G20/OECDのBEPSプロジェクト、完了間近

G20/OECDの
BEPSプロジェクト、
完了間近
エグゼクティブは今何を知るべきか
G 2 0 と経 済 協 力 開 発 機 構( O EC D ) BEPSプロジェクト
は、2015 年中に税源浸食と利益移転
G 2 0 が主 導する B E PS プロジェクト
( BEPS )プロジェクトに関する取組み
は、MNC が有利な税務上の取扱いを
を完了させる意向を固めています。
享受できる地域に利益を移転する可能
2013年7月に発表された15の項目か 性への政府の懸念に対処することを目
ら成る行動計画によって、
多くの国で税 的として設計されています。OECDは、
法や税務行政の実務にBEPSを起因と 税源浸食と利益移転のための活動の可
する改変が行われ始めています。
このよ 能性を削減するため、各国政府が実施
うにプロジェクトは、
多国籍企業
(MNC) することのできる、
国際税法及び租税条
の国際税務の展望に不確実性をもた 約改正の推奨事項を策定中です。
らしています。プロジェクト完了間近の
OECD 加盟国であるか否かに関わら
今、そして今後数カ月にわたり、MNC
ず、BEPSプロジェクトに各国が参画し
に影響を及ぼす動向が激化することが
ています。BEPSプロジェクトのあらゆ
予想されます。
る側面に関与している非OECD加盟国
は、
ブラジル、
中国、
インド等の経済大国
を含みます。また、12 ほどの開発途上
国、
及び南米やアフリカの国々を代表す
るグループもプロジェクトに寄与してい
ます。
プロジェクトの状況
B E P S プロジェクトを 進 めるに あ た
り、OECD は、数 多くの 文 書とディス
カッションドラフトの発表、及びパブリ
ックコンサルテーションやウェブキャス
トの開催によって、広く一般の意見を
求めてきました。実業界からは、全ての
BEPS文書に関して広範にわたるコメン
トが寄せられました。
OECD は、2015 年 10 月までに15 の
重要項目全てについて最終レポート
を発表する予定です。2016 年以降も
OECDのフォローアップは続く見込みで
すが、各国でOECD の推奨事項を実施
するか否か、
するのであればどのように
実施するのかといった国ごとの動きに
注目が集まることが考えられます。
G20/OECDのBEPSプロジェクト、完了間近 - エグゼクティブは今何を知るべきか
EY税理士法人
OECDの推奨事項はなぜ重要か
BEPSプロジェクトの成果物は、ほとんど
が国内法の設計に係る推奨事項、
及び租
税条約の改正案です。OECDの推奨事項
は、
概ね以下の改正を含みます。
長 期 的には 、国 際 的 な 注 目を 浴 びる
BEPSを要因として、MNCは以下のよう
な課題に直面することが予想されます。
• 報告義務の増加
• 無形資産の所有権及びファイナンス・
ストラクチャーに係る監視の強化
• 利息の損金算入に係る制限
• ハイブリッド・ファイナンスの取決めに
• 高まる取引実態及び取引と事業の
• ある国での納税義務を判断するに
• 移転価格のさらなる複雑化
よる恩恵の排除
あたっての、恒久的施設認定基準の
引下げ
• 租税条約の恩典享受に対する新たな
制限の設定
• 無形資産に係る新たな移転価格規則
の創設
• 取引を再構成する新しい移転価格
アプローチ
関連性への注目
• 租税条約の恩典享受に係る制限の
強化
• 係争の増加(及び更なる複雑化)
• 確実性を高め論争を回避又は解決
するために求められる、
より積極的な
税務当局との関係
企業はどう備えるべきか
BEPSに関連する動向への具体的対応例
• 移転価格文書の強化
としては、
次のものが挙げられます。
• 新しい国別報告書の導入
OECDによる最終的な推奨事項はまだ発
表されておりませんが、
多くの国々で、
そ
れに先立って税法や税務行政を改変して
います。
EY は、2014 年初頭より、50 を超える
国々でBEPSを起因として実施された法
や行政実務の改変について取りまとめて
います。例えば、
メキシコの法制では、複
数のBEPS関連の改正が行われました。
英国では、税源浸食への対応として新し
い利益迂回税が導入され、
オーストラリ
アでは最近、納税義務回避への対応と
して一般的租税回避防止条項の適用範
囲拡充案が発表されました。欧州連合
は、ハイブリッド・ローンの税務上の取扱
いに影響する欧州連合指令を改正しまし
たが、欧州連合加盟諸国は、既に国内法
を改正してこれに対応しています。欧州
連合ではさらに、加盟国間の情報交換を
促す目的で、
一連の税務の透明性向上対
策を発表しました。中国では、
国外への関
連者間支払手数料に係る移転価格規則
が発表されました。
• 現 行 の タック ス プ ラ ン ニ ング へ
の、
BEPSの潜在的影響の検討
• サプライチェーンの再検討
• 現行及び将来の資金調達の仕組みの
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• 変化する税務環境に関する、経営幹
部、
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結論
OECDのBEPSプロジェクトを起因とする
国際税務の変革は、
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ローバルの税務環境を一変します。これ
らの改変による影響への備えがなけれ
ば、
ビジネスは新しいアプローチへの適
応や新規則への遵守に関してつまずくこ
ととなるでしょう。今こそ、自社の BEPS
関連の潜在的弱点を評価し、新しいグロ
ーバルタックス思考に適応した事業モデ
ルや構造を策定すべき時です。
BEPSに関するさらなる情報は、以下のリ
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EY税理士法人(日本語)
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