SNSサイトによる画像拡散防止の為の カメラアプリケーションの提案と

SNSサイトによる画像拡散防止の為の
カメラアプリケーションの提案と有効性の考察
2015 年 1 月 21 日
花川典子ゼミ
5111209 三俣 涼介
5111214 三村 沙織
1
内容
第1章
はじめに ...................................................................................................... 4
第2章
関連研究 ...................................................................................................... 6
JAVA について ........................................................................................ 6
第1節
第1項
JAVA の歴史......................................................................................... 6
第2項
JAVA の特徴......................................................................................... 6
SNSについて ........................................................................................ 7
第2節
第1項
SNS の機能 ........................................................................................... 7
第2項
SNS の歴史 ........................................................................................... 8
第3章
セキュリティソフトについて .................................................................... 10
第1節
セキュリティソフトの歴史..................................................................... 10
第2節
セキュリティソフトの種類..................................................................... 10
第3節
セキュリティソフトの仕組み ................................................................. 11
第1項
ヒューリスティック検知法 ................................................................. 11
第2項
パターンマッチング検知法 ................................................................. 12
第3項
ウィルス定義ファイル ........................................................................ 12
第4章
システムの全体像 ...................................................................................... 14
第1節
システムの目的 ...................................................................................... 14
第2節
システムの概要 ...................................................................................... 14
第3節
新たな「善玉ウィルス」の概念.............................................................. 15
第4節
実現方法
第4節
亜種配信 ................................................................................................. 16
第5章
バイナリの追加..................................................................... 15
考察 ..................................... エラー! ブックマークが定義されていません。
第1節
市場性 .................................................................................................... 17
第2節
差別的優位性 .......................................................................................... 18
2
第3節
第6章
事業採算・収支予測 ............................................................................... 18
まとめ ........................................................................................................ 21
第1節
全体のまとめ .......................................................................................... 21
第2節
予想される課題 ...................................................................................... 21
3
第1章
はじめに
近年、SNS 上の「バカッター」と呼ばれる写真(図 1 参照)の大きな影響が社会的問題と
なっている、バイトによる「バカッター」写真でコンビニや居酒屋が一時休業や閉店に追
い込む等、深刻な影響を及ぼしている。
図1
SNS に投稿された問題写真
「バカッター」写真が世の中に広がる原因として、(1)注目されたいという心理、(2)
マイフレンド登録した友人しか見られないと思っていたのに他の人にも参照された(SNS の
使い方の未習熟)
、
(3)一度アップされた画像を削除しても、ネット上にすでにコピー画像
が広まっている、という3点に絞られる。(1)の若者心理はある程度理解でき、
(2)の問
題は昨今の SNS の複雑な機能と仕組みが次々と発展する中で万人への徹底教育は難しい。
そこで、
(3)の「一度アップされた画像は削除しても、ネット上に広まったコピー画像を
すべて削除することができない」問題を解決するアプリを提案する。これによって、
「バカ
ッター」写真の深刻な社会的影響を未然に防ぐとともに、
「つい、掲載してしまった」と後
悔した画像や映像がネット上に広がらない仕組みを確立できる。
そこで我々は新しいスマホ用カメラアプリを開発した。このカメラで撮影した画像や映
像は、問題画像を Facebook 等にアップしてしまったとしても、第三者のパソコンにダウン
ロードされることなく、他のサイトへ画像コピーされて拡散することはない。つまり、ア
ップした本人が「この画像はまずい」と判断した時点で自分の Facebook から削除すると、
ネット上のどこにも存在せず、問題画像をバカッターまとめサイト等の他のサイトに掲載
されることがなくなる。仕組みは、専用のスマホ用カメラソフトを提供し、そのカメラで
撮影すると、画像に自動的にウィルスが仕込まれて、ウィルス付で Facebook へアップロー
ドする(ウィルス付でも Twitter や Facebook はアップ可能)。ウィルスをわざと仕込ませ
ている画像を第3者のパソコンにダウンロードする時、ウィルスバスターや windows 標準
の Microsoft Security Essentials 等のセキュリティ対策ソフトでダウンロード不可となる
仕組みである。これによって第三者のパソコンに保存することができず、かつ、それが他
のサイトへ広がることがないという仕組みである。
さらに、このプランでは新しい概念「善玉ウィルス」を提案する。つまり、このわざと
埋め込むウィルスを「善玉ウィルス」と呼び、ウィルスでも悪玉ウィルスと善玉ウィルス
4
に区別するという発想である。善玉ウィルスも通常のセキュリティソフトでブロックされ、
「ウィルスはブロックされる」というセキュリティ上の当然の機能を利用して画像のネッ
ト上の拡散を防ぐという仕組みである。このように、画像拡散問題解決の為のアプリケー
ションの販売・ビジネス化を目指した。
本論文では、第2章で関連研究について述べ、第3章ではセキュリティソフトについて
述べる。第4章では、システムの目的、概要など全体像を述べ、第5章ビジネスプランと
しての考察を行い、第6章でまとめを述べる。
5
第2章
関連研究
本章では、本論文に使用する言語を説明する。第1節ではプログラミング言語である
JAVA を説明する。第2節ではSNSサイトについて説明する。
第1節
JAVA について
第1項 JAVA の歴史
JAVA は、1995 年 Sun Microsystems 社(サンマイクロシステムズ社)が開発した
プログラム言語である。開発の発端は、Oak(オーク)という言語で、1990 年 12 月
に Sun Microsystems 社が立ち上げた開発プロジェクトチームにより Oak が開発さ
れた。Oak は、家電製品に組み込むシステムのための言語として開発されたが、その
後インターネットが普及し始めたことから、ネットワーク上で利用されることを想定
し、異なる機械上でもプログラムが実行されることが目標とし再開発された。1995
年商標の問題から、Oak から JAVA へと名称を改められ正式に公表された。
2000 年ごろから一般家庭にもインターネットが広がり始め、Web アプリケーショ
ンの需要が高まり、また、NTT ドコモがiアプリを発表する事で JAVA のプログラ
ムが携帯電話でも動くようになったことから JAVA が一気に注目され普及した[1]。
第2項 JAVA の特徴
JAVA の大きな特徴は、C 言語に似た表現方法を使用しているが、既存の言語の欠
点を踏まえて一から設計された為、最初からオブジェクト指向性を備えている点であ
る。また、通常プログラム言語は、コンパイル型とインタープリタ形式に分類される。
① コンパイル形式
プログラムをコンパイラというプログラムを使って配布する方式で、CPU が直接
理解できるマシン語なので性能を 100%引き出すことができる(例:C 言語や C++)
。
② インタープリタ形式
プログラム言語で記述したソースコードを実行する際に、インタプリタ
(Interpreter)と呼ばれるプログラムが解読していく方式で、上記の方法よりプログ
ラム実行時に変換を行うため、その分コンパイラ型言語よりも遅い(例:Tiny Basic)
。
上記の方法では、原則として Windows 用に作成されたソフトウェアは Windows
上でしか、UNIX 用に作成されたソフトウェアは UNIX 上でしか動作しなかった。そ
こで、JAVA は仮想実行マシン方式を使用した。この仮想実行マシンでは、プラット
フォーム間の壁 JAVAVM(JAVA 仮想マシン)と JAVA バイトコードという仕組みを
取り入れることによって1つのプログラムを異なる種類のコンピュータ上で動かす
基盤を作り Windows 上でも UNIX 上でも同じように動作させることを可能とした
(図 2 参照)
。その為、JAVA はさまざまなプラットフォーム(ハードウェアやソフ
トウェア、サービスが動作する基盤となる環境)の上で動作可能となっており、OS
や CPU に依存することがないため「Write Once, Run Anywhere」とも言われ、一
度書けばどこでも動くという特徴も持ち合わせている[2]。
6
コンピュータ上にインストールされた
JAVAVM の上でプログラムが実行される。
UNIX 用
Java VM
Macintosh 用
Java VM
Windows 用
Java VM
図 2 JAVA VM の仕組み
第2節
SNSについて
SNS とは「Social Network Service」の略であり、人と人とのつながりを促進・サ
ポートするコミュニティ型の Web サイトで、友人知人間のコミュニケーションを円滑
にするためのコミュニケーションツールである。また、SNSの定義自体広く、ブロ
グでもコメント機能がついている場合や、自由に意見をやり取りすることが出来るよ
うな電子掲示板も SNS に含まれる。
「ソーシャルネットワーク」という言葉は、社会学・社会人類学などの分野で使わ
れていた用語であり、個人と個人のつながりを明らかにした、関係図を表す言葉であ
る[3](図 3 参照)
。
恋人
母
父
妹
友人
同僚
家族
上司
恋人・友人
仕事
図3
社会ネットワークのつながりイメージ
第1項 SNS の機能
SNS には、自分のプロフィールや写真を友人に公開する機能、互いにメールア
ドレスなどの連絡先を知られる事無く、メッセージを送る機能(図 4 参照)や無
料通話ができる機能(図 5 参照)などで構成されている。また、趣味や地域など
特定の情報別で交流が行える掲示板やグループ機能(図 6 参照)などその機能は
多岐に渡る。
7
図 4 メッセージ機能
図 5 無料通話機能
図 6 グループ機能
第2項 SNS の歴史
1990 年代前半からチャットルームのような形式の SNS サービスは運営されて
いたが、現代の代表的なブログや、コミュニティ、自分の写真やメールの登録機
能があり、友人のリストを管理する事が出来るというサービスが流行し始めたの
は 1990 年代後半である。2002 年に開設されたゲームを中心とした Friendster、
2003 年開設の音楽を中心とした MySpace などがその草分け的存在とされている。
その後写真 SNS、ゲーム SNS など様々な SNS が生まれたが 2004 年に始まった
Facebook が現在、世界一のユーザー数を誇っている。
日本では、2004 年頃から普及し始めた、
「GREE」や、会員数 1000 万人を超え
社会現象ともなった「mixi」が有名である。近年では、企業や政府機関などの分
野においても SNS の利用が進んでおり、首相官邸においても LINE、Facebook、
首相官邸
文部科学省
図 7 主な政府機関のSNS利用例
8
警視庁
Twitter などの SNS を利用した情報発信を行っている(図 7 参照)
。また、社内で
のコミュニケーションツールや、教育現場においても学生の生活指導や勉強の効
率性を目的とした利用も行われるようになり、どの世代にも欠かせないものであ
ると言えるだろう(図 8 参照)
。
図 8 教育現場で使用されているSNS
9
第3章 セキュリティソフトについて
本章では、主にセキュリティソフトの仕組み、ウィルス判定方法について説明する。ま
た、セキュリティソフトの種類や歴史といったものや、セキュリティソフトの誤認を利用
したカメラアプリ「Zenderman」の実現方法も説明する。
第1節
セキュリティソフトの歴史
まず、セキュリティソフトの歴史について説明する。1986 年にパキスタンで生まれ
たコンピュータ・ウィルス「Brain」が誕生した以降、コンピュータ・ウィルスが世界
的に流行し、それに対抗するためにセキュリティソフトが生まれ始める。Brain 自体は
プログラムの違法コピー対策のために、考案された比較的無害なものだったが、IBM
製のパソコンに感染し、翌年の 1987 年にジョン・マカフィーがウィルス対策会社
McAfee を設立、更にその翌年の 1988 年には「ウィルスバスター」で有名なトレンド
マイクロが設立されるなど Brain が世界に与えた衝撃は大きかった。
そして、1987 年を境にこれまでは比較的、コンピュータ・ウィルスというものは、
利用者を驚かすメッセージを表示するといったジョークプログラム主体だったものか
ら、パソコンの動作に悪影響を及ぼし、保存されているファイルを破壊するといった
私たちが連想するコンピュータ・ウィルスに近いものへと変化していった。
さらに 1990
年代後半からは、LAN やインターネットの普及に伴い、ネットワーク経由でより短時
間に広範囲に感染を行うウィルスへと変わっていき、被害は飛躍的に拡大している。
日本においては 2011 年 7 月より不正指令電磁的記録に関する罪、所謂「ウィルス作
成罪」が改正刑法草案で新たに設けられ、ウィルスの作成・保管・提供等の行為が罪
に問われることとなった。2014 年、近年でも Skype、Facebook といった利用者が比
較的多い SNS などを通じてビットコインを不正に採掘する新種のウィルスがばら撒か
れたり、警察の誤認逮捕などで大きな事件となったパソコン遠隔操作事件など、コン
ピュータ・ウィルスが主体となった事件が起こっている。
第2節
セキュリティソフトの種類
このような事件を未然に防ぐためにセキュリティソフトが数多くの会社から販売さ
れている。主にセキュリティソフトはコンピュータ・ウィルスやトロイの木馬などを
検出し、駆除するものから、総合セキュリティソフトと呼ばれ、検知と駆除だけでな
く迷惑メール、フィッシング対策や web サイトの安全性を確かめる機能も含んだもの
もある。
数多く存在するセキュリティソフトの中でも、特に有名なのが「ウィルスバスター」
「McAfee」
「Norton」の3つである。3つのセキュリティソフト全てに共通する点が、
コンピュータ・ウィルスの黎明期より会社が設立されたり、セキュリティソフトの開
発が始まった点であり、セキュリティソフトの中でも特に長い歴史をもつものとなっ
ている。しかし、近年では図 9 が示すとおり、定義ファイルの更新料が OS サポート期
間中は無料となる低価格帯のセキュリティソフトが市場に台頭してきている。図 9 の
10
中では、20.9%のシェアを持つソースネクストは更新料金不要の「スーパーセキュリテ
ィ ZERO」を販売している。また、販売本数の図表のため記載されていないが、2010
年よりマイクロソフトは、
「Microsoft Security Essentials」を消費者向けに無償で提
供している。
図 9 セキュリティソフトのシェア
第3節
セキュリティソフトの仕組み
第1項 ヒューリスティック検知法
セキュリティソフトの検出方法も日々進化しており、後述するパターンマッチング
法のほかに、ヒューリスティック検知(図 10 参照)と呼ばれる新たな検知方法を搭載
するセキュリティソフトも年々増えてきている。ヒューリスティック検知では、従来
のパターンマッチング法では検出することができなかった未知や新種のウィルスに対
する検出方法であり、コンピュータ・ウィルスの特徴的な動作や怪しい挙動に対して
ウィルスであると推測するものである[4]。しかし、挙動や動作のみでウィルスかどう
かを予測するため、本来ウィルスでないものをウィルスであると判定してしまう誤検
出のリスクも大きくなる、そのためヒューリティック検知はパターンマッチング法と
組み合わされる形でセキュリティソフトに搭載されている。
ヒューリスティック検出には、怪しい行動をとるプログラムをコンピュータ・ウィ
ルスと予想するスタティック検出だけでなく、ウィルスと予想されるプログラムを仮
想的に実行する、ダイナミック検出と呼ばれる、機能も存在する。ダイナミック検出
は、総合セキュリティソフト「Norton」を開発したシマンテック独自の技術で、
Bloodhound(ブラッドハウンド)と呼ばれ、これを「Norton」に搭載している。
11
定義ファイルによるスキャン
軽度の場合
怪しさの程度の判定
(スタティック検出)
パターンマッチング検知
プログラムを仮想的に実行
相当怪しい場合
(ダイナミック検出)
ウィルスかどうかを判断
図 10 ヒューリスティック検知によるウィルス検出処理の流れ
第2項 パターンマッチング検知法
今日のセキュリティソフトには、そのほとんどがパターンマッチング法と呼ばれる
仕組みを採用している。パターンマッチング法では、ウィルスの特徴をデータベース
化したウィルス定義ファイル(図 11 参照)が存在し、このパターンファイルと検査対
象のファイルを照合し、パターンの一致が見られた場合ウィルスに感染していると判
定する。
セキュリティソフト
検査対象
比較
定義
ファイル
定義ファイルと
比較してウィルスか
どうかを判定
ウィルスの情報
図 11 パターンマッチング法のウィルス検出処理の流れ
第3項 ウィルス定義ファイル
ウィルス定義ファイルには、対象のビット列やファイルサイズ、ハッシュ値などが
記述されている[5]。しかし、コンピュータ・ウィルス自体のビット列などをそのまま
定義ファイルに記述してしまっては、定義ファイルのファイルサイズが膨大なものと
なるため、各セキュリティソフト開発会社は、ウィルスの最も大きな特徴をピンポイ
ントで抜き出してパターンとして登録しており、これらの開発会社各社の定義ファイ
ルの違いが、セキュリティソフトの性能となっている。
12
2011 年からは肥大化を続ける定義ファイルに対するひとつの解決策として、
「ウィル
スバスター」はクラウド上に定義ファイルを設置するようになり、パソコン本体に保
存する定義ファイルの容量を大幅に軽減できるようになった。また、ユーザーが未知
のファイルなどをダウンロードした際には、クラウド上で即座に解析が行なわれ、危
険なファイルなどの場合、クラウドを利用する他のユーザーにも情報が共有される。
そのためクラウドを利用しない従来のセキュリティソフトと比較して、未知の危険に
対する対応の速さが向上した。クラウドの技術を採用するにはセキュリティソフトの
能力を高める点で様々な利点があり、個人向けや企業向けを含めてクラウドを使った
セキュリティ技術も発達している。
しかし、最小限の定義ファイルはパソコンに保管する必要があり、定義ファイルは
亜種や新種のウィルスに対抗するために常に開発会社の提供する最新の状態を保つ必
要がある。そして、定義ファイルの更新には、年間契約で決められた金額を支払う必
要があるセキュリティソフトも存在し、前述した更新料金不要のソースネクストなど
の低価格帯セキュリティソフトのシェアが上昇している。
13
第4章
システムの全体像
本章では、筆者達が作成したカメラアプリケーション「Zenderman」について解説
する。第1節ではシステムの目的について述べ、第2章で目的を説明し、第3節以降
で新たな概念や詳細設計について説明する。
第1節
システム制作の目的
2013 年の夏に世間を騒がせる問題が起きた。それは、バカッターと呼ばれるツイッ
ターをはじめとする SNS サイトに問題画像をアップロードしたという事件である。例
えば、飲食店の冷蔵庫や、シンクなどにアルバイトが入った画像がネット上に拡散し
てしまい、一部店舗が一時休業や閉店に追い込まれるという深刻な影響を与えた。
画像をアップしたことに対する動機は「つい掲載してしまった」という出来心のよ
うだが、一度ネット上に拡散してしまった画像は完全に削除ができものではなく、そ
の後に当人や飲食店などに与える影響が拡大してしまう。
そこで、
「Zenderman」では、この問題について、安易な気持ちで投稿した画像や映
像のダウンロードやコピーを防止する仕組みを提供することで解決をはかることがで
きる。
「Zenderman」を用いれば、ネット上に問題画像や動画が広がることなく、自身
が気づいたときに、画像や動画を削除することができ、SNS サイトで発生する問題の
拡散を最小限にすることができる。
図 12
SNS 利用者推
移
第2節
システムの概要
今回提案するのは、善玉ウィルスという新しい概念を使ったカメラアプリである。
本システムは、画像を撮る際に善玉ウィルスを付与できるだけでなく、すでに撮影済
みの画像データにもアプリ内から善玉ウィルスを付与できることが特徴である。
まず、利用者側は「Zenderman」と名付けたカメラアプリケーションをスマートフ
ォンにインストールする。次に、カメラアプリを起動し、
「Zenderman」で撮影された
画像データには自動的に善玉ウィルス(第4章第3節参照)が付与される。この画像
を、SNS サイトにアップロードした場合、SNS サイトにて参照することは可能となる
が、ダウンロードを実行した場合、画像内に付与している善玉ウィルスにセキュリテ
14
ィソフトが反応するため、画像のダウンロードを防止するというのが、カメラアプリ
ケーション「Zenderman」の機能である(図 13 参照)。
マイフレンド
へぇーー
面白いな!
参照
アップロード
ダウンロード
ブロック
善玉ウィルス
図 13
第3節
セキュリティソフト
善玉ウィルスによる問題画像拡散防止の仕組
新たな「善玉ウィルス」の概念
本アプリの特徴は新たな「善玉ウィルス」という概念を導入したことである。コン
ピュータ上のウィルスというと常に「悪者」扱いされ、如何にウィルスに感染しない
かの対策や研究が常に行われている。そこで、我々は、ウィルスでも世の中の役に立
つウィルスが存在するという社会通念を新たに提案し、これを「善玉ウィルス」と命
名した。ウィルスでも悪玉ウィルスと善玉ウィルスに区別するという発想である。
善玉ウィルスの特徴は、必ずセキュリティソフトにブロックされることと、パソコ
ンにインストールされたとしても無害であること、以上 2 点である。画像拡散防止の
ためのカメラプリケーションで撮影した画像ファイルには、上記の特徴を持つ「善玉
ウィルス」が付加される。そして、セキュリティソフトの誤認を用いて、第三者によ
る画像のダウンロードを防止する仕組みである。ウィルスはブロックされるというセ
キュリティ上の当然の機能を利用している。
第4節
実現方法
バイナリの追加
第3章第3節にて前述したとおり、セキュリティソフトはウィルス定義ファイルに
記録されているウィルスパターンと一致する箇所を含んでいると、そのファイルが実
際にウィルスに感染していなくても感染していると誤認する場合がある。カメラアプ
リ「Zenderman」ではこの誤認を利用し、撮影した画像のバイナリ部分に無害のウィ
ルスパターンを付け足し、セキュリティソフトがウィルスと誤認し、画像のダウンロ
ードを防止する仕組みである。なお、セキュリティソフトが画像をチェックする場合、
画像のバイナリ部分を主に参照し、ウィルスかどうかを判断する。そのためカメラア
プリ「Zenderman」では撮影した画像のバイナリ部分にウィルスパターンを付け足す
ようにする。追加場所は画像ファイルとして定義される先頭4バイト FFD8 の後とす
る(図 14 参照)
。なぜなら、この箇所がセキュリティソフトで最も多く対策される部
分である。
15
図 14 善玉ウィルスの追加バイナリ(イメージ)
このウィルスパターンに付け足す部分には、2014 年にパソコン遠隔操作事件などに
利用されたトロイの木馬の一種である、
「iesys.exe」と同じ名称を持つ善玉ウィルスを
作成することが最も単純な方法である。
第5節
亜種配信
もしも、ワクチンを開発されてしまった場合、当然ながら画像はセキュリティソフ
トにブロックされることなく画像をダウンロードされてしまう。その為、善玉ウィル
スのワクチンを開発され駆除されないための対策として定期的に亜種の配信を行う。
亜種配信の為には、図 15 の画像赤枠部分を変更し、亜種を作成する。
図 15 亜種作成の仕組み
配信は、無料で「Zenderman」をインストールしている全ユーザーに対して、専用
の善玉ウィルス亜種配信サーバーから配信を行う。亜種を定期的に配信することで、
より安全性の向上を図る。
16
第5章 ビジネス化の可能性
本章では「Zenderman」の市場性、ビジネスとしての他商品との差別的優位性、仮定
収支について説明する。現在、画像拡散問題に対しての対抗策はない状態であり、画像
拡散による問題点と購入したメリットと、同じような商品が販売された場合の優位性に
ついて考察していく。
第1節
市場性
本プランのターゲットは、スマホユーザーの個人と、Twitter 等に問題画像をアップ
され損害を被る可能性のあるコンビニや居酒屋等の企業組織である。まず、このプラ
ンの基本となるスマホの出荷台数は 2013 年度だけで、世界で 22 億 5326 万 2 千台とな
っている。それとともに日本では、スマートフォン利用者の 52%もの人が、Facebook
をはじめ mixi や Line といった SNS サイトを利用しているという調査結果も発表され
た。この急激ともとれるスマートフォンの普及に伴い、総務省から発表からされてい
る SNS 利用トラブル報告からもわかるように画像掲載による個人被害は増加している。
したがって,トラブルに巻き込まれない、または個人情報の流出を避けたいという人
のニーズも急増していると考える。
本提案は上記の問題点に着目し、スマートフォン利用者が日常的に安心してスマー
トフォンを利用できるためのビジネスである。例えば、アルバイト先で職場の仲間と
の悪ふざけで撮影した画像を SNS サイトにアップロードしてしまい、帰宅後に我に返
り削除したとしても第三者にダウンロードされていた場合、もうどうしようもないと
いう事も本提案を用いることで防ぐことが可能となる。これは、今までのカメラアプ
リではできない。また、SNS サイトにアップロードした普通の画像がなりすましやア
ダルトサイトに転用され犯罪に巻き込まれてしまうケースも実際に報告されている。
これを防ぐことができるという点から見ても本提案には十分なニーズがあると考えら
れる。
「Zenderman」の需要については、個人のニーズと同様に企業のニーズも高い傾向
があると考える。企業のニーズとしては、従業員の問題画像の流出防止である。従業
員が店舗内で撮影した問題画像がアップロードされ、ニュースに取り上げられること
が頻発している。結果、閉店や一時休業に追い込まれたケースもある。従業員の軽は
ずみな行為が企業の信頼を失墜させる事態となる事を避けるためにニーズは高いと考
える。そこで、全従業員が本カメラアプリをダウンロード利用できるライセンス契約
を提供すると、企業のニーズを的確にとらえることができ、需要は今後も伸びていく
ことが考えられる。
また、前章でも述べたが、画像拡散を防止する為のアプリケーションは今のところ
提案・販売されておらず、
「善玉ウィルス」という新しい概念を生み出し提案している
のは本提案のみとビジネスとして確立できると考える。
17
第2節
差別的優位性
画像に善玉ウィルスを仕込んでセキュリティ対策ソフトでダウンロードを阻止する
という仕組みをデファクトスタンダードとする。デファクトスタンダードになること
によって、現在画像コピー防止が不可能である SNS サイト上の画像のスクリーンショ
ットもブラウザに善玉ウィルスがついた画像の判別をブラウザのプラグインプログラ
ムで行い、街頭の画像がスクリーンショットの撮影範囲内に入っていた場合、プラグ
インが反応し、画像の部分を黒く反転する機能を有す。ブラウザ会社と提携すること
で、スクリーンショットを取られた時の問題にも対策できる(図 16 参照)
。
ダウンロードで
きないなら,ス
クリーンショッ
トで画面イメー
ジが取れる!
PrintScreen ボタン
を押すだけで OK!
ブラウザ
標準装備され
たイメージコ
ピー防止プロ
グラム起動
ボタンクリックイ
ベントをブラウザ
が察知
ファイル
保存
画像を黒く加工し,コピ
ー領域へスクリーンシ
ョット画像をコピー
あれ?画像だけ真
っ黒??
図 16 PC 画面のスクリーンショットで善玉ウィルス付画像が黒く表示される仕組み
ブラウザ開発会社と提携する為にも、善玉ウィルスで画像ファイルダウンロード防止
の仕組みがデファクトスタンダードになっていることが有利に働く。つまり、社会に
対する必要性とその貢献度をアピールして、標準装備としてプラグイン化をブラウザ
会社と交渉することができる。過去の同様状況の標準装備例としてコピーワンスがあ
る。コピーワンスとはテレビドラマなどの著作権をもつ映像をダウンロードした際に
一度だけ再生できるという機能を持つソフト(プラグイン)である。まず、コピーワ
ン ス が 独 自 の ビ ュ ア ー で 実 績 と 成 果 を 積 み 、 そ の 後 、 WindowsMediaPlayer や
RealPlayer 等の一般的な動画再生ソフトにも標準装備されるようになった。コピーワ
ンスは世の中に違法な映像著作物流通を止める役割を持ち、その仕組みが大いに賞賛
され、主要動画プレイヤーのプラグイン化が導入された。
このように、デファクトスタンダードとその実績により各種ブラウザに標準でスク
リーンショット防止機能を標準装備できたなら、他社が追随して、同じようなウィル
ス付画像を撮影できるカメラアプリを販売しても、
「Zenderman」アプリケーションの
み SNS 上のサイトのスクリーンショットによる画像のコピーも防止することが可能と
なり、追随する他社との優位性を確保する。
第3節
事業採算・収支予測
本プランにおける収入源は、(1)アプリ販売および(2)法人へのライセンス契約を含
むソリューション提供を想定している。また、アプリの販売は Google play ストアおよ
び App Store にて、一般的なアプリの価格である、1 アカウントあたり 300 円(表 2)で
18
ダウンロード販売を行う。こちらは個人向けを主な対象とし、その開発費と運用費を
表 4 に示す。また、法人へのライセンス契約を含むソリューション提供では、法人を
顧客とし、従業員に貸与しているスマホへのアプリ提供や、問題画像の生じたときの
対策をするソリューションの提案および提供によって収入を得る。社内用スマホ・タ
ブレットを対象にしたソリューションを提供し、販売開始する3年目では年間契約社
数3件以上を目指し、以降も順次増加する見込みである。
本アプリ販売開始後の5ヵ年の収支予測は次の表 3・図 17 のとおりである。1~2
年目は、収入がない状態である。これは、開発および試用期間であり、顧客がいない
ためである。開発や試用期間のため、初年度は広告宣伝費を計上しないが、販売開始
に先駆けて折り込み広告、新聞内広告、Web 上で宣伝を行うため、2年目から広告宣伝
費を計上する。3年目から本アプリの一般販売および法人へのソリューション提供を
開始し、それぞれ一般販売を 4000 セット(120 万円)、ソリューション契約を3件程度、
見積もっている。
ソリューションは例として端末が1件につき 1000 台程度の受注とし、
本アプリ導入代金1台あたり 200 円、SE 費用 32 万 8,000 円(1件あたり)と、出張費
1 万円として計算し、1件につき約 50 万円の収入と考えている。4年目以降は順次販
売数および契約数を伸ばし、5年目には5ヶ年収支で黒字となる予測である。5年目
以降も順次拡大を目指し、8年目にはスマホの普及台数である 1000 万セット以上の売
り上げを目指す。
また、開発用のハードウェアはリース契約とし、2年ごとに新機種を導入する。ソ
フトウェアは Office 365 等のクラウドサービスを導入し、常に最新のソフトウェアを
運用するとともに、メールサービスやファイル共有等の運用を集約して効率的な経営
を目指す。
19
表 2 販売価格
表4
ソリューション費
表 3 5ヶ年の収支予測(1)
図 17 5ヶ年の収支予測(2)
20
第6章 まとめ
第1節
全体のまとめ
日本のみならず世界的にスマートフォンが普及した現代では、それに比例するかの
ように様々なソーシャルネットワークサービス(SNS)の利用率が上昇している。SNS
では気軽に画像をアップロードできることもあり、スマートフォン以前の携帯電話時
代と比較して、格段に画像を巡るトラブルが起こるようになった。
2014 年には主にアルバイト先で悪ふざけをした画像をアップロードしてしまったた
めに、その画像がインターネット上に拡散され、実際に店舗が閉店したり、破産する
といった事件も起こっている。また、スマートフォンは従来の携帯電話にはなかった
無音カメラというものもあり、これまで以前に気軽に撮影ができるようになったこと
も画像を巡るトラブルを助長している。上記の悪ふざけ以外にも、自分の SNS にアッ
プロードした顔写真等をなりすましに悪用される場合や、更には誤って個人情報を載
せてしまった場合、重大な事件に発展するおそれもある。
我々はスマートフォンの普及とともに増加し続けるこれらの撮影画像を巡る問題を
解決するために、画像拡散防止のためのスマートフォン用アプリケーション
「Zenderman」についての有効性の検証した結果有効であるという事を確認した。
第2節
予想される課題
予想される課題としては、2 つあげる。一つ目は、画像をダウンロードされるのでは
なく、スクリーンショットを撮られた場合である。カメラプリケーション「Zenderman」
は基本的に撮影された画像にウィルスパターンのバイナリを付加するのみであるため、
カメラアプリのみでは、スクリーンショットに対して何らかの対策を講じることが出
来ない。だが、SNS サイト上の画像を直接スクリーンショットの画面イメージでのコ
ピーを防止する技術は既に確立されている。しかし、この技術を活用するためには、
パソコン側のブラウザや SNS のクライアント側がイメージコピー防止専用のプラグイ
ンを実装する必要があり、スクリーンショットの対策については当面の大きな課題と
なる。
二つ目は無害のウィルスパターンである、善玉ウィルスを駆除するためのソフトが
使用された場合である。
「Zenderman」は画像のダウンロードの防止のためにわざと善
玉ウィルスを仕込むのだが、当然ながら善玉ウィルスを駆除された場合、画像のダウ
ンロードやコピーなどを自由に行われることになり、画像拡散防止の意味がなくなっ
てしまう。この問題に対応するために、善玉ウィルスのパターンを定期的に変更する
必要がある。そのために、善玉ウィルス配信のための専用サーバーを構築し、定期的
に変化する善玉ウィルスをスマートフォン用カメラアプリケーションへ配布するため
の仕組みを確立する必要がある。または、Zenderman の配信元である Google play ス
トアや Apple の App Store からアプリケーションの更新として、パターンを変更する。
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参考文献
[1]http://techfun.tv/contents/kouza/javatx1.html/#doc1_id60
[2]丸の内とら:「10 日でおぼえる Java 入門」
、翔泳社(2012)
[3]http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0612/13/news126.html
[4]http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110125/356427/
[5]http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/lecture/20070724/278161/
謝辞
ゼミ生の皆に感謝します。CVG で苦労を共にした臼杵さんに感謝します。CVG で大
変お世話になった尾花先生に感謝します。最後まで丁寧にご指導していたただいた花
川典子教授に深く感謝します。
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