連立方程式 1. 連立方程式の基本事項 (a)変数…方程式の中に使われている x,y などの文字。 (b)変域…変数がどのような数になりうるか定めた範囲。 (例1)0 ≦ x ≦ 3…0 から 3 までのすべての数を含む。数直線上に表すと次のようになる。 (例2)1 < x < 4…1 と 4 の間にあるすべての数を含む。ただし,1 と 4 は含まない。数直線上に表 すと次のようになる。 (c)二元一次方程式…2 種類の変数を含む一次方程式。 (例)2x + y = 5,x − y = 3 など (注)3 種類の変数を含む一次方程式は三元一次方程式と呼ばれる。 2. 連立二元一次方程式 二元一次方程式を 2 つ組み合わせたものを「連立二元一次方程式」という。また,連立二元一次方程式の 2 つの方程式を同時に成り立たせる変数の組を,「連立二元一次方程式の解」という。 (a)連立二元一次方程式の解き方 i.「加減法」を用いて解く POINT:加減法 2つの方程式を足したり,引いたりして,2種類の変数のうち,ど ちらか1つを消去して解く方法。 (注)2種類の変数の係数が,2つの方程式で異なる場合,係数を そろえてから計算する。 (例1) 1 x + y = 4 … 2 2x − y = 5… x+y = 4 1 + 2 より, +) 2x−y = 5 ← y を消去 ∴ x = 3… 3 ← x の値が求まった 3x =9 3 を 1 へ代入して 3 + y = 4 ←求めた x の値を 1 または 2 へ代入して y の値を求める ∴ y = 1 よって, (答)x = 3,y = 1 (例2) 1 3x + 4y = 5… 2 x + 2y = 1 … 2 を2倍する。 POINT:2種類の変数(x,y )の係数が,2つの方程式で異なるので,まず 2 × 2 より 2x + 4y = 2 … 2 ← y の係数が 1 と同じになった 3x+4y = 5 1 − 2 より −) 2x+4y = 2 ← y を消去 ∴ x = 3… 3 ← x の値が求まった x =3 1 3 を 2 へ代入して 3 + 2y = 1 ←求めた x の値を 1 または 2 へ代入して y の値を求める (答)x = 3,y = 1 ∴ y = 1 よって, 2 を 3 倍して x を消去して解いてもよい。 (注)最初に ii.「代入法」を用いて解く POINT:代入法 2つの方程式のうち,どちらか一つの方程式を1つの変数について 解き(x = ay + b または y = ax + b の形にする)これをもう一つ の方程式に代入して解く方法。 (例1) 1 y = 2x − 1… 2 x + y = 2 … 1 を 2 へ代入して x + (2x − 1) = 2 ←変数は x だけになった 3 ← x の値が求まった これを計算すると 3x = 3 ∴ x = 1… 3 を 1 へ代入して y = 2 ・ 1 − 1 = 1 ←求めた x の値を 1 または 2 へ代入して y の値を求 める よって,(答)x = 1,y = 1 1 x − 2y = 4 … 2 3x − 4y = 10 … 1 の方程式を x について解く。 (x =… の形にする。 ) POINT:まず, (例2) 1 より x = 2y + 4 … 1 1 を 2 へ代入して, 3(2y + 4) − 4y = 10 ←変数は y だけになった 3 ← y の値が求まった これを計算すると 2y = −2 ∴ y = −1 … 3 を 1 へ代入して x − 2 ・ (−1) = 4 ←求めた y の値を 1 または 2 へ代入して x の値を求 める x + 2 = 4 ∴ x = 2 よって,(答)x = 2,y = −1 ※連立二元一次方程式の解き方のまとめ 1 「加減法」や「代入法」を用いて,変数を1種類にして,その変数の値を求める。 2 1 で求めた変数の値を,問題で与えられている2つの方程式のどちらかに代入し,も う1つの変数の値も求める。 3 最後に 1 , 2 で求めた2つの変数の値を,問題で与えられている2つの方程式の両方 に代入し,2つの方程式が両方とも成り立つことを確認する。 →連立二元一次方程式を解いたことになる (b)連立二元一次方程式の解の表し方 解の表し方には以下の2通りがある。 1 x = a,y = b 2 (x,y) = (a,b) (例)x が 3,y が −1 と求まった場合 1 x = 3,y = −1 2 2 (x,y) = (3,− 1) 1 , 2 のどちらの表し方でもよい。 (注) (c)A = B = C 型の連立方程式 POINT:A = B = C 型の連立方程式 A = B = C 型の連立方程式は以下の3つの組み合わせのいずれか に変形して解く。 A=B B=C B=C C=A C=A A=B (注)どの組み合わせに変形して解いてもよい。 (例)2x + 14 = 7y+ 11 = 4x + 10y まず,変形すると 2x + 14 = 4x + 10y 7y + 11= 4x + 10y 1 2x + 10y = 14 … これを計算して整理すると 2 4x + 3y = 11 … 1 × 2 より 4x + 20y = 28 … 1 4x + 20y= 28 1 − 2 より −) 4x + 3y= 11 ∴ y = 1 … 3 3 を 1 に代入して 17y= 17 2x + 10 × 1 = 14 2x = 4 ∴ x = 2 よって,(答)x = 2,y = 1 3. 連立三元一次方程式 三元一次方程式を3つ組み合わせたものを, 「連立三元一次方程式」という。 ※連立三元一次方程式の解き方 POINT:連立二元一次方程式の場合と同様に,「加減法」や「代入法」を用いて,変数の種類を減ら していくと解ける。 1 まず, 「加減法」や「代入法」を用いて,3種類の変数のうち,どれか1つを消去して,変数を2 種類にする。 2 1 で変数を2種類にすると,連立二元一次方程式になるので,それを解き,2つの変数の値を求 める。 3 2 で求めた2つの変数の値を,問題で与えられている3つの方程式のどれかに代入し,残りの1 つの変数の値も求める。 4 最後に, 2 , 3 で求めた3つの変数の値を問題で与えられている3つの方程式すべてに代入し, 3つの方程式がすべて成り立つことを確認する。 → 連立三元一次方程式を解いたことになる。 x+y +z = 6 … 1 2 (例) x + 2y − 3z = 5 … 3 2x − y + 2z = 3 … POINT:まず,y を消去していく 1 + 3 より 3 x+y+ z = 6 +)2x−y+2z= 3 3x 1 と 3 に加減法を用いて y を消去 ← +3z= 9 4 ∴ x + z = 3 … 1 × 2 より 2x + 2y + 2z = 12 … 1 1 − 2 より 2x+2y+2z= 12 1 と 2 に加減法を用いて y を消去 ← −)x+2y−3z= 5 x +5z= 7 5 ∴ x + 5z = 7 … 4 , 5 に注目すると, 4 , 5 は連立二元一次方程式である。 ここで, 4 x + z = 3 … 5 x + 5z = 7… x+5z= 7 5 − 4 より −) x+ z = 3 ← x を消去 4z= 4 6 ← z が求まった ∴ z = 1 … 6 を 4 に代入して x + 1 = 3 ←求めた z の値を 4 または 5 へ代入 7 ← x が求まった ∴ x = 2 … 6 , 7 を 1 に代入して 2 + y + 1 = 6 ←求めた x,z の値を 1 または 2 または 3 へ代入して y の値も 求める よって,(答)x = 2,y = 3,z = 1 (注)最初に y 以外の変数を消去して解いてもよい。 4
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