神経内科 脳卒中専修プログラム

脳卒中専修コース
当院は地域医療支援病院であり、以前から脳卒中の多い病院であったが ER を併設した救命救急
センターができたことにより患者数が増加、2013 年には神経内科、脳外科を併せて脳梗塞 339 名、
脳出血 104 例、くも膜下出血 29 例、その他 5 例であった。脳卒中診療については高知県で患者数、
医師数の最も多い病院であり、急性期治療から隣接の回復期を担う近森リハビリテーション病院、
地域の維持期病院から開業医、慢性期病院を含めトータルな脳卒中診療のできる診療体系ができ
ている。脳卒中専修コースはそのような特性を活かして脳卒中診療に特化した研修コースである。
GIO(一般目標)
【1 年目】
後期研修 2 年目からの脳卒中専修コースに入る前に、脳卒中診療に必要とされる主として循環
器系の検査実技の習得や、脳卒中合併症として多い肺炎など感染症治療や、電解質異など全身管
理能力習得を目標として内科系の病棟で研修を行う。また、この間、将来の神経内科認定医試験
に対応できるように種々の神経疾患患者を受け持つ。また、脳卒中患者で重要な栄養管理とリハ
ビリについては、NST チーム、リハビリチームに各 1 か月間所属・行動をともにしてその意義を
理解する。
【2 年目】
ER(救急外来)にてクモ膜下出血・脳内出血・脳梗塞患者の診断、救急処置を中心的に研修。特
に意識障害などの患者の中から脳血管障害患者を鑑別する能力をつけるようにする。またERよ
り急性期病棟に入院になった患者については、原則として退院時まで主治医となる。
【3 年目】
ICU および脳卒中専門病棟(SU)における治療を中心として症例を重ねる。特に入院患者では、
上級医として二人主治医の責任者になり、若年医師を指導する。また3年目は、神経領域の特殊
検査について集中的に訓練し、体得するものとする。
【4 年目】
ER から急性期診療、回復期病院でのリハビリ、在宅あるいは長期療養型病院までの一連の患者
の流れを、全体的に評価できるようにする。そのため半年間は回復期リハ専門病院(近森リハビ
リテーション病院)にて研修する。
SBO(行動目標)
【1 年目】
1)目標症例数
目標疾患
主として脳卒中以外の神経疾患
100 例
一般内科疾患
50 例
①頸動脈エコー
100 例
②経胸壁エコー
100 例
③経食道エコー
20 例
④髄液検査
30 例
⑤針筋電図検査
10 例
2)目標習得検査
⑥脳波検査
【2 年目】
100 例
1) 目標症例数
クモ膜下出血
10 例
脳内出血
30 例
脳梗塞
100 例
2) 履修目標
① ACLS習得および ER における一般救急処置
② 神経所見が完全に取れる
③ 脳卒中患者の救急処置・検査など
④ 脳卒中患者の治療・リスク管理
⑤ 画像診断の習熟:CT,MRI,MRA,頚動脈エコー
⑥ 全身管理能力、特に合併症の診断と治療
・ 肺炎、心不全、けいれん発作など
・ 慢性疾患(脳卒中のリスク管理):高血圧、DM など
・ 不整脈治療
⑦ 廃用症候群の予防(急性期リハ)
⑧ リハビリカンファレンスでは中心的な役割を担う
【3 年目】
1) 観血的検査方法の習得
① 脳血管撮影
② 頚動脈エコー
③ 脳槽・脊髄造影など
2) 血栓溶解療法の経験および技術の修練開始
3) 脳神経外科手術経験(硬膜出血例など)
4) リハビリカンファレンスでのチームコーディネーターとしての役割の理解
5) 病診連携の理解
【4 年目】
1) 回復期リハ病院での研修
回復期リハ患者の診察・治療のほか、在宅看護あるいは長期療養型病院への転院等、在
宅サービス部門や公的機関との連携について中心的役割を果たす。
2) 看護婦教育、神経セミナーなどで中心的役割を担い、脳卒中教育を主導できるようにす
る。
3) 脳卒中再来外来を週一回行う。
4) 希望あるいは研修先があれば1~3ヶ月程度を目途に、国内外に派遣研修する。
5) 上級医として前期研修医、後期研修 1-2 年目の研修医を指導する。
LS (方略)
Learning Strategies
OJT(On the Job Training)
1) SCU 入院患者(10 人前後を受け持つ)の診断、治療、処置、全身管理を行い退院あるいは
転院つなげる一連の流れを理解し実践する。
2) 2 年目には初期研修医の指導、教育にあたる。3 年目以降は後期研修医の指導、教育に
当たる。
3) 専門外来で週 1 回、入院患者の退院後フォローなどを行い、3 年目以降は紹介患者の
診察、指導医とレビューを行う。
4) 2 年目以降、神経疾患の救急受診・院内コンサルテーションに、 first call として
対応する。
勉強会・カンファレンス(Off the Job Training)
毎週:リハビリカンファレンス
月1回:脳神経外科・神経内科・リハビリテーション科合同症例検討会
3-4 ヶ月1回:脳卒中連携カンファレンス
急性期と回復期の地域医療講演会
学術活動
○下記各種学会(総会、地方会)で学会発表
地方会
年 2-3 回
総会
年 1 回程度
国際学会
数年に1回程度
○論文発表
学会発表事例を含め年 1 回程度論文記載
1) 高知県脳卒中連携懇話会
2) 口のリハビリテーション研究会
3) 高知県脳卒中研究会
4) 日本神経学会
5) 日本内科学会
6) 高知県医師会学会
7) 高知神経内科研究会
8) 日本脳神経学会
9) 中四国脳卒中研究会
10) 日本老年神経外科学会
11) Neurosurgery カンファレンスIN高知
12) 日本リハビリテーション医学会学術集会
13) リハビリテーションケア合同研究会
週間スケジュール
月
午前
火
水
木
金
8:00~
8:00~
8:00~
8:00~
8:00~
SCU カンファ
SCU カンファ
SCU カンファ
SCU カンファ
SCU カンファ
病棟
病棟
病棟
病棟
病棟
研修医回診
病棟
病棟
総合回診
ER
神経画像検査
午後
17:00
サマリーチェ
ック
EV(評価)
Evaluation
形成的評価
○脳外科医を含む SCU 担当医から退院サマリーレビュー時に評価をうける。
○実技は脳外科医が指導し結果について評価を受ける。
総括的評価
○脳卒中専門医試験過去問演習を行い、解答過程を説明でき、正答が得られる
ことをもって総括的評価とする。