29P-0403 シクロデキストリン添加によるリスペリドンと緑茶カテキンとの不溶性複合体形 成抑制効果 森永 理香 1 , 池田 浩人 1 , 湯川 美穂 1 , ◯森脇 英恵 1 ,松原 友規 1 ,西 美樹 1 , 1 1 福岡大薬,2 第一薬大) 湯川 英二 2 ,安藝 初美( 【目的】risperidone(RISP)内用液は水やジュースで希釈してから服用するよう指 導されている一方、緑茶で希釈すると RISP 含量が低下することが知られている。 これは緑茶カテキンである epigallocatechin gallate(EGCg)と RISP との不溶性複 合体形成に起因しており、1)既に RISP と EGCg の混合溶液中にシクロデキストリ ン類(CDs)を添加すると不溶性複合体形成が阻止されることを報告している。2) 今回は CDs の添加順序が不溶性複合体形成抑制に及ぼす影響について検討した。 【実験】CDs 添加濃度をモル比(RISP : CDs)= 1 : 1 ~ 1 : 5 に調整した。また、pH3.5 の酒石酸緩衝液で 3 種類の試料を調製した。 (a)RISP と EGCg の混合溶液に CDs を添加、 (b)RISP に CDs を添加した溶液に EGCg を混合、 (c)EGCg に CDs を 添加した溶液に RISP を混合:RISP 含量は HPLC で測定した。 【結果】緑茶カテキンとの不溶性複合体形成によって、RISP 含量が約 64 %に低下 したが、β-CD, HP-β-CD ではモル比(RISP : CDs)= 1 : 1、γ-CD では 1 : 4 で CDs を添加すると、CDs 添加順序に関わらず、RISP 含量は 90 % 以上に回復した。CDs によって RISP の含量低下が阻止できるのは、① CDs は RISP との複合体を形成 せず EGCg と複合体を形成すること、および② EGCg-RISP と EGCg-β-CD の複 合体形成定数がそれぞれ 8.45×102 , 2.10×104 であること 2) を考慮すると、水溶液 中、RISP が緑茶カテキンと不溶性複合体 EGCg-RISP を形成しても、CDs 添加に よって可溶性複合体 EGCg-CDs を形成するためであることが判明した。 1) H.Ikeda, et al., YAKGAKU ZASSI, 130,1589-1595 (2010) 2) 森脇, 池田, 大山, 湯川, 岩瀬, 安藝, 第 46 回熱測定討論会 要旨集(2010)
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