中学国語通信 2015年 春(第30)号 道標 2015 Spring Vol.30 伝 え 合 う 言 葉中 学 国 語 1 平成28年度版 中学校国語教科書の紹介 を使 植物油 インキ おい しい再 生紙と 科書の 印刷に ,環境にやさ ます。 が使用する教 この教 科書は 電力を使用し 。また,生徒 れたグリーン 用しています マスで発電さ ては,バイオ 連載 9 ― 学習指導案を「言語活動」を軸に再構成する 児玉 忠 縦 257 ×横 367 文部科学省検定済教科書 中学校国語科(書写)用 17 教出 書写 734 著 作 者 ふくやま美術館館長・筑波大学名誉教授 角井博 加藤祐司 東京学芸大学名誉教授 長野秀章 東京学芸大学教授 牛丸好一 武庫川女子大学講師 岡田直樹 京都教育大学教授 木村博昭 愛知教育大学教授 帝京大学教授 釼持勉 染谷由香理 千葉県立木更津東高等学校教諭 玉澤友基 岩手大学教授 辻井義昭 北海道教育大学名誉教授 豊口和士 文教大学准教授 服部一啓 福岡教育大学准教授 渕脇貴子 大東文化大学講師 教育出版株式会社編集局 特別支援教育監修 名越斉子 監 修 編集・執筆 23 連載 2 埼玉大学准教授 アートディレクション・デザイン 大薮胤美 横地綾子(フレーズ) DTP 江部憲子(フレーズ) 挿絵 早原りさこ(office446)/シュガー 教科書の言葉・学習者の言葉 写真協力 アマナイメージズ/出光美術館/越前和紙の里紙の文化博物館/ NNP / 雄勝硯生産販売協同組合/岡本写真工房/柿衞文庫/京都市文化市民局元離宮二条 城事務所/神奈川文学振興会/金子みすゞ著作保存会/共同通信社/呉竹/慶應義塾 福澤研究センター/故宮博物院/国立国会図書館/琴ノ浦温山荘園/斎木三佳子/堺 市立文化会館与謝野晶子文芸館/ササキスタジオ/ JTB フォト/上海博物館/字游 ― 学習指導要領と学習用語 工房/禅林寺/台東区立書道博物館/大徳寺真珠庵/大福光寺/中央研究院歴史語言 研究所/中国国家博物館/調布市武者小路実篤記念館/千代田区教育委員会/天理大 学附属天理図書館/東京国立近代美術館/東京国立博物館/東寺/新潟歴史博物館み なとぴあ/西本願寺/日本近代文学館/林原美術館/原敬記念館/樋口一葉記念館/ 1年 組 ピクスタ/筆工房亀井/三井記念美術館/妙喜庵/悠工房/ユニフォトプレス/陽明 文庫/横浜中華街関帝廟/龍谷大学大宮図書館/良寛記念館/林風舎/ image:TNM 鈴木 一史 imageArchives 2年 組 3年 組 中学書写 平成 年 平成 年 月 日 発 行 平成 27 年 2 月 月 27 日 日 検定済 17 教出 書写 734 定価 文部科学大臣が認可し官報で告示した定価 (上記の定価は, 各教科書取次供給所に表示します。) 印 刷 著作者 角井博 加藤祐司 長野秀章 ほか1 2名 発行者 教育出版株式会社 代表者小林一光東京都千代田区神田神保町2-10 27 書写 印刷者 大日本印刷株式会社 代表者北島義俊東京都新宿区市谷加賀町1-1-1 〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-10 電話03(3238)6854(販売・供給)/03(3238)6864(編集) 発行所 本書にもとづくワークブック・解説書,ならびにこれに類するものの無断発行を禁じます。 言語活動を最大限に生かした国語科書写教科書 先生方・保護者の皆様へ このマークの付いているところは,各学年の学習指導要領に示されて いない内容です。すべての生徒が, 一律に学習するものではありません。 この教科書は, 環境にやさしい再生紙と植物油インキを使用しています。 また,生徒が使用する教科書の印刷においては,バイオマスで発電された ― 活用する力が発揮できる書写力の育成 グリーン電力を使用します。 この教科書は,色覚の個人差を問わず,より多くの人に見やすい カラーユニバーサルデザインに配慮して作られています。 釼持 勉 この教科書は,これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ,税金によって無償で支給されています。 大切に使いましょう。 中学国語 3 連載 2 『思考力・判断力・表現力』を育てる 中学国語科の学習指導 に見や より多くの人 差を問わず, います。 ,色覚の個人 して作られて ザインに配慮 この教科書は ニバーサルデ すいカラーユ こめ, んへの期待を 本を担う皆さ しょう。 , これからの日 大切に使いま ます。 科書は れてい この教 教科書 中学校国 無償で支給さ 語科用 17教出 税金によって 国語930 文部科学省検定済 伝え合う言葉 国語科におけるメディア教育の意義 羽田 潤 伝え合う言葉 19 特集 中 学 国 語3 15 2 4 言葉 壁は乗り越えなくてもいい 国語 2 まはら 三桃 文部科学省検定済教科書 中学校国語科用 17教出 国語730 伝え合う言葉 巻頭エッセイ 国語830 言 葉中 学 伝え合う 中学国語 2 出 用 17教 中学校国語科 伝え合う 定済教科書 文部科学省検 中 学 国 語1 みちしるべ 巻頭エッセイ●ことのは 壁は乗り越えなくてもいい せんでした。 い事もたくさんしましたが、さっぱり上達しま 並みというくらい。ピアノやそろばんなど、習 です。皮肉なものでこんなときは、上達したい 前には、そんなふうに停滞する時期があるもの りますが、いわゆるスランプです。人が成長する たんつまずいてしまいます。要因はいろいろあ 主人公の未来さんは、それまで順調にトラン ペットをやってきましたが、中学校に入ったと レビ局の元プロデューサーである横澤彪さんの 崩れてきたりする」というものがあります。テ れば、いずれ穴が見つかったり、壁のほうから り越えられなくてもいい。前でうろうろしてい 「壁にぶちあたったとき 私の好きな言葉に、 は、壁の前でうろうろしてなさい。頑張って乗 時に、幼い頃の家族写真を眺めたのは、その頃 できないことをやり続けるというのは、大変 難しいことです。少しなりとも上達すれば、前 という思いが強いほどうまくいかなかったりし 言葉です。 もう一度見つめ直す気持ちで書きました。 向きにもなれますが、出ない結果に挑み続ける ます。あせりがさらに自分を不安定にさせてし こ で や め て し ま い ま す。 レ ギ ュ ラ ー の プ レ ッ も 指 名 さ れ る よ う に な り ま し た。 し か し、 そ それでも中学校では頑張ろうと、卓球部に入 部しました。真面目に練習した成果が出て、二 いつしか自信のない子どもになっていました。 くるものです。また、写真は、そこに映ってい 自分の顔を客観視すると心が少しは落ち着いて なのは、やはり冷静になることだと思います。 もあるでしょう。けれどもそんなときこそ必要 させ、他人との関係もうまくいかなくなること したから、できない経験ばかりが積み重ねられ、 もっと頑張ろうとして、ますます事態をこじれ う。自信は、できることを続けているうちにつ 心をこめて手入れをすることならできるでしょ は気づきませんでしたが、内省という行為です。 磨こうと思います。うまく練習ができなくても、 例えば未来さんは、写真を見ます。私も中学 生時代は、写真や鏡をよく見ていました。当時 いてきます。結局それが壁を乗り越える力にな さて、落ち着いた未来さんは、逃げないどこ ろか一歩踏み出すのですが、とりあえず楽器を にも気がつくというものでしょう。 が見えるところにさえいれば、確かにチャンス を乗り越えようとしなくても、つまずきの対象 の幸せを確認したかったのかもしれません。 のは、苦行でしかありません。強い精神力が必要 まうからです。頑張ってきた人ほど悔しいので、 私はできないことが多い子どもでした。勉強 はもちろん、手先も器用でなく運動もやっと人 でしょう。私にはそんな強靭さもありませんで 「逃げなければいい」と つまり横澤さんは、 おっしゃっているのだと思います。無理して壁 シャーに負けて逃げてしまったのです。 るものとの関係が壊れそうだと感じたときに見 るのではないでしょうか。 年生のときには、たまに団体戦のレギュラーに 自信がないということは、自分自身の可能性 さえ、つぶしてしまうものなのですね。 ていたような気がします。母親とけんかをした 今回の「音を追いかけて」は、当時の自分を −2− まはら三桃 音を追いかけて 音 を 追 い か けて み と まはら 三桃 近づいてくる。 み く 未来はくちびるを引きしめた。トラ ンペットをかまえる。 むなぐる あと一小節。ピストンにのせた指が ふる 細かく震え始めた。むせかえるような ふ 一、二、 胸苦しさのまま、タイミングを計る。 吹き始めようとした時、 パーッ さき ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ぬ 目標 ●登場人物の心情や行動の変化に着 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ はだ いつもより十分早く家を出る。辺りはまだうす暗く、ひんやりとした空気が肌を 包んだ。 だれ ・ ・ ・ ・ ・ ・ れは人一倍練習をしたからだ。音色に気をつけながら、つまずく箇所は何度も繰り ・ く 返し、だんだんと楽譜なしでも演奏できるようになった。だから自分には自信があ き おく る、とは言いきれないが、がんばった記憶はしっかり体にも刻まれている。 ・ 意 引きしめる 校門が見えてきた。 そう考えて、未来は一人うなずいた。胸のくもりが、すっと晴れていくようだった。 がく ふ ゆうべ写真を見ていたら、少しでも長く練習がしたくなった。たとえ、思ったよ うに上達はしなくても、やるだけやった自分のことは、信じることができるはずだ。 か しょ マーチングクラブで、未来と咲は同級生の誰よりも早くレギュラーになった。そ ・ 平成 年度版 『伝え合う言葉 中学国語1』 『音を追いかけて』 (P. ― 、 28 次の日未来は、かまびすしい音で目を覚ました。目覚まし時計を二つもかけたの だ。早起きはつらいが、朝練の開始時間に一番乗りをしたかった。 目し、作品の理解を深める。 ・ あわ ・ いっしゅん 一 瞬 早くとなりから音がした。咲のトランペットだ。 ・ ・ てたせいで音が抜けた。 未来は追いかけたが、慌 プワーン たちまち、他の音もほどけ始め、メロディは形を失った。 せんぱい 「ストップ。 」 おく 指揮台の先輩がタクトを下ろし、顔をしかめる。 「また遅れたなあ。 」 「すみません。 」 あやま 「ラッパの一年生は、二人とも経験者だったよね。 」 未来は、ほおをこわ張らせて 謝 った。 「はい。 」 咲が答える。未来もうなずいたが、先輩から目をそらしたので、そっぽを向いた ころ ようなかっこうになった。 すいそうがく 未来と咲は小学校の頃から、同じマーチングクラブでトランペットを吹いていた。 ・ のぼ お 着いたらすぐに、ラッパの手入れをしよう。 ひとかげ 昇 りかけた朝日に背中を押 され、未来が足を速めた時だった。向こうの方から すっと現れた人影があった。遠くて顔は見えないけれど、未来にはそれが誰だかす ぐにわかった。 さけ 私だって、負けないよ。 「咲ちゃん、おはよう。 」 未来は叫んで、走りだした。 タクト 指揮棒のこと。 まはら 三桃 [一九六六│] ふくおか やみ 福岡県に生まれた。小説家。 たまごを持つように﹄ 作品に、﹃カラフルな闇﹄﹃ たか ほ ﹃鉄のしぶきがはねる﹄﹃鷹のように帆をあげて﹄ ことはじめ ﹃ わ か ら ん 薬 学 事 始 ﹄﹃ 伝 説 の エ ン ド ー く ん ﹄ な どがある。 ︽出典︾本書のために書きおろしたものである。 意 うなずく ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ― 24 きれない 文 ……とは言い 意 上達 意 人影 ) 三桃︵まはら ■まはら みと︶ 小説家。一九六六年、福岡県生まれ。 二〇〇五年に『オールドモーブな夜だ から』で第四十六回講談社児童文学新 人 賞 佳 作( 翌 年『 カ ラ フ ル な 闇 』 と 改 題 し 刊 行 )、『 鉄 の し ぶ き が は ね る 』 で 二〇一一年度坪田譲治文学賞を受賞。 著書に、『たまごを持つように』『おと うさんの手』『伝説のエンドーくん』 『な 平成二十八年度中学国語教科書『伝え みだの穴』など多数。 合う言葉 中学国語1』に書きおろしの 文学教材『音を追いかけて』を掲載。 *読者プレゼント まはら三桃先生のサイン入りの著書を 三名のかたにプレゼントいたします。応 募方法は三十一ページをご覧ください。 −3− 14:29:44 2014/04/14 24 01-01-01-音を追いかけて.indd 14:29:46 2014/04/14 25 01-01-01-音を追いかけて.indd 25 24 25 20 5 21 肌 誰 押 9 11 吹 2 10 15 5 10 15 16 叫 14:29:43 2014/04/14 20 14:29:43 01-01-01-音を追いかけて.indd 2014/04/14 21 01-01-01-音を追いかけて.indd 5 慌 輩 12 10 15 20 21 中学校でも吹奏楽部に入り、二人そろってトランペットを任された。いきなりのレ ギ ュ ラ ー に 未 来 と 咲 は 手 を 取 り 合 っ て 喜 ん だ。 だ が、 喜び も つ か の 間、 練 習 が 始 音を追いかけて 5 学習のプロセスをふまえた展開 特集 平成二十八年度版 中学校国語教科書の紹介 書 2 身につけたい言葉の力 ……………………………………………………………… 教科書の構成 ……………………………………………………………………………… 教材で扱う内容 … ……………………………………………………………………… この教科書の使い方 …………………………………………………………………… 導入単元 声を出そう/ ………………… 記録をしよう …… …… …………………………………………………… まはら 三桃 感想を伝え合おう/ …… …………………………………………………………………… 金子 みすゞ 言葉と出会う ふしぎ … 言葉で意味づける 音を追いかけて …… ……………………………………………… 体験したことを文章にする ……………………………………………………………… … 対話への扉 お気に入りの一品を紹介する ……………………………………… … … … 名 詩 目次 言葉とは何か 加藤 周一 身につけたい言葉の力 ……………………………………………………… 教科書の構成 ……………………………………………………………………… 教材で扱う内容 … ……………………………………………………………… …… ……………………………………………………… …… …………………………………………………………………… 金子 み 言葉と出会う ふしぎ 言葉で意味づける 音を追いかけて …… ………… …………………………… 書…く ………………………………… ………………… まはら 読…む … …………… 出そう/ 感想を伝え合おう/ 記録をしよう …… ●一つ一つの単元に三領声 域を・ 一事項を配置した単元構成 物語 体験したことを文章にする ………………………………………………………… … …………………………… 話…す お気に入りの一品を紹介する … … 対話への扉 四季のたより 春 伝統的な言語文化と国語の特質 各単元で扱う学習活動や言語能力について単元名として示 し、三学年で系統立てた展開を図っています。 学習内容は学習過程をふまえ、段階的に「思考力・判断 力・表現力」を高めることができるよう配慮しています。 各単元の中に、三領域・一事項の教材をバランスよく配置 し、それぞれの教材の特性を生かして学習できます。 … … … ……… … … … …………………………………………………………池谷 裕二 … 四季のたより 春 関係を見いだす 笑顔という魔法 真而子 訳 フリップを用いて報告する …………………………………………………… ……………………………………………………… … ………………………………………………………… … 言葉の小窓 1 日本語の音声 漢字の広場 1 漢字の部首 世界をひらく 芸術作品の鑑賞文を書く …… ……………………………………………… … ………………………………………………………… … ……………………………………………………………… … 夏 文法の小窓 1 言葉の単位 四季のたより 表現に立ち止まる 心平 賢治 …………………………………………………… … 詩 河童と蛙 …………………………………………………………………… 草野 … オツベルと象 …… ……………………………………………………… 宮沢 … 物語 行事などの案内文を書く … 物語 説明 28 読書 ベンチ ……………………… ハンス=ペーター=リヒター 上田 … 写真と言葉が生み出す世界 メディアリテラシー入門 メディア 31 詩 の教し 科書の 使いし 方 た。 「言葉の力」が確実に身につく領域のバランスと教材の配列を工 こ夫 ま 書 名 目 次 「言葉の力」を高め言 る葉「 新しい単加元 の構成」 とは何か 藤 周一 12:54:06 2014/04/21 一 13:30:59 01-00-01-目次.indd 2014/04/18 2 −4− 7 7 10 8 14 16 20 32 34 46 45 42 50 62 74 73 70 76 80 98 一 二 三 四 古文 ………………………………………………… … ……………………………………………………… … 漢字の広場 2 画数と活字の字体 ………… 百年後、千年後の友人であるあなたへ …… 古典の扉を開く 古典と出会う 言葉の小窓 2 日本語の文字 竹取物語 … ………………………………………………… 教材で扱う内容 ……………………………………………………… 中国の名言 …… 物語の始まり 故事成語 蜘蛛の糸 フリップを用いて報告する 友達のスピーチを聞く デ… ア…を して話し合う …… ……ア …イ …… …出 …… ●「つけたい力」と言語活動を明確にし、 学習の見通しをはかる 鑑賞文を書く 随筆を書く 記録する 討論を行う スピーチを聞く 報告する 話し合う 《交流》意見や根拠の示し方 《推敲》表記や語句の用法・叙述の仕方 《記述》根拠を明確にして書く 《課題設定・取材/構成》材料を集める/段落の構成 《記述》事実の記録 《話し合う》話題や方向/相手の発言/自分の考え 《聞く》必要に応じた質問/共通点・相違点 《話す》材料を集める/事実と意見/話の構成/わかりやすい語句 《話し合い》相手の発言/自分の考え 学習内容の重点 案内文を書く 《全過程》目的や意図に応じて書く ページ 言語活動 意見文を書く 《語句の意味の理解/文章の解釈》 文脈上の語句の意味/展開や描写 報告する … … 音読・朗読する 場面の展開/表現の特徴や技法 語句の意味の理解 表 現の特 徴について 考 えをもつ 11:42:05 … … 古文 漢文 読書 …………………………………………☆ …感 …… …え …… 想… を…伝 合おう … 種類 … …… …… 芥川 龍之介 材… の……教 ………………………………………………教 材名(☆は導入単元) 四季のたより 秋 説明を比べる 文章の構成や表現の特徴を捉えて読む 電子レンジの発想 … ………………………………………………………… 古田 ゆかり ☆記録をしよう 言葉のゆれを考える … ……………………………………………………… 三井 はるみ …… ……………………………………………………… 行事などの案内文を書く 芸術作品の鑑賞文を書く 体験したことを文章にする 花の形に秘められたふしぎ … ………………………………………………… 中村 匡男 友達のスピーチを聞く 意見文を読み合う … …表 …… …て …… を… 用…い 報告する ……………………………………………図 内容を理解する (音読する) 作品を批評する 「語り手」に着目する 領域の教材で扱う指導事項(身につけ《た い力)や言語活 文章の解釈》場面の展開・登場 構各 構成や展開、表現の特徴に着目する 成や展開を読む 人物の描写 動をいつでも確認できるようにまとめまし《た 。 自分の考えの形成》構成や展開、 通 し 言 もの のの見 見方 や考 えと 方を「 広げ る 目的と手段を明確にすることにより、学/習 想を交流する 語句の意味の理解 葉感の 力」の高まり を意識づけることをはかっています。 音読・朗読する ● 学を年 応るじた の特色 感想 交に 流す 場単 面や元 描写 ◦一年生……小学 (導入単元な 校の学習を円滑につなげる。 ど) ◦二年生……指導内容に丁寧に取り組む。 … … ◦三年生……高等 学校の国語学習へつなげる。受験や就職に 向けて取り組む。 (送り出し単元など) 8 −5− 意見文を読み合う … …………………… …………………………………音 を追いかけて 漢字の広場 3 漢字の音と訓 オツベルと象 … …………………………………………………………… 少年の日の思い出 …… ………………………………………… 橋本 典明 文法の小窓 2 文の成分 発想を広げる 言葉がつなぐ世界遺産 ☆ふしぎ …… ……………………………………………………… ☆声を出そう 図表を用いて報告する 四季の詩 …………………………………………河 …童 …… と… 蛙………… … … …………………………………………………… 冬衛/ジャン =コクトー 堀口 大學 訳/八木 重吉/三好 達治) 四季のたより 冬 考えを共有する 四季の詩 (安 …西 … ………………………………………………………… 文法の小窓 3 単語のいろいろ … ………………………… ヘルマン =ヘッセ 高橋 健二 訳 漢字の広場 4 熟語の構成 少年の日の思い出 ここが大事 2015/02/18 8 01-00-01-02-身につけたい言葉の力.indd 説明 報告 詩 小説 アイデアを出して話し合う 伯昌 …… …………………… …… ……………………………………………… ▲1年P. 8「教材で扱う内容」 01-00-01-目次.indd 2014/04/14 15:31:2 3 15:31:20 102 100 138 3 4 178 160 98 70 28 18 206 158 42 17 20 80 104 142 162 178 190 110 124 136 138 148 158 160 164 166 182 184 186 190 188 言葉と仕事 言葉の上達は競技を上達させる 平井 ▲1年P. 2−5「目次」 120 話すこと 聞くこと 文学的文章 206 184 76 16 14 1 2 3 五 六 七 八 書くこと 読むこと 210 01-00-01-目次.indd 2014/04/144 5 … 次.indd 目次 次 「学力向上」を実現する「読むこと」教材 はくらく かがや よう しゃ そうしょく けんらんごう か かん きょう 目標 よう し とら 世代を超えた技術の伝承 15:02:58 2014/04/14 10:35:00 るとともに、言葉のはたらきにつ ・ ・ 修復記録の蓄積 ・ ・ 174 ●筆者のものの見方や考え方を捉え いての自分の考えをまとめる。 ●構成や展開に注意して読み、筆者 のものの見方や考え方に迫るため に、要約したり要旨を捉えたりす る。 ・ ・ L2)と について、次の課題に取り組もう。 うるし 「言葉」の使われ方 「言葉」の果たす役割 意 景観 166 ▲1年P.166・174−175「言葉がつなぐ世界遺産」 理解したことをもとに自分はどう思うのか、考えた ③考えよう……自分はどう考えるか この教材で学ぶ内容を、文章を解釈しながら深める ことができます。 ②深めよう……どのように書かれているか これまでに学んできた知識が身についているかを生 徒自ら確認することができます。 ①確かめよう……何が書かれているか えるように設問数を精選しました。 確になります。また、限られた配当時間で無理なく扱 学びの流れを可視化した新しい「手引き」を開発し ました。この教材で何を学ぶのかが、三ステップで明 ●設問 教材の冒頭に示された目標を自分でチェックするこ とができます。 ●目標と振り返り 「みちしるべ(学習の手引き) 」で具体的な言語活動に取り組み、 「ここが大事」で 学習のポイントを確認する、という一連の流れを教材化しました。 にっこう 言葉がつなぐ世界遺産 はし もと のりあき 橋本 典明 けいだい ちょう こく あざ てしまう。文化財にとっては、一年をとおして厳しい自然環 境 だといえるだろう。 ●筆者のものの見方や考え方を捉えるとともに、言葉 さいげつ 雨やの 雪はに るに 湿つ気 、自建 やえ彫 刻とを 赦なくむしばむ。色鮮やかな漆や絵の具は、 たよ らき いは ての 分物 の考 をま め容 る。 え方に迫るために、要え 約し ど たり要旨を捉えたりする。 ●構成や展開に注意して読み、筆者のものの見方や考 歳月 を 経るうちに剝落し、輝きを失っていくのである。 めよう。 考えよう 「言葉がつなぐ世界遺産」という題名にこめられた筆者 の思いに対する自分の考えを、 「蓄積」 「伝承」 「共有」な どの言葉を使いながら、文章にまとめよう。 言葉・表現 この文章では、しばしば人物の語りが「 」の形で引用 されている。このような引用をはさみこむことで、どのよ うな効果をもたらしているか考えよう。 −6− とうしょうぐう ・ とう この日光の社寺が世界遺産に登録されたのは、一九九九年十二月のことである。対 東 照 宮に代表される日光の社寺は、その装 飾 が絢爛豪華なことで知られている。 りんのう ・ ふ た ら さん 象は、東照宮と二荒山神社、輪王寺の二社一寺にある百三棟の建造物群と、これら 伝承」 (P 「修復記録の蓄積」 (P L2)と「世代を超えた技術の を り巻し く境 内べ や参道、そして山林などの、いわゆる文化2 的 景 観を含む地域だ った。 み取ち る 168 帯は、高い山々の間に位置するため、雨が多く、冬になると雪に閉ざされ こ目の標一 言葉のもつはたらきについて、次の表に整理しよう。 と振り返り 171 守るために、二十年 ついて、文章にまと そこで日光では、江戸時代初期の創建時から、建物や彫刻を 筆者の「言葉」に対する捉え方に( 剥) ご確 とかにめ定 よ期 う的な修復が続けられてきた。 これまでの学習を振り返り、文末表現などに着目しよう。 この文章の中から、筆者が読者に問いかけている文と、 その答えにあたる文をそれぞれ抜き出そう。 参考 深めよう 1 この文章で述べられている日光の社寺の世界遺産として のすばらしさについて、イコモスの専門家を驚かせた点を 段落構成に注意しながら文章を読んでみよう。 整理しながら説明しよう。 参考 4 2014/05/09 豪 飾 棟 剝 漆 鮮 彫 環 5 10 166 01-07-01-言葉がつなぐ世界遺産.indd 174 01-07-01-言葉がつなぐ世界遺産.indd (1) (2) 言葉がつなぐ世界遺産 ここが大事 課題についての筆者の考え方や立場を文章から読み 取ったり、読み取ったことを他の人に伝えたりする場合 筆者の説明の流れが理解できるだろう。 ■「要約」や「要旨」から迫る には、要旨を捉えることが必要になる。 筆者のものの見方や考え方を捉えるために 筆 者 の も の の 見 方 や 考 え 方 を 捉 え る に あ た り、 こ こ で 「問い」 これまで見てきたように、説明的な文章では、 と「答え」の関係をおさえることなどが、内容を理解す められるか、常に字数を意識して取り組みたい。 また、筆者の意見にふれながら自分の意見を述べる際 には、必要不可欠な作業である。どの程度の分量でまと である。 要約をしたり要旨を捉えたりすることは、文章の内容 や筆者のものの見方や考え方を捉えるうえで大切な過程 「要旨」としてまとめる内容となる。 る手がかりとなる。そこから捉えた筆者の主張などは、 は、「要約」や「要旨」について学習しよう。 要約……目的や必要に応じて、話や文章を短くまと ○ めること。もとの文章の構成や表現を生かしてまと こと める場合と、自分の言葉でまとめる場合とがある。 柄や、筆者の考えの中心となる事柄。 がら 要旨……筆者が取り上げている内容の中心となる事 ○ 文章の部分、あるいは全体を要約すると、文章全体の 構成や展開が明確になり、改めて筆者の思考の展開や表 現の工夫に気づくだろう。 「言葉によるつながり」を考える 日 々 の 生 活 に お い て、 先 生 や 友 達 な ど、 身 の ま わ り の 人々とのやりとりの中で、言葉によって思いが受け継がれ 『言葉がつなぐ世界遺産』では、イコモスの専門家た ちを驚かせた日光社寺群での技術の伝承について、具体 か しょ ていくように感じた体験を文章にまとめてみよう。 しょう かい 成を考えながら別の箇所で大きくまとめている。事例の 的 な 事 例 が 紹 介 さ れ て い る。 筆 者 は、 そ れ を、 段 落 構 箇所とまとめている箇所とを関連づけて要約することで、 ことを言葉にして表現することができます。また、友 達の考えと比較することで協働的な学びにもつながり ます。 ●ここが大事 「つけたい力」を確実に定着するためのポイントを確 認するとともに、次の学習に向けて考えを深めること ができます。 ●領域関連 「読むこと」教材と、 「話すこと・聞くこと」 「書く こと」を関連させて学ぶことを可能にしました。 一年 ●主な新教材 一年 川上弘美 向田邦子 【物語】音を追いかけて まはら三桃 二年 【随筆】字のない葉書 【随筆】立ってくる春 三崎亜記 吉野弘 【随筆】花を贈る 三年 【説明】水の山 富士山 鷲田清一 丸井敦尚 【説明】日本の花火の楽しみ 小野里公成 二年 説明的文章 −7− 11:58:43 2015/02/18 175 01-07-01-言葉がつなぐ世界遺産.indd 古田ゆかり 【説明】電子レンジの発想 【説明】言葉のゆれを考える 三井はるみ 175 【小説】私 【詩】 自分自身に 三年 文学的文章 しっそう し げき やかに疾走する姿に刺激を受け、私も走ってみることに ・ くらいまで体が戻ってきたところでスポーツ義足を着け ・ ・ ・ ふく に出たいと、夢がどんどん膨らんでいった。 した ま、 ずは 常的 生活 の題 義足 走り る練 を「 し、 れ」 る「メディ し教 て、 興味や関心の幅 を 広。げ 主日体 に用課 にで取 組習む 読走書 アそ」 材ついに夢は実現し、二〇〇四年アテネパラリ ペキン ンピック、二〇〇八年北京パラリンピック、二〇一二年 るようになった。スポーツ義足でバランスをとるのは難 56 しく、最初は転んでばかりだった。痛みもひどかった。 ちょうせん から適切なものを選び、自分の考 ● が 少 し ず つ 伸 び て い っ た。 記 録 に 挑 戦することが楽し さまざまな方法で集めた情報の中 ねら そ くて、次は日本記録を狙いたいえを、 まと めるし 。 てパラリンピック だった。小学生の時はスイミングスクールの選手コース ・ ・ ・ ・ しん こう た。また、二〇一三年には、日本記録とアジア記録を更 ●新近 した む。 す代 る文 こ学 とに が親 でき ゆ うしゅう 造二階建てであっ のペンキを塗った木 ぬ 芥川が通った学 校。当時はねずみ色 こうした私の体験を、小中学校に招かれて話す機会が 成績は抜群に優 秀 ある。病気や障がいのこと、夢 つ川 ことの大切 さ ど学校 府立 第な 三中 少を 年も ・芥 し こう 中学の成績優秀者は 無試験入学が許可され る制度が施行され、そ をテーマに話している。 れに選ばれるほど優秀 立両国高校︶ た。︵ 現 在 の 東 京 都 私の講演のあと、子どもたちがそれぞれテーマを決め ふく し て福祉について学び始めた学校もある。グループ学習で、 だった。 ・ のま 才能 見学し絵、 たもあるグループはバリアフリーをテーマに実 あった ひい 小学生の頃から雑誌に作わ品 がはい を書いており、漱石の﹃吾輩 覧訪 雑誌 作た 成 グループや 問をし 際に町を歩き、他にも高齢者施設回を も秀でてお 芸術しに きさい り、色彩豊かな作品 を描いた。 「最初にスポーツという視点から『福祉』の授業に入っ 作していた。 ﹁吾輩は犬である﹂などを創 は猫である﹄をもとにした ねこ パラリンピックに興味をもったグループもあったそうだ。 ・ たことで、子どもたちの福祉に対する関心や考え方が積 これまで読んできた本の中で、強く心に残っている本は ありますか。自分に影響を与えてくれる本に多く出会うこ 132 ことができます。 味をもつことで、わが国の文学についての理解を深める わが国を代表する近代作家を系統的・網羅的におさえ ています。作品の内容を捉えることや、作家について興 ・ ・ こうれい あるグループは義足に興味をもって義肢装具士の学校を ・ ・ ・ ロンドンパラリンピックと、三大会連続で出場を果たし 読書や情報活用によって、 自立した読み手を育て、 課題を解決する力を養います。 と 目標 ●情報を活用する読書 活れ 動でも走れることがうれしくて練習を続けた。走り そ 幅跳びの選手として競技会に出場するようになり、記録 読書への招待 ま み 夢を跳ぶ さ とう ま ま、 運 命 に 押 し 流 さ れ る よ う に し て 長 い 闘 病 生 活 が 佐藤 真海 るのか理解できず、これからどうなるのかもわからない 始まった。 ・ ・ とう びょう ・ ・ に通い、中学校では陸上部で長距離選手として活動し、 病気がわかり、医師から手術が必要なことと、膝から 下は残せないことを説明されて、私はショックで声が出 きょ り ・ 高校ではマラソン大会で優勝するほど足が速かった。大 縁の生活を送っ この病気になるまで、私は病気とは無 ていた。幼い頃から外で遊ぶのが好きな、活発な子ども む えん 目が覚めた時、私は手術室のベッドの上にいた。部屋 てんじょう は 静 か で 物 音 一 つ し な い。 ラ イ ト に 照 ら さ れ て、 天 井 ・ ま すい が白く浮かび上がっていた。どうやら手術は終わったら 真っ先に浮かんだのは、「もう、足はないんだなあ。」と こわ ・ 学生になって憧れのチアリーダーになった。 ・ 5 とは、あなたがこれから生きていくうえで大きな財産とな −8− 12:24:29 132 2015/03/06 16:01:37 ▲1年P. 132「蜘蛛の糸」 01-05-04-近代文学への誘い-蜘蛛の糸.indd 18:38:51 2015/03/09 いう思いだった。現実を受け入れるのが怖 くて、自分の 足を見ることはできなかった。 ・ きん きゅう あこが 二〇〇二年四月、私は右足膝下の切断手術を受けた。 しゅよう * 足首の骨に悪性の腫瘍ができていたのだ。病名は骨肉腫。 さい 十九歳 で大学二年生の時だった。足の痛みが続くため病 ビブリオバトルのやり方 70 し い。 ま だ 麻 酔 が 残 っ て い て ぼ ん や り と し て い る 頭 に 3 2012 年,ロンドンパラリンピックでの様子。 2014/04/18 56 02-03-01-夢を跳ぶ.indd Ⅲ ビブリオバト ル (た本 介入ゲ ム ) に 院とー なっ た。 何が 起挑 きて戦 い 院に 行っ とこの ろ、紹 緊急 ビ ブ リ オ バ トルとは、小学生から大 人 ま で 誰 で も 開 催 で きる本の紹介コミュニケーションゲームです。「人をとお 守 っ て 、 楽 し みながら本の魅力を味わ い ま し ょ う 。 著者やテーマと関連させて、たくさんの 本にふれるとともに、「読書活動」をとおし ピ ー に し て、 日 本 全 国 に 広 が っ て き て い ま す 。 ル ー ル を し て 本 を 知 る。 本 を と お し て 人 を 知 る。」 を キ ャ ッ チ コ さまざまな本と出会う機会を作り、主体 的に読書に取り組めるようにしました。 しよう 4 Ⅳ 新たな本と出会おう て、新たな本と出会い、考えを深めること ビ ブ リ オ バ トルのルール ができます。 1 発表参加者が読んでおもしろいと思った本を持っ て集まる。 2 順番に一人五分間で本を紹介する。 全 て の 発表が終了した後に「ど の 本 が い ち ば ん 読 み た く な ったか?」を基準とした 投 票 を 参 加 者 全 員 3 それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関 す る デ ィ スカッションを二~三分 行 う 。 4 1 10 16:01:35 2014/04/18 ▲2年P. 54・56「夢を跳ぶ」 54 02-03-01-夢を跳ぶ.indd 5 10 15 ▲3年P.70「無言館の青春」 54 2 1 ・ あま み おお して暗くなった鹿児島県奄美大 しま 大きな歓声と拍手が起こった。 ・ 島。空を見上げる人たちから、 目標 ひ かく の報道を比較して読む。 ●同一の新聞記事・テレビニュース ます。 ページの「観測できたことに重点を置く」記事 であることがよくわかります。 「見えた歓喜日食」とい ・ う見出しも、下の写真の人々の心情を代弁しています。 Ⅲ 自分が選んだ情報と構成を振り返ろう ・ し 生徒の身のまわりに「あたりまえ」のようにあふ れている情報には、必ず発信者の意図が含まれてい す。 「写真」 「物語」 「報道」 「広告」などから情報を読 み取り、さまざまなメディアの特質を考えていきま 自分の制作過程をなるべく客観的に の二つの課題のどちらかを選んで、 では、あなたはどのように情報を 再構成したのでしょうか。次ページ いて再構成することになります。 に添いながら、作り手の意図に基づ 語の、映像なら映像表現の約束ごと とするときは、文字言語なら文字言 ニュースとして誰かに語り伝えよう こった天体現象を新聞記事やテレビ ように、皆既日食のような実際に起 立て直さなければなりません。同じ 世界を映像表現によって新たに組み ▲3年P. 72・74・75・78「情報を編集するしかけ」 例えば、本で読んだ小説や物語を映像化しようとする ときは、自分の解釈に基づき、作品 ・ 74 「見えた歓喜日食」の記事 次は実際の新聞記事です。 かか の紙面では、日食の連続写真よりも、眼鏡を掲げて天を 14:05:50 ・ 13:40:03 仰ぐ群衆の写真のほうが、紙面上大きな面積を占めてい ② 新聞記事に合う写真・地図を、次ページの㋐~㋓ から一枚選びましょう。 ③ 見出しをつけて紙面を構成しましょう。 A B 島は人口が年々減っている。若者 は 働 き 口 を 求 め て 島 を 離 れ る。 ﹁観 光が島の主要産業になれば、くい止 められるかもしれない﹂ 。そんな思 いがあった。道路脇の草を刈り、観 測ツアー客が迷わないよう看板を立 は積極的に協力してくれた。日食ま 展く 望台 をし 設け 。周 )は「停電かと思うほど暗くなってり びのっ り たた。 こりの人たち お たけ 真 っ 暗 に な り、 そ れ で も、 皆 既 状 態 の 時 間 に は 辺 り が てた。島の魅力を知ってもらおうと、 「おー」と歓声が上がった。東京都から御 来岳た 社 Kトさ ん山頂に手作 ︵会 五八 四員 メー ル︶ ( 再認識する日々だった。 れが経験できただけでもよかった」と話で しのた 。りは、島の人情の温かさを 道の 大阪市立科学館︵北区︶によると、 大阪では最大で月が太陽の八二パー セントまで重なった。二〇一二年五 月二十一日朝には、月のまわりから 太 陽 が は み 出 し、 リ ン グ 状 に 輝 く きん き ﹁ 金 環 日 食 ﹂ が、 近 畿 全 域 で 観 測 で きるという。 74 ● 「文字」以外の情報を読み、表現するメディア教材 メディアと表現 ・ ・ ・ ・ ・ 14:05:45 2014/04/25 72 03-03-02-情報を編集するしかけ.indd 2015/03/09 情報を編集するしかけ ──メディアにひそむ意図── Ⅰ 新聞記事を構成しよう ・ ・ ・ 1 次のリード文を活用して新聞記者として、記事を完 どちらかの観点を選びましょう。 皆既日食を知っていますか。地球と太陽の間に月が位 成 させましょう。また、記事を作るにあたり、a 、b ・ 置する天体現象です。太陽が月の影に隠れ、昼間なのに その数分間は真っ暗になります。最近では二〇〇九年七 月二十二日に、日本で観測できる皆既日食がありました。 弓形に欠けゆく太陽、徐々に迫る暗闇――。国内の陸地 六年ぶりのできごとです。 四十 で四十六年ぶりとなる皆既日食が観測された二十二日、島 72 ・ での 、よ 船う 上に で、 、時 街間 でや 、場 世所 紀に のつ 天い 体て シ詳 ョ細 ーな に情 歓報 声が が事 上前 がに った。 ・ こ 島北部のあやまる岬には、日食ハンターや島民ら六百人 ● 紙面の例 一さ 方れ でて 、い 皆る 既事 状柄 態に がつ 六い 分て 半、 近新 く聞 楽や しテ めレ るビ はの ず報 だ道 っで たは 鹿、 児島 ・ 周知 以上が集まった。午前十時五十分すぎに太陽が完全に隠れ ・ あく せき じま ア 県の悪石島は雨模様。 「日食ハンター」たちは諦 めに き欠 れけな 興― 奮。 は国最 「 ごと ーな いる」 「既 う日 そ食 みがた 弓形 ゆ・く太陽、徐々に迫る ると 暗、 闇― 内高 の潮 陸に 地。 で 四わ 十ー 六、 年す ぶり 皆 観い 測」 された二 何を伝えようとするのでしょう。 ・ い様子で空を見上げた。 十二日、島で、船上で、街で、世と 紀驚 の嘆 天体 声、 があ 上ち がこ った 皆わ 既き 状起 態こ が六 のシ 声ョ がー 上に が歓り ち。 か一 ら方 拍で 手、が っ分 た半 。近く楽し るず どだった・鹿児島県の悪石島は雨模様。「日食ハンター」たちは諦めきれない様子で空を見上げた。 めす るは 新聞は、映像を静止画として活用します。変化 手元の温度計は三六度から三〇度に下がり、水平線付近は の一瞬を切り取った写真が効果的でしょうか。 美しい夕焼け色に。幻想的な光景に、ため息がもれた。 a 観測できたことに重点を置く。 ﹁うわあ、すごい﹂ ﹁きれい﹂ 。 ことに重点を置く月 。が太陽を隠し、辺りが一瞬に・ b 観測できなかった イ しゅ し ・ 記事 写真・図 ・ 2 旨が梅 読雨者 に 確 前線 の明 南下 にに 気をもみなが 選んだ観点にそって、伝えたい趣 らこの日を迎えた来島者は約一 伝わるよう、文章の構成や写真・地図の万 選二択 を 夫 千人 。工 観測 にし 成功した人は 喜びに酔いしれた。 ・ ・ 鹿児島県・悪石島の皆既時間 は六分二五秒。トカラ列島付近 で最長とあって注目を集めた。 島の小中学校の校庭には、日食 を追って世界中を旅する日食ハ ンターや島民も含めて約三百人 が集まったが、午前十時半すぎ から突然の大雨に。集まった人 47 見出し ます。 「読解 → 解釈 → 熟考 → 評価 → 表現」のス テップを楽しみながら学ぶことができる教材です。 PISA型読解力、全国学力調査、高校入試等で も重視され、これからの時代に求められている「読 解力」 「表現力」を育てます。 −9− 5 10 15 2014/04/25 75 03-03-02-情報を編集するしかけ.indd ウ 奄美大島 74 03-03-02-情報を編集するしかけ.indd 5 10 たちは体育館に避難した。 75 ましょう。 エ 悪石島 ① 次ページの記事の部分に入れる段落を、下のA、 Bから選びましょう。 情報を編集するしかけ ふ 目標と振り返り じっ し 材 読み手が知りたいことは何かを考えて、取り上げる事柄を決める。 ことがら 課題設定・取 1 学校生活の中からテーマを決めて、アンケート調査を行う。 ・ ・アンケート結果を集計し、結果を図表に表す。 ・在校生への質問を作成し、アンケートを実施する。 2 ⑴ 図表から情報を読み取る。 話う し合う びの重点 1 話題設定・取材 2 話す 3 聞く け 4いこ 学 フリップを用いて報告する ・数値の大小に着目して、全体の傾向をつかむ。 P 構 成 ふ 目標と振り返り せん たく し ○アンケートの方法 る。 ︵全体の傾向を知るには選択肢型、 ・回 答 方 式 に は 選 択 肢 型 や 自 由 記 述 型 な 意見を知るには自由記述型がよいだろう ・中学生になってよかった︵困った︶こと ○質問の例 ・印象に残っている学校行事 ・校内でいちばん落ち着ける場所 など アンケート用紙の一部 ●話の構成を考え、フリップを用いて報告する。 ●文末表現に注意して、事実と意見を区別して話す。 ■通学路安全マップを作る前に 経ら 験し 調 査 結 果 か 、たことや調べてわかったことと、そこから へ 考えた意見とを分けて、整理しておこう。 あ な た な ら 、 ど ん な ア ド バ イ ス例を「 す 自宅から大通りに出るまでの道について」 るかな。 先 月、 自 転 車 と 車の接触事故があ [事実 ] 自転車通学の人 は特に注意しま しょう。 考えてもいいよ。 うえ だ 3 上級生とのつながりができたこと 情報をわかりやすく伝えるには、どうすればよいのだろうか。こ ずいひつ ・事実と意見との関係に注意して、話を構成する。 相手の反応を見ながら、事実と意見を区別して話す。 せま 道 幅 が 狭 く、 歩 道もガードレール みち はば [事実1] 14:39:41 漫画①、② 植田まさし『 ぞれの長所や短所を比 課も 題あ設 り定 ま・ せ取 ん。材/交 流りました。 活字と手書きのそれ ・次 に 示 す 漫 画 ①、 ② は、 ナ ツ さ ん が 新 聞 の 中 か ら 選 ん だ 四 コ 「……です(ます) 。 」 「……でした(ました) 。 」 ださい。 集多 計結 か話 ら、 ぜ素 その 様果な 題なや 材ような数値になったのかを考える。 ・● のと図 表通か ら安読 み っ こ としを 説。明しよう。 でう は、フリ ップ して 学路 全マ ッ取 プを 作た り、 報告 よう 考えこよ 左 活動の流れにそって学ぼう ●自分の体験を振り返り、1随日 筆常を 生書 活く の。 中から話題を決め、資料を用意する。 「 学文 路章 安全 プ。 を作り、報告する。 」 ●題名を決め、時間の順序に そ例っ て通、 をマ 書ッく 2 事実▼ 経験したことや、調べてわかったことなど。 ・話すときには、文末表現に注意する。 画を読んで、自分の「課題」をつくる。 1 四コマ漫 ■マッピングの方法 [意見 ] とても危ないので……。 (判断) べてみよう。 ましょう。 みぎ はし 、縦 画② 右 端 に 寄 り漫 一列になって歩き [意見1] マ漫画である。 (ここでは、例として漫画①を取り上げる。 ) ▼ にき 対す 自う 分の 想され意る見言 キーワードから連 葉事 を実書 出るそ 。考えや、対応策など。 「……と思います(と考えます) 。 」 「……ましょう。 」 例 聞① き手は、事実と意見を区別し、質問を考えながら聞く。 3画 漫 スピーチの感想や、わかりやすい伝え方について話し合う。 ・「課題」の見つけ方 2 部活動ができること 42 を選んで,番号に丸をつけてく ▲1年P.42「フリップを用いて報告する」 学習の見通しをもって効果的に学習を進めることができる「 話すこと・聞くこと」 「書くこと」教材 学習過程 1 課題設定・取材 2 構成 3 記述 4 推敲 5 交流 すいこう 集めた調査結果を読み取り、書く順序を考える。 情報を整理して配置し、視覚的にもわかり やすい教材化をはかりました。 ●学習の視覚化 学びの重点 体験したことを文章にする 自分の体験を文章にするには、どうすればよいのだろうか。ここ では、マッピングで題名を決め、時間の順序にそって随筆を書こう。 へ 4 春 質問1 中学生になってよかったこと 「読むこと」教材で扱ったテーマや中学生に身近な話 クラスや日常生活の具 題などから活動に取り組めるよう工夫していま す 。題と結びつけて 体的 な問 こ の漫画から思いつく「課題」をグループや全体で共有 する。 関連する言葉を線で つ ⑴ な ごう。 はなんですか。次の中から一つ 5 10 表現することで、考えを深めることができます。 ○ 漫画の具体例と、何が同じで、何が違うのかを考えてみ る。 4 自由が増えたこと 28 ②部活動が できること 22% 2014/04/14 1 友達が増えたこと 42 新しい友達 自分の体験などをもとに、マッピングを行い、文章の題名を ・ ペン 自己紹介 活動の流 れ に そ っ て 学 ぼ う 1 P 自分の感想や考えが伝わるように、四百字程度で文章を書く。 あいさつ 決める。 例 テーマ「春」→ 文章の題名「新しい友達」 できごとや考えたことを、時間の順序にそって並べる。 た なか わかりにくい表現や誤字などがないか、確認する。 2 しょうかい 「入学式のあと、となりの席の田中さんと話をした。」 しゅ み 」 「クラスで自己 紹 介をした。 」 「共通の趣味をもつ人が数名いた。 3 書いた文章を友達と読み合い、構成について話し合う。 「これから、新しい友達と趣味を広げていきたい。」 4 入学式 2 ⑤その他 4% ④自由が増えたこと 14% 新しいクラス −10− 5 10 学習の重点 活動の流れを示し、重点的に学習する内容に焦点を当て、 詳しく解説しています。全体の学習の展開を確認するととも 5 図表を用いて報告する 青空 あたたかい 2 ①友達が 増えたこと 40% ③上級生との つながりが できたこと 20% 写真 01-02-02-フリップを用いて-話聞.indd 資料1 中学生になってよかったこと 桜 スタート たせりふに着目し、自分ならどう考える ○登場人物が発し また、表やグラフなどの多様なテキストを読み解き、 か、書き出してみる。 5 318 14:31:15 ▲1年P. 179 2014/04/14 「図表を用いて報告する」318 28 01-01-02-体験したことを文章にする-書.indd 5 ▲1年P. 28「体験したことを文章にする」 10 317 に、どの箇所を学習しているのかが一目でわかります。 四コマ漫画から意見文を書く ▲2年P.189 「四コマ漫画から 意見文を書く」 10 活動の流れ しょう か い ●課題解決のための対話 とびら 対話への 扉 ひとしな お気に入りの一品を 紹 介する ﹁ お 気 に 入 り の 一 品 ﹂ に つ い て、 自 分 の 思 い が 友 達 に伝わるように、実物や写真などを見せながら紹介し 合おう。 こうもく ①お気に入りの一品を決め、実物や写真などを用意す ︻進め方︼ る。 とくちょう の花がえがかれています。 私のお気に入りの一品 は、 こ の ハ ン カ チ で す。 桜 一つめは⋮⋮。 気に入っている理 由は、二つあります。 対話への扉 ことになって⋮⋮。 質問する力をつける 小 学 六 年 生 の 時 にこ、 友達が海外に引っ越す の方法を知れば、人との関係がもっと深まるようにな てい 由使っている言葉のやりとりも、よりよい対話 ふるだ理ん 気に入っ とエピソ ードがう まく る。ここでは、質問する力を身につけよう。 つながっているな。 ︻進め方︼ ふうとう ■話し合いの形式について(話し合いの例は次ページ) [司会] グループで話し合いを行う前に、役割分担などを確認しよう。 問する。 [書記] 話し合いの記録をとる。 ・誰の ど ん な 発 言 か が わ か る よ う に、 話 し 合 い の 内 そ簡 れ潔 はに 動ま 物とで 容を めす るか 。。 もど ・議論 が 元 に 戻 ら な い よ う に、 決 ま っ た こ と に つ い ては全体に示す。 大きさについて質 問してみようかなあ。 犬や猫のよう な身近な動物な のかなあ。 意 見 を 述 べ た り、 質 問 をしたりする。 を確認して発言する。 ・話題 や 話 し 合 い の 方 向 見 つ け、 自 分 の 考 え の ・相手 の 発 言 の よ い 点 を 参考にする。 192 ・ ・ ミュニケーションをしていても、なかなか理解し合えな て お く こ と が 大 切 で す。 日 本 人 ど う し が、 日 本 語 で コ ことは難しいのだ」ということを、まずしっかりと心得 めに必要な合意形成の力が身につきます。 クティブ・ラーニング」によって、課題を解決するた け、対話を楽しむことから始めます。このような「ア 「話すこと・聞くこと」教材では、ペアやグループ によって短時間で取り組める教材「対話への扉」を設 17 ・ はい。 [発言者] ・発言 の 内 容 を 明 確 に す る た め に 質 話し合いの進行を行う。 ・話し合いの最初に、話題を確認する。 ・発言 を ま と め た り、 話 し 合 い の 流 れを修正したりする。 ◀2年P. 17 対話への扉 「質問する力をつける」 16:05:18 2014/04/14 207 01-08-06-アイデアを出して-話聞.indd ②話す内容と項目を決める。 ま 品物と特 徴 、気に入っている理由、エピソード。 例 ③自分の思いをより効果的に伝えるために、話す速度 く ふう や音量、言葉の調子や間のとり方、品物を見せるタ イミングなどを工夫する。 ④ペアでスピーチを聞き合い、よかったところを伝え 合う。 ①グループをつくる。 ︵三、四名程度︶ アイデアを出して話し合う ②自分の好きなものを一つ、紙に書いて封筒に入れる。 ︵グループのみんなが知っていそうなものから選ぶ ようにする。 ︶ ③メンバーは順番に質問する。質問された人は、 ﹁は い。 ﹂か﹁いいえ。 ﹂のいずれかで答える。 ④どんな質問をすれば正解に近づけるか、振り返る。 たか し 多田 孝志 た だ これからの社会で求められる「対話力」について考える。 「対話力」とは何か 皆さんが生活している地域で、外国の人々を見かける ことは、まれではなくなってきたことでしょう。多様な 文化や考え方、行動をする人々が、同じ地域でともに生 −11− ▲1年P. 207「アイデアを出して話し合う」 207 10:08:45 2014/04/25 14:33:06 2014/04/14 31 01-01-04-対話への扉.indd 9:55:05 2014/04/18 17 02-01-02-対話への扉.indd ▲1年P. 31 対話への扉「お気に入りの一品を紹介する」 ▲3年P.192「対話力とは何か」 5 10 31 5 10 福島 福島 にっこう せんじゅ 千住 せんじゅ 千住 大垣 五月四日仙台 ︵ ジジ ︶ ︵ オオ ︶ わ ら︵ ぢ ︶ ︵ を ︶ こん けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。 土佐日記 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて す 106 大意 る。 男も書 (である私 といい、漢詩の響きを美しくする効果があります。七言 伝礎統 芸 のさい ざない (狂言) ●古典の基 知識 を能 丁寧へ にお える は、さらに第一句末も韻を踏みます。 すい しん 漢詩の表現の特徴 ごん ・ うたうきっかけを述べる。 え ど 起句を受けて詳しく述べる。 て小ずるいところ すいしん にな りやう くわん 翠岑を下る 良 寛 ・ 翠岑を下る たきぎ しゆん きん ちやう しよう もと ヒテ ヲ ク フ ノ ノ ハ 担 薪 下 翠 岑 レ 二 ニ 翠 岑 路 不 平 レ カニ 時 息 長 松 下 静 聞 春 禽 声 ・ ・ ・ ちく ぶ しままいり ヲ ラカナ 一 『竹生島 詣 』と 猿、かえる、くち しゅう く 例えば竜のしゃ まづ竜が申し 秀 句(しゃれ)を それがしは少 ・ ・ ・ す。」と申して ・ ・ 声に出して狂 《出典》 『定本良寛全集 第一巻』によ ・ 良寛 一七五八︱一八三一 歌人、書家、 春禽 春の鳥。ここでは 鶯 のこと。 うぐいす 翠岑 春の青々とした峰。 ・ 静かに聞く 春 禽の声 ル 多くの日本人も、漢詩を創作して、自分の心情を表現 心の通い合いが感 りもしますが、徹 てっ と四句め、五句めと六句めを対句にするという規則があり ・ また、 『春望』の一句めと二句め、三句めと四句め、五 つい く と六句めのような句を「対句」といいます。律詩には三 『黄鶴楼にて……』や、下段の『翠岑を下る』のように、 四句でできている詩を「絶句」といい、一句が五字のものを 狂 言とは 「五言絶句」、一句が七字のものを「七言絶句」といいます。 故人西辞黄鶴楼 第一句 (起句) 狂 言 は 、 稽 せ 滑 な りふやしぐさを中心とする伝統芸能の むろまち 日本人が作った漢詩 煙花三月下揚州 第二句 (承句) ・ 一 つで、室町時代に発達しました。 おう いん きま た。 の作品も読 みで まし ょ。 う。 三は 句 (転 句戸 ) 時代に確立されました 遠る 影碧 尽の ・ んで 。し江 戸次時 今帆あ 狂空言 形 、 江 割 す 孤 第 さぎ おお らから述べ なるご かなざわ 別の 角く度 。 や 戸 鷺 と大蔵流、名古屋や金沢・京都などで 流 代 に は 、 江 で 惟見長江天際流 第四句 (結句) いずみ みちたひ 。担ひて 和泉流が盛んでした。現在では鷺流はありません 薪を 全体をまとめる。 な・ ま 承・転・結」という 文章の書き方などに応用される「起 いこ 登場人物には、仕事を怠けたり人をだまそうと 翠岑 路平 らかなら・ず しはたり す のは、ここから出た言葉です。 時に息ふ 長 松 の下 ・ る 人もありますが、大きな悪事をはたらくことはありま せ 『春望』のように、八句でできている詩を「律詩」といい、 言律詩」といいます。 一句が五字のものを「五言律詩」 、一句が七字のものを「七 ん 。人間の愚かさや弱さ をおおらかな笑いで包みこむ狂言 は、 代化 でも 多素 くの に愛 れて ●伝統的な言 語現文 の 養人を 高さめ るいます。 「深(シン)・心(シン) ・金(キ 『春望』の偶数句末には、 ン)・簪(シン) 」のように、同じ響きの音(韻)をもつ字が た ろう か じゃ ■太郎冠者 のいざない(折込) 用いられています。これを「韻を踏む」または「押韻する」 伝統芸能へ 現代でも幅 広狂い 世は代 の郎人 に し れがて いくる 伝ま統 言に 、太 冠々 者が 登楽 場す るま 作品 数多 あり す芸 。能 太郎冠者というのは固有名詞ではなく、 「筆頭の(=太郎) 「落語」 「歌舞伎 」 「狂言」について、紹介し ています。 若い従者(=冠者)」という意味の役名です。調子がよく −12− 伝統文化を視覚と構造から重層的に捉える「古典」教材 かんがい 五月末大石田 も がみ (右) るなり。 受け継がれるべきわが国の伝統文化を、充実した作品と 豊富な資料、 美しい紙面で味わいます。 白河 白河 なな す すゆ ゆ もと もと しらかわ しら かわ ▲3年P. 129「風景と心情」 ●多くの作品にふれ、学習を深める にっこう 那須湯本 那須湯本 ふく しま 5 作品の内容を読むだけではなく、多くの視覚資料を参考 にしながら、作品世界を捉えることができます。 ざき いいずず もも ざき 出雲崎 出雲崎 石 巻 せん だい 14:33:23 2015/03/09 03-05-01-旅への思い.indd 2015/03/09 14:33:47 106 本教材の作品と関連をもたせた補充作品も充実させ、学 習を深めることができます。 おくのほそ道旅程図 ︵エ︶ 四月二十日那須 * 日付は旧暦。 りゅう しゃく せんだい 月山 ふくしま 立立石石 寺寺 りゅうしゃく 石 巻 がっさん がっさん 月山 五月雨をあつめて早し最上川 おりからの五月雨のたくさんの雨を集めて、 最上川は勢いよく流れている。 風景と心情 三月二十七日江戸 四月一日日光 ︵ウ︶ いしのまき の鼻緒を結ん あやめ草を思わせる鮮やかな紺 で、旅を続けようと思う。 まつ しま わ ら ぢ を ああ やや めめ 草草 足足 にに 結結 ばば んん 草草 鞋鞋 のの 緒緒 まつしま 仙台 松島 松島 仙台 慨深く見ている間に 西行の立ち寄った柳を感 田植えの人は去り、自分も立ち去った。 いしのまき 鶴岡 暑い一日も、最上川が海 に 流 し 入 れ て し ま っ われた「附子」を,風が当たらない 写真は和泉流) 平泉 田一枚植ゑて立ち去る柳かな つるおか 10 15 5 草加 やまなか 平泉 つる おか おお いし だ なんと尊く感じられるこ と か 。 青 葉 ・ 若 葉 に 降り注ぐ日の光が。 お ばなざわ あらたふと青葉若葉の日の光 六月十四日酒田 尾花沢 お ばなざわ 暑き日を海に入れたり最上川 小松 大垣 福井 室の八島 金沢 小松 江戸 福井 そう か むろ や しま 室の八島 金沢 こ まつ 江戸 ふく い 敦賀 敦賀 やまなか 山中 つる が 日光 日光 いちぶり や しま むろ 市振 かなざわ かなざわ こ まつ ひら いずみ 酒田 さか た 鶴岡 酒田 尾花沢 大石田 おお いし だ ひら いずみ 象潟 大石田 さか た そう か 草加 山中 ふく い つる が 象潟 きさかた きさ かた (ロウ)(ゾウ) らうおんざう し げんざん た ようだ。 ど 七月四日出雲崎 さ ︵ワ︶ ︵ウ︶あまのがは さ ど が しま 荒海の向こうにある佐渡 島へかけて天河︵天 の 川︶が大きく横たわって い る 。 荒海や佐渡によこたふ 天 河 七月中旬金沢 八月五日山中 石山の石より白し秋の風 八月下旬∼九月大垣 みな涙を流さない (ウ) 九郎御曹司の見参に入れたりければ、これを見る人、涙を流さずといふこ あかあかと日はつれなくも秋の風 郎御曹司義経に (首とともに笛を) お見せ申したところ た (ショウ) しやうねん な 吹き過ぎる秋風が、那谷寺の白くさらされた 石 よりも白い感じがする。 たい ふ といって ますます強くなった になっていらっしゃった のち 針 ・ ・ ・ ・ P へ ・ ・ ・ ・ あんぎゃ の 5 ・ ・ ・ ・ 修理大夫 経盛 修理とは皇居の造営や 修 理を行う役所。大夫は その長官。 107 平清盛の弟、平経盛。 そ の子敦盛は笛の名手。 発心 たかまつ 仏門に入り僧になるこ と 。 か がわ 屋島 しものせき ●作品をとおして季節感を味わう 香川県高松市にある。 17:04:25 秋 山口県 下 関市にある。 「四季のたより」(コラム) 壇の浦 112 あま (ワ) か は ら (ウ) ゆふ ぐ 天の川原の 秋の夕暮れ 《出典》『新編日本古典文 学全集 ・ 平家物語 ①・②』によっ た。 (オ) を ぐさ 式 子内親 王 ぶ そん (ショク) (ノウ) しよく し な い し ん わ う 稲かれば小草に秋の日のあたる 蕪村 ながむれば 衣 手涼し ひさかたの ころも で す ず ています。 狂言家には、学 の言葉やしぐさは ・ ・ しゅうか く はや し います。 場 は、 能 楽 堂 と 狂言 を上演 する を 見 せる 芸 能 で 謡いや 囃 子 に 合 うた 狂 言 と同 じく 町時 代に発 達し 参考 その他の伝 ・ 重陽 ちょう よ う れい盆の最 終日に、先 祖の 霊を送るために火をたく。 ぼん 送り火 季節の言葉 歌、俳句、季節の言葉を、美術品 四季折々にまつわる実短 り多き秋。星に思いを寄せ、美しい月をめでるとともに、穀物の 収 穫への感 などのさまざまな文化謝の つ なさが り とともに味わいます。 の念 をさ げま す。 四季のたより す ぶ 赤々と照りつける残暑の 日 が 暑 い が 、 風 は 秋 ら しく感じられる。 つれづれぐさ (ウ) (イ) 《出典》『新編日本古典文 学全集 枕草子』に よった。 目は猫、体は犬に似て い るという想像上の動物。 猫また 107 。 (シュ) しゆ り のだい ぶ つねもり (イ) 聞けば、修理 大夫経盛の子息に大夫敦盛とて、 生 年十七にぞなられける。 くと (ッ) ほつしん や しま と な い まくら のそ う し 縫ったと (エ) ・ ・ ・ ・ きゅうれき 九 日 の 節 句。 きく旧 暦 九 月 じゃ き はら 菊の花で邪気を払う。 月見 旧暦八月十五日と九月 十三日の名月に、すすき いも を生けたり団子や芋など を供えたりして月を見 る。 136 りしてこそ熊谷が発心の思ひはすすみけれ。 の時から せ 谷の敗戦の後、四国の屋島に逃れていきました。義経は、一年ほどかけて水軍を ● 『枕 草子』『徒然草』の別の章段を読む。 背後から急襲し、瀬 戸 内海に追いやることになります。そして、およそ一か月の ず い ひ つ (エ) かへり ごと うまく (イ) 書いてしまったあとで、 人 の も と に こ れ よ り や る も、 人 の 返 事 も、 書 き て や り つ る 後、 だいじょうだいじん 古 随敗 筆れ選 ・た 徒ち 然草 最後の決戦を行い、 平典 家は 、主─ だ は─ 海─ 中深く沈みます。それは、 ─っ枕た草武子将 物を縫う時に、 ぬ (ウ) こちらから送る手紙でも、 急ぎの 【第 九 一 段】 裏表を反対に縫ってしまったのも、 (イ) と、(ある) 人が言ったところ、 −13− ▲3年折込9・⓾「伝統芸能へのいざない(狂言)」 ▲1年P.136 四季のたより「秋」 ▲3年P. 106・107「旅への思い」 45 『奥の細道行脚之図』より そ ら 芭蕉(左)と弟子の曽良( ▲2年P. 112「敦盛の最期」 03-05-01-旅への思い.indd 46 けいげつ 八五)年三月二十四 日子で、平清盛が太 政 大臣に任ぜられてから十八年後のこと 枕草 ねたきもの ねたきもの (オ) 人のところに (イ) しり もともと糸の端を結んでおかなかったのだった。 (ウ) 人々を食うそうだ。 しょう わ ほりふみ こ 11:07:02 2014/04/18 112 02-05-01-敦盛の最期.indd 敦盛(菊池契月) きく ち 『附子』――その方から吹く風に当たっても死ぬと主人に言わ ように扇であおぎながら見ようとする太郎冠者(手前) 。 (写 「夕映え」 (堀文子 昭 和時代) ゆう ば いまいましいもの 考え直したの。 文 字 一 つ 二 つ 思 ひな ほ し た る。 と み の 物 縫ふ に、 か し こ う 縫 ひつ と 思 ふに、 針 ね た し。 を引き抜いたところ、 を ひ き ぬ き つ れ ば、 は や く 尻 を 結 ば ざ り け り。 ま た、 か へ さ ま に 縫 ひ た る も、 徒然草 猫また (ウ) 人里はなれた山に猫またというものがいて、 「 奥 山 に 猫 ま た と い ふ も の あ り て 、 人 を 食 ら ふ な る 。」 と 、 人 の 言 ひ け る に 、 116 18 2015/03/09 324 -10-05-補充作品-古典随筆選.indd 5 324 ▲2年P.324「古典随筆選」 旅への思い 発見から理解へとつなげる「言語」教材 著名デザイナーによるシンプルで品格ある教科書 学習者が親しみやすく、 学びやすいデザインを実現しました。 アートディレクション ・ ないかな。ねえ、ハル。ひとまず句読点をつけて 読点があれば、どこで文が切れるかわかるんじゃ 223 日常の言語生活から、言葉のはたらきや 仕組みを発見し、活用する力を育てます。 ●活用力を高める言語教材の二つのステップ ・ ▼話し言葉の場合、スピーチや講演などの全体が「文章」 にあたる。(「談話」ということもある。) または小段落という。また、いくつかの形式段落を内 ▼文字で書く場合、段落の変わり目では行を改め、最初 の一字分をあけて書く。このような段落を形式段落、 容のつながりのうえからひとまとめにしたものを、意 か じょう 味段落、または大段落という。 「箇 条 書き」のように、段落のない文章もある。 ▼話す場合は、「文」と「文」との切れ目に間がおかれる。 いた。自然の草花、生物、風景などを丹念に観察し描写した 現在の岐阜県中津川市付知町生まれ。独特の輪郭と色彩に よる作品は、日本の近代洋画において独自の画風を切りひら 熊谷 守一(くまがい もりかず)一八八〇 ―一九七七 【表紙の画家】 セイ、連載などを手がける。 イン賞】受賞。現在、さまざまなアートディレクションやエッ 談社出版文化賞【ブックデザ 賞】 、二〇〇六年第三七回講 講 談 社 出 版 文 化 賞【 さ し え 太郎とK2設立。一九八四年 ター入社。一九六九年黒田征 一九六一年桑澤デザイン研 究所卒業、日本デザインセン K2 長友 啓典(ながとも けいすけ) 言葉の単位 全ての言語教材に、一ページの導入教材を設けました。 文法の小窓 1 ハルとアキが、話しています。 ・ P の解説 ・ ふ みようよ。 ハル ねえ、アキ。この間、幼稚園に通ういとこから、 手紙をもらったんだ。 ・ 段落 段落 段落 13:38:13 2014/04/18 ●文章・段落・文・文節・単語という単位について理解する。 目標と振り返り ・ アキ へえ。かわいい手紙だね。 が な ハル そう、かわいいのはいいんだけど、平仮名ばかり で意味がとりにくいんだ。 ・ ・ ・ 文 □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □□□□□、□□□□ □□□□。 □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □、 □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □□□□□、□□□□□□□□。 □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □ □ □、 □ □ □ □。 □ □ □ □ □ □、 □ □□□□□□□。□□□□、□□□□。 □ □ □ □ □ □、 □ □ □ □ □ □ □ □。 □ □□□□□、□□□□□□□□。 絵には、 「いのちの輝き」 、そして「古きよき日本」を思わせ るノスタルジックな感覚を覚える。 近年、各地で展覧会が催されるなど再評価が進んでいる。 −14− 発見する・気づく ―― 導入教材「言葉の小窓」 「文法の小窓」 14:37:30 223 文法 1 言葉の単位 ・ こんにちはおかあさんが ねこのまえねこをもらって きたんだよぼくもねこをく 読みやすいように・文章をくぎることができたかな。文章を句点でくぎったまとまり を、 「文法」の世界で は「文」と呼ぶんじゃ。ほかにも、 いろいろなくぎり方があるぞ。 ・ れたうちのひととはなしを したよねこのなまえはたま になったよこんどはるくん もあそびにきてね 文章 は、君たちがいつも使っている日本語の言葉の仕組みや、使 この「文法」の解説で 手紙に句読点をつけて、この文章をいくつかのまとま い方のきまりを学ん・でい Pくと へきにも りく にの 分じ けゃ てよ み。 ま文 し法 ょは う、 。文章を読むだけでなく、書 ずい ひつ アキ 確かにそうだね。平仮名だけで書い関 てわ あっ るて しく 、る 句んじゃ・。 文章 小説や随 筆 や詩の全体、ある いは、一通の手紙や電子メール 全体などを文章といいます。 段落 文章の中で、まとまった内容 を表しているひとまとまりを段 落といいます。 223 2015/03/06 ▲1年P. 73・223「言葉の単位」 01-09-03-言葉の単位・文の成分・単語のいろいろ.indd 73 73 解説教材では、言語の知識・理解を進めるとともに、実 生活などで活用できる力を高めます。 5 73 01-03-05-文法の小窓1.indd 5 10 15 理解し、活用する ―― 体系化した解説教材 文法 1 言葉の単位 9 は だ じゅん けではなく、学習者自身が、新たに詩と写真を組み合わせる、詩創作 兵庫教育大学准教授 羽田 潤 一 はじめに 連載の第七回、第八回では、少し教科書から離れた発展的言語活動 について紹介した。第七回では、 「映像版『ごんぎつね』の広告ポス 活動へと発展していくことも可能な素材として、教材および学習活動 大単元 写真と文章の関係および学習活動 Ⅲ 写真から生まれる ③写真と組み合わせるのにふさわし さまざまな世界を いさまざまな文章を考える。 作り出そう Ⅱ 言葉と写真のコラ ②タイトルと組み合わせるのにふさ ボレーションを楽 わ し い 背 景 写 真 を、 本 文 も ふ ま しもう えて考える。 Ⅰ 詩のギャラリーへ ①写真と詩が組み合わされたときの ようこそ 効果を考える。 小単元 けではない。例えば「Ⅰ 詩のギャラリーへようこそ」だけでも、連 載の第二回に示したように、教科書に提示された「詩のポスター」だ ター制作」 、 第 八 回 で は、 「象のドキュメンタリーふうミニドラマ制 を提示している。 の「メディアと表現」単元から、第一学年『写真と言葉が生み出す世 界――メディア・リテラシー入門――』を取り上げ、新しくなった学 習活動の具体について述べていく。 二 単元を貫く言語活動 三つの学習活動が連続で展開できるように、学習活動の精選を行っ たのが新教科書の第一学年における「メディアと表現」の特徴である。 教材は現行と同じものを使用しながら、より連続性を意識できる構成 とした。三つの小単元は、理解単元としての「Ⅰ 詩のギャラリーへ ようこそ」 、 「Ⅱ 言葉と写真のコラボレーションを楽しもう」、表現 表現 理解 まる、 「写真と文章の関係を考えること」で貫かれた言語活動単元と 新教科書においても、まど・みちおの『ボタン』に四つの写真を組 み合わせ、「詩のポスター」として提示している。 「詩」という文章表 三 「Ⅰ 詩のギャラリーへようこそ」 目標「写真と文章の関係を考え, 読み手に対する効果を考える。 」 現と、その文章表現のある部分を象徴した「写真表現」とを組み合わ 単元としての「Ⅲ 写真から生まれるさまざまな世界を作り出そう」 で構成され、理解したことで表現し、表現することでさらに理解が深 写真と言葉が生み出す世界 みづくりについて述べてきた。今回は、平成二十八年度版の新教科書 作」と、メディアを活用した言語活動における「社会文化性」の枠組 国語科におけるメディア教育の意義 載 なっている。また、この三つの小単元で理解・表現活動が一周するだ −15− 連 せ、学習者の「詩」に対する解釈を呼び起こそうとするものである。 教科書には、 「ボタン縫い付け」 、 「月」、「トンネル」、「子どもの目線」 を掲載した。他にもどのような組み合わせが可能か考えてみるのも楽 しい。学習活動はシンプルに、次の内容のみである。(傍線は筆者) ◯あなたの心にいちばんぴったりくる詩のポスターはどれですか。 ペアになって、その理由を話し合おう。 四 「Ⅱ 言葉と写真のコラボレーションを楽しもう」 特に変更が大きかったのは、 『カメラが見つめたニューヨーク』(Ⅱ 言葉と写真のコラボレーションを楽しもう)である。本文の文章量 を減らし、タイトル部分にふさわしい写真を選ぶ活動に焦点化した。 学習活動は次のとおりである。(傍線は筆者) ◯タイトルや本文が同じでも、写真の有無や背景写真の違いによっ て印象はどのように変化するでしょうか。 1 ①と②を見比べて、あなたが感じたことを話し合おう。 2 ③④⑤の背景写真の違いは、あなたにどのようにはたらきか けてくるだろうか。文章の中身と関係づけながら話し合おう。 3 背景写真②~⑤の中から、あなたが一枚選ぶとしたらどれを 選ぶだろうか。その理由を説明しよう。また、読み手に対する Ⅱ 言葉と写真のコラボレーションを楽しもう 最先端の摩天楼都市ニューヨークが、冷たい顔 くさ よりも、暖かい体温や人間臭さを感じさせるのは ま てんろう なぜだろうか。そう考えたとき気づいたのだ。写 せんたん ・ ・ ・ 真家たちがなんとか画面に入れまいと苦心する、 すぎ ・ ・ ・ ・ ストである。 じ条件を満たすのに、他の材質では二倍以上のコ 属でもなく、杉の木なのか。 では、なぜ木造なのか。なぜ、日本のように強 化プラスティックではなく、コンクリートでも金 市景観の始まりであった。 を 作 り 始 め た。 世 界 の ど こ に も な い、 奇 妙 な 都 き みょう 摩天楼形成期に、桶職人が杉の白木の給水タンク おけ マンハッタンでは、六階までのビルは給水塔を 必要としない。それ以上の高さのビルが造られた の都市風景を象徴しているものだと。 あの屋上の給水塔こそ、私の好きなニューヨーク とう ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ニューヨークは、世界中の大都市で最も夏冬の せっ し 寒暖の差が激しく、その差は摂氏五〇度以上にも ・ こお 折原 恵 けい なる。断熱効果が優れている木を使えば、水を冬 ・ おりはら に凍らせず、夏に冷たく保つのに都合がよい。 ・ カメラが見つめた ニューヨーク しかも値段が安く長持ちする。人口の密集地帯 であるニューヨークでは、飲料水だけでなく、室 ・ きょだい ニューヨークの給水塔一万個の過半数を建築し 九〇パーセントが、今も木造なのだそうだ。 蔵された水はおいしい。新築ビルの給水タンクの を い っ さ い 使 わ な い、 中 世 ヨ ー そ の う え、 釘 ロッパのワイン桶製法と全く同じ作りなので、貯 くぎ 内自動消火装置のための水量の保持が法律で決め すぐ られているため、巨大なタンクが必要となる。同 −16− 14:45:42 2014/04/14 64 14:45:47 01-03-03-写真と言葉が生み出す世界.indd 65 01-03-03-写真と言葉が生み出す世界.indd 64 65 5 10 5 2014/04/14 (第1学年P64-65) 効果についても考えよう。 今回は、見開きに、無地部(①)と四つの写真候補(②~⑤)を並 べた。全ての候補を見比べながら、どのタイトル部分が最も効果的で あるかを考えることになる。組み合わされたものを見比べるというの は、 「詩のポスター」と同じ手法でもある。完成品を見比べ、印象の違 写真と言葉が生み出す世界 かろうとするものである。情報の比較自体は、学習指導要領にも示さ いを言葉にするという手法を重ねることで、学習者に手法の定着をは ての本単元の重要な目的の一つであるともいえる。 なり、それらが組み合わされ、一体化したものとして提示されている る。同じテーマ、モチーフが、言葉という表現と、写真という表現に は、組み合わせ対象である言葉を写真に置き換えようとしたものとな 写 真 と 言 葉 の 組 み 合 わ せ と い う「 場 」 は、 多 様 な 組 み 合 わ せ や 相 乗 効 果 が 可 能 で あ る が、 本 単 元 に お い て 言 葉 と 組 み 合 わ さ れ る 写 真 が補強し、タイトルとしての「表情」を決定づけることになる。 つめたニューヨーク」という文章内容がもつテーマやモチーフを写真 側面を強調した「詩のポスター」ができあがる。同様に、 「カメラが見 である。ゆえに、「詩」の言葉を「写真」が補強し、「詩」がもつある 「詩」という表現を、「写真と詩」という組み合わせで表現するのは、 写真に、 「詩」の内容がもつテーマやモチーフが再構成されているから れるように、 「読むこと」における言語活動として有効な手法である。 第一学年 「読むこと」 言語活動例 イ 文章と図表などとの関連を考えながら、説明や記録の文章を 読むこと。 第二学年 「読むこと」 言語活動例 ウ 新聞やインターネット、学校図書館等の施設などを活用して 得た情報を比較すること。 第三学年 「読むこと」 言語活動例 イ 論説や報道などに盛り込まれた情報を比較して読むこと。 見つめたニューヨーク」というタイトルと最も響き合うのはどの写真 ということは、本文内容を象徴する写真がどれであるか、「カメラが の女神)を表す写真を選択している。効果的なタイトル部分を考える 築の労働者、④桶職人、⑤移民にとってのニューヨークの象徴(自由 四つの候補写真の意図については、連載の第五回で詳しく述べてい るように、文章中の各エピソード、②ビルの屋上の給水塔、③高層建 語活動の重要な観点となる。 日常生活における分析的な目線を育むことが、メディアを活用した言 く多様な情報を比較する思考が形成されると考える。また、そうした とを、 「書くこと」をとおして実感してもらうための学習活動である。 は引き出され、さらに、言葉によって写真の見方が規定されていくこ 思いつくままに線をのばして書きこむ手法である。写真によって言葉 発想法として、マインドマップ的な方法を示した。中央に写真を置き、 および学習活動自体は現行のものと変わらないが、写真を見ながらの さ て、 こ れ ま で の 二 つ の 学 習 活 動 は、 言 葉 と 写 真 の 組 み 合 わ せ を 「読み」、「話し合う」ことであった。それをふまえて行うのが、写真 五 「Ⅲ 写真から生まれるさまざまな世界を作り出そう」 のが、詩のポスターであり、タイトル部分なのである。 なのかを考える行為である。本文内容の最も重要な部分が、タイトル 選んだ写真は、具体的には、熊野古道の写真であるが、そのことを 学習者が知る必要はない。山の中の道、細い道ではあるが、簡素な舗 その情報が、言葉と写真の組み合わせに広がることで、例えば、通 学路の看板やポスター、本屋のディスプレイなど、日常生活をとりま と背景写真という形態に再構成されたのがタイトル部分ともいえる。 装がされている、木々は細く、光が差している、道は少し曲がり、下っ を見て、組み合わせるにふさわしい文章を「書くこと」である。写真 この「再構成」を考えることが、 「メディア・リテラシー入門」とし −17− ている、その先にはベンチらしきものが見える、といったことを発見 69 しながら、次第にそこに浮かび上がる多様な「物語」を発想していっ てもらいたい。 一枚の写真から言葉を引き出してみましょう。日記ふう、手紙 ふう、昔話ふう、時代劇ふう……などの設定をすると、さまざま な言葉の世界を作り出すことができます。 書きあがったら、友達と読み比べてみましょう。同じ「日記ふ う」でも、違いがありませんか。写真のどこがそう感じたのかに 実況中継 小 説 六 単元を補完する「言葉の自習室」 新教科書では、単元内容を補足するという意味で、巻末付録の「言 葉の自習室」に、「メディアと情報」 (新規)、「瞬間を切り取る」(継 続)という二つのコラムが掲載されている。「メディア・リテラシー 入門」という意味では、この二つのコラムが、メディア(情報)の性 質の基本である、①情報は第三者によって再構成されていることと、 ②情報は制作者の意図によって切り取られていることについて述べて いる。この二つのことを体験的に理解させようとしているのが三つの 学習活動(小単元)であり、文章で説明しているのが本コラムという ことになる。 七 まとめにかえて――メディア・リテラシー入門という位置づけ 本単元は、「メディア・リテラシー入門」とサブタイトルがついて いる。ここで学習者に学ばせたいのは、言葉と写真の組み合わせとい う情報を扱いながら、①送り手によって組み合わされたものが、ひと まとまりの情報として受け手に届いているのだというメディアの性 質と、②言葉と写真の組み合わせによるメディア表現の多様性につい て知ることという、メディアの性質二点において、メディア・リテラ シー入門の位置づけとなる。 この入門編を経て、第二学年では、フィクションとしての『ごんぎ つね』の映像化について考え、第三学年では、ノンフィクションとし ての皆既日食に関する新聞記事およびテレビ映像について考える。三 年間をとおして学ばせているのは、情報の合体、転換、再構成という ことになるのである。 −18− ついて話し合ってみると、写真の表現方法に気づくことができる ・ 69 01-03-03-写真と言葉が生み出す世界.indd かもしれません。 時代劇 ◯一枚の写真からさまざまな言葉の世界を作ってみよう。 日 記 14:45:52 2014/04/14 (第1学年P69) ◯一枚の写真からさまざまな言葉の世界を作ってみよう。 写真と言葉が生み出す世界 『 思考力・判断力・表現力 』を育てる 中学国語科 の学習指導 ―― 学習指導案を「言語活動」を軸に再構成する こ だま ただし 弘前大学教育学部教授 児玉 忠 ③ 単元設定の理由、単元観、教材観、学習者観 ④ 単元全体の指導目標 ⑤ 単元全体の指導計画、配当時間 ⑥ 評価 が、そこには全国的にみておおむね共通の要素がある。例えば、そ い。この学習指導案には守らねばならない規格のようなものはない 教員養成の仕事をしている関係から、各地の研究会などで公開授 業を参観する機会が多く、その際に学習指導案を拝見することが多 について何か述べようとする場合は、 「③ 単元設定の理由、単元 観」のあたりで間接的に述べることになるのだろう。 語活動」という観点や語句がみられない。そのため、 「言語活動」 ここには、これまで全国各地で書かれてきた国語科の学習指導案 に共通する要素が六つにまとめられている。しかし、ここには「言 −19− はじめに 本稿では、国語科の「学習指導案」に注目し、その改善という点 から「言語活動」を授業に位置づけた「思考力・判断力・表現力」 の育成の課題を考えてみたい。 (全国 大学国語教育学会編『新たな時代を拓く 中学校・高等学校 国語科教育研究』学芸図書、二〇一〇年、P ・ ) れは次のとおりである。 「言語活動の充実」が叫ばれるようになってからというもの、「言語 活動」を取り入れた国語科の授業改善の事例は増加傾向にある。し 一 学習指導案における「言語活動」 授業の実施期日・時間、実施学校名、学年・学級(構成員 ① 数、男女比) 、指導者名 かし、そこで提示される学習指導案に注目すると、今述べた六つの 38 2 ② 単元名、教材名 37 連 載 などなど、はっきりと記述されないままの学習指導案が今なお多い。 導目標(付けたい力) 」と「言語活動」はどういう関係にあるのか てその「言語活動」はどういう魅力をもっているのか、単元の「指 材」と「言語活動」とはどのような関係にあるのか、学習者にとっ の単元において「言語活動」がどう位置づけられているのか、 「教 観点による従来どおりのものが多いのも実情である。そのため、そ (セリヌンティウスへ)二年ぶりに 返答の内容をみると、 「 主体的に活動しているように見えた。が、登場人物への質問や 的意識が明確であるし、ワークシートなどを見る限り、生徒は 「登場人物を招いて記者会見をしよう」である。相手意識と目 り、それを達成するために設定された単元を貫く言語活動は 人物の言動の意味について自分の考えをもつ」ことが目標であ 的な取り組みがなおなされていないことを意味している。 それは同時に、授業づくりにおいて「言語活動」への意図的・計画 」 、 「 (ディオニスへ)なぜ最 か?」 「竹馬の友だからです。 メロスに会ったのに、なぜ人質になることをOKしたのです 質 つの方法になるように思われる。 「言語活動」を重視した新しいタイプの授業を考え その意味で、 ようとするとき、学習指導案の改善という点からのアプローチは一 取りでもできてしまう一問一答が多かった。 「二人の行動に感動したからです。 」といった浅いレベルの読み 後でメロスたちに仲間に入れてほしいと思ったのですか?」 質 研究集会の国語科分科会において、 「 『単元を貫く言語活動』を取り 県平川市立碇ヶ関中学校)は、平成二十六年度中学校教育課程地区 二 学習指導案において「言語活動」を位置づけた実践事例 次に紹介するのは、 『論語』を教材に中学校二年生を対象に行わ れた国語科の授業実践である。授業者である須郷和歌子教諭(青森 考・判断がはたらいていたとしても、 「読むこと」の学習とし 動を行わせること自体が目的化し、そこに生徒の主体的な思 のように答えれば読みが深まるかを吟味できなければ、言語活 こうした事例をもとに、須郷教諭は次のように述べる。 (中略) 「記者会見をする」という言語活動は、どの文学的文 章の学習にも使えて便利に見えるが、どのような質問をし、ど 「つけたい力」にぴったりな「言語活動」を設定することは 確かに重要である。しかし、国語は「教材で教える」教科であ 入れた読み教材を扱う授業の課題」と題した実践報告を行った。 (中略) 「つけたい力」を明確にし「単元を貫く言語活動」を 設定した授業実践には、教材特性を生かし切れていないと感じ る。だからこそ、 「その教材で読むべきこと」 「その教材だから ては空回りする恐れがあると感じた。 るものが多い。以前、ある研究会で、 「走れメロス」の実践が 学習できること」にこだわりたいと思う。 「つけたい力」と「単 須郷教諭の問題意識は、次のようなものであった。 (実践報告資料 以下同様) 答 発表された。指導事項〔 「C 読むこと」⑴イ〕を受け、 「登場 −20− 答 業づくり」について、実践例をもとに提案したい。 をどうリンクさせるか。本発表では、 「教材特性をふまえた授 元を貫く言語活動」との間に「教材特性(=教材の持ち味) 」 業づくりが進められていることがよくわかる。 動」が乖離しないように絶えず意識しながら、丁寧に教材研究や授 案の作成にあたっては、 「付けたい力」や「教材特性」と「言語活 「付けたい力」と「言語活動」を関 須郷教諭はこのように述べ、 係づけるだけでなく、そこに「教材特性」をリンクさせるべきこと 次のように述べている。 導案の4の⑴「 『言語活動』と『教材特性』との関連」の部分で、 (傍線引用者) を強く主張する。この連載で私が取り上げている課題意識を実践レ 紹介された「単元名」は、 「十四歳の悩み相談 〜 『論語』の言葉 を 引 用 し て 回 答 文 を 書 こ う 〜」 で あ っ た。 須 郷 教 諭 は、 学 習 指 ベルで共有した事例となっている。この問題意識のもと、須郷教諭 (引用者注「 『論語』が」)なぜこのように長く読み継がれてきた のか。それは、 『論語』の言葉が人間の本質を突いており、日 たからであろう。 『論語』の教材特性は、まさにこの点にある。 本人が悩んだり道に迷ったりしたときのよりどころとなってき が作成した学習指導案は次のような構成になっていた。 1 単元名 これをみると、教材『論語』のもつ「教材特性」と「相談者の悩 みに回答する」という「言語活動」とを見事に結びつけて教材化し し、回答文を書く」活動に取り組ませた。 て、 「相談者の悩みに対して、 『論語』の言葉を一つ選んで引用 的に応じて自分の考えを書く」を据え、これをさらに具体化し そこで、教材特性を生かすため、単元を貫く言語活動に「 『論 語』の言葉に表れたものの見方や考え方を取り上げ、相手や目 2 指導目標 3 取り上げる「言語活動」と「教材」 ⑴ 言語活動 ⑵ 教材 4 「言語活動」と「教材特性」 ・ 「つけたい力」との関連 「言語活動」と「教材特性」との関連 ⑴ ⑵ 「言語活動」と「つけたい力」との関連 ていることがわかる。また、学習指導案の4の⑵「 『言語活動』と 生徒たちに意見や考えを述べる文章を書かせると、 「伝えた いこと」と根拠と具体例との間に論理の飛躍が見られることが 『つけたい力』との関連」で、次のように述べている。 ⑵ 指導と評価の計画 この学習指導案では、先に紹介した一般的な学習指導案の構成と は明らかに異なり、 「言語活動」という観点・用語が学習指導案全 多い。また、書き上げたことに満足してしまい、 「相手に伝え 5 指導と評価 ⑴ 指導過程と指導方法 体を特徴づけるキーワードになっている。その点で、この学習指導 −21− んだ材料を具体化したり、言い換えたりして、意見や考えを相 設定したうえで、 「何を材料に使うか」を生徒に吟味させ、 「選 る」という意識が薄いようにも感じる。そこで、相手と目的を 「教材特性」と密接に結びついているか、また、いかに「つけたい このように、学習指導案に書くべき項目を「言語活動」を軸に再 構成することによって、授業者は取り上げた「言語活動」がいかに ることがわかる。 れば、 「言語活動」を取り入れた新しい学習指導案のフォームが、 力」と密接に結びついているかを検討することになる。見方を変え 手にわかりやすく伝える力」を育成したいと考えた。 これは学習指導要領の指導事項に照らし合わせると、以下に 該当する。 指導者に取り上げた「言語活動」の内実をつよく自覚させ、授業に おける「言語活動」を内実のともなったものにさせているのである。 に育てるためには、学習指導案を「言語活動」の観点から再構成し ◇第二学年「B 書くこと」⑴ウ 事実や事柄、意見や心情が相手に効果的に伝わるように、説 明や具体例を加えたり、描写を工夫したりして書くこと。 (中略)さらに、引用したい言葉の候補をあげ、最終的に、相 談者の悩みや自分がアドバイスしたいことに最もふさわしい て国語科の授業づくりを行うことが一つの方法になるように思わ 連載の第一回で述べたような「言語活動」の空転(活動あって学 力なし)といった状態を避け、 「思考力・判断力・表現力」を確実 言葉を一つ選んで回答文を書く過程で、以下に示す指導事項も れる。 「思考力・判断力・表現力」の育成の課題について考えてみたい。 た新教材を具体的に取り上げて、 「言語活動」を授業に位置づけた づけられた「言語活動」が多彩に掲載されている。次回は、そうし 平成二十八年度版の教育出版の新しい教科書には、この連載で主 張しているような「付けたい力」や「教材特性」としっかり関係 おわりに 関連的に扱うことができる。 ◇第二学年「C 読むこと」⑴エ 文章に表れているものの見方や考え方について、知識や体験 と関連付けて自分の考えをもつこと。 ◇第二学年〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕 ⑴ア 伝統的な言語文化に関する事項 イ 古典に表れたものの見方や考え方に触れ、登場人物や作者の 思いなどを想像すること。 「付けたい力」を学習 これをみると、生徒の実態をふまえつつ、 指導要領の指導事項に求めながら、取り上げた「言語活動」が、そ うした「付けたい力」とどう関連しているのかを丁寧に検討してい −22− ―― 学習指導要領と学習用語 はじめに すず き かずふみ 茨城大学教育学部准教授 鈴木 一史 変 化 の 激 し い こ れ か ら の 社 会 を 生 き る た め に、 確 か な 学 力、 豊 か 「生きる力」=知・徳・体のバランスのとれた力 「社会」 「生活」など、今ではあたりまえのように使われている言葉も な心、健やかな体の知・徳・体をバランスよく育てることが大切で は教育の中で使われるときに、 てくる。つまり、「生きる力」 な ぁ。 」といった言葉が返っ たちには生きる力だけはある り 大 切 だ。」 と か「 う ち の 子 さ れ ず、「 生 き る 力 は や っ ぱ 味 か。 」ということは問題に しかし、こちらの言葉に対 す る 反 応 は、 「どのような意 されている。 一つ一つが上の図のように示 という理念であり、その中の 訳語として作り出されたものであり ⅰ、それらを合わせてまた新概念 生きる力 す ⅲ。 というような言葉は新しい考え方の訳語として作られたといえる。し たがって、 「それはどのようなことを意味しているのか。」という定義 が重要になってくる。ところが反対に、新しい考え方の枠組みではあ るけれど、それを従来ある言葉の組み合わせで表すこともある。「生 きる力」などはその典型であろう。この場合は、新しい概念であるに もかかわらず、わかりやすくするために既存の言葉を使うことによっ て、かえって混同してしまう場合がある。 「知識基盤社会」については、 この二つの言葉の定義を確認すると、 以下のように示されている。 世紀は、新しい知識・情報・技術が政治・経済・文化をはじめ 社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す、 確かな学力 基礎的な知識・技能を習得し, それらを活用して, 自ら考え,判断し,表現することにより, 様々な問題に積極的に対応し,解決する力 を作り出した。教育についても同様である。例えば、「知識基盤社会」 新しい考え方を取り入れるときには、新しい言葉を作り出す。明治 期の海外文物の導入の際には多くの言葉が作り出されてきた。「現代」 一方、「生きる力」については、 教科書の言葉・学習者の言葉 2 いわゆる「知識基盤社会」の時代であると言われている ⅱ。 健康・体力 たくましく生きるための 健康や体力 豊かな人間性 自らを律しつつ, 他人とともに協調し, 他人を思いやる心や 感動する心などの 豊かな人間性 −23− 連 載 21 このように、一般的に使われている言葉と教育の中で使われている 言葉は区別が難しいが、教育という文脈の中でどのような意味をもつ それぞれが自分の意味と結びつけて考えて使用してしまう。 的に使われる言葉であるために、使う人それぞれの解釈が可能となり、 限定的に特別の意味内容をもつにもかかわらず、言葉そのものは一般 傍線を付した。 語をあげた ⅴ。また、今回、本文で具体的に取り上げた語については アップしてみると、以下のようになる。順序は、多く出現した順であ くことを目的とした。そこで、学習指導要領に出てくる言葉をピック る言葉の使用頻度を分析することで、数量的な観点から読み解いてい 話題 部分 材料 立場 伝統 特質 事柄 日常 育成 書写 説明 目標 文字 関係 特徴 意図 場面 事実 整理 全体 関心 論理 資料 生徒 具体 作品 重視 場合 役割 計画 目的 社会 仕方 展開 工夫 態度 効果 文化 情報 活用 注意 相手 意見 古典 読書 意味 関連 課題 言葉 知識 学年 指導 文章 事項 考え 自分 言語 内容 能力 生活 表現 理解 活動 構成 国語 必要 語句 漢字 学校 学習 る。各学年で十回以上出てくると仮定し、全体で三十回以上出てきた のかが特定されることによって、理解が進んでいくといえる。これは、 その教科の学習のために必要な語彙である学習用語についても同様で あり、一般的に使われる言葉と学習で使われる言葉を明確に区別して、 その意味内容を把握していくことが、学習者にとっての学習を理解し やすくしていくものと考える。 さてそこで、今回は、まず学習用語に迫る前に「教育用語」「指導 用語」といわれるものについて考えてみたい。方法は、学習指導要領 に表れる言葉を抽出して、指導用語として取り扱う。その後 (次号) 、 それらがどのように学習用語として学習者のもとに届くのかについて、 教科書の中の「指導用語」を「学習用語」として捉えていく。 目標にあげられている言葉を、どのような意味で取り扱って解釈して の取り扱い」までの記述がなされているが、これらは学習指導要領の 要領解説 ⅳには、第一章「総説」から第四章「指導計画の作成と内容 語ではなく教育用語として教育的な文脈で読む必要がある。学習指導 学習指導要領は教科書のもととなるものであり、学習指導の根幹を なしている。この学習指導要領にある言葉は、前述したように一般用 れていることがわかる。能力と対照される「知識」も「能力」より頻 を念頭に置いた指導や、学習者の「能力」を考えた学習指導が求めら 上位に来ていることから、学習指導全般にわたって、学習者の「生活」 を示す語彙が示されている。また、 「 能 力 」 や「 生 活 」 な ど の 言 葉 が 科としての国語の指導「内容」に関わる語ではなく、全体的な枠組み いちばん多く出てくる語は「学年」である。これは、全ての文言に ついてカウントしたためである。次には「指導」や「事項」など、教 取材 評価 設定 時間 教育 教材 配当 方法 程度 領域 人物 配慮 働き 互い 登場 形態 根拠 いけばよいかについて書かれており、その言葉を分析することで学習 度は少なく出現する。 学習指導要領の中の言葉 指 導 要 領 の 重 点 箇 所 を 読 み 解 く こ と に つ な が る。 ま た、 使 わ れ て い −24− 面からもほぼ同様の上位に位置しており、繰り返しこの言葉を使って 「言語」 「活動」 「表現」 「理解」といった言葉が上位にある。 次に、 言語活動の充実が求められていることは周知のとおりであるが、頻度 および二重傍線は筆者が付したものである。 べられており、 「展開」という言葉とともに使われている。なお、傍線、 てはいないが、「構想」と「説明文」の項目の中に、以下のように述 る。『国語教育指導用語辞典』ⅶでは、「構成」という項目は立てられ 説明がなされていることが読み取れる。また、「思考」「判断」「表現」 「読むこと」という領域別とは異なり、「理解」「表現」という枠組み 科の学習指導要領では、現在の「話すこと・聞くこと」「書くこと」 トで学習を考えていく方向性が薄くなっているのかもしれない。国語 「判断」や「思考」が定着しにくく、 「思考・判断・表現」というセッ 二語が対応関係にある。ということは、国語科の中の言葉としては、 している。半面、 「理解」が同列に並んでいることを考えると、この 成には、どんな長所が認められるかなどを考えさせる。 いう順序や展開があるか、それと比べて、筆者・作者の採用した構 ういう構成にしたのかを考えさせる指導がある。――ほかに、どう 生徒の文章・作品など)の構成をとらえて、筆者・作者は、なぜこ すでにできあがっている文章・作品(教科書の文章・作品や児童・ そ れ を ど う 配 列 し、 組 み 立 て る か と い う 意 味 合 い が 強 い。( 中 略 ) 「構成する」というのは、すでに題材等がきちんと用意されていて、 とまとめて語られる語彙については、国語の中では「表現」のみ突出 で書かれていた歴史をもっていた ⅵことも、この言葉の意味づけの変 「構成」や「展開」が繰り返し使われてい 学習内容の言葉として、 ることがわかる。 「理解」や「表現」のどちらにしても、構成や展開 る。 学習は、さまざまな内容を扱っていきながらも、言語の学習だといえ は区別すべく線引きに躍起になった時期もあった。しかし、国語科の 明確な区別なく用いられた時期もあり、かつまた、反対に、それらと いる。国語科の学習が、社会科や理科や道徳といった学習と混同され、 であり、国語科の学習が言語の学習を基盤としていることを意味して 「国語」から始まって、「語句」 次に、国語科特有の語彙を探すと、 「漢字」とあげられている。これは「知識」の部分に類する学習内容 から書き始め、それをどう展開させ、最後にどのようにまとめるか」 をまだ知らない人にもよくわかるように説き明かすためには、「何 説明は、「何か」という問いに対して「こうだ」と明晰に答える ことである。その「こうだ」をわかりやすくするためには、あらか ③構成をすっきりと 何よりも正しい知識・情報の提供を心がけさせることになる。 (中略) 現を用いて説明するのか(叙述)ということなどを考慮しながら、 な方法・態度で説明するのか(文章構成) 、 ④ ど の よ う な 用 語・ 表 説明文の指導では、①どんな内容について説明するのか(説明内 容の把握)、②だれに向けて説明するのか(読み手の把握)、③どん 化への対応を遅らせていた一要因であろう。 を考えた指導をし、その能力の育成が求められている。次に、このこ という順序――構成がすっきりしていることが必要条件となる。 じめ構成を整えておくことが大切である。つまり、その知識・情報 とが学習指導としてどのように取り扱われてきたかについて確認す −25− とがうかがえる。 語として必要な言葉であろう。用語辞典などでの正確な把握が必要で に、 「場面」や「論理」 「根拠」 「登場」「人物」なども国語科教育の用 国語科教科書の特徴語を示すことで考えはじめてきたが、たどり着く な形で入ってきて、学習者に届くのだろうか。前回から、学習用語に 学習指導要領の中の言葉は、指導用語として正確な把握が求められ る言葉である。そして、この言葉は、教科書という学習材にどのよう 今後の展望 ある。全ての言葉について、確認することは控えるが、このように指 には今回の指導用語と教科書との関係性が必要であり、次回はそのこ 「展開」そのものについては、指導用語辞典ほか ⅷには「項 一方、 目」も「索引」にもない。つまり、教育用語ではなく、明確な教育的 導用語としての言葉を学習指導要領から抽出することができる。 とを考えていく。 定義づけなしに一般用語として使われうることを意味している。さら 次に、活動に関わる「動詞」に着目したい。動詞を頻度順に並べる と以下のようになる。名詞と同様に、三十回以上出現した語をあげ、 ⅰ『漢字と日本人』(高島俊男、文藝春秋、二〇〇一年) 二〇〇八年) 学校学習指導要領解説 国語編』「第一章総説」(文部科学省編、東洋館出版社、 ⅱ平成十七年の中央教育審議会答申(「我が国の高等教育の将来像」)および、『中 本文で具体的に取り上げた語については傍線を付した。 書く 示す 読む 考える 話す 応ずる 聞く もつ 付ける ⅲ新学習指導要領の基本的な考え方(文部科学省) http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/ 使う 見る よる いう とらえる 深める できる まとめる 通す いく 集める 踏まえる 広げる 分かる 取り上げる 伝 ⅳ『中学校学習指導要領解説 国語編』(文部科学省編、東洋館出版社、二〇〇八 年) 第四版』(田近洵一・ 井上尚美編、教育出版、二〇一 本国語教育学会編、朝倉書店、二〇一一年) 育辞典』(日本国語教育学会編、朝倉書店、二〇〇一年) 、『国語教育総合事典』(日 ⅷ『国語教育研究大辞典』(国語教育研究所編、明治図書、一九九一年)、 『国語教 二年) ある。 ⅶ『国語教育指導用語辞典 ⅵ昭和五十二年度告示の学習指導要領では、「A表現」「B理解」という枠組みで てある。 ⅴ抽出した語は、定義付機能をもつ名詞のみとし、形式名詞や数詞などは除外し える 話し合う 受ける 求める 育てる 図る 決める 述べる 表す かかわる 生かす 行う くる 対する 養う 領域の言葉である「書く」 「読む」 「話す」 「聞く」は高い頻度で出現 する。と同時に、 「考える」というキーワードが浮かび上がる。思考 としての国語科教育の性質がうかがえる。また、各領域を超えて、 「深 める 」 「 ま とめる 」 「 集 める 」 「 広 げる」 「 伝 える」 「話し合 う」 「表す」 といった言語活動に関する言葉が並ぶ。これらの言葉は、「生きる力」 の「生きる」のような一般用語であるが、学習指導要領の中に入ると き、指導用語として学習すべき重要な言語活動を表わす言葉であるこ −26− 言語活動を最大限に生かした国語科書写教科書 ︱︱ 活用する力が発揮できる書写力の育成 けんもち つとむ 帝京大学教授 釼持 勉 伝えたり、仕事として文字を書いたりすることがいかに重要なこと 文化の学び手を育成できる展開になっている。暮らしの中で文字を 平成二十八年度版教科書は、特に言語文化、文字文化の担い手を 育成することに主眼を置いた。生徒の側に立って生徒の書写力を高 言語活動を重視 であるかを認識できるようにした。 手としてどのように 化、文字文化の担い 欲に支えられた授業にもつながる。 の意識を高めることができる。こうした授業は、生徒の持続する意 これを積極的に取り入れることで、国語科書写として、目的意識、 相手意識、方法、状況、評価といった、 「書くこと」における書き手 言語活動を重視するということは、国語科書写としての特性を最 大限に生かした授業を実現するということである。 二 めることを追求するとともに、日常生活に役立つ活用する力の育成 につなげられるよう編集されている。 p.28-29 文字で心を伝えよう1 一 言語文化、文字文化の担い手の育成 「文字で心を伝えよう」 、 「文字の変遷」 、 「文字は残る」などの教 材を特設し、言語文 国語科書写に取り組 めばよいかを明確に している。 主要毛筆教材は、目標の他、以下の三ステップで構成される。 三 学び方がわかる 生徒にとって、国語科書写の時間は、自己の書写力を振り返る契 機となる。 「社会で生きる文 「暮らしの ま た、 文字を支える人々」 字」などのキャリア になる。 考えよう 自己の書き文字がどのような状況にあるか、硬筆・毛筆 の関連指導を取り入れた手立てで、実態を確認でき、課題が明確 教育を意識したペー ジは、次世代の文字 −27− 書写 、 「いろは歌」で、小学校での基礎・基本の習得状 一年の「天地」 況がどのようになっているか、基本点画の筆使いは確かか、といっ た生徒一人一人の状況を的確に把握できる。 生かそう 主教材の学 びだけでなく、関連 する文字群も的確に 二年の「初志」 、 「雲海」 、 「開花」は、省略、点画の変化に気をつ けて書く教材であり、 る。 また、楷書と行書の比較も容易でわかりやすい教材配列となってい 取り扱い、活用を促 す。同類の傾向のあ る文字群を硬筆で書 くことで、日常生活 に生かすことができ る。 レベルアップをはかる ものとして位置づけら れる。特に行書の書き 味を体得するうえで重 礎・基本を、確実に習 p.42-43 楷書と行書の違い「和」 振り返ろう ここでの 振り返りは、ねらい に対する評価として の振り返りではなく、 、 「旅 三年の「創造」 立ちの朝」は、行書の 要な役割を担っている。 がら、自己の書写力の状況を把握することをめざしたものである。 書きぶりを深める役割 一単位時間の学びの この振り返りが次時の学びに確実につながるのである。一単位時 を担う。中学校国語科 習得状況を確かめな 間のまとめとして必ず振り返りをするという習慣を重視すること 書写の指導事項に明記 得できる。 により、主体的な学びをいっそう高めることができる。 四 学年別毛筆教材の系統化 されている行書の基 教科書を、三年間分の教材を一冊に収めた合本とすることで、三 年間の見通しをもった学びができるようになる。 −28− また、 「大木」 、 「栄光」 、 「平和」の三教材は、行書の入門期の教 材として、行書の連続に関する特徴を理解し習熟することができる。 p.46-47 ④点画の連続と変化1「大木」 六 日常生活に生かして効果的に書く活動 国語科書写においては、単に毛筆文字をいかに書けばよいかとい うことだけではなく、 伝統的な言語文化としての役割 、 『平家物語』 、 『おくのほそ道』な さらに、教材として『枕草子』 どを取り上げることにより、伝統的な言語文化に触れる機会を設定 これを日常生活の硬筆 五 している。速く書く活動との一体的な取り組みを推進していける教 にどのように生かすか も求められる。また、 日々の生活のさまざま な書く場面で、目的に 合わせて筆記用具、用 紙などの用具・用材を −29− 自己選択できるように するなど、生活に生き る活動にしなければな らない。その意味でも、 多様な場で多様な書き 文字を臨機応変に書け る力が求められよう。 本書は、 相手意識、 目 的意識を強くもって学 ぶことで、持続する意 欲に支えられた学びが 可能になる構成となっ ている。 口絵 目的に合わせて書こう 材構成になっている。 p.26-27 ③学習を生かして書く―行の中心 七 国語科書写から芸術科書道へ 「文字の変遷」 、 「あの人が残した文字」 、 「芸術としての書道」な どの教材をとおして、言語文化、文字文化の継承者としての書き手 うになる。 とって授業が取り組みやすいものとなり、より授業に集中できるよ 生徒の側に立って学びを構築していることが理解できるであろう。 を育て、美の世界、美を鑑賞する社会の担い手であることを意識で 入れた。速く書く行書に対する生徒の抵抗が少なくなるよう教材を 一単位時間の流れを身につけることで、指導者と学習者の両者に きるようになっている。 特に、楷書から行書への移行については、基礎・基本を徹底した うえ、難易度を感じさせないようスモールステップを積極的に取り 文字への関心を育てるとともに、効果的な文字を書く活動を積極 的に取り入れることで、次代の国語科書写の担い手として関われる 構成してある。 よりわかりやすく 場が設定されている。 九 紙面デザイン力の強化 紙面のデザイン性を高め、生徒にわかりやすく、書くことの活動 を興味・関心をもって体験できるものとした。どのような学習活 動をしているかはもちろん、文字を書く活動がもたらすさまざまな 「伝える力」がいかに重要であるかが理解できるだろう。 こうしたデザイン性の強化により、生徒が体験や経験の必要性、 目的に合わせて書くことの重要性をより具体的に理解することがで できるようになっている。自己の課題に合わせて振り返ることもで 八 生徒の側に立った使いやすさ 学年別の学習時間に合わせて見通しのある学びが保障されている。 多様な目的に合わせて書く活動が設けられており、効果的な学びが 大切さを明示している。 平成二十八年度版教科書は、これまで以上に生徒の側に立つこと をめざした。学び方が着実に身につき、目的に合わせて書くことの きる。 き、国語科書写の学びに対する意欲がわくように構成されている。 「考えよう」 、 「生かそう」 、 「振り返ろう」の学習過程は、 さらに、 −30− | 「学ぶ力」 「学んだ力」 「学ぼうとする力」が身につき、次代の文字 文化の担い手を育成できる教科書として活用されたい。 裏表紙 芸術としての書道 編集 部 よ り 「道標」二〇一五年春(第三十)号をお届けいたします。 本誌では、平成二十八年四月から使用されます、新版教科書 につきまして、特集などを組んで紹介ページを設けました。 読者プレゼントのお知らせ まはら三桃先生の直筆サイン入りの著書を、抽選で三名のかた にプレゼントいたします。 発表は発送をもってかえさせていただきます。なお、お寄せい ただきました個人情報は、プレゼントの発送にのみ使用させてい 郵便はがきに、お名前、ご住所を明記のうえ、左の宛先までお 送りください。(締切は、二〇一五年五月末日消印有効) と「言葉の力」が身につく教科書をめざして、編集業務を行っ ただきます。 近年、 「学力向上」が国語科の大きな課題の一つとなってお ります。興味・関心をもちながら、一年を通じて、無理なく自然 てまいりました。 どうぞよろしくお願い申しあげます。 −31− 〇〇五一 東京都千代田区神田神保町二 一 -〇 〒一〇一 - 教育出版株式会社 国語編集部 「道標」二〇一五年春号プレゼント係 絵画・写真 朝日新聞社/アマナ/植田まさし/越智貴雄/折原恵/京都市美術館/JTB 中野義樹 フォト/時事通信フォト/天理大学附属天理図書館/ナカジマアート/日本近代 文学館/ビブリオバトル普及委員会/万作の会/ © 教材品のご紹介 *は,新版教科書準拠版を発行予定。 *中学国語デジタル教科書 〈本体70,000円+税/新版価格未定〉 中学国語DVD 〈本体15,000円+税〉 *中学国語学習ノート 〈本体552円+税/新版価格未定〉 *中学国語漢字ノート 〈本体324円+税/新版価格未定〉 中学文法 〈本体438円+税〉 *中学書写硬筆練習帳 〈本体362円+税/新版価格未定〉 中学国語通信 道標 〔2015年 春(第30)号〕 2015年3月31日 発行 編 集:教育出版株式会社編集局 発 行:教育出版株式会社 代表者:小林一光 印 刷:大日本印刷株式会社 発行所: 〒101−0051 東京都千代田区神田神保町2−10 電話 03-3238-6864(お問い合わせ) URL http://www.kyoiku-shuppan.co.jp 北海道支社 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