第 43 回 コンパス薬局 スキルアップ勉強会 『長時間作動型β2受容体刺激剤 レルベアエリプタ』 グラクソ・スミスクライン(株) 様 2015.10.09 記録:佐藤直富実 参加者:阿部 青野 川原 小西 近藤 佐藤 松下(敬称略、五十音順) 喘息の人の気道は、喘息症状が無い時でも常に炎症をおこしていて、健康な人より気道が狭くなり空 気が通りにくくなっている。炎症が起きた気道は敏感で、ホコリ、タバコ、ストレスなどのわずかな刺 激でも狭くなり、発作が起きる。咳や痰、息苦しさ、喘鳴など、様々な症状があり、最近は咳だけの咳 喘息も増加している。また、胸の痛み、喉の違和感等も喘息症状のひとつである。 症状が起きない様にするには、慢性の気道炎症を「吸入ステロイド薬」でおさえることが大切である。 最近では、これと気道を広げる「長時間作動型β2 刺激剤」との配合剤も使用される。 一方、症状が起きた時は、それを鎮めることが最優先のため、狭くなった気道を速やかに広げる「短 時間作動型吸入β2 刺激剤」などの発作を抑える薬を使う。 =レルベアエリプタ(ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステルドライパウダーインヘラー)について= 【警告】 なし 【禁忌】 1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 2. 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するお それがある。 ] 【効能・効果】 気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入 β2 刺激剤の併用が必要な場合) 『効能・効果に関連する使用上の注意』 (1)吸入ステロイド剤と他の薬剤との併用による治療が必要であり、併用薬として長時間作動型吸入 β2 刺激剤の投与が適切と判断された患者に対して使用すること。 (2)患者に対し、次の注意を与えること。本剤は発現した発作を速やかに軽減する薬剤ではないので、 急性の発作に対しては使用しないこと。急性の発作に対しては、短時間作動型吸入 β2 刺激剤(吸入用サル ブタモール硫酸塩)等の他の適切な薬剤を使用すること。 【用法・用量】 通常、成人にはレルベア 100 エリプタ 1 吸入(ビランテロール(LABA)として 25μg・フルチカゾンフラ ンカルボン酸エステル(FF)として 100μg)を 1 日 1 回吸入投与する。なお、症状に応じてレルベア 200 エ リプタ 1 吸入(ビランテロール(LABA)として 25μg・フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)として 200μg)を 1 日 1 回吸入投与する。 『用法・用量に関連する使用上の注意』 患者に対し、本剤の過度の使用により不整脈、心停止等の重篤な副作用が発現する危険性があること を理解させ、本剤を 1 日 1 回なるべく同じ時間帯に吸入するよう(1 日 1 回を超えて投与しないよう)注意 を与えること。 【副作用】 重大な副作用:アナフィラキシー反応(頻度不明) その他の副作用:口腔咽喉カンジダ症(10.5%)、発声障害(6.5%)他 【使用上の注意】 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)結核性疾患又は感染症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある。] (2)心疾患を有する患者[上室性頻脈、期外収縮等の不整脈、QT 延長があらわれるおそれがある。 ] (3)肝障害のある患者[本剤の血中濃度が増加し、全身性の作用が発現する可能性が高くなるおそれが ある。 ] 【考察】 現在の気管支喘息の治療方法は、発作を起こさせないようにするコントローラー薬と、それでも発作 が起きてしまった場合のレスキュー薬を併用していくことが主である。しかしこのレルベアエリプタは、 1 日 1 回の吸入で急性発作を起こさせない事を最大の目標とし、その臨床試験結果からもその目標が達成 されている。 また、吸入方法もカバーを開けて吸うだけと非常に簡便であることから、今後、喘息のコントロール 薬として定着し、また高齢患者にも有用であると考える。 【質疑応答】 Q.吸入のタイミングについて。吸入する時間は、効果に影響するか? A.吸入時間と効果には、影響は見られない。患者様にとって一番吸入しやすい時間を選んで吸入しても らうべきである。 Q.吸入を忘れた場合の対処は? A.基本的に 1 日 1 回を超えて吸入しなければ問題ない。従って、朝吸入するのを忘れた患者がその日の 夕方に吸入して、翌朝また吸入して差し支えない。 Q.アルミトレーを開封して投薬して問題ないか? A.アルミブリスター自体に 防湿の役割があるため、アルミトレー開封後 6 週間までであれば吸湿の問題 はない。 以上
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