間接熱量測定を用いた慢性肝疾患の栄養アセスメント

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間接熱量測定を用いた慢性肝疾患の栄養アセスメント
◎松島 のどか 1)、山岸 夏子 1)、倉島 祥子 1)、徳竹 佐智夫 1)、宮本 民子 1)、林 正明 1)
長野赤十字病院 1)
【はじめに】日本消化器学会から 2010 年に発表された肝硬
満が全体の 86%を占め、その結果 LES が導入された割合は
変診療ガイドラインでは非蛋白性呼吸商(npRQ)0.85 を境に
80%であった。また慢性肝疾患群において、NST で従来か
患者の栄養状態を評価するとされており、それを受け当院
ら用いている Harris-Benedict 式で設定する必要エネルギー
検査部では 2012 年に間接熱量測定計を導入した。今回、当
量は平均 25.47±2.51kcal/kg、間接熱量測定で得られた
院 NST で介入した慢性肝疾患患者の間接熱量測定結果と栄
REE は 23.79±2.42kcal/kg となり有意差を認めた(p<0.01)
養評価についてまとめたので報告する。
【考察】肝疾患患者に対する栄養療法は予後にも影響を与
【対象】2013 年 4 月~2015 年 6 月までに NST 介入し、間
えると言われ、低栄養状態の改善を目的とした食事指導が
接熱量測定を行った慢性肝疾患群 15 症例(男性 7 名、女性
基本である。また、分岐鎖アミノ酸の摂取・ LES の有用性
8 名、年齢 72.3±7.1 歳)、他疾患群 8 症例(男性 5 名、女性
が報告されている。今回の症例では RQ が 0.85 未満の患者
3 名、年齢 55.6±18.7)を対象とした。
が多く、脂質の燃焼亢進が認められた。その結果をもとに、
【栄養療法の方法】入院時に間接熱量測定を行い、安静時
アミノレバンを用いた LES の開始や内服薬の増量などが行
エネルギー消費量(REE)に活動係数を乗じたものを必要エネ
われた。さらに REE を測定することで適切な必要エネルギ
ルギー量に設定する。呼吸商(RQ)の値から夜食療法(LES)の
ー量を把握、設定することができ、従来の NST での評価方
導入を検討した。
法ではエネルギー量の過剰投与となることが考えられた。
【結果】慢性肝疾患群と他疾患群の比較では、RQ はそれ
【結語】間接熱量測定を用いることで患者個々に対応した
ぞれ平均 0.79±0.04、0.88±0.11 となり有意差を認め(p<
栄養学的アプローチが可能となった。
0.05)、REE/㎏は平均 23.79±2.42、22.01±3.27 となり有意差
連絡先 026(226)4131 (内線 2242)
は認められなかった(p=0.20)。慢性肝疾患群では RQ0.85 未