石巻西高実況中継 第58号

石巻西高実況中継
~学校の情報や生徒の様子をリアルタイムで家庭に届けます~
平成27年3月20日 第58号
作成者:生徒 佐藤芳哉
発行者:校長 齋藤幸男
実況中継第58号は、佐藤芳哉君からのメッセージです。とかく人間は、自分の足下に大切なもの
があることに気づかないで、必要以上に悩み苦しんだりすることがあります。今回の実況中継は、そ
ういう人間の弱さや物の見方や考え方についてです。目立った活動をするのは決して悪いことではな
いのですが、小さな出来事に心が向くことは、人間が生きる上でとても大切なことです。
<私は諸事情で職員室に向かうことが多く、いつも落し物棚の前を通ります。……その時、気になる
のが異様な数の落し物です。以前は、「本当についうっかり」といった落し物が多かったのですが、今
では、「え!?こんなものまで?」というものが多くなっています。私が見た中で驚いたものを、いく
つか挙げてみましょう。
1.カーディガン
2.弁当箱
3.靴
4.お金・電子辞書などの貴重品
落し物棚の管理をしている菅原先生にも、驚いた落し物について聞きました。自転車などの鍵、膝
掛け、カーディガン、弁当箱などです。弁当箱は先生が洗ってくださった後、置いているそうです。
月ごとに落し物は増えています。わざと落としているのではないかと思うほどの量です。……もしか
して、落としているものは、「あっ、ないけど、まあいいや!」みたいな程度のものなのでしょうか?
もう4年以上も経っているので書きたくはないのですが、震災当時のことを忘れかけているのではな
いでしょうか?あの時は使えるもの、貰えるものは大事にしていた筈です。校長先生に聞いたところ、
震災当時は、罹災証明書が発行されている家庭を対象に災害救助法が適用され、教科書と副教材につ
いては4,800円までの学用品が給与されたそうです。270名以上の先輩達が、支援物資に助け
られながら学校生活を送っていたんだよと教えられました。総額で550万円以上だったそうです。
この文章を読んで、「落し物ぐらいで騒ぐなよ、馬鹿み
たい!」と、思っている人がいるかもしれません。しかし、
私や私の考えに共感してくれる人は、次のようなこと危惧
しています。
まず落し物は、職員室の鍵付きの落し物棚に入れられま
す(まぁ、溢れていますけど……)。それを見た他の生徒も
感化され(物を落としても誰か拾う)と考えた生徒が、「物を
落としても大丈夫」みたいな感覚が生まれます。当然、棚
の中身は今よりも増えます。落とし、誰かが拾っても引き
取りに来ないという生徒がほとんどだと思います。すると、
棚が整理が出来なくなり汚くなっていきます。周りも少し
ずつ汚れていき、最悪の場合には、学校全体が汚れるので
はないのかとさえ考えています。そのようなことは絶対な
いと思っている皆さん、割れ窓の理論はご存知でしょうか?
「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っ
ていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て
壊される」(Wikiから引用)というものです。これは今の西
高の落とし物と同じような現象ではないでしょうか?
私は棚の中にある落し物を見るのは、何かと辛くなる思いです。他の人もきっとそう思っています。
何故かと言うと、西高生の輝いている姿の裏側を見ている気がしてならないのです。……もし、何
かを落としてしまった人は、一度、職員室前にある落し物棚を覗いてみてください。あなたを待って
いる落し物があるかもしれません。春休みが終わる頃には、あの棚の中の半分が無くなっていればい
いなと思います。4月に入学する新一年生に、「西高って落し物多いな〜 」と思われたくはないでしょ
う?新学期までには落し物が少なくなることを願っています>
激しいまでの西高愛に胸が熱くなりました。 校長より