学生・教職員教育改善委員会 学生・教職員教育改善委員会 天 1 野 憲 副委員長 樹(教育開発センター) 学生・教職員教育改善委員会の役割 本委員会は,本学の特色あるFDとして平成13年度から本格的に推進している学生 参画型の教育改善の中核的存在として機能している組織である。当初は,FD専門委員 会の下部委員会的な学生・教員FD検討会として活動を推進してきたが,平成16年7 月以降,現在の名称に変更し,組織強化が図られている。 会則に規定された本委員会の活動内容は以下の4点であり,これは上記の学生・教員 FD検討会からのものを引き継ぐものである。 (1)授業改善の企画・提言に関すること。 (2)カリキュラムの企画・提言に関すること。 (3)新しい授業科目の企画・提言に関すること。 (4)その他教育の改善に関すること。 本委員会は,これらに関する協議・検討を綿密かつ効率的に行うため,いくつかのワ ーキンググループ(WG)に分かれて恒常的な活動を行うことにより,本学の教育改善に 学生の視点を十二分に活かす役割を担っている。 2 平成21年度の活動について 前年度をもって,「特色ある教育支援プログラム(特色GP)」の経費支援期間が終了 したことを受け,当初は活動の縮退が懸念されたが,幸い学内COEの取組として採択 され,これまで同様の活発な活動を展開することができた。 今年度の主な活動内容としては,以下の6点が挙げられる。 (1)新入生対象の学部別履修相談会の実施 (2)学生発案型授業の企画・開講 (3)教員研修(桃太郎フォーラム)への積極的な参画 (4)第6回教育改善学生交流(i*See2009)の実施 (5)第2回岡山大学フリーディスカッションの実施 (6)新入生用ラーンニングチップスの改訂 上記(1)の履修相談会は学内の行事として完全に定着した感がある。今年度の履修相談会にお いて特筆すべき点は,学生ボランティアの参加者が昨年度までと比較して飛躍的に増えた点で ある。これはとりもなおさず,本委員会による履修相談会の知名度と意義が多くの学生から認 知されたことを意味する。この履修相談会は新入生のためだけではなく,高年次のボランティ ア学生に,履修という行為を通して学問への姿勢に対する「気づき」を喚起するものである。 それゆえ,ボランティアの学生が増えることは履修相談会の表面的な成功以上の意味を持って いる。 上記(2)については,昨年度から取り組んできた学生発案型授業(「知らなきゃやばい,大人 のマナー」)を開講した。また,学生発案型授業に関する調査についても検討を開始した。学 生が学生発案型授業の創作に関与するのは,その開講までである。しかし,年月の経過ととも - 31 - に,創作に関与した学生の視点と受講学生のそれにギャップが生じることも考えられる。その ため,学生発案型授業が学生の視点を活かしたものとなっているか否かを学生に評価させる調 査が望まれる。これは,学生発案型授業の進化・発展形である学生参画型授業の実現を視野に 入れた計画である。諸般の事情により,本調査の実施は来年度以降に持ち越されたが,こうし た調査の検討は,これまで開講するだけであった学生発案型授業の在り方を改めて問い直す非 常に良い機会となった。 上記(3)については,今年度の桃太郎フォーラム・第4分科会(テーマ:「学部・学科等にお ける学生参画型FD活動」)において,本委員会の学生委員と職員委員が指定討論者になり, 全学的な学生参画型FD活動と各学部・学科等におけるそれらとの連携・接続についてコメン トした。本分科会により,本学の学生参画型FD活動が本委員会によるものだけでなく,意識 の高い教員のもと,各学部・学科においても着実に浸透しつつあることが判明し,学生参画型 FD活動の全学的な展開に期待が持てた。 上記(4)のi*See2009では,「大学の教育改善活動における学生と職員の重要性」を テーマとし,学生と職員による教育改善活動に関する講演とディスカッションを行った。FD からSDへという流れから,職員も含めた広義のFDが拡がりつつある昨今でも,職員が職員 の立場で教育改善にどう関与していくかを自らの言葉で発信するケースは非常に稀である。こ うした機会を敢えて設けたi*See2009は参加者からの評価も非常に高かった。また,i* See2009は,本年度採択の大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム「『岡 山オルガノン』の構築-学士力・社会人基礎力・地域発信力の融合を目指した教育-」が 共催として加わった点も特筆すべき点である。「岡山オルガノン」において,本学が期待さ れている点は,学生参画型FD活動の普及とノウハウの公開であり,i*See2009がその最 初の貢献となった。 上記(5)は昨年度に第1回が開催された学内向けのFDイベントであり,学内の教職員と学生 が本学の教育改善について自由闊達に議論するものである。今回は前回の内容を踏襲しつつ, 昨年とは時期を変えて開催した。結果から言えば,参加者が少なく課題は残ったものの,本イ ベントの定例化への道筋を付けることができた。 以上に加え,昨年度と同様に,記載事項の情報が古くなった新入生向けの大学生活手引き「ラ ーンニングチップス」の改訂も行った(上記(6))。 3 平成22年度への課題について 昨年度をもって特色GPとしての本委員会の活動は終了した。こうした経費支援の終 了とともに活動自体が実質的に終了してしまう取組が多いなか,本委員会の活動が前年 度と変わらず活発な活動を展開できたことは,学内COEという新たな経費の支援があ ったことを差し引いても評価に値し,今後の展開が十分に期待できる。また,本委員会 の活動は「岡山オルガノン」という舞台での役割も非常に期待されている。来年度は定 例化した履修相談会やi*Seeなどこれまでの活動を継続的かつ精力的に実施し続け ていくのはもちろんのこと,「岡山オルガノン」において,岡山県内15大学に学生参 画型FD活動の促進・普及を図るべく,努力していく。また,上記で述べた学生発案型 授業に関する調査を実施し,従来の学生発案型授業を超えた次のステップである学生参 画型授業へと踏み込む準備を行い,学生参画型FD活動の深化と発展を目指す。 - 32 -
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