金属接着詳細解析のための ゴム中の粉状金属化合物のXANES測定

あいち産業科学技術総合センター2015.6.8
第3回 あいちSR成果発表会
ゴム/金属接着詳細解析のための
ゴム中の粉状金属化合物のXANES測定
鹿久保 隆志、清水 克典、網野 直也
横浜ゴム株式会社
背景・経緯
タイヤ中にはブラス(黄銅、CuZn)メッキされたスチール線が帯状に配置されている。ゴム/金属
接着はタイヤの耐久性や安全性のため非常に重要な機能である。そこでシンクロトロン放射光に
よるXANES測定を行い、ゴム-金属接着層の形成、熱劣化について把握することを目的とした。
実験
平均粒子径約3μm、厚さ約200nmの薄板状で、Cu/Zn比=75/25であるブラス粉末を接着用ゴ
ムに混合し(5wt%)、170℃で10、30min加硫した。あいちシンクロトロンのBL5S1において硬X線
XAFS測定を実施した。Cu K吸収端:8979eV(8656-9625eV測定)、Zn K吸収端:9659eV(933611176eV測定)。
ブラス粉末
接着界面
X線
X線
透過法検出
接着界面
ブラス板
ゴム
従来測定方法
Normalized Adsorpion
結果
未加硫ゴム
10分加硫
Normalized Adsorption
今回測定方法
未加硫ゴム
10分加硫
30分加硫
8970
8990
9010
Energy(eV)
9030
30分加硫
9050
Cu
CuS
Cu2O
8990
9010
Energy(eV)
9030
9650
9660
9670
9680
Energy(eV)
9690
9050
Cu標準試料のXANESスペクトル
Cu:加硫時間増でスペクトル同等
9700
加硫時間を変えたときのZnのXANESスペクトル
Normalized Adsorption
Normalized Adsorption
加硫時間を変えたときのCuのXANESスペクトル
8970
蛍光法検出
(強度弱)
ゴム
Zn
ZnO
ZnS
9650
9660
9670
9680
Energy(eV)
9690
9700
Zn標準試料のXANESスペクトル
Zn:加硫時間増でZnSが増える傾向
期待される効果・社会的インパクト
タイヤ中のゴムと金属の接着現象についてブラス粉末を用いた透過法XANES測定によ
り加硫時間違いの化学変化が把握できた。老化、劣化現象についても把握可能である。