政策情報vol.43 - 全国社会福祉協議会 政策委員会

政策情報
Vol.43
発行 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 政策企画部
E-MAIL [email protected] ℡ 03-3581-7889
平成 27 年 7 月 2 日号
政策情報は、全社協理事・評議員、政
策委員会委員、幹事、都道府県・指定
都市社協に配信しています。
政策委員会レポート
❖ 政策委員会 幹事会(平成 27 年度・第2回)を開催:平成 27 年 6 月 26 日(金)
社会保障、福祉政策の課題について、政府の財政健全化に向けた動向を踏まえ協議した。
また、政策委員会構成組織の各分野における課題等に関する意見交換とともに、社会福祉法人制
度の見直しについては、各構成組織での検討・取組の状況を共有した。
なお、「平成 28 年度税制、社会福祉制度・予算に関する要望書」により、厚生労働省及び内閣府に
要望を行った。
政策動向・ピックアップ
 社会保障制度改革・税制
・自民党・財政再建に関する特命委員会:最終報告~財政再建に向けた歳出目標の設定
・財政制度等審議会「財政健全化計画等に関する建議」~社会保障の歳出改革
 地方分権改革
・
「まち・ひと・しごと創生基本方針 2015」閣議決定~ローカル・アベノミクスの実現に向けて
 規制改革
・
「規制改革実施計画」閣議決定~規制改革に関する第 3 次答申を踏まえて
 社会福祉法人
・
「社会福祉法人の『地域における公益的な取組』について」通知発出~積極的な取組を促進
 経済・成長政策
・
「
『日本再興戦略』改訂 2015」閣議決定~未来への投資・生産性革命
・骨太の方針(
「経済財政運営と改革の基本方針 2015」
)閣議決定~経済再生なくして財政健全化なし
≪添付資料≫ 政策動向 平成 27 年度 NO.3(2015 年 6 月 26 日)
「社会保障・福祉政策の動向と対応~ともに生きる豊かな福祉社会をめざして~」
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政策委員会レポート
平成 27 年度・第 2 回幹事会を開催(6/26)
~政府の財政健全化に向けた動向を踏まえ、社会保障・福祉政策の課題等について協議~
■政府の財政健全化に向けた動向を踏まえた協議
 経済財政諮問会議、財政制度等審議会、自民党財政再建に関する特命委員会、規制改革会議等の
審議状況等をもとに社会保障・福祉政策の課題を確認し、平成 28 年度以降の予算編成にあたって必要
となる対応や課題の検討について協議した。
 社協、民生委員、高齢者、障害者、子ども・子育てなど政策委員会構成組織の各分野における政
策課題等について、各幹事から報告と意見交換を行った。
 社会福祉法人制度の見直しへの対応について、全国社会福祉法人経営者協議会および地域福祉推進
委員会での検討状況を共有し、国会に提出された社会福祉法の一部改正により福祉現場が混乱するこ
とのないよう、今後、国会審議に合わせて、提言・要望をしていくことを確認した。
■平成 28 年度税制、社会福祉制度・予算に関する要望書
 平成 28 年度の政府予算編成に向けた社会福祉制度関連予算の充実・確保について、厚生労働大臣
宛(6 月 11 日)、内閣府内閣府特命担当大臣宛(6 月 17 日)に要望した。
ともに生きる豊かな福祉社会をめざして
:「全社協 福祉ビジョン 2011」第 2 次行動方針を策定
全社協 福祉ビジョン 2011「行動方針」について、
2015 年を起点としてさらに取り組んでいくために
「第 2 次行動方針」として改訂しました。
第 2 次 行動方針
いま、重点的に取り組む重要課題
~地域におけるセーフティネットの仕組みの強化~
【いま、取り組むべき 7 つの重要課題】
1.地域における総合相談・生活支援体制の強化、確立
2.地域での公益活動の展開強化
3.福祉サービスの質の向上と社会福祉法人・福祉施設、社会福祉
協議会の経営管理の強化
4.福祉の職場の社会的評価の向上、福祉人材の確保・育成・定着
の取組強化
5.大規模災害と防災への対応の強化
6.地域住民等の地域コミュニティへの参加環境づくり
7.地域での計画的な福祉基盤の確立と制度改革の働きかけ
:「全社協 福祉ビジョン 2011」実践事例集 vol.3 を発刊
社会福祉法人による地域での公益活動をテーマに
「全社協 福祉ビジョン 2011」実践事例集 vol.3
を発刊しました。
冊子データは、下記の政策委員会ホームページに掲載しています。
http://zseisaku.net/vision2011/
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政策動向・ピックアップ
社会保障制度改革・税制
・自民党・財政再建に関する特命委員会:最終報告~財政再建に向けた歳出目標の設定
6 月 16 日:自由民主党政務調査会「財政再建に関する特命委員会」(委員長=稲田朋美政調会長)は、
経済再生と財政再建の両立の実現に向けて、5 月 13 日に議論の中間整理をとりまとめ・公表した。その後も歳
出改革の具体策等の検討を進め、6 月 16 日に最終報告をとりまとめた。
本報告は、「今後、政府・与党が一体となって進むべき道筋を示すものであり、その内容は、いずれも近く政
府においてとりまとめられる「骨太の方針」に具体的かつ明確に盛り込まれるべきものと考える」としている。
・財政制度等審議会「財政健全化計画等に関する建議」~社会保障の歳出改革
6 月 1 日:財政制度等審議会は、骨太の方針に盛り込まれる 2020 年度までの財政健全化計画に向けた意
見を財務大臣に報告した。
財政健全化計画で示されるべき方向性として、デフレ脱却・経済再生に最大限に取組むことにより「経済再
生ケース」を実現し、できる限りの税収増を図るとともに、税収増だけに期待することなく、2020 年度の基礎的
財政収支(プライマリーバランス)の赤字解消に向け、確実に収支改善を実現するための歳出改革を柱とする
べきとしている。あわせて、平成 29 年 5 月の消費税率引上げは、社会保障目的であり、歳出全体が安易に増
加しては、国民の理解を得られないとの考えを示した。
歳出改革は、歳出分野ごとの具体的方策を工程表に沿って着実に進め、社会保障については、歳出の伸び
を「高齢化による伸び」(年 0.5 兆円)に相当する範囲内に抑制すべく、医療・介護を中心として歳出改革に取
組むことが適切であるとしている。社会保障については、当面の社会保障制度改革の基本的な考え方と医療・
介護に関する制度改革・効率化の具体案等を示している。
★ 自民党 財政再建に関する特別委員会報告(最終報告)
https://www.jimin.jp/news/policy/127997.html
★ 財政制度等審議会財政制度分科会
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html
地方分権改革
・「まち・ひと・しごと創生基本方針 2015」閣議決定
~ローカル・アベノミクスの実現に向けて
6 月 30 日:政府は、「まち・ひと・しごと創生基本方針 2015」を閣議決定した。
基本方針では、地方創生によるローカル・アベノミクスの実現に向けた方針や取組の必要性が述べられてい
る。「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」ための取組として、(1)少子化対策における「地域アプ
ローチ」の推進、(2)出産・子育て支援、(3)働き方改革を掲げ、具体的取組を示している。
また、「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」ための取組としては、
(1)まちづくり・地域連携、(2)「小さな拠点」の形成(集落生活圏の維持)、(3)地域医療介護提供体制の整
備等、(4)東京圏の医療・介護問題・少子化問題への対応が掲げられている。
「小さな拠点」の形成(集落生活圏域の維持)においては、「地域で暮らしていける生活サービスの維持・確
保」を掲げ、具体的な取組として、生活サービスの集約・確保やネットワークの維持等を推進することとし、「拠点
施設における福祉サービスのワンストップ化を推進する」こと等を示した。
★ まち・ひと・しごと創生本部
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/chihou_sousei/#c015
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規制改革
・「規制改革実施計画」閣議決定~規制改革に関する第 3 次答申を踏まえて
6 月 30 日:政府は、「規制改革に関する第 3 次答申」(6 月 16 日)をもとに、規制改革実施計画を閣議決
定した。計画は、答申を踏まえ、対象となった規制や制度、その運用等について、直ちに改革に着手し、期限
を定めて着実に実現を図っていくために定められたものである。
計画では、「『日本再興戦略』改訂 2015」(6 月 30 日・閣議決定)の推進にあたり、阻害要因を除去するた
め、「健康・医療」、「雇用」、「農業」、「投資促進等」及び「地域活性化」を改革の重点分野として掲げている。
また、「内閣府は、残された課題に着実に対応するため、本計画策定後、速やかに更なる検討を開始し、日
本経済再生本部、まち・ひと・しごと創生本部、経済財政諮問会議等と効果的かつ効率的に連携しつつ、来夏
まで規制改革会議での検討の仕組みを維持し、継続的にその体制の下での検討及び意見を踏まえた取組を
進めていくものとする」としている。
3」
★ 規制改革会議
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/
社会福祉法人
・「社会福祉法人の『地域における公益的な取組』について」通知発出
~積極的な取組を促進
厚生労働省は、社会福祉法人の「地域における公益的な取組」について、積極的な実施の促進を依頼する
通知を4月17日付で発出した。
「規制改革実施計画」(平成26年6月閣議決定)では、社会福祉法人本来の役割を果たすことを求める観
点から、全ての社会福祉法人に対して社会貢献活動の実施を義務付けるとし、「一定の事業規模を超える社
会福祉法人に対して法令等での義務付けに先駆けて社会貢献活動の実施を要請」している。また、社会福祉
法改正法案は、「地域における公益的な取組」を責務規定として整備することが盛り込まれている。
通知では、地域における公益的な取組を行うことは、法整備を待つことなく、社会福祉法人がその本旨に基
づき果たすべき社会的使命であるとし、既に多くの社会福祉法人においては、地域の福祉ニーズを踏まえ、そ
の規模や経営実態に即して、自主的に実施されている前提にもとに、未実施の法人も含め更なる積極的な取
組が求められるとしている。
★ 社会福祉法等改正法案(厚生労働省 HP)

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/189.html
参考:経営情報の公開、「「社会福祉法人の認可について」の一部改正について」(平成 26 年 5 月 29 日・
厚生労働省通知)への対応*全国社会福祉法人経営者協議会HP http://www.keieikyo.gr.jp/
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経済・成長政策
・「『日本再興戦略』改訂 2015」閣議決定~未来への投資・生産性革命
6月30日、政府は、「『日本再興戦略』改訂2015‐未来への投資・生産性革命‐」を閣議決定した。
アベノミクス第二ステージは、「未来投資による生産性革命」と「ローカルアベノミクスの推進」を両輪として推
し進めることによって、日本を成長軌道に乗せ、世界をリードしていく国になるため、デフレ脱却に向けた動きを
確実なものにし、将来に向けた発展の礎を再構築することこそがアベノミクス成長戦略の狙いであるとしている。
「経済再生なくして財政健全化なし。経済成長を持続的なものとすることに全力を挙げつつ、強い姿勢・決意
をもって財政健全化に取り組む」と明示している。
3つのアクションプラン(日本産業再興プラン、戦略市場創造プラン、国際展開戦略)において、具体的な施
策を掲げている。新たに講ずべき具体的施策としては、保育士確保に向けた取組などによる女性の活躍促進、
国家戦略特区の都市公園内における保育所等の設置、保育所における第三者評価の受審促進等が示され
ている。また、介護などの外国人技能実習制度の新制度への移行に向けた取組を推進することも掲げられた。
その他、法人税改革、国家戦略特区の加速的推進のほか、更なる規制改革事項等の実現等も盛り込まれ
ている。
・骨太の方針(「経済財政運営と改革の基本方針 2015」)閣議決定
~経済再生なくして財政健全化なし
6月30日、政府は、骨太の方針=「経済財政運営と改革の基本方針2015~経済再生なくして財政健全化
なし~」を閣議決定した。
骨太の方針には、「経済・財政再生計画」が盛り込まれており、基本的な考え方として、民間の活力を活かし
ながら、経済と財政の一体的な再生を目指す「経済・財政再生計画」(2016年度~2020年度)の下、「経済・
財政一体改革」を不退転の決意で断行する必要があるとし、歳出改革については、国、地方、民間が一体とな
って「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、「公共サービスのイノベーション」に取り組むことが必要
であるとしている。
公的サービスの産業化については、「企業等が医療機関・介護事業者、保険者、保育事業者等と連携して
新たなサービスの提供を拡大することを促進する」ことや「医療、介護と一体的に提供することが効果的な健康
サービスや在宅医療・介護の拡大に対応した高齢者向け住宅、移送サービスなどのニーズに応じた新たなサ
ービスの供給を拡大する」ことなどが掲げられた。
歳出改革において、社会保障は重点分野とされ、「安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の成果と
合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5 兆円程度)となってい
ること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度(平成30年度)まで継続していくことを目安とし、効
率化、予防等や制度改革に取り組む。この点も含め、2020年度(平成32年度)に向けて、社会保障関係費の
伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す」
ことが明示された。
また、「社会保障・税一体改革を確実に進めるとともに、団塊の世代が後期高齢者になり始める2020年代
初め以降の姿も見据えつつ、主要な改革については2018年度(平成30年度)までの集中改革期間中に集中
的に取組を進める。2020年度(平成32年度)までの検討実施に係る改革工程を速やかに具体化していく中
で、予断を持たずに検討する。平成27 年度からできる限り速やかに取組を進める」としている。
★ 「『日本再興戦略』改訂 2015」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html#c16
★ 経済財政運営と改革の基本方針 2015
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/decision0630.html
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◇実践事例募集中◇
…すすめよう!発信しよう!働きやすく、やりがいの感じられる「ふくしの仕事」
●政策委員会では、「働きやすく、やりがいの感じられる福祉の職場づくり」にむけて、福
祉関係者の主体的な行動を促すための参考に資するため、社会福祉法人・福祉施
設等事業所の先進的な取り組み実践事例を引き続き募集しています。
◇実践事例をホームページに掲載しています◇
政策委員会ホームページ:http://zseisaku.net/fukushi-shokuba/
●応募いただいた事例は、全社協政策委員会のサイトに掲載しています。
また、政策委員会パンフレットやプレスリリース等に参考事例として掲載させていただき
ます(掲載する際には、事前に内容等確認のご連絡をいたします)。
皆さまの積極的なご応募をお待ちしております。
★公募要領および公募様式は下記URLよりダウンロードできます。
http://zseisaku.net/fukushi-shokuba/idea/
≪添付資料≫政策動向 平成 27 年度 NO.3(2015 年 6 月 26 日)
資料はこちらからダウンロードしてください ⇒ http://zseisaku.net/
『権利擁護・虐待防止白書』のご案内
本会では、権利擁護・虐待防止に関する総合的な推進
事業として、毎年「権利擁護・虐待防止白書」を発行し
ています。白書は、研究者によるこの一年間の主要な動
向と課題、また活動団体による年次報告と関係省庁など
の関係資料を掲載しています。
2015 年版では、
「精神障害のある人の権利擁護・虐待
防止」を特集のテーマとし、精神障害のある人への、福
祉・医療など多様な社会資源を基盤とした地域における
支援の取り組みや実践事例を紹介し、今後の実践活動を
考察する内容となっています。
≪申込書の URL≫
http://www.shakyo.or.jp/news/20150331_hakusho.pdf
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