セラミックス純接着ブリッジの症例 Clinical cases of all ceramics

ポスター発表 P35ポスター会場
研修コード:2603
セラミックス純接着ブリッジの症例
○米田 哲,関屋 亘,眞坂こづえ,岡田常司,眞坂信夫
医療法人社団歯生会眞坂歯科医院
Clinical cases of all ceramics adhesive bridge bonded to uncut tooth
○Yoneda S, Sekiya W, Masaka K, Okada T, Masaka N
Masaka Dental Clinic
キーワード:接着ブリッジ,オールセラミックス,シランカップリング 4-META/MMA-TBB レジン
【目的】
前歯部 1 歯欠損での補綴治療の選択肢として接着ブ
リッジが挙げられる.従来の治療法では隣在歯のエナメ
ル質を切削し,ピンやウイングなどの抵抗形態を付与し
て補綴物を装着することが一般的であった.
近 年, 当 院 で は 加 圧 成 形 セ ラ ミ ッ ク ス(e-max,
Ivoclar Vivadent)と 4-META/MMA-TBB レジン(スー
パーボンド,サンメディカル)を用いた,両隣在歯を全
く切削しない「純接着ブリッジ」を選択している.
今回は,本術式で良好な臨床結果を得ているので,そ
の術式と症例選択基準を報告する.
【材料と方法】
2012 年度に眞坂歯科医院にて受診した 5 名にセラミ
クッス純接着ブリッジによる治療を行った.
治療部位は上顎中切歯:2 名,上顎側切歯:2 名,下
顎中切歯:1 名で,抜歯原因は歯根破折:4 名,歯根の
外部吸収:1 名であった.
治療開始前に抜歯当該歯と両隣在歯の状態などの診査
を行い,治療計画を立案した.診査では咬合接触状態
(咬頭嵌合位,前方滑走時のガイダンス),隣在歯の動揺
度や歯周組織の安定性を十分診査した.
術式として,抜歯即時に印象採得を行ったのが 3 症
例,抜歯後 1 ~ 2 週して粘膜の初期治癒を待って印象採
得を行ったのが 2 症例であった.
ブリッジ装着時にはラバーダムを装着し,接着面の乾
燥を確保できるよう留意したうえでシランカップリング
Adhes Dent Vol. 32 No. 3 2014
材(スーパーボンド PZ プライマー,サンメディカル)
を塗布後,乾燥し,スーパーボンドを用いて接着した.
【結果と考察】
予後の観察期間は 6 か月~ 25 か月で短いが,現在ま
で補綴物の脱離や破損,スーパーボンドが原因となる剥
離などのトラブルは生じていない.診査診断および治療
計画の立案を含めた受診回数は 3 回もしくは 4 回,抜歯
してからセットまでの期間は平均 27 日(最短 11 日)で
あった.
受診者は支台歯となる生活歯を切削することに対して
大きな抵抗感を抱いている.このため,全く歯質を削除
しない,それでいて審美性に優れたセラミックス純接着
ブリッジの評価は大きい.
また,術者サイドにおいても,支台歯形成が無く,抜
歯時に印象採得を行い,10 日後に装着できるこの術式
には価値がある.
ただし,当院では耐用年数の責任(保証期間)を 5 年
としているが,治療回数が 2 ~ 3 度で済み,費用も従来
法の 1/2 で済むこの純接着ブリッジは 5 年の耐用年数で
も大きく喜ばれる.ディープバイトには適応できないが
選択肢の一つとして外すことができない.
【結論】
症例数が少なく,まだ予後観察期間が短いが,オール
セラミックス純接着ブリッジは従来の接着ブリッジと同
等の臨床結果を得る可能性を十分に有しているといえる
と考えている.
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