当院における運動療法の 実態調査 援腎会すずきクリニック ○原 博子、鈴木 翔太、本田 周子、鈴木 一裕 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【目的】 • 透析中の運動療法の効果については数多く報告さ れており、当院でも透析中にベッド上で行えるエルゴ メーターを用いた運動療法を取り組んできた。 • 今回、継続的な運動を勧める中で運動療法の有用 性と、透析中のエルゴメーター参加群と不参加群の それぞれの特徴を検討した。 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【方法】 検証1.透析中のエルゴメーターを継続して2年経過している 患者18名の筋肉量の変化を調査した。 検証2.現在エルゴメーターを行っている患者39名に運動開始 前後での変化を聞き取り調査をした。 検証3.2年の間に途中離脱した6名には、その理由を聞いた。 検証4.エルゴメーターを行っている患者39名と、本人が希望 せずこれまでに一度も行ったことのない患者25名との 比較をした。 • 筋肉量については、高精度体成分分析装置(In Body720) を用いて測定した。 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【エルゴメーター】 電動アシスト付 アシストなし 体力のない人でも無理 なく運動が行える 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【透析中のエルゴメーター】 透析開始30分後、状態が安定していることを確 認し、スタッフがベッド上にエルゴメーターを設置 ※電動モーターなしのエルゴメーター使用 初級(n=21) 中級(n=7) 上級(n=4) 電動アシスト あり あり (なし)※ スピード1) 1 6~8 - アンクルウェイト2) なし 2~4kg 8~10kg 1)スピード幅:1~12段階 2)足首におもり装着:両足合計 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証1.筋肉量評価対象】 エルゴメーター2年以上継続患者:18名 年齢 69.1±7.3 歳 DW 61.2±10.0 kg 透析歴 82.8±46.4 ヶ月 DM:nonDM 14 : 4 透析時間 5.3±0.7 時間 QB 322.8±51.3 mL/min Kt/V 1.96±0.34 2014年10月現在 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証1.】筋肉量と体重(エルゴメーター継続2年以上18名) [kg] 65.0 n.s. n=18 60.8 60.0 60.1 +700g 55.0 50.0 45.0 40.0 n.s. -300g 39.9 40.2 35.0 H24.11 H26.10 筋肉量 体重 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証1.】筋肉量比較 当院エルゴ継続患者18名 54~84歳 Ave.38.2kg 差は -2.4kg 55~84歳 Ave.40.6kg ※「日本人筋肉量の加齢による特徴」谷本ら 日老医誌2010;47:52―57 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証2.聞き取り調査対象】 現在エルゴメーター施行中患者:39名 年齢 70.5±8.7 歳 DW 59.1±11.7 kg 透析歴 58.3±43.8 ヶ月 DM:nonDM 29 : 10 透析時間 5.1±0.5 時間 QB 323.1±54.3 mL/min Kt/V 2.10±0.43 2014年10月現在 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証2.】運動開始前後での変化 n=39 3% 5% 18% 26% 血圧が下がらなくなった 運動するきっかけになった 筋肉がついた 10% 動くのが楽になった 特になし その他 38% 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証3.】離脱理由(6名) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 50代 男性・・・寝たい 50代 男性・・・面倒くさい 60代 男性・・・エルゴでは物足りない 60代 男性・・・自分でスポーツクラブに通い始めたから 80代 男性・・・おしりが痛い 80代 女性・・・血圧が低い 年齢層の若い群では消極的な意見が聞かれる が、高齢になるにつれて体力的に継続が困難な 方や、合併症により制限されてしまうケースがみ られた。 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【検証4.】参加群と不参加群の特徴 参加群(n=39) 不参加群(n=25) P値 年齢 70.5±8.7 歳 64.8±9.7 歳 0.017 DW 59.1±11.7 kg 58.8±10.8 kg n.s 筋肉量 38.2±7.6 kg 42.0±6.6 kg 0.05 透析中の睡眠 41% 48% n.s 透析時間 5.1±0.5 時間 4.7±0.3 時間 0.0011 日頃、活動量の少ない高齢者で、透析時間の長い患者に 優先的にスタッフが勧めていた 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【透析中の運動療法】 エルゴメーター バランスボール トレーニングバンド 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【考察】 • 筋肉量は加齢とともに低下していくものであり、高齢 者にとっての運動療法とは日常生活における運動能 力の維持が第一と考える。また、定期的な運動習慣 のある透析患者は運動を全くしていない患者と比較 して生命予後がよいことや、運動の回数が多いほど 生命予後がよいことも報告されている。1) • 透析中の運動を継続させるためには、スタッフが患 者に対し無理なくエルゴメーターを行うためのアドバ イスや、参加への声かけを積極的に行っていく必要 がある。 1)Tentori F, Physical exercise among participants in the Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study (DOPPS): correlates and associated outcomes. Nephrol Dial Transplant. 25:3050-62. 2010 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 【結語】 • 透析中のエルゴメーターは運動習慣のきっかけとな り、筋肉量維持につながっている。 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会 透析運動療法研究会 CO I 開示 筆頭発表者名: 原 博子 演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある 企業などはありません。 2015年2月22日(日) 第5回透析運動療法研究会
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