腎盂・尿管がん

腎盂・尿管がん
腎盂・尿管がんとは
腎盂尿管がんは、腎実質で作られ排出された尿が最初に流れこむ腎盂とそれを集めて
膀胱に運ぶ尿管に発生するがんで、上部尿路がんとも呼びます。頻度は膀胱がんの約
1/20 です。腎盂がんは尿管がんよりやや多く、尿管がんは尿管の下 1/3(下部尿管)
に多いといわれています。膀胱がんと同じく、男女比は 2~4:1 で、高齢になるほど発
生頻度は高くなり 50~70 歳台に好発します。
腎盂・尿管がんの症状
膀胱がんと同様、初発症状としては肉眼的血尿最も多いです。また、がんの進行・増
大やその部位からの出血による血液の固まりが原因で尿管が閉塞した場合、尿が閉塞部
位より下流に流れなくなり上流の腎盂・尿管の拡張がおこります。いわゆる水腎症と呼
ばれる状態が急に起こるため、がんのある側の腰背部痛や側腹部痛を伴うこともありま
す。
腎盂・尿管がんの診断
腹部超音波
侵襲の少ない簡便な検査で、血尿のスクリーニングとして施行します。腎盂内の腫瘍
の有無や、水腎症の有無、リンパ節や肝への転移の有無などがわかります。
静脈性尿路造影
静脈内に注射された造影剤(レントゲン非透過性)が腎臓から尿中に排泄されると尿が
レントゲン写真に写るようになることを利用して尿路を描出する検査方法です。腎盂尿
管がんの症例の 90%以上に異常所見がみられます。
逆行性腎盂造影
罹患側の腎機能が低下しているため上記の静脈性尿路造影検査で尿路が造影されな
い時などに行います。逆行性に尿道、膀胱を経て尿管内に細いカテーテルを挿入し、直
接造影剤を注入して病変を描出する方法です。同時に腎盂や尿管の尿を選択的に採取し、
細胞診検査に提出することができます。
腎盂尿管鏡
内視鏡で腎盂尿管を観察することで、直接腫瘍を発見することが可能で、その腫瘍組
織を少量採取(生検)してがんの病理学的診断が可能です。
CT、MRI
がんの浸潤程度、転移の有無などを検索するのに有用です。造影検査で腫瘍は軽度の
造影効果を示します。尿管結石や腎がんとの鑑別にも有用です。
腎盂・尿管がんの治療
転移が無い場合、患側の腎・尿管および尿管開口部周囲の膀胱壁を合併切除します。
尿路がんの多発性を考慮した最も標準的な治療法です。腎がんと同様に腹腔内視鏡手術
で行います。
病理組織検査にの結果により、抗がん剤治療を行うことがあります。