
と。レーサーやセーリングディンギーでは、艇のバランスを
取るために強風時に行うことがある。
バウトリム(TRIMMED-BY-THE-BOW)
イーブントリムに比べて重心が前に寄り、バウが沈み加減の
トリムの状態。バウ沈。
バックウィンド(BACK-WIND)
風上に位置する艇のセールによって、ほぼ並んでセーリング
する艇のセールに裏風が入った状態のこと。相手をバックウ
ィンドへ入れると有利な位置を占めることができる。
パドル(PADDLE)
櫂かい。手で持ち、直接水をこぐ器具。
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ヒーブツー(HEAVE-TO)
セーリング中にセールの前後進力をつり合わせて一時的に
停船状態にすること。
ヒール(HEEL)
艇が横方向へ傾くこと。
ヒールカク(HEEL-ANGLE)
ヒール角。艇が横方向へ傾いている角度。
ヒキナミ(WAKE)
引き波。船舶が走行して、後に残していく波。ウェーキと同
じ。
フウイ(POINTS-OF-WIND)
風位。自分に対して風が吹いてくる角度。風向に同じ。
ブームパンチ(BOOM-PUNCH)
ブームで頭部を打つこと。傷や落水の原因となる。ジャイビ
ング時のブームパンチは生命の危険も生じる。
フットベルト(FOOT-BELT)
セーリングディンギーのコクピットに張り渡してあるベル
ト。足首をかけてハイクアウトをする。
ブラインドセーリング(BLINDED-SAILING)
目をつむっていてもヨットをステアリングできる技術。
フリー(FREE)
クローズホールド以外の風位でセーリングしている状態。
プレーニング(PLANING)
滑走状態で走行すること。大ハンプを乗り超える大きなパワ
ーが必要となる。セーリングディンギーでは、しばしばプレ
ーニングをすることができる。
ブロー(BLOW)
一時的な短時間の突風のこと。
ブローチング(BROACHING)
艇が追い波で走行しているときに、ステアリングができなく
なり、波と共に横倒しとなること。艇が波頭の前面を滑り下
りる状態になったとき、舵が利かなくなるのが原因。船型に
より、ブローチングを起こしやすいタイプがある。
ブロードリーチ(BROAD-REACH)
ヨットが斜め後ろからの風を受けてセーリングしている状
態。長時間でも快適にセーリングできる絶好の風位。クォー
ターリーと同じ。
プロパーコース(PROPER-COURSE)
2目標を結んだ直線コース。ヨットレースの現行ルールでは、
スタート信号後は、プロパーコースをセーリングするヨット
を妨げることはできない。
ブラックバンド(BLACK-BAND)
I、J、P、Eの基点となる黒色の線。マストとブームにそ
れぞれ黒色の帯が貼り付けてある。
ベアアウェイ(BEAR-AWAY)
艇を風位の風下側へ向けること。ヘディングダウンと同じ。
ベア。
ブランケット(BLANKET)
建物や他の船の陰となり、風が遮られて吹いてこな
い状態。
ヘッダー(HEADER)
セーリングしていて、ヘッドダウンしなければならない風の
シフトのこと。リフトの対語。
ブランケットコーン(BLANKET-CONE)
他艇や陸地の建物などに風がさえぎられている局部的な地
帯
ヘディング(HEADING)
バウが向いている方位。
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ヘディングアップ(HEADING-UP)
艇を風位の風上側へ向けること。ラフィングと同じ。ラフ。
ヘディングダウン(HEADING-DOWN)
艇を風位の風下側へ向けること。ベアアウェイと同じ。ベア。
ベテラン(VETERAN)
経験が豊富で、確かな技量を持つヨット乗りのこと。自称ベ
テランは数多いが、シーマンシップの技術を幅広く、深く体
得しているヨット乗りは、非常に減少している。ビギナーの
対語。
ホイスト(HOIST)
セールを揚げること。セイルアップに同じ。
ヨウリョク(LIFT)
揚力。フィンキールやセールなど、水や空気の流れの中にお
かれた物体に働く力のうち、流れの速度方向に垂直の成分。
流れの速度方向に平行で後ろ向きの成分は抗力。
ラフィング(LUFFING)
艇を風位の風上側へ向けること。ヘディングアップと同じ
ラムライン(RHUMB-LINE)
2点間の直線コース。タイムラインに同じ。
ランニング(RUNNING)
真後ろから風を受けてセーリングする状態。
リーウエイ(LEEWAY)
偏流。風圧によって艇が横流れすること及び、その角度のこ
と。
ポート(PORT)
左舷のこと。
ポートタック(PORT-TACK)
ポート側から風を受けて、セーリングしている状態。ブーム
を右舷に見て航行する艇位。スターボードタックの対語。
ホープレスポジション(HOPELESS-POSITION)
クローズホールドでセーリングしているとき、自艇が相手艇
の風下側で風を乱された状態の位置。相手艇を抜き去ること
はできない。セーフリーワードポジションの対語。
マストベンド(MAST-BEND)
マストを後方へ曲げること。
ムカエカク(ATTACK-ANGLE)
迎角。迎え角。アップトリム。アタックアングルに同じ
メインシート(MAIN-SHEET)
メインセールをトリムするためのシート。テークルでブーム
から取る。
メインセイル(MAINSAIL)
メインマストに揚げる大きなセール。
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リーチ(LEACH)
セールの 3 辺の、後辺のこと。
リーヘルム(LEE-HELM)
セーリング時にバウが風下側へ向かおうとする状態。ウェザ
ーヘルムの対語。
リフト(LIFT)
クローズホールドでセーリングしていて、さらにヘッドアッ
プできる風のシフトのこと。
ルーム(ROOM)
操船する余地。レース中ではマーク回航時、タッキング時な
どに相手艇へ要求すること
ができる。
レイライン(LAY-LINE)
目的地へ直線で行くことができるコース。レース中では、タ
ックしないでマークまでセーリングできる、最も風下側の直
線コース。
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レーティング(RATING)
ヨットレースのハンディキャップを決めるための、ヨット各
部を測定して得た数値を基にした計算式。異なったサイズや
型式のヨットでレースを行うときは、各艇にそれぞれのハン
ディキャップを設ける。
A
B
C
抗議機
D
E
I
J
マーク
位置変更
ローリング(ROLLING)
艇が横方向にゆれること。ピッチングの対語
F
G
H
ワイルドジャイブ(WILD-JIBE)
風向のシフト、または未熟なステアリングによって、突然に
起こるジャイブ。リグの破損や、クルーの頭へブームが激し
く当たる危険を招く。
ワイルドタック(WILD-TACK)
風向のシフト、または未熟なステアリングによって、突然に
起こるタッキング。予期しないヒールによって、クルーが落
水する危険を招く。
ワッチ(WATCH)
当直。航海中に交代で艇の操船に当たる時間。ディンギーに
於いては周囲の確認。
1 分ルール
ラウンドアン
エンドスタート
法式の採用
K
L
M
声の届く所まで
来い
本艇に着いて
来い
P
Q
N
代替マーク
R
レース中止
S
準備信号
U
O
T
コース短縮
V
W
X
Y
リコール艇あり
Z
Z 旗ペナルティ
方式スタートの
採用
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ゼネラルリコール
回答旗
延期・降下 1 分後
信号掲揚
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救命衣着用
【おことわり】
本書内の写真に関して、インターネット内の写真を参考資料として引用している物が
あります。
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