熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System Title Alport症候群モデルマウスにおける新規治療標的分子の 探索と機能解析 : 腎病態進行抑制因子p53および抗炎症 性因子FAM105Aの同定 Author(s) 福田, 亮介 Citation Issue date 2015-03-25 Type Thesis or Dissertation URL http://hdl.handle.net/2298/32193 Right troplA 症候群モデルマウスにおける新規治療標的分子の探索と機能解析 ~腎病態進行抑制因子 p53 および抗炎症性因子 FAM 105A の同定~ 創薬・生命薬科学専攻バイオファ ーマ コ ー ス 遺 伝 子 機 能 応 用 学 分 野 福 田 亮 介 A tropl 症候群 (A tropl syndro me ;AS) は,若年期 からの進行性糸球体腎炎病態を主徴と する難治性の遺伝性腎疾患で、ある.本疾患は,約 50 0 人に 1 人の割合で発症する頻度の高 し1 疾患であり,男性においては 30 代までに末期腎不全に至り,人工透析や腎移植を余儀な くされる .した がって 存在しない. AS の発症は,糸球体基底膜 (Glomerular 成する IV 型 C olagen 形成遺伝子 COL4A3 にお ける IV 型 C olagen が知られ, GBM )etycodp( AS に対す る根治療法は その治療法の開発が強く望まれているが basement membrane; GBM) を構 ,4,5 のし吋=れかの遺伝子変異に起因すること 形成異常は, GBM の薄層化や糸球体上皮細胞 の足場構造の崩壊を引き起こす.このようにして生じた尿鴻過機構の破綻は, 尿中へのアルブミン等の血液成分漏出を促進し,糸球体への炎症性細胞の浸潤,尿細管障 害を誘導し,結果として, AS 患者は,糸球体硬化,尿細管拡張 ,腎線維化を経て末期腎不 全へと至る. 本研究では,未だ根治療法のない AS の病態形成に関わる新規創薬標的分子の探索および その治療応用を究極の目的に,種々の検討を行った . まず第 1 に , に変異を有することで知られる COL4A5 Co14a5 変異マウス (AS ヒトにおい て最も高頻度 に着目し,本遺伝子に変異を有する X 染色体性 マウス)において,病態進行により発現低下が認められた p53 の AS 腎病態形成における役割について明らかにした.第 2 に,上記検討により AS 病態形成: t pf '制 的に働く p53 を非侵襲的に活性化する手法として,物理刺激の 一つ ,微弱パルス電流の同定 とその作用メカニズムの解明を行った.最後に, 現が増加する機能未知遺伝子 FAM AS マウスの病態進行とともに腎組織での発 105 A の機能解析を目的とし ,FAM105A の主要な発現細 胞と考えられる単球を用いた検討を行った.以下に得られた知見について要約する. .1 Podoc etv における p53 の AS 病態進行抑制機構の解明 がん抑制遺伝子として知られる p53 はユビキ タスに発現する転写因子であり,多様な標 的遺伝子発現制御を担うことで種々の外部刺激に対する細胞応答を誘導し,生体組織の恒 常性維持に重要である . 興味深いことに ,AS マウ スにおいて,病態進行に従い糸球体にお ける p53 タン パク質発 現が低下していることが示された . そこで全身性 .p53 ス (/+35p ro 十 AS) を作成し, p53+/ 欠損 AS マウ AS マウ スと病態を比較した結果, p53 欠損によっ てタン パク 尿,腎炎,腎線維化病態が顕著に促進されることが見出された.また, により AS マウス糸球体における細胞性半月体形成が促進されたことから, p odcyte に関与することが示唆されたため, p53 のp odcyte 3 また θ N hp' ri n や Podo nic などの po e tycod 欠損 増殖 における 機能を調べた . マワスポドサ イト細胞株,初代培養糸球体上皮細胞を用いた検討の結果, p53 を抑制し p53 はp odcyte の増殖 ・遊走 機 能遺伝子発現を正に制御し 得る こ
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