平成26年度 Ⅰ 農地中間管理事業 評価結果 目標達成結果 目 標 1.農用地等 についての 農地中間管 理権の取得 内 容 人・農地プランが作成されている地域を中心に、農地所 有者や地域からの申請や、農地利用の効率化を図る際 に必要な農地がある場合に、その所有者等と協議のう え農地中間管理権を取得し農地を借り入れる。 2.農地中間 借受希望農家等を公募し、調査した上で、農用地利用配 管理権を有 分計画を作成し、知事の認可を受けた上、農用地等を貸 する農用地 し付ける。 等の貸し付 目標面積 実績面積 (ha) (ha) 1,000 64.5 965 64.5 15 0.0 25 0.0 け 3.農用地等 機構が借り受けた農地で受け手のないものについて の改良、再 は、畦畔の除去による大区画化や耕作放棄地の再生等 生等利用条 の利用条件の改善工事を実施する。 件の改善 4.農用地等 農地中間管理権を有する農用地等について、貸付を行 の維持管理 うまでの間、草刈り等の維持管理等を行う。 1 Ⅱ 評価委員会における意見の概要 目 標 委 員 意 見 の 概 要 ① 中間管理事業による農地の管理期間が10年以上の長い期間を想定したも のであることから、とりわけ貸し手の側の十分な制度に対する理解が必要とな る。これまでJAが進めてきた農地利用集積円滑化事業(以下、 「円滑化事業」 という)は、原則白紙委任の制度であるもののJAが間に入ることで、相対(あ いたい)で顔の見える貸借を実現したものであったが、中間管理事業は一歩踏 み込み農地の貸借を希望する農業法人や企業への農地の貸し出しを視野に入 れるものであることから、出し手側の一層の制度に関する理解が前提となる。 制度の運用開始1年目において、主として出し手側への説明への努力がなさ れ、相談窓口の設置、 「農地中間管理事業推進員」、重点地区をモデル地区に指 定するとともに、平成27年度に向け各JAにコーディネーターを設置するな ど事業実施体制の強化に向けた方策が進められた点は評価に値する。 そもそも、中間管理事業は、今後急速に進む農業就業者の高齢化を前提に、 出し手の権利を尊重しつつ、農地の利用を集積し我が国における生産性の高い 農業の実現の主要な側面を担うものである。一年目の経験を生かしその問題点 の洗い出しが行われさらにそれへの対応が進められることで、二年目には実の ある中間管理事業が展開されることが望まれる。 全 般 ② JAを中心に、かねてから円滑化事業に先進的に取り組み、実績を挙げてき た愛知県だが、それゆえ中間管理事業について農地の出し手へ円滑化事業との 違いについて十分周知させることが難しかった。 中間管理事業のメリットになるはずの地域集積協力金についても農水省の 取り扱いに変更があり混乱。 上述の周知不足と相まって、出し手・受け手の多くが円滑化事業を選択する 結果(523.4ha 純増)になった。 初年度としてはいたしかたなく、結果に対しては冷静な分析が見られた。 ③ ゼロからのスタートで、1年間でほとんど全てのJA・市町村に対する周知 活動し、業務委託契約を締結できた事は、多大に評価できると思う。また、2 7年度推進策の強化として、推進員の補強やコーディネーターを設置すること により、今後の事業の広がりが期待できる。 ただ、末端までの情報提供が不充分のため、事業そのものの存在を知らない 農家がほとんどだと思う。青年部や女性部を対象としたPR活動も必要だ。 2 ④ まだまだ、個々において認識が得られていない気がする。条件等が整えば、 大型経営を目指す方も結構おられる。 特に、水田・キャベツ(露地作)等である。いろいろな人と話すなかで、飛 び地では、あまり歓迎しないとのこと。もし、1件の出し手が発生すれば、そ の隣地にもなんらかの対応をし、少しでも、広く効率の良い農地を提供できれ ば、自然と動くのではないかと思われる。 1.農用地等 ① 当初ねらいとした円滑化事業合意解約による中間管理事業への切り替えが 1 についての 件もなく、厳しい結果(中間管理権取得 64.5ha)だった。円滑化事業と中間管 農地中間管 理事業が併存する中で、現状では出し手が中間管理事業を選択するメリットが 理権の取得 見当たらないのが実情ではないか。 ② 大切な土地に係わる事なので、簡単に貸してもらえるわけがない。借りる相 手が分からないのも不安の一つだと思う。貸し出しを待つのではなく、例えば、 仲間で共同の農地を持ちたいなど、情報収集し、地域を決めて直接交渉すると か、非農家でも相続で農地を持っているが、放置したままの人をピックアップ して、声をかけるとかすれば良いのではないか。 ③ 円滑化事業の実績を見ても、出し手の掌握は十分できている。円滑化事業か らのスムーズな付け換えの方向性を明確に打ち出すべき。協力金のメリットの 周知や業務委託機関の意識改革が必要。 公社機能を持つ他県の機構は、今後耕作放棄地対策を重視する可能性もあ る。本県も何らかの形で放棄地対策に取り組むべきと考える。 2.農地中間 ① 中間管理権が取得された農用地 64.5ha は、そのまま全部貸し付けられたが、 管理権を有 「集積化」と言える規模ではなく、県下で率先して中間管理事業に取り組んで する農用地 いるJAあいち中央、西三河、あいち豊田の苦心が伺える。 等の貸し付 け ② 受け手の掘り起しが必要。従来の水田農業の担い手のみならず、他作目へ取 り組む新規参入者や農外企業の誘致を積極的に取り組むべきと考える。 ③ 青年農業士連絡協議会、あるいは、農業経営士協会等のように、現在も積極 的に農業に取り組んでいる団体等(各末端支部)に事業説明をすれば、中身の 濃い内容に発展するのではないか。 各系統や行政による説明では、意欲のある地域は、動くかもしれないが末端 までは伝わりにくいのではないか。 現況の貸出期間が10年では、施設等の建設が難しく、何か良い手だてはな いか。 3 3.農用地等 ① の改良、再 生等利用条 件の改善 機構では農用地の整備資金をどう調達するか検討した結果、受け手に政策金 融公庫のスーパーL資金活用を勧める方針のようだが、機構自身が資金調達に 伴うリスクを避けるためには妥当な考えと思う。 ② 農家としては、人に借りてもらえない不便な土地を何とかしてほしいと思っ ている。農地としては無理でも、花を植えたり、家庭菜園にしたりできないか。 借地料を格安にして、市民グループや個人に借りてもらえたらいいと思う。 ③ 受け手の希望に沿った改良が必要。中間管理機能と改良機能を有機的に結び 付けたパッケージングが重要と考える。スーパーL資金への誘導も含めたワン ストップサービスの充実が必要。 4.農用地等 ① 中間管理権が設定されたものの貸し付けが決まらない農用地を長く機構が の維持管理 維持するリスクは避けなければならない。出し手と受け手の希望をタイミング 良くマッチングさせるコーディネーターの役割が大きい。全県レベルで一元的 に農地情報を管理し、コーディネーターに提供できる体制が必要に思う。 ② 農地の出し手と受け手のニーズ(面積や場所,土地条件など)に齟齬がある 現状では,貸し出し希望農地に対して,時間を置かずにすぐに受け手が見つか ることは想定しがたいため,一時的にでも機構が管理することが必要であり, その中間管理・保有機能は、機構の役割である。今後現れるであろう受け手に スムーズに貸し出せるように,適切かつ低コストな管理手法の検討が必要であ る。 ③ 長期にわたる維持管理は、良いことではない。受け手が耕作しやすい条件等 (隣地等)を整備し、速やかな流動化に心掛けるべき。 5.その他 ① 現在は、主に水田か露地野菜農家を対象にしているようだが、今後、受け手 の意向次第で(いずれは土地を売りたい)施設園芸農家や果樹農家も事業に参 加できるようにしてほしいと思う。 4
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