〔実 8 頁〕 特 許 公 報(B2) (19)日本国特許庁(JP) (12) (11)特許番号 特許第5781621号 (45)発行日 (P5781621) (24)登録日 平成27年7月24日(2015.7.24) 平成27年9月24日(2015.9.24) (51)Int.Cl. FI C12M 1/00 (2006.01) C12M 1/00 A A01N 1/02 (2006.01) A01N 1/02 請求項の数9 (21)出願番号 特願2013-537503(P2013-537503) (73)特許権者 509273363 (86)(22)出願日 平成24年10月1日(2012.10.1) 株式会社北里バイオファルマ (86)国際出願番号 PCT/JP2012/075431 静岡県富士市中島81番地 (87)国際公開番号 WO2013/051520 (87)国際公開日 平成25年4月11日(2013.4.11) 審査請求日 (全10頁) (74)代理人 100089060 弁理士 平成26年4月9日(2014.4.9) (72)発明者 井上 向山 正一 太 (31)優先権主張番号 特願2011-219592(P2011-219592) 静岡県富士市中島81番地 (32)優先日 平成23年10月3日(2011.10.3) バイオファルマ内 (33)優先権主張国 日本国(JP) 審査官 吉岡 株式会社北里 沙織 最終頁に続く (54)【発明の名称】生体細胞凍結保存具 1 2 (57)【特許請求の範囲】 の側部膨出部を有している請求項1または2に記載の生 【請求項1】 体細胞凍結保存具。 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料によ 【請求項4】 り形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保 前記生体細胞付着保持部は、最も先端側の前記生体細胞 存具であって、 収納用凹部より先端側に設けられた突出部を有する請求 前記生体細胞保持部は、細長い生体細胞付着保持部を備 項1ないし3のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。 え、前記生体細胞付着保持部は、前記生体細胞付着保持 【請求項5】 部の長手方向に複数設けられた生体細胞収納用凹部と、 前記溝部は、隣り合う前記生体細胞収納用凹部を接続し 前記生体細胞収納用凹部と連通する余剰凍結保存液排出 ている請求項2ないし4のいずれかに記載の生体細胞凍 路を有することを特徴とする生体細胞凍結保存具。 10 結保存具。 【請求項2】 【請求項6】 前記余剰凍結保存液排出路は、前記生体細胞収納用凹部 前記生体細胞付着保持部は、最も先端側に位置する前記 と連通し、かつ、前記生体細胞付着保持部の長手方向に 生体細胞収納用凹部より、先端側に延びる溝部を備えて 延びる溝部である請求項1に記載の生体細胞凍結保存具 いる請求項2ないし5のいずれかに記載の生体細胞凍結 。 保存具。 【請求項3】 【請求項7】 前記生体細胞保持部は、前記生体細胞収納用凹部が形成 前記生体細胞付着保持部は、最も基端側に位置する前記 された部分の前記生体細胞付着保持部の両側部に設けら 生体細胞収納用凹部より、基端側に延びる溝部を備えて れかつ前記生体細胞付着保持部の長手方向に延びる2つ いる請求項2ないし6のいずれかに記載の生体細胞凍結 ( 2 ) JP 3 5781621 B2 2015.9.24 4 保存具。 そこで、本願発明者は、特許文献2(特開2002−3 【請求項8】 15573、WO 前記耐寒性材料は、液体窒素耐性材料である請求項1な している。特許文献2の卵凍結保存具1は、耐寒性材料 いし7のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。 により形成された本体部2と、本体部2の一端に取り付 【請求項9】 けられ、可撓性かつ透明性かつ液体窒素耐性材料により 前記生体細胞付着保持部は、薄板状のものである請求項 形成された卵付着保持用ストリップ3と、卵付着保持用 1ないし8のいずれかに記載の生体細胞凍結保存具。 ストリップ3を被包可能に本体部2に着脱自在に取り付 【発明の詳細な説明】 けられる一端が封鎖され、かつ耐寒性材料により形成さ 【技術分野】 02−085110 A1)を提案 れた筒状部材4とからなるものである。 【0001】 10 また、本願発明者は、特許文献3(特開2004−32 本発明は、哺乳動物の卵子、胚などの卵、精子、造血幹 9202、US公開2004−0259072)も提案 細胞、多能性幹細胞等の幹細胞などの生体細胞を凍結保 している。特許文献3の卵凍結保存具1は、耐液体窒素 存する際に使用する細胞凍結保存具に関する。 材料で形成された卵凍結保存用チューブ2と、チューブ 【背景技術】 2を保護するための金属製筒状保護部材3とを備える。 【0002】 チューブ2は、本体部21と、内径が0.1mm∼0. 哺乳動物胚の凍結保存は、特定の系統や品種の遺伝資源 5mmの卵保存用細径部22とを備えるとともに、細径 の保存を可能とする。また、絶滅の危機に瀕している動 部の先端側にてヒートシール可能であり、本体部21に 物種の維持にも有効である。さらに、ヒトの不妊治療に てヒートシール可能である。筒状保護部材3は、チュー おいても有用である。 ブ2の細径部22の先端部を収納する筒状部31と、細 【0003】 20 径部22の筒状部31に収納されない部分および本体部 哺乳動物胚の凍結保存方法としては、特許文献1(特開 21の先端部21aを収納する半筒状部32とを備えて 2000−189155)において、哺乳動物胚または いる。 卵子を滅菌処理した凍結ストロー、凍結バイアルまたは 特許文献2および3の卵凍結保存具は、有効である。 凍結チューブ等の凍結保存用容器の内面に、これらの胚 しかし、より容易に卵凍結操作が行え、かつ、凍結され または卵子を包被するに充分な最少量のガラス化液で貼 た卵の離脱を確実に防止できる卵凍結保存具が望まれて り付け、この凍結保存用容器を密封し、そしてこの容器 いる。 を液体窒素に接触させて急速に冷却することが提案され 本発明の目的は、生体細胞凍結保存具への生体細胞載置 ている。そして、融解方法では、前記の方法で保存した 操作が容易であり、かつ、生体細胞の凍結作業時におけ 凍結保存用容器を前記液体窒素から取り出し、容器の一 る生体細胞の離脱がなく、かつ生体細胞の凍結を迅速に 端部を開口し、この容器内に33∼39℃の希釈液を直 30 行うことができる生体細胞凍結保存具を提供するもので 接注入し、胚または卵子の凍結を融解希釈するものであ ある。 る。この方法によれば、哺乳動物胚または卵子をウイル 【課題を解決するための手段】 スや細菌による感染のおそれがなく高い生存率で保存お 【0006】 よび融解希釈することのできるという優れた効果を備え 上記目的を達成するものは、以下のものである。 ている。 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性材料によ しかし、凍結ストロー、凍結バイアルまたは凍結チュー り形成された生体細胞保持部とを備える生体細胞凍結保 ブ等の凍結保存用容器の内面に、胚または卵子などの卵 存具であって、前記生体細胞保持部は、細長い生体細胞 を包被するに充分な最少量のガラス化液で貼り付ける作 付着保持部を備え、前記生体細胞付着保持部は、前記生 業が必ずしも容易ではなかった。 体細胞付着保持部の長手方向に複数設けられた生体細胞 【先行技術文献】 40 収納用凹部と、前記生体細胞収納用凹部と連通する余剰 【特許文献】 凍結保存液排出路を有する生体細胞凍結保存具。 【0004】 【図面の簡単な説明】 【特許文献1】特開2000−189155 【0007】 【特許文献2】特開2002−315573(WO 2−085110 0 【図1】図1は、本発明の実施例の生体細胞凍結保存具 A1) の正面図である。 【特許文献3】特開2004−329202(US公開 【図2】図2は、図1に示した生体細胞凍結保存具の先 2004−0259072) 端側部分の拡大正面図である。 【発明の概要】 【図3】図3は、図2に示した生体細胞凍結保存具の左 【発明が解決しようとする課題】 側面図である。 【0005】 50 【図4】図4は、図2のA−A線断面図である。 ( 3 ) JP 5 5781621 B2 2015.9.24 6 【図5】図5は、図2のB−B線断面図である。 ように、本体部3と接続された基端部と、この基端部よ 【図6】図6は、図2に示した生体細胞凍結保存具の拡 り先端側に突出する生体細胞付着保持部22を備えてい 大平面図である。 る。そして、この実施例のものでは、生体細胞付着保持 【図7】図7は、図2のC−C線拡大断面図である。 部22は、細長い幅の狭い帯状(薄板状)のものとなっ 【図8】図8は、図1に示した生体細胞凍結保存具の先 ている。そして、その表面が、生体細胞付着保持面を形 端部の拡大正面図である。 成している。 【図9】図9は、図8のD−D線断面図である。 【0012】 【図10】図10は、本発明の他の実施例の生体細胞凍 そして、本発明の生体細胞凍結保存具1では、図2ない 結保存具の生体細胞収納用凹部にて切断した拡大横断面 図である。 し図9に示すように、生体細胞付着保持部22の表面に 10 は、長手方向に複数設けられた生体細胞収納用凹部28 【図11】図11は、本発明の他の実施例の生体細胞凍 a,28b,28c,28d,28eが設けられている 結保存具の拡大縦断面図である。 。生体細胞収納用凹部28a,28b,28c,28d 【図12】図12は、本発明の他の実施例の生体細胞凍 ,28eは、図4および図9に示すように、略半球状の 結保存具の先端部の拡大正面図である。 凹部となっている。 【図13】図13は、図12のE−E線断面図である。 また、複数の凹部28a,28b,28c,28d,2 【図14】図14は、図12のF−F線断面図である。 8eは、生体細胞凍結保存具1の先端より所定長基端側 【発明を実施するための形態】 の位置より、基端側に直線状に並ぶものとなっており、 【0008】 また、各凹部は、ほぼ等間隔離間している。この実施例 本発明の生体細胞凍結保存具を図面に示す実施例を用い では、凹部は、複数設けられているが、1つでもよい。 て説明する。 20 また、複数設ける場合には、2∼8が好ましい。凹部の 本発明の生体細胞凍結保存具1は、耐寒性材料により形 深さは、0.05∼0.5mmが好ましく、凹部の上面 成された本体部3と、耐寒性材料により形成された生体 の開口径は、0.1∼0.5mmが好ましい。また、凹 細胞保持部(卵保持部)2とを備える。卵保持部2は、 部間の離間距離は、1∼3mmが好ましい。 細長い卵付着保持部22を備え、卵付着保持部22は、 【0013】 卵付着保持部22の長手方向に複数設けられた生体細胞 さらに、この実施例のものでは、生体細胞収納用凹部2 収納用凹部(卵収納用凹部)28a,28b,28c, 8a,28b,28c,28d,28eが形成されてい 28d,28eと、卵収納用凹部28a,28b,28 る部分の裏面側部分は、図7および図9に示すように、 c,28d,28eと連通する余剰凍結保存液排出路2 膨出部38a、38b、38c、38d,38eとなっ 9a,29b,29c,29d,29e,29fを有し ており、生体細胞収納用凹部を形成する部分が薄肉では ている。 30 なく、十分な強度を有するものとなっている。なお、生 【0009】 体細胞収納用凹部を設けず、生体細胞凍結保存具1の表 特に、この実施例の細胞凍結保存具1は、卵凍結保存具 面を平坦に形成し、その平坦面を生体細胞付着保持部と であり、生体細胞保持部材2は、卵保持部となっている してもよい。また、生体細胞付着保持部22の幅は、0 。なお、本発明の細胞凍結保存具は、胚などの卵、卵子 .4∼1.0mmが好ましく、長さは、5∼30mmが 、精子、造血幹細胞、多能性幹細胞等の幹細胞などの細 好ましく、全体の厚さおよび凹部部分での厚さは、0. 胞、特に上記のような生体細胞を凍結保存するために用 08∼1.0mmが好ましい。また、生体細胞保持部2 いることができる。 の肉厚な基端部の長さは、5∼30mmが好ましく、本 【0010】 体部の長さは、20∼100mmが好ましい。 生体細胞凍結保存具1は、図1ないし図5に示すように 【0014】 、耐寒性材料により形成された本体部3と、耐寒性材料 40 さらに、この実施例の生体細胞凍結保存具1では、図6 により形成された生体細胞保持部2とを備える。この実 ないし図8に示すように、生体細胞収納用凹部28a, 施例のものでは、図2ないし図5(特に、図4)に示す 28b,28c,28d,28eが形成された部分の生 ように、生体細胞保持部2の基端部には、先端方向に所 体細胞付着保持部22の両側部に設けられかつ生体細胞 定長延びる穴部21aが形成されており、本体部3の先 付着保持部22の長手方向に延びる2つの側部膨出部3 端部には、上記穴部21a内に進入可能な所定長延びる 5,36を有している。このため、生体細胞凍結保存具 突出部24が設けられている。そして、本体部3の突出 1は、生体細胞収納用凹部の両側部に膨出部を有するた 部24が、生体細胞保持部2の穴部21a内に挿入され め、生体細胞載置時における生体細胞の側部方向への移 、両者は、固定されている。 動を確実に抑制でき、かつ、載置された生体細胞の生体 【0011】 細胞収納凹部からの離出も防止する。 生体細胞保持部2は、断面が略矩形状であり、上述した 50 【0015】 ( 4 ) JP 5781621 B2 2015.9.24 7 8 さらに、この実施例の生体細胞凍結保存具1では、図1 により連通しているので、生体細胞収納用凹部からの凍 ないし図9(特に、図6および図7)に示すように、生 結保存液の移動が容易となり、また、複数の生体細胞収 体細胞付着保持部22は、生体細胞収納用凹部28a, 納用凹部に残る凍結保存液量も均一化する。溝部の幅と 28b,28c,28d,28eより生体細胞付着保持 しては、100μm∼500μmが好ましく、また、溝 部22の先端側に設けられた突出部27を備えている。 部の深さとしては、50μm∼500μmが好ましい。 突出部27は、生体細胞付着保持部22の先端より、上 【0019】 面側(生体細胞収納用凹部形成側)に突出するものとな 本体部3および生体細胞保持部2は、耐寒性材料により っている。また、突出部27は、図9に示すように、先 形成されている。特に、本体部3および生体細胞保持部 端面は、若干基端側に傾斜する傾斜面となっている。こ 2は、液体窒素耐性材料、言い換えれば、液体窒素に接 のような突出部27を形成することにより、もし、生体 10 触しても脆化しないものが好ましい。また、生体細胞保 細胞収納部より生体細胞が離脱して、先端側に移動した 持部2は、透明もしくは半透明体であることが好ましく とき、生体細胞凍結保存具1、言い換えれば、生体細胞 、また、多少の可撓性を有するものであることが好まし 付着保持部22からの落下を防止することができる。特 い。本体部3および生体細胞保持部2の形成材料として に、この実施例の生体細胞凍結保存具1では、上述した は、例えば、3−フッ化ポリエチレン、低密度ポリエチ ように、生体細胞付着保持部22の両側部に設けられた レン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリ 膨出部35,36と協同することにより、生体細胞の落 カーボネート、ナイロン、ポリスルホン、ポリエステル 下を防止する。 、ポリスチレン、ポリイミド、超高分子量ポリエチレン 【0016】 、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの合成樹脂、また さらに、この実施例の生体細胞凍結保存具1では、図2 、それら合成樹脂により形成されたフィルムの積層体が ないし図9(特に、図8および図9)に示すように、生 20 好適に使用される。 体細胞付着保持部22は、生体細胞収納用凹部28a, 【0020】 28b,28c,28d,28eと連通する余剰凍結保 上述した実施例の生体細胞凍結保存具1では、図6,図 存液排出路を備えている。この実施例の生体細胞凍結保 7および図9(特に、図7)に示すように、溝部29a 存具1では、余剰凍結保存液排出路は、生体細胞付着保 ,29b,29c,29d,29eは、生体細胞収納用 持部22の長手方向に延びる溝部29a,29b,29 凹部28a,28b,28c,28d,28eの底部に c,29d,29e,29fにより構成されている。 到達しないものとなっている。このようにすることによ そして、この実施例のものでは、溝部29b,29c, り、生体細胞収納用凹部28a,28b,28c,28 29d,29eは、隣り合う生体細胞収納用凹部を連結 d,28eの底部に若干の凍結保存液の貯留が可能なも している。具体的には、溝部29bは、凹部28aと凹 のとなっている。 部28bを連通し、溝部29cは、凹部28bと凹部2 30 しかし、上述のようなものに限定されるものではなく、 8cを連通し、溝部29dは、凹部28cと凹部28d 図10および図11に示す生体細胞凍結保存具10のよ を連通し、溝部29eは、凹部28dと凹部28eを連 うに、溝部29a,29b,29c,29d,29eは 通している。 、生体細胞収納用凹部28a,28b,28c,28d 【0017】 ,28eの底部に到達するものであってもよい。このよ さらに、この実施例では、図8および図9に示すように うにすることにより、生体細胞収納用凹部28a,28 、生体細胞付着保持部22は、生体細胞付着保持部22 b,28c,28d,28eに貯留する凍結保存液をよ の最も先端側に位置する生体細胞収納用凹部28aより り少ないものとすることができる。 、先端側に延びる溝部29aを備えており、その端部は 【0021】 、上述した突出部に到達もしくはその付近まで延びるも また、生体細胞収納用凹部およびそれと連通する余剰凍 のとなっている。さらに、この実施例のものでは、生体 40 結保存液排出路の形態は、上述したようなものに限定さ 細胞付着保持部22は、生体細胞付着保持部22の最も れるものではない。 基端側に位置する生体細胞収納用凹部28eより、基端 例えば、図12ないし図14に示すような生体細胞凍結 側に延びる溝部29fを備えている。 保存具20のようなタイプのものであってもよい。図1 【0018】 2は、本発明の他の実施例の生体細胞凍結保存具の先端 このような生体細胞収納用凹部と連通する余剰凍結保存 部の拡大正面図である。図13は、図12のE−E線断 液排出路を設けることにより、生体細胞収納用凹部に生 面図である。図14は、図12のF−F線断面図である 体細胞とともに収納された凍結保存液の余剰分が、この 。 溝部内に流入するため、生体細胞が過剰な凍結保存液に 生体細胞凍結保存具20では、生体細胞付着保持部22 より被覆されることを抑制し、凍結を迅速に行うことが は、上面に形成された複数の短円筒状突出部を備えてお できる。さらに、隣り合う生体細胞収納用凹部が、溝部 50 り、それら突出部の内部に生体細胞収納用凹部51,5 ( 5 ) JP 9 5781621 B2 2015.9.24 10 2,53,54,55が形成されている。そして、突出 【0024】 部の側壁には、凹部51と連通する2つのスリット61 上記生体細胞凍結保存具は、生体細胞付着保持部が複数 a,61b、凹部52と連通する2つのスリット62a の生体細胞収納用凹部を有することにより、生体細胞配 ,62b、凹部53と連通する2つのスリット63a, 置操作において、生体細胞を配置するターゲットとなり 63b、凹部54と連通する2つのスリット64a,6 、配置操作が良好に行え、さらに、生体細胞収納用凹部 4b、凹部55と連通する2つのスリット65a,65 に収納された生体細胞は、移動が規制されるため、その bを有している。また、各スリットは、それぞれの凹部 後の凍結作業中での生体細胞の移動、離脱を防止できる の底部に連通している。なお、凹部と連通するスリット 。さらに、生体細胞収納用凹部と連通する余剰凍結保存 は、1つでもよいが、2つ以上設けることが好ましい。 液排出路を有するため、凹部内に過剰な凍結保存液が貯 また、凹部の深さは、0.05∼0.5mmが好ましい 10 留することがなく、凍結作業時における生体細胞の冷却 。さらに、この生体細胞凍結保存具20では、その裏面 が迅速に行われる。 側(短円筒状突出部の非形成面側)には、軸方向に延び 【0025】 かつ凹部51の底面の下方を通過するように延びる凹部 そして、本発明の実施態様は、以下のものであってもよ 56が形成されている。このため、凹部51の底面を形 い。 成する部分は、肉薄部となっており、凹部への熱伝導を (2) 良好なものとしている。 納用凹部と連通し、かつ、前記生体細胞付着保持部の長 【0022】 手方向に延びる溝部である上記(1)に記載の生体細胞 次に、本発明の生体細胞凍結保存具1の使用方法につい 凍結保存具。 て説明する。 (3) この説明では、生体細胞(具体的には、卵子)を凍結保 20 部が形成された部分の前記生体細胞付着保持部の両側部 存する場合を例に取り説明する。 に設けられかつ前記生体細胞付着保持部の長手方向に延 まず、複数の生体細胞である卵子を採取し、卵子の細胞 びる2つの側部膨出部を有している上記(1)または( 内液を平衡液に置換する作業を行い、さらに、細胞外液 2)に記載の生体細胞凍結保存具。 をガラス化液に置換する作業を行う。そして、顕微鏡下 (4) において、生体細胞凍結保存具1の生体細胞付着保持部 生体細胞収納用凹部より先端側に設けられた突出部を有 22に設けられたそれぞれの生体細胞収納用凹部28a する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体細 ,28b,28c,28d,28eに卵子を少量のガラ 胞凍結保存具。 ス化液とともに配置させ、付着させる。卵子が付着した (5) 生体細胞凍結保存具1を先端側(生体細胞保持部22側 を接続している上記(2)ないし(4)のいずれかに記 )より、あらかじめ準備しておいた液体窒素に浸漬し凍 30 載の生体細胞凍結保存具。 結(ガラス化)させる。液体窒素との接触により、生体 【0026】 細胞は、急激冷却される。凍結生体細胞が付着した生体 (6) 細胞凍結保存具1は、別途準備した筒状容器内に収納し する前記生体細胞収納用凹部より、先端側に延びる溝部 た後、さらに、収納容器(ケーン)に収納し、収納容器 を備えている上記(2)ないし(5)のいずれかに記載 を液体窒素タンク内に入れ保存する。 の生体細胞凍結保存具。 【産業上の利用可能性】 (7) 【0023】 する前記生体細胞収納用凹部より、基端側に延びる溝部 本発明の生体細胞凍結保存具は、以下のものである。 を備えている上記(2)ないし(6)のいずれかに記載 (1) の生体細胞凍結保存具。 耐寒性材料により形成された本体部と、耐寒性 前記余剰凍結保存液排出路は、前記生体細胞収 前記生体細胞保持部は、前記生体細胞収納用凹 前記生体細胞付着保持部は、最も先端側の前記 前記溝部は、隣り合う前記生体細胞収納用凹部 前記生体細胞付着保持部は、最も先端側に位置 前記生体細胞付着保持部は、最も基端側に位置 材料により形成された生体細胞保持部とを備える生体細 40 (8) 胞凍結保存具であって、前記生体細胞保持部は、細長い 記(1)ないし(7)のいずれかに記載の生体細胞凍結 生体細胞付着保持部を備え、前記生体細胞付着保持部は 保存具。 、前記生体細胞付着保持部の長手方向に複数設けられた (9) 生体細胞収納用凹部と、前記生体細胞収納用凹部と連通 る上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体細胞 する余剰凍結保存液排出路を有する生体細胞凍結保存具 凍結保存具。 。 前記耐寒性材料は、液体窒素耐性材料である上 前記生体細胞付着保持部は、薄板状のものであ ( 6 ) 【図1】 JP 【図3】 【図2】 【図4】 5781621 B2 2015.9.24 ( 7 ) 【図5】 JP 【図9】 【図10】 【図6】 【図11】 【図7】 【図12】 【図8】 5781621 B2 2015.9.24 ( 8 ) 【図13】 JP 5781621 B2 2015.9.24 【図14】 ──────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2012−140422(JP,A) 特開2000−189155(JP,A) 特開2002−315573(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.,DB名) C12M C12N 1/−7/ A61B 17/42 A61D 19/02 A61J 3/00 A01K 67/02 A01N 1/02 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
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