NEWS RELEASE 2015 年 1 月 28 日 株式会社三菱総合研究所 一般社団法人日米不動産協力機構 日本版 CCRC の実現を目指す政策提言を発表 健康で元気で輝き続けるコミュニティ実現のためにオール・ジャパンの 25 政策 株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:大森京太 本社:東京都千代田区)は、一般社団法人日米不動産協 力機構(代表理事:中川雅之 本社:東京都千代田区)と共同で、『サステナブル・プラチナ・コミュニティ政策研究会』 を昨年 7 月に設置し、日本版 CCRC のあり方を整理するとともに、その実現のためにオール・ジャパンで取り組むべき 必要な政策を検討し、このたび政策提言の骨子を取りまとめました。 ※CCRC(Continuing Care Retirement Community):健康な時から介護時まで移転することなく安心して暮らし続けることが出来る米 国のシニアコミュニティ。全米で約 2 千ヵ所、約 60 万人の居住者、約 3 兆円の市場規模。「日本版 CCRC」は、CCRC を日本の国民性・ 地域性・制度に適合させ、普及を目指すモデル。国の地方創生に向けた「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも「日本版 CCRC の検討」 が明記されている。 人口減少・超高齢社会を迎えた今、持続可能な社会を実現するための新しい社会モデルの一つとして、米国の CCRC を参考に日本の社会特性に合致した新しいモデルを構築・普及すべく、有識者、関係省庁、事業者で討 議し、日本版 CCRC のあり方と推進のための視点、必要となる政策、関連主体への期待などについて取りまとめ ました。 ■高齢者が社会の担い手の一員となる新たな住まい・コミュニティ(参考資料 表 1、図 1) 日本版 CCRC とは、従来の高齢者住宅とは異なり、高齢者が安心して健康で元気に暮らし続けることができ、 社会の担い手の一員となり得る仕組みが整った新たな住まい・コミュニティです。高齢者だけの閉ざされた場 所ではなく、地域に開かれ、多世代が集い、共創する仕組みの構築を目指します。5 つの基本機能とともに、 各種主体と連携して総合的に企画・コーディネートなどを行うマネジメント機能が必要です。 ■組み合わせ型政策と仮説検証型モデル事業によるダイナミックな制度設計を(参考資料 図 2) 日本版 CCRC は、健康・医療・介護、街づくり、雇用、生涯学習、移住、社会参加など多様な分野に関連する 社会システムであり、1省庁がすべてを事前に想定して制度設計をすることは困難です。ゆえに省庁横断型 の組み合わせ型政策が必要であり、省庁横断のマネジメント体制の構築や、試行的にモデル事業を開始す ることで得られる課題・知見を制度の本格導入時に活かす仮説検証型の制度設計が鍵となります。 ■健康・コミュニティ機能の促進などを目的に 25 の施策を提案(参考資料 表 2) 従来の高齢者住宅と異なり、健康・コミュニティ機能を促進するため「コミュニティ運営への住民参加促進」や 「社会活動ポイント制度」、日本版 CCRC を支えるための基盤として「情報開示制度」や「認証・格付け機関創 設」、日本版 CCRC の普及を加速させるための「仮説検証型のモデル事業推進」「ラウンドテーブルの設置」 など、25 の施策を提案します。 ■全国での胎動と普及促進するための日本版 CCRC の情報交換の場を設置(参考資料 図 3) 昨年 12 月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において「日本版 CCRC の検討」が明記され、 日本版 CCRC の実現に向けた動きが既に全国各地で始まっています。しかし新しい社会システムゆえにノウ ハウが未確立のため、今後各地で取り組みアイデアを交換していくことが重要です。そこで、『サステナブル・ プラチナ・コミュニティ政策研究会』を発展させ、日本版 CCRC への取り組みの情報交換の場を設置し、引き 続き全国各地での日本版 CCRC への実現を加速していきます。 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. 本件に関する問い合わせ先 株式会社 三菱総合研究所(http://www.mri.co.jp/) 〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目 10 番 3 号 【内容に関するお問い合わせ】 サステナブル・プラチナ・コミュニティ研究会事務局 松田、森 電話:03-6705-6009 メール:[email protected] 【取材に関するお問い合わせ】 広報部 峰尾、瀨戸口、永井 電話:03-6705-6000 メール:[email protected] 本資料は、国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会、経済研究会、経済産業記者会、経済産業省ペ ンクラブ、厚生労働記者会、厚生日比谷クラブ、日本経済団体連合記者会にご案内しております。 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. 【参考資料】 表 1 日本版 CCRC と従来の高齢者住宅との比較 日 本 版 CCRC 従 来 型 の高 齢 者 住 宅 入 居 時 の健 康 状 態 具合が悪くなってから 健康なうちに 入居動機 不安だから 楽しみたいから、役立ちたいから 事業収益視点 公的保険に依存 公的保険に依存しない 地域接点 地域との接点無し 地域に開かれたコミュニティ 世代視点 高齢者だけのコミュニティ 多世代共創型コミュニティ 建物 新規に建築 可能な限りストックを活用 居 住 者 の位 置 づ け 支えられる人 担い手、共助する人 居 住 者 の自 治 組 織 無し 有り 関連雇用 公的保険サービス中心 公的保険外サービス中心 図 1 日本版 CCRC の基本機能 付 加 機 能 社会参加 機能 多世代共創 機能 コミュニティ機能 基 礎 機 能 健康・医療・介護機能 全 体 マ ネ ジ メ ン ト 機 能 居住機能 地域資源等との連携 によって機能を整備 従来はこの部分が中心 行政 介護・ 医療 機関 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. 大学 企業 NPO等 団体 ・・・ 図 2 日本版 CCRC は組み合わせ型の政策で推進 新産業・雇用創出 (投資拡大・税収確保) 地方創生 不動産流通 ふるさと納税 クラウ ドソー シング・ファンテ ゙ィング プチ 就労・コミュニ テ ィビジネ ス インフラ・ストック活用 まちづくり (安全・安心、低炭素) 生涯学習・セ カンドキ ャリア 日本版CCRC = サステナブルプラチナコミュニティ ( 高齢化・ 環境サステナブル) コンパクトシティ 生涯現役 (QoL向上) 多世代交流・共創 高齢者・省エネ住宅 担い手(ヒト)づくり 公的保険外サービス 介護・認知症予防 健康寿命延伸 (社会保障費抑制) Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. 移住・循環型居住 表 2 日本版 CCRC に求められる 25 施策 分野 施策 エビデンスに基づく健康保険料 減額措置 居住者の健康改善を促す民間 金融・保険商品の開発・活用支援 ヘルスケア関連設備投資への 補助・税制優遇措置 要介護度などの改善に対する 成功報酬制度 長生きリスクヘッジ金融商品の 開発・活用支援 コミュニティ運営への住民参加 促進 居住者の医療費・介護費が抑制された場合に、居住者の健康保険料が 一部減額される制度 居住者の医療費・介護費が抑制された場合に、健康管理費相当額が 住民税や所得税から一部控除される制度 居住者の健康改善・コミュニティ活動などの実施に対する優遇条件付き 金融・保険商品の開発への支援 ヘルスケア施設・プログラム整備への補助と健康投資促進税制による 事業者への税控除 居住者の要介護度や生活自立度が改善された場合、事業者の表彰や 奨励金支給の成功報酬制度 居住者の想定居住期間を超えた場合に家賃相当額が事業者に支払わ れる長生きリスクをヘッジする金融商品の開発支援 居住者の自治運営を事業者に奨励、また居住者の入居条件として コミュニティでの自治参加を制度化 共用部分の建設補助 コミュニティ活動中核の場となる共用部建設やソフトへの補助 社会活動ポイント制度 就労や生涯学習の社会活動実績をポイント制として、コミュニティ内での 購買や将来の介護時間に活用 第二義務教育制度 健康管理及び地域の課題と解決方法を学ぶことを義務化 健康管理費などの税控除 健 康 機 能 促 進 す 政 策 情報開示制度 事業者団体の創設 ヘルスアセスメントツールの開発 支援 日 本 版 情報基盤整備 CCRC 認証・格付け機関創設 支 ファイナンス支援 政 策 中古住宅の流通促進 リバースモーゲージの支援 ふるさと納税活用 人材育成支援制度 CCRC 政 策 日 本 版 加 速 化 概要 用途転換緩和 大学の事業参画インセンティブ グレーゾーンの解消 仮説検証型のモデル事業推進 ラウンドテーブルの設置 コミュニティを構成するハード、ソフト、財務状況の定期的な情報開示を 事業者に義務付け、信頼基盤を形成 日本版 CCRC の理念に共感する事業者などによる、調査研究、 政策立案支援などを行う事業者団体の創設 健康状態・社会参加状態など、様々な分野の健康データを管理する 居住者向けの健康アセスメントツールの開発支援 事業者間で、共通経営指標や健康情報、ベストプラクティスの共有など が行えるような情報基盤を整備 日本版 CCRC の要件を規格化し、認証・格付けを行う第三者機関の 創設。米国の CCRC 認証機関(CARF-CCAC)の日本版創設。 不動産特定共同事業法を活かしたヘルスケア REIT(不動産投資信託) や官民ファンドによる資金供与 適正価格での自宅売却を促す建物評価適正化、買取再販の不動産取 得税軽減による住み替えを促進 所有不動産を担保とした住替のための担保価値評価の改善。 政府・金融機関による適切なリスク分担制度構築 ふるさと納税者は地域の日本版 CCRC 入居時に入居金や家賃の一部 を減額。住民票を移した場合には住民税減額 地域連携や事業推進で事業推進を担う人材育成への支援 UR 団地や公営住宅、学校他公共施設、商業施設の用途転換や家賃 設定の規制緩和、手続きの弾力化・簡素化 大学の日本版 CCRC への事業参画促すために、地域貢献として非収 益事業化とするインセンティブ制度 大学敷地内の居住施設、事業への参画など、大学制度上の曖昧なグレ ーゾーンの緩和・解消 対象を限定した試行的なモデル事業で得られた知見と課題を本格導入 時の制度設計に活かす仮説検証型事業の推進 事業者・自治体・中央府省庁が一堂に会し、課題と解決策を共有し 制度設計につなげるラウンドテーブルの設置 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc. 図 3 日本版 CCRC に関連した日本全国での胎動 全国各地で日本版 CCRC に関連した多様な形態での取り組みが始まっている。 Copyright© Mitsubishi Research Institute, Inc.
© Copyright 2024 ExpyDoc