47 Streptococcus gallolyticus subsp. pasteurianus が検出された壊死性胆嚢炎の一例 ◎矢野 政敏 1)、横井 貴之 1)、原田 崇浩 1)、中條 幹夫 1)、高橋 康之 1) 国立病院機構 信州上田医療センター 臨床検査科 1) 【はじめに】 γ 溶血を示す灰白色調のコロニーが発育し、BTB 乳糖加寒 Streptococcus gallolyticus subsp. pasteurianus は 2003 年に 天培地(BD)では小型コロニーの発育を認めた。MicroScan Streptococcus bovis biotype II-2 から種名変更された菌種で、 Pos Combo 3.1J (ベックマン・コールター)にて 48 時間後に 感染性心内膜炎や髄膜炎の起因菌として知られている。ま S. bovis group と同定された。ラピッド ID32 ストレップ ア た、本菌は胆道感染症との関連性も示唆されているが、報 ピ(シスメックス・ビオメリュー)では S. gallolyticus subsp. 告例は稀である。今回、当院において壊死性胆嚢炎患者の pasteurianus と同定された。さらに外部検査機関に依頼した 胆汁と血液から S. gallolyticus subsp. pasteurianus を分離した 16S rRNA 遺伝子塩基配列の解析でも S. gallolyticus subsp. 症例を経験したので報告する。 pasteurianus と 100%の相同性が認められた。また、両検体 【症例】 ともに本菌以外の菌種の発育は認められなかった。 80 歳代、男性。上腹部痛および嘔吐にて近医を受診。急 【まとめ】 性胆嚢炎疑いで当院に紹介となった。発熱(37.8℃)、炎症反 S. gallolyticus は消化管、呼吸器、生殖器の常在菌である 応高値を呈し、CT にて胆石と胆嚢粘膜に造影不良が認めら が、亜種により異なった臨床病態に関連することが知られ れたため、壊死性胆嚢炎疑いにて即日入院となった。同日、 ている。S. gallolyticus subsp. pasteurianus は髄膜炎の他、本 緊急胆嚢摘出術が施行された。 症例のように胆道系疾患との関連性を有することが報告さ 【微生物学的検査】 れており、亜種名までの同定を慎重に行う必要があると考 術前に提出された血液培養 2 セット全て(4/4 本)と、術中 に採取された胆汁よりグラム陽性連鎖球菌を認めた。好気 的条件下 35℃24 時間培養で、ヒツジ血液寒天培地(BD)に えられた。 連絡先:0268-24-1890 (内線 3214)
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