J-REIT市場の現状と今後の見通しについて

情報提供資料
マーケットレポート
2015年8月31日作成
J-REIT市場の現状と今後の見通しについて
今回のポイント
 中国の景気先行き懸念を背景とした、世界的な株式市場の調整の影響を受けたJ-REIT市場は、公募
増資が積極化したことなどもあり、8月25日に一時今年の最安値を更新する局面もありました。
 しかし、実物不動産のファンダメンタルズ(基礎的条件)は改善基調とみられ、インバウンド需要による恩
恵やオフィス空室率の低下がJ-REITの保有物件の賃料上昇にはずみをつけると期待されます。
 J-REIT市場は、短期的には変動が大きく神経質な展開が予想されますが、他国に比べ割高といわれて
いたバリュエーションの調整が進み、低金利が続く状況下利回り商品に対する投資家の需要に支えられ
堅調な展開になるとみています。
足元の市場動向
東証REIT指数の推移
8月11日に中国人民銀行が人民元の中心レート
の引き下げを発表して以降、中国景気に対する
懸念が更に拡大し、同国の株式市場が再び下落
基調に転じたことから、世界的に株式市場が急落
しました。このような相場環境においてJ-REIT市
場も下落を免れることはできず、7月上旬につけた
安値を割り込んで、8月25日には東証REIT指数が
1,578.97ポイントまで下落しました。
(2015年1月5日~2015年8月31日)
(ポイント)
2,200
2,000
1,800
1,600
8月以降、J-REIT各社の公募増資が再び積極
化していたことや、投資信託も一時は資金流出し
ていたとみられ、需給面でも厳しい状況であったこ
とが、下落に拍車をかけたと考えられます。
1,400
1/5
2/5
3/5
4/5
5/5
6/5
7/5
8/5 (月/日)
(出所: BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
その後、8月25日に中国の利下げが行われたこ
とや、米国GDP(国内総生産)改定値が市場予想
を上回ったこと、下落が急ピッチであったことなど
から世界的に株式市場が上昇に転じたことをきっ
かけに、J-REIT市場も反発し、週明け31日には東
証REIT指数は1,634.37ポイントで取引を終えまし
た。
8月のJ-REITの新投資口発行・売出し
8月10日
GLP投資法人が投資口の追加発行・売出し
8月14日
オリックス不動産投資法人が投資口の追加
発行・売出し
8月20日
日本リテールファンド投資法人が投資口の
追加発行・売出し
8月27日
ケネディクス商業リート投資法人が投資口の
追加発行・売出し
(出所: 各投資法人発表資料の情報をもとにDIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
商 号 等 / DIAMアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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今後の市場見通し
J-REITの配当利回りの推移
世界的な景気減速懸念がくすぶる中、雇用統
計等の米経済指標の発表や、9月18日の米
FOMC(米連邦公開市場委員会)における利上げ
観測等が注目されています。また、中国では10
月に5中全会を控えており、財政政策や金融政
策の新たな動きが出てくるかも注目されます。
一方で、我が国における実物不動産のファン
ダメンタルズ(基礎的条件)をみると総じて改善基
調といえます。ホテルについては、インバウンド
(訪日外国人)需要の恩恵を大きく受けていま
す。中国景気の先行きにも注視する必要があり
ますが、大きな流れは変わらないと考えていま
す。オフィスについては、今月発表があった大型
オフィスリートの決算からは、既存賃料が向こう1
年間はプラスに推移する見通しが出るなど、改
善の兆しがみられます。三鬼商事によれば東京
都心5区の空室率は5%を切っており、良好な
リーシング環境となりつつあることもJ-REITの保
有物件の賃料上昇にはずみをつけるとみていま
す。
(2015年1月9日~2015年8月28日)
(%)
5
利回り差
J-REIT配当利回り
日本10年国債利回り
4
3
2
1
0
1/9
2/9
3/9
4/9
5/9
6/9
7/9
8/9
(月/日)
※J-REIT配当利回りは、東証REIT指数の構成銘柄の実績
配当利回りの加重平均。
※週次データ。
(出所: BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
東京都心5区の賃料と空室率の推移
(千円/坪)
24
(2007年10月~2015年7月)
平均賃料(左軸)
(%)
15
平均空室率(右軸)
短期的には変動の大きい神経質な展開が続く
と考えられます。今般の急落の中で、株式市場
に比べてその戻りが鈍いのは、他国リートに比べ
てバリュエーションが割高とみられていたことが
考えられます。
今回の下落で、ある程度バリュエーション調整
が進み、日銀の積極的な量的緩和策などにより
低金利の状況が続くとみられるため、J-REIT市
場は利回り商品に対する投資家の根強い需要
に支えられて堅調な展開になると考えられま
す。
21
10
18
5
15
0
07/10 08/10 09/10 10/10 11/10 12/10 13/10 14/10
(年/月)
※東京都心5区は、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区。
※賃料は坪単価で表示(共益費は含まず)。
※月次データ。
(出所:三鬼商事のデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
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