「今後の病院とこの地域の医療の展望について」 院長 丹羽治男

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東栄病院だより(社会医療法人財団せせらぎ会)平成 27 年
八
「お問い合わせ先」
月
東栄病院
下川診療所
号
「今後の病院とこの地域の医療の展望について」
8 月号
電話 79-3311
電話 76-0545
HP
http://toei-hos.sakura.ne.jp
E-mail
[email protected]
院長 丹羽治男
今我々がやろうとしていることは、地域の将来をより良い方向に向けていくための町を挙げての
取り組みの一環と考えています。従来病院の役割は皆さんの健康回復、維持のために、そして病気
を予防していくことにありましたが、今後皆さんの居場所の確保、そして役割の維持にお役に立て
ることが重要となります。
厚生労働省が言う所の地域包括ケアシステムは、団塊の世代が後期高齢になり高齢者のピークを
迎える 2025 年を見越しての対策です。医療、保健、介護、福祉、住環境の分野がそれぞれ協力して、
1 人の老人を支えようとするものです。しかし、それぞれの分野にはそれぞれ法律の壁があり、厚生
労働省以下、愛知県も東栄町も法律ごとの縦割り状態です。東栄町では高齢者人口のピークをすで
に数年前に過ぎており、時代の先端を行くいろいろな問題を抱えています。
これまでの病院では、一般病床では医療、老健では介護を提供してきましたが、それぞれしっかり
やろうとすればするほど、その間で困る方が出てしまいました。人手不足がその状況に拍車をかけ
ました。また我々の努力がかえって医療、介護に依存する構造を強化する方向に進んでしまった印
象がありました。
さて地域の将来を守るには地域ぐるみで地域の将来を意識するしかありません。一昨年来、日本
創生会議発の自治体の消滅可能性がいわれています。限界集落という言葉もすでに一般的なものと
なりました。国や県は今後の予測はしてくれますが、個々の集落の将来を保障してくれるわけでは
ありません。そこに住むみなさんが地域の将来のために考え、そして最期の間際まで役割を果たし
てもらうことが大切です。
この4月に介護保険制度の改革がありました。施設入所は要介護 3 から、要支援ではホームヘル
プサービスの制限やデイサービスに行けなくなるなど、公的サービスへの依存度を下げる方針が打
ち出されています。国の借金は 1000 兆円を超えました。愛知県は住民一人当たり 65 万円、東栄町
では住民一人当たり 85 万円の借金があります。確かにお金の問題は深刻です。公的サービスを担う
人手不足の問題もあります。しかしそれだけではありません。介護保険は、便利で有効なサービス
であった反面、人間関係を薄くし、世代を分断してしまうなど、家、地域の崩壊を進めてしまった
のではないでしょうか。
施設入所の敷居が上がったこと、そしてデイサービスの制限などにより、それらに変わる地域の
中での居場所づくりが差し迫って必要となりました。地域の方が介護する側、高齢者が介護をされ
る側となります。しかし地域を守る、つなぐ視点から眺めてみたらどうでしょうか?地域の中で大
切なものを守るためには、それを教える側と学ぶ側、伝える側と受け継ぐ側が必要です。そこでは
介護をする側される側と立場が逆転します。そして時間とともに立場が入れ替わっていきます。こ
んな構図が、お年寄りを骨の髄まで地域に生かす方法ではないかと東栄町では考えました。お年寄
りを最期まで生かす、地域で大切なもの、大事なことをお年寄りから学ぶ、そして次世代へ伝える、
そんなしくみが地域を将来へつなげる現在もっとも有効な手立てだと思います。
すでに区長会でアナウンスがありましたが、2 年の間に全地区で高齢者の居場所となるサロン立ち
上げることになりました。今年はモデル地区の開所を予定しています。その取り組みを地域包括支
援センター共々全面的に応援したいと考えています。
これら東栄町全体の取り組みにあわせて、病院でも自宅へ帰るための取り組みを行い、より早く、
生活を意識した医療、介護を新しい統合された病棟で行いたいと思います。
第 4 期介護保険計画作りのためのアンケートで東栄町の高齢者は、「現状に満足しているが、将
来は家も地域もなくなるであろう」と考えていました。皆さんはいかがでしょうか?あきらめるこ
となく一緒にこの地域を将来へ繋げなければなりません。地域の将来のために「自分には何ができ
るのか?」、是非自問してください。戦略は「生かす、学ぶ、伝える」です。そして地域包括ケア
はそのための有力な戦術になりうると考えます。
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東 栄 病 院 だ よ り (社会医療法人財団せせらぎ会)平成 27 年
8 月号
「外来業務の紹介」
外来では、午前中内科、整形外科の診療と健診、木曜日に循環器の診療を行
っています。午後は、火曜日に耳鼻科、第1、第3金曜日に精神科、金曜日に
下川診療所で眼科の診療を行っています。また、往診や手術も行っています。
その日の予約状況により、待ち時間が長くなってしまい御迷惑をお掛けする事
もありますが、少しでもスムーズに、また安心して診察が受けられるよう、ス
タッフ一同、頑張っていきたいと思いますので御理解と御協力をお願いします。
地域のみなさんが、元気にそして最期まで住み慣れた場所で生活できるよう、
お手伝いしていきたいと思います。
☆脳トレーニング☆
「病院からのお知らせ」
●今月の精神科●
8月7日(金)、21日(金)13:00~15:30です。ご不明な点はお問合せください。
●今月の日曜外来●
8月2日(日)、9日(日)、23日(日)7:45~11:45の受付です。
●東栄病院地区懇談会日程●
8月25日(火)午後7時30分から、中設楽生活改善センターにて開催します。
丹羽院長と包括支援センターが健康についてお話します。皆さん、お誘いの上ご参加ください。