佐野高校 訪問レポート

佐野高校
訪問レポート
平成 27 年 10 月 15 日 塾対象学校説明会に参加。このレポートは、説明会での学校説明や配布資料、学校案
内、学校ホームページ、その他の資料から、川浦教育システムが独自にまとめたものです。
①
沿革=明治36年佐野村立裁縫学校として創立 → 府立佐野高等実践女学校 → 府立佐野高等女学校
→ 昭和23年より府立佐野高等学校 → 平成3年国際教養科設置 → 平成22年ユネスコスクール加盟
→ 平成24年に創立110周年。
② 教育方針:
元気+全力
●5つの基礎力(対人基礎力、対自己基礎力、対課題基礎力、処理力、思考力)の育成を通じて、自立
し、進取の気概のある生徒を育成する。●「人権教育」
「国際理解教育」や「ESD」の取り組みを通じ
て、フェアなルール感覚に溢れる生徒を育成する。●あらゆる意味でグローバルな多文化共生教育を全
校で推進する。 1.確かな学力の育成・・・授業で生徒を動機づける(10年先に役立つ授業の探究)
。
定期考査と入試学力のシンクロを目指す。 2.5つの基礎力を育成することで自立し、自律できる生徒
の育成・・・自主活動の育成(大人の考えを身につけさせる)。ユネスコスクールの取り組みの拡大(全
校で推進)
。 3.シチズンシップ教育を推進し、地域の生徒の希望をかなえる学校づくり・・・自らの
行動を律することができる力の育成。学校情報を責任もって広報する5つの基礎力(対人基礎力、対自
己基礎力、対課題基礎力、処理力、思考力)の育成を通じて、自立し進取の気概のある生徒を育成する。
③ 教育内容・特徴・・・卒業後の進路実現が第一
● 週31時間授業・講習等: 月曜7限、火曜∼金曜6限。日々の授業を基本に、早朝・放課後・土曜
日講習を実施。進路への自覚を持たせる。
● 多彩な授業: 1、2年は基礎・基本の徹底。普通科は、2年から文系・文理系・理系3つのコース
で進路にあわせて必要な科目を選択。国際教養科は、英語や第2外国語など語学系・国際系の授業が
満載。
● 総合学習:
Career Study(1年生)で進路への自覚を育てる。
● カリキュラム: 普通科のカリキュラムは、私立大学および5教科7科目の国公立大学入試に対応。
国際教養科のカリキュラムは、従来は数学・理科の科目選択数と授業時間数の関係から、理系の大学
進学には対応していない面があったが、平成27年入学生からは数学Ⅲ・生物が選択可能となり、こ
れらの科目で受験できる私立大学理系への進学にも対応できるようになる。担任や進路部の懇切な進
路相談はもちろん、正規の授業以外に、早朝・放課後・土曜日及び長期休暇中などに、各教科で自主
的「講習」を実施。ベネッセのスタディサポート、代ゼミの模擬試験等、さまざまな手段を講じて生
徒の進路実現に努める。
● 国際理解・国際交流: 海外異文化交流・語学研修・カリフォルニア交流など、たくさんのチャンス
を用意多文化理解、海外語学研修、留学生の派遣・受け入れ、高い合格率の語学検定。
● 実りある高校生活: 充実した生徒会行事、部活動、ボランティア、活発な自主活動。可能性を伸ば
す総合学習、小中学校や地域との交流、多様な人々との出会い。
● 進路実現に力を入れている: 4年生大学志望、外語系志望、看護医療系志望、就職・公務員志望な
ど、さまざまな生徒の進路実現に対応。
④ 盛んな国際交流と英語教育・・・世界に眼を向けた教育
● 海外よりの訪問:
頻繁な交流訪問や長期・短期の留学生とその際のホームステイの受け入れ。
○ H24実績・・・タイより長期留学生(9月∼1月)、アメリカより長期留学生(8月∼7月)、李
秀賢氏記念交流事業で韓国より高校生30名来校(1月)。
○
H25実績・・・アジア・太平洋 ESD 高校生フォーラム in 堺に参加のラオスの生徒4名、教員
1名来校(11月)
、李秀賢氏記念交流事業で韓国より高校生30名来校(1月)。
● 海外訪問・行事参加: 夏休みにおける希望者によるオーストラリア・イギリスへの研修旅行、海外
への修学旅行、留学、地元小学校とアメリカの学校との国際交流のパイプ役になるなど、積極的に国
際交流を実施、多文化理解や国際理解教育に全校をあげて取り組み、推進。
○
H24実績・・・大阪府高等学校カリフォルニア州エルクグローブ統合学区友好交流事業に派遣=
現地高校へ短期留学(3月∼4月)
、オーストラリア異文化体験・語学研修旅行(ゴールドコースト
近郊)
(7月∼8月)
、イギリス異文化体験・語学研修旅行(7月∼8月)。
○
H25実績・・・オーストラリア異文化体験・語学研修旅行(ブリスベン)(7月∼8月)、イギ
リス異文化体験・語学研修旅行(アッシュフォード=ロンドン近郊)(7月∼8月)。アジア・太平
洋 ESD 高校生フォーラム in 堺の運営に参画(11月)、ネパールスタディスアー(12月)。
● 修学旅行: 日本とは異なる国を訪問し、種々な体験を通じて訪問国の社会・文化・歴史に対する認
識を深める。(2年生の秋)H21=ソウル、H22=マレーシア、H23=香港・マカオ・深圳、
H24・H25=シンガポール、H26=台湾(普通科)とフィリピン(国際教養科)。
● 語学教育: 語学教育に力を注ぎ、英検は高い合格率を誇り、平成27年度からは全員受験。放課後
の対策講座、2次試験受験のためのオリエンテーション、ネイティブ英語教員による対策指導により
得点アップを図る。平成27年は、準2級合格=277名、2級合格=46名。準1級+2級+準2
級合格者数推移は、H23年度=48 名 → H24年度=104 名 → H25年度=121 名 → H26
年度=127 名 → H27年度=323 名。H18年度から、先進的なコンピュータ支援外国語学習シス
テムCALL教室を整備。国際教養科のみならず、普通科の生徒にも還元。大学入試センター試験リ
スニングテスト対策にも。
⑤ 普通科・・・進路実現を果たすために2年次より理系、文理系、文系の3つの系列にわかれる。
● 理系: 私立および国公立大学の理系学部学科(工学、理学、教育、医学、薬学、農学)を目指す生
徒対象のコース。3年生では、理科は物理・化学を履修し、数学は数学Ⅲが6単位ある。
● 文理系: 私立および国公立大学の医療・看護関係を目指す生徒対象のコース。理系との違いは、3
年で化学・生物を履修するが、数学Ⅲがない。
● 文系: 私立および国公立大学の文系学部学科(法学、文学、教育、経済、商学、外国語)を目指す
生徒対象のコース。国語、社会、英語の科目を多く履修。
⑥ 国際教養科・・・外国語学習によってコミュニケーション能力を身につけさせるだけでなく、日本や外
国の様々な文化・伝統を尊重し、世界の人々との相互理解を深めていく態度を養うことを通じて、世界
に眼を向けた教育をおこなう。
● 科目: 語学では英語を中心に、第二外国語としてハングル(韓国・朝鮮語)
、中国語、スペイン語、
フランス語、ドイツ語などがあり、希望の多い3科目が開講される。その他、多文化理解を目的とし
た科目「異文化理解」
、コミュニケーション能力向上を重視した科目「英会話」
「LL演習」等がある。
● 理系進学にも対応: 平成28年入学生から、2年・3年で数学=数学Ⅲ、理科=生物が選択可能と
なり、数学Ⅲ、生物で受験可能な私立大学理系への進学に対応。
● ユネスコスクール: 平成22年、ユネスコスクールへの加盟承認がなされ、世界180カ国・地域、
8500校以上のユネスコスクールの一員として、世界中の学校との交流を通した学び合いを推進。
● 留学・海外語学研修: 夏休み中に、希望者によるオーストラリア異文化体験・語学研修旅行(2週
間)があり、普通科の生徒も参加可能。海外に留学をする生徒や、海外からの留学生も受け入れてい
るなど、国際交流が日常的に行われている。
● その他: 何よりも語学力がつく。国際教養科の存在により学校全体の語学力もアップし、英検2級
の合格率は府下の公立高校で
はトップクラスを誇る。府下
の公立高校では珍しい「国際
交流室」があり、留学相談や
国際文化事業の案内をしてい
る。
「語学検定」の参考書・問
題集が自由に閲覧でき、海外
紹介の書籍の貸し出し、リス
ニング教材の利用もできる。
⑦ 卒業生の進路状況
● 例年、4年制大学への現役進
学率は約60%。
● 平成27年度は、和歌山大学
に現役で5名が合格。その他、
神戸大学、香川大学、高知大
学などにも合格。関西8私立
大学への合格が躍進。関関同
立へは50名以上、近畿大学
佐野高校 平成23年∼27年 大学合格実績 (のべ人数)
※現役+浪人 ( )内は現役
年度
卒業生数
和歌山大学
神戸大学
大阪教育大学
滋賀大学
新潟大学
大阪市立大学
大阪府立大学
京都教育大学
神戸市外国語大学
奈良県立大学
兵庫県立大学
その他
(国公立大学 合計)
関西大学
関西学院大学
同志社大学
立命館大学
(関関同立 合計)
京都産業大学
近畿大学
甲南大学
龍谷大学
(産近甲龍 合計)
平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
309
315
356
355
352
14 (13)
7 (5)
7 (6)
7 (5)
7 (5)
1 (0)
1 (0)
1 (0)
1 (0)
1 (0)
2 (1)
17 (14)
35 (28)
4 (4)
2 (0)
5 (0)
46 (32)
4 (3)
101 (85)
2 (2)
19 (11)
126 (101)
2 (1)
11 (6)
45 (41)
3 (1)
10 (4)
6 (5)
64 (51)
2 (0)
110 (91)
4 (4)
5 (5)
121 (100)
1 (1)
2 (2)
1 (1)
1 (1)
2 (2)
12 (10)
44 (27)
6 (1)
3 (0)
4 (3)
57 (31)
2 (2)
101 (86)
5 (1)
5 (4)
113 (93)
1 (0)
4 (1)
15(9)
61(53)
7(2)
9(1)
10(3)
87(59)
7(3)
178(140)
2(2)
14(4)
201(149)
2 (0)
10(5)
34(29)
8(6)
4(0)
6(1)
52(36)
8(7)
140(97)
3(3)
2(2)
153(109)
へは140名が合格。
⑧ 活発で楽しい高校生活・意欲と元気と優しさを育てる
● 部活動や生徒会、ボランティア活動など、活発で自主的な生徒の活動が展開。
● 生徒会が各行事を企画運営→対面式(4月)・新入生歓迎会(4月)・クラスマッチ(6月)・佐野高
祭(9月)
・クラブ発表会(12月)
。9月の佐野高祭は学校生活最大のイベントで、文化祭2日間と
体育祭1日で構成。この3日間のために、各クラス、各クラブが夏休み前から入念な取り組みを開始。
● 幅広い社会体験や多様な人々との出会い、ふれあいにより、生徒に意欲と元気、優しさと「生活力」
を育てるため「総合的な学習の時間」に多様な講座を開設するなどの積極的な取り組み
● CALL教室、国際交流室、進路指導室、ときめきサロン、同窓会館などが自慢の施設
● クラブ活動の加入率は約7割。1年生は約8割。
○
文化系・・・文芸、演劇、漫画・アニメ研究、地歴、コーラス、吹奏楽、美術、書道、料理、茶
華道、ギター、ESC、軽音楽、写真、ユネスコ
○
体育系・・・サッカー、男女ハンドボール、男女ソフトテニス、水泳、陸上、男女バスケットボー
ル、女子バレーボール、女子バドミントン、剣道、柔道、卓球、硬式野球、ダンス
⑨ 入学試験・・・平成 27 年度までは国際教養科が前期入試で 2 月に、普通科が後期入試で 3 月にそれぞれ
実施。平成 28 年度からは、国際教養科・普通科とも一般入学者選抜として平成 28 年 3 月 10 日に学力
検査を実施。大阪府下全域から出願可能。男女比規定はなし。過去の入試競争倍率は、
<国際教養科> H23=1.70 倍、H24=1.77 倍、H25=1.94 倍、H26=2.85 倍、H27=2.00 倍
<普通科>
◇
H23=1.24 倍、H24=1.04 倍、H25=1.28 倍、H26=1.20 倍、H27=1.18 倍
一般入学者選抜:
入
前年度募集定員は、国際教養科=80名、普通科=280名、合計360名。
試:5教科(国数英理社)の学力検査 90 点x5教科=450 点満点。
調査書:各教科の評定 50 点(5段階評定 x10)x9教科=450 点満点。
合
否:学力検査の成績(①)と調査書の評定(②)に、府教委が定める5つのタイプの中から高校が選
択した倍率を乗じて総合点(=900 点満点)を算出・・・佐野高校はタイプⅠ(①②の比率=7:3)。
募集人員の 90%までは総合点の高い順に合格。募集人員の 90%∼100%については、総合点の高い順に
募集人員の 90%∼110%(ボーダーゾーン)の受験者を対象に、ボーダーゾーン内での基準で合否判定。
ボーダーゾーン内での基準: 自己申告書および調査書の「活動/行動の記録」の記載内容により、高校
のアドミッションポリシー(求める生徒像)に極めて合致する者が、総合点の順位に関わらず優先的に合
格。それ以外の者は総合点の高い順に合格。
佐野高校のアドミッションポリシー:
「本校は、大きく変化する今日の社会情勢のなかで、ユネスコスク
ール(UNESCO ASPnet 加盟校)として多様な価値観への寛容性と適応力を身につけることを通して、
「世界市民」としてのマインドと知性を育みます。本校(国際教養科+普通科)生徒のスタンダードとし
て、上記の目標のため、高い志を持ち、粘り強く努力を惜しまない生徒を求めます。1) スクール・モッ
トーである「Respect for Learning」という精神を体現できる生徒 2) 社会に対する幅広い関心と一定の
学力を備え、自らを高める努力を惜しまない生徒 3) 優れた外国語運用能力や、特定の分野において優れ
た学力・能力を持ち、入学後にそれを生かした教育成果が期待できる生徒」
複数志望:
受験者は国際教養科・普通科の何れかを第1志望・第2志望とすることができる。全受験
者を総合点の高い順に並べ、第1志望者が学科の募集定員の 110%に先に達した学科の合否判定を優先し
て行う。
学力検査問題: 国語、数学、英語については、A(基礎的問題)
、B(標準的問題)
、C(発展的問題)
の3種類の問題の中から高校が事前に選択し府教委が決定。佐野高校は、国語・英語がC問題を、数学
がB問題を選択。
平成25年 佐野高校
国際教養科 入試状況
男
女
合計 倍率
募集人員* 80
受検者
54
122
176
1.94倍
合格者
18
59
77
不合格者
36
63
99
*海外帰国子女枠3名を除く
平成26年 佐野高校
国際教養科 入試状況
男
女
合計 倍率
募集人員*
79
受検者
64
161
225
2.85倍
合格者
10
69
79
不合格者 54
92
146
*海外帰国子女枠1名を除く
平成25年 佐野高校
普通科 入試状況
男
女
合計 倍率
募集人員
280
受検者
168
189
357
1.28倍
合格者
132
148
280
不合格者
36
41
77
平成26年 佐野高校
普通科 入試状況
男
女
合計
募集人員
280
受検者
157
180
337
合格者
131
149
280
不合格者
26
31
57
倍率
1.20倍
平成27年 佐野高校
国際教養科 入試状況
男
女
合計 倍率
募集人員*
79
受検者
42
116
158
2.00倍
合格者
16
63
79
不合格者 26
53
79
*海外帰国子女枠1名を除く
平成27年 佐野高校
普通科 入試状況
男
女
合計
募集人員
280
受検者
151
178
329
合格者
136
144
280
不合格者
15
34
49
倍率
1.18倍
⑩ その他
● 8月体験入学・10月体験授業: 8月20日(木)
・21日(金)
・・・実施済み。10月31日(土)
・・・
申込締切済み。学校紹介および国際教養科の説明、模擬授業(理系・文系・国際教養科)。
● 学校説明会:
1月16日(土)・・・学校紹介および普通科・国際教養科の説明。対象は中学3年
生。申込み方法は後日発表。
⑪ 交通アクセス
南海本線泉佐野駅から南東へ約 800m(徒歩約 10 分程度)、JR 阪和線日根野駅から北西へ約 1.8km(徒歩
約 25∼30 分・自転車で約 10 分程度)
。
このレポートは川浦教育システム、川浦憲一が作成しました。