GAMMA 10/PDXにおける ダイバータ模擬実験の進展

平成27年度筑波大学プラズマ研究センターシンポジウム/合同研究会
つくばインフォメーションセンター 平成27年7月30-31日
GAMMA 10/PDXにおける
ダイバータ模擬実験の進展
筑波大学プラズマ研究センター
中嶋洋輔,ガンマ10/PDXグループ
CONTENTS
1.
2.
3.
4.
5.
はじめに
タンデムミラー端部からの高熱流・粒子束の生成実験
ダイバータ模擬実験モジュールを用いた最近の実験結果
今後の実験計画
まとめ
ダイバータ模擬実験研究計画(E-Div.)
新装置 (E-Div.) を境界プラズマ研究(ダイバータ模擬)の
為に、既存タンデムミラー装置 (GAMMA 10/PDX) に導入
GAMMA10/PDX tandem mirror
E-Div.
高度計測装置を本
研究に向けて準備・
構築する。
ITER断面図�
ダイバータカセット
• 大型タンデムミラー装置を活用することによって高熱粒子束シミュレー
タの開発を進め(E-Div.)この新装置により、境界プラズマ研究(ダイ
バータ模擬)への拡張を可能にし、ITER及びdemo炉に向けた重要かつ
緊急の課題である以下の実験を進める。
① ダイバータ領域におけるプラズマと対向材料との相互作用,不純物
輸送制御(特に,ELM様パルス高熱粒子束環境下での表面現象)
② 非接触プラズマの定常維持とその物理機構/放射冷却プラズマの解
明と定常制御(ダイバータ部における原子分子過程,等)
③ ペデスタル・ダイバータ領域における磁力線に沿った、或いは横切
る熱・粒子制御
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
GAMMA 10/PDX 及びE-Divertorの目標性能
GAMMA 10 Device
E-Divertor
Total length 27 m
Plug/BarrierAnchor-cell Central-cell
End-cell
Region
Bmax: 3 Tesla
-cell
A-NBI
C-NBI
A-NBI
ICRF: 300 kW × 4
S-NBI
S-NBI
RF3
RF2 RF1
RF3
ECH: 400 kW × 3
200 kW × 2 Plasma
NBI: 1.5 MW × 4 Gun
2.7 MW × 2
Ne: ~ 3 ×1018 m-3
Ti : ~ 10 keV
P/B-ECH
C-ECH
P/B-ECH
East
West
Te : ~ 100 eV
GP
GP
GP
GAMMA 10
E-Divertor parameters (already achieved )
End-mirror Tank
 大口径プラズマ
•  Plasma diameter :
0.1 ~ 0.3 (1.0) mφ
•  Plasma density :
~ 1019 m-3 2 ~ 3×1018 m-3
•  Electron temperature : 30 eV (only RF), 100 eV (with ECH)
•  Ion temperature :
50 ~ 500 eV (only RF) ~ 400 eV   高温度
•  Magnetic field :
0.15 ~ 1.5 Tesla
•  Particle flux density : 1022 ~ 1024 m-2 s-1
 強磁場環境
~ 1.7×1023 m-2 s-1
•  Heat flux density :
0.1 ~ 20 MW/m2
•  Plasma duration :
0.4 sec. ~ 4 sec. (10 sec. with low magnetic field)
•  Fluence :
~ 11 MW/m2 (with ECH)
1023 ~ 1025 m-2 /day, ~ 1026 m-2 /week
D-module
Elevation System
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
E-Divertorのパラメータと物理目標
Ion Energy vs Ion Flux Density
Tsukuba U."
SOL Plasma
E-Div."
• タンデムミラー端部で生成
されるイオンのエネルギー
は,トカマクのSOLプラズ
マに匹敵する程度に高い。
• ミラー端部では、比較的高
い磁場強度を発生している。
(0.15 ~ 1.5 Tesla)
• エンド部において,ガス導
入,リサイクリング促進を
図ることにより,放射冷却
に つ い て の 機 構 を 解 明 し,
非接触プラズマ実現とその
特性評価を行う。
最終的に,環状系プラズマにおける非接触プラズマの定常維持
の達成に貢献する。
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
ダイバータ模擬実験モジュール
(D-module)の設置 Schematic View of GAMMA 10
West End-mirror Cell
Research Subjects
50 cm
• 非接触プラズマ実現の為の
ダイバータ内ガス導入によるExhaust
port�
放射冷却機構の研究
• 閉ダイバータ化に伴う中性粒
子圧縮とリサイクリング促進,
及び後部排気口を用いたダイ
バータ排気
Divertor Simulation Exp.
Module (D-module) • ダイバータ板の加熱によるリ
70 cm
50 cm
Inlet
aperture
サイクリング特性の解明
(φ20 cm)�
V-shaped target�
• V字ダイバータ板角度変更機
能による磁力線との角度依存
性の研究
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
Plasma Inlet φ160×W140
Elevating System V-shaped Tungsten
Target
Open Angle: 15° ~ 80°
Radiator Gas Inlet
(N2, Ne, Ar, Xe)
タンデムミラー端部における
高熱流・粒子束の生成実験
高熱流束および粒子束発生実験の結果
Schematic view of GAMMA10 tandem mirror
Good controllability of heat and particle
fluxes has heat
been confirmed
ITER relevant
flux by ECH
Z
= 30 cm r = 0 cm
in ICRF plasmas."
EXIT
CM
14
12
P
~2010
P
2012
Heat
10
Heat
P
net
2
(MW/m )
Heat
Targeted
heat flux
ITER divertor heat load
8
6
4
2
  高温度
• ICRF heating plasma :
 Ion flux has a major part of total energy
of end-loss flux. ~1 MW /m2
0
0
100
200
300
400
• Superimposing ECH pulse :
Power
(kW)
 Electron flux makes up a large share of energypECH
in end-loss
flux.
~10 MW/m2
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
高周波を用いた追加熱による高粒子束の生成
•  両アンカー部にICRF追加熱(RF3)を行うことにより、セントラル部に高密度プラズマを
生成し、他の加熱系と合わせてミラー端部に1.7×1023 m-2s-1を達成。
セントラル部アンカー部の電子線密度
と端損失イオン流の時間変化
#228972
(a)
10
NLCC
NLWA
NLEA
ELIEA
5
RF3
RF3
0
50
100
150
200
IELIEA (mA/cm2)
2.0
1.5
250
(b)
IELIEA W-ch1
C-NBI & ECH
1.0
0.5
0
50
100
150
Time (ms)
200
250
Particle flux
(x1022 particles/m2 sec)
Line Density
(1013 cm-2)
15
all ion flux (ICRF 30~140 kW)
RF3 EA (89kW)
RF3 WA (67kW)
RF3 WB (30kW)
RF3 E+W (119 + 98 kW)
RF3 E+W + cNBI, cECH
20
15
1.7×1023
m-2s-1
10
5
0
0
5
13
10
-2
15
NLcc (x10 cm )
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
ダイバータ模擬実験モジュールを用いた
最近の実験結果
ダイバータ模擬実験モジュール
D-module�
Gas�
Plasma�
Exhaust
port�
Inlet aperture
(φ20 cm)�
Total
height:
~4.7 m
�
V-shaped target�
on the roof of
D-module�
C�
Mo�
C�
Elevating
System�
高速カメラによる可視光
イメージ計測
タングステンターゲット板�(0.3 m x 0.35 m x 0.2 mm)
• 可変開口角��from 15° to 80°
• 静電Probe × 16, 熱流計 × 14, 真空ゲージ × 2
• タングステンターゲット板の高温化��up to 573 K
• H2, He, Ne, Ar, Xe 等の追加ガス入射
Plasma
Ar gas�
• 背面排気口によるダイバータ排気�
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
水素と希ガス導入による非接触プラズマの実現
ガス導入のタイムシーケンス •  プレパフ実験
D-module
ガス導入後のD-module
へのプラズマ入射
H2 & impurity gas puffing
Expected gas pressure in D-module
Total
height:
~4.7 m
Plasma
(0.2sec)
-300
-200 -100
0
100
Time (ms)
200
300
H2 & impurity gas puffing
�
400
Elevating
System�
D-moduleへプラズマ入射
中へのガス導入
•  遅延パフ実験
Gas�
Plasma�
Expected gas pressure in D-module
Plasma (0.4sec)
Gas inlet
-300
-200 -100
Gas
Hydrogen
0
100 200
Time (ms)
300
400
500
Delay time Duration Plenum Pressure Pressure in D-mod.
-0.3 ~ +0.05s 0.3 ~ 0.5s
0 ~ 1000 mbar
< 1.5 Pa
Noble gases -0.4 ~ +0.05s 0.3 ~ 0.5s
0 ~ 1500 mbar
N/A
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
水素と希ガス導入による非接触プラズマの実現
- massive hydrogen and noble gas (Xe) injection Hα image in D-module by fast camera
Langmuir probe #1�
Langmuir�probe�
Plasma�
#3�#2�
#5�#4�
#1�
V-shaped
target
Corner detector
(Calorimeter & probe)�
Calorimeter�
H2 と Xe ガスをプラズ
マ放電直前に導入
Time behavior of upstream plasma
and ion flux in D-module
V-shaped
target
上流側でのプラ
ズマパラメター
ne ~2×1018 m-3 ,
Ti// ~150 eV
Xeガスの導入量の増
加に伴い、V字ターゲッ
暗い領域の出現
トコーナー部で顕著なイ
オン束の低下が認めら ターゲットコーナー部におけ
れた。(< 3%)
るプラズマの非接触化が認
められた。
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
水素と希ガス導入による非接触プラズマの実現
- massive hydrogen and noble gas (Ar) injection Langmuir probe #1� (NeDiv., TeDiv. )
Langmuir�probe�
Plasma�
#3�#2�
#5�#4�
#1�
Dependence of plasma parameters
on H2 and Ar plenum pressure
Corner detector
(calorimeter & probe)�
(I i-sat, PHEAT)
Calorimeter�
• Arガス導入によりD-module内電子密度
NeDiv. の増加と 電子温度TeDiv. の低下が
まず発生。
• イオン束I i-satとNeDiv. の同時減少が水素
ガスの導入量の増加に伴って認められた。
• Arガス導入導入の段階でTeDiv. はすでに
3eVまで低下しており、 I i-sat は水素導入
の間 TeDiv. が低下しないにもかかわらず
減少し続けることが分かった。
Strong
detachment
Ar ガス入射でも非接触プラズマを発生させるが、水素ガスとの同時入射が非接触プラ
ズマを得るために重要な役割を果たしていることが示唆させる。
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
窒素ガス導入がネオンガスに比べて非接触化
に効果の高いことが示唆された。
最近Neと N2 ガスを用いたプラズマ非接触の初期実験をおこなった。
窒素ガスとネオンガスとで、プラズマ非接触化への効果が比較され、電子冷却につい
ては、大きな差が認められなかったものの、イオン束の抑制効果に明確な差が現れ
た。  N2 > Ne
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
D-moduleにおける分光計測
EAST
WEST
• D-module内から放出される可視
光を測定するために分光器を設
置し詳細計測を始めた。
• 分光器の観測する視
野は、高速カメラの観
測する領域と同じ領域
を測定するように固定
された。
Condenser lens
Top view
D-module
High sensitivity resolution spectrograph system
SR 500i + DU970P
(ANDOR Inc.)
Focal length: 500mm
CCD
Grating
Spectrometer
Optical
system(Shat
ter and Slit)
Plasma
Lamp
USB2000+
SR500i
Optical fibre system
Optical system near the
observation port
*分光器の感度較正はされている。
Fast camera
Optical fiber
West-End schematic view
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
今後の実験計画
境界プラズマ研究の今年度の実験計画
•  高熱流粒子束生成実験
• 高周波波動による追加熱(プラグバリア部)の強化・最適化
• ECHを用いたELM模擬実験の推進
•  ダイバータ模擬実験
• 非接触プラズマ特性評価の更なる深化
• 非接触ー接触の遷移現象の制御実験
• 新しく導入した計測器を用いたダイバータプラズマの詳細計測
•  リサイクリング・PWI実験
• ターゲット板高温化実験での詳細計測
• コア-エッジカップリング実験の推進
• 材料照射実験の推進
•  その他
• 筑波大にある3台の直線装置を有機的に利用した研究の推進
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
筑波大に整備しつつある3台の直線装置を用いた
PWIの統合的研究システムの確立
GAMMA 10/PDX
Complementary &
Synergistic Study
MAP-II
APSEDAS
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
センター中期計画と実験年間計画概要
第2期中期計画最終年 ダイバータ模擬実験モジュールによる 境界プラズマ研究の本格化と展開 H20 H21
H22 H23
H24
H25 H26
H27 H28 H29
これまでの研究に
電位によるプラ ・境界プラズマ(ダイバータ模擬)研究 加え、直線型装置
を利用したプラズ
ズマ閉じ込め改 ・電位/電場による輸送制御 壁相互作用研
善の物理解明 ・加熱/計測開発(ジャイロトロン開発等) マ
究の更なる推進
H27年度計画案
4月 5
大気
開放
6 7 8
①
4W
910 11 12 1 2 3
② ③ ④
大気
開放
電力制限協力 EPS@Lisbon
9.22-26
センターシンポ
ジューム
7.30-31
大気
開放
3W 3W 2W
電源等点検 全
学
停
プラズマ・核融合学会 電 PET-15@Nara
9.9-11
@名大11.24-27
PRC Sympo2015, Y. Nakashima
ま と め GAMMA 10/PDXタンデムミラー装置のエンド部を用いたダイバータ模擬実
験計画(E-Div.)は、非接触プラズマの実現とその制御を目指して順調に進展して
おり、以下のような結果が得られている。
• アンカー極小磁場部におけるICRFの追加熱によって、1.7×1023/m2•sの粒子束密
度を達成した。
• 水素と希ガス (Ar, Xe) をD-module内に導入することにより、同部内での顕著な
密度増加及び電子温度の低下(2−4eV)が観測され、コーナー部でのイオン束
の減少が認められた。
• 同時に高速カメラによるモジュール内のHα発光イメージの観測からターゲット
コーナー近傍での暗い領域の発現などから非接触プラズマの実現が確認された。
• 様々なラジエータガス(N2, Ne, Ar and Xe) の比較からXe ガスがもっとも非接触
化に強い効果を持ち、水素ガス分子の効果(MAR)が重要な役割を果たしている
ことが明らかになりつつある。
• D-module内V字ターゲット近傍の分光計測の結果から、不純物ガス入射量に伴
う輻射の空間構造の変化があきらかになり、電離と再結合の過程がしだいに明ら
かになりつつある。
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima
ま と め (続き) • 今後、エンドミラー部(プラグ/バリアセル)における追加熱実験を通して、よ
り高熱流・粒子束の生成実験を進め、様々なガスの入射による放射冷却の効果を
検証することによって、非接触プラズマの制御に向けて研究を進めてゆく。
PRC Sympo 2015, Y. Nakashima