フライヤー(作品解説入り)

その祈りは私たちに刻まれた深い記憶
民映研作品 No.86
Those prayers are engraved deep in our memories...
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イザイホー 1990年
-久高島の女たち-
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1991 年/30 分/製作
民族文化映像研究所
沖縄県教育庁,企画/沖縄県島尻郡知念村久高
1967年/日本映画/ドキュメンタリー/モノクロ(4:3)/モノラル/49分
Produced in 1967/Japan/Documentary/Monochrome(4:3)/monaural/49 minutes
沖縄島の南東5キロの海に浮かぶ、周囲9キロ、戸数130、人口600の小島 -
これが、久高島である。
この島は、男が漁業、女が農業を営む半農半漁の離島である。せまい島の暮らしは並大抵ではなかった。乏しい水をわけあい、
土地も地割制で平等にわけあって生きてきた。男たちは一人前になると、みんな海へと出て行った。女たちは神事を中心に
一体となって、旅立った男たちの無事を祈り、島を守って生きてきた。男は海人であり、旅人であったし、女はそんな男たちを
守る神人であった…
久高島は、昔から神の島として知られ、年間30に及ぶ神事が島の暮らしに組み込まれており、今でも島人によって厳粛に
受け継がれている。この久高島最大の神事が、12年に1回午年に行われる「イザイホウ」である。「イザイホウ」は、30歳から
41歳の、島で生まれ、島に生きる女が神になる神事で、4日間の本祭を中心に1ヵ月余の時をかけて行われる。
これは、1966年の「イザイホウ」の記録作品である。「イザイホウ」はその後1回行われ、1978年を最後に消滅した。多くの祭や
神事が時代の波と共に形骸化し、観光資源に変身したケースの多い中で、「イザイホウ」は厳粛な神事の心を失わず、
生きたまま消え去ったのである。
Kudaka Island: a small island 5 kilometers southeast of Okinawa Island with a circumference of
9 kilometers and a population of 600 (at time of filming)
This remote island is a half-agricultural and half-fishing island where the men run the fishing industry and the women
run the agricultural. Life on the small island is not easy. They share the scarce water and share the land fairly with an allotment
system. When the boys become men, they all go out to sea. The women come together around the rituals, praying for the safety
of the journeying men and protecting the island. The men are fishermen and travelers, and the women are priestesses
who protect them...
Kudaka Island has long been known as the island of the gods, and 30 yearly
rituals embedded in the island life are solemnly handed down by the islanders
even now. Held once every 12 years in the year of the horse, Izaihou is
Kudaka Island's greatest ritual. At Izaihou, women from the ages of 30 to 41
who were born on and live on the island become gods. It is held over a period
of a little more than a month, centering on a four-day main festival.
This work is a record of 1966's Izaihou. The festival was held once more
in 1978 and then vanished. Among the many cases of festivals and rituals
becoming mere facades and transforming into tourism resources along
with the current of the times, Izaihou disappeared while it was still living,
without losing its dignified ritual spirit.
株式会社 映像製作
海燕社(カイエンシャ)/Kaiensha inc.
〒901-0235 沖縄県豊見城市字名嘉地60番地B-1/60-B-1 Nakachi, Tomigusuku-shi, Okinawa 901-0235
TEL:098(850)8485 FAX:098-851-3553 URL:http://www.kaiensha.jp E-mail:[email protected]
海燕社の小さな映画会
2015
沖縄本島の東南沖に浮かぶ久高島は琉球列島で太陽が最初
にのぼる島である。琉球の島々をつくった神が海の彼方の神
の国ニライハーラーから最初ににたどり着いたのも久高島と
伝えられている。琉球王朝が神の島、信仰の島として最も深
く崇敬したのもこの島であった。
(C)民族文化映像研究所
久高島には久高ヌルと外間ヌルなど女性を中心にした祭祀
組織がありイザイホーと呼ばれる 12 年に一度(午年)の重要
な神行事が伝えられている。30 歳から 41 歳までの島生まれ
の既婚女性がその祭祀組織に新しく加入する儀礼である。
イザイニガヤーと呼ばれる新加入の女性たちはイザイホー
を経験することによって初めて「ナンチュ(一人前の女)に
なった」と認められる。旧暦 11 月 14 日のウガンダティ(御
願立)に始まり、11 月 20 日のシティガフー(御願結び)に
いたる7日間の神行事である。
久高には1年に 40 回近い年中行事が行われるがイザイホ
ーと関係の深い行事がある。旧暦 8 月の祭りの後に行われる
ナーリキ(男の名付け式)と 11 月のアミドゥシ(海の漁に関
わる行事)である。
男のナーリキが行われないと女のイザイホーもできないと
言われるが 1990 年ノロたちがいないため、ナーリキもでき
なかった。祭りを司る久高ヌルは3年前に亡くなり外間ヌル
も高齢に加えて病気で入院し、ついにイザイホーは行われなかった。
この記録は、中止となったイザイホー期間中の久高島の女性たちの想いと行動を軸にしながら、前回のイ
ザイホー(1978 年)の写真記録と音声記録を活用し、イザイホーという神行事がどんなものなのかを明ら
かにしようとしたものである。
スタッフ
制作 姫田忠義・小泉修吉 演出 姫田忠義
語り
姫田忠義
編集
ネガ編集 中根編集室
青原慧水
撮影 澤幡正範 伊藤碩男
制作デスク
写真提供 比嘉康雄
福井清子
録音
演出助手 青原慧水
東京テレビセンター
現像
撮影協力 那須正尚
横浜シネマ現像所
音声記録提供 NHK沖縄放送局
作 品:「 イ ザ イ ホ ウ 」(監督:野村岳也/1967年/49分) 日 時:2015/12/12(土)
料金:1,000円
- 神の島・久高島の祭祀場 所:沖縄県立博物館・美術館 美術館講座室 (1F) ※途中入場はできません。
「イザイホー1990年 -久高島の女たち-」
時 間:18:00 開場、18:30 開始 (20:00 終了) ※要予約(098-850-8485)
(製作:民族文化映像研究所/1991年/30分)