乳癌多臓器多発転移合併神経線維腫症1型の化学療法例0825

乳癌多臓器多発転移合併神経
線維腫症1型の化学療法例
仲田 洋美1),2),, 石井 耕士3), 津村 貢太朗4)
1:香川大学医学系研究科がんプロ養成腫瘍内科コース
2:兵庫医科大学病院臨床遺伝部
3:社会医療法人財団石心会 川崎幸病院 整形外科
4: 社会医療法人財団石心会 脳神経外科
【 症例 】
• 40代前半女性。母・妹にカフェ・オレ斑あり。
201〇年×月両側乳房腫瘤を自覚したが,右
乳腺腫瘤の生検にて悪性所見なしとの結果.
定期的検診を勧められるも放置(医師は勧め
たと言っているが本人は記憶にないとのこと)。
• 201〇+2年△月,生検と反対側の左乳腺腫
瘤の増大を自覚し,再度受診したところ,乳
がんと多発肺転移,多発肝転移,骨転移を指
摘されて紹介受診となった。
【 経過 】
• 当該症例は2年前より両側に腫瘤を自覚して
おり,MMGでも読影所見で両側の異常を指
摘されているのに,右のみ生検して異常なし
との病理結果を得て,フォロー・アップを怠っ
たものである.
• 患者は,乳癌リスクが約5倍になると2年前に
知らされていたら,定期的検診を受けたと証
言している。
【 問題点 】
• 当該症例は2年前より両側に腫瘤を自覚しており,MMGで
も読影所見で両側の異常を指摘されているのに,右のみ
生検して異常なしとの病理結果を得て,フォロー・アップを
怠った.「患者に説明したが来なかった」という言い訳は,
裁判になると通用しない.その間,電話などして受診を勧
め,断られたという事実がないと,医療機関側の落度とな
る可能性が高い.
• 患者は,乳癌リスクが約5倍になると2年前に知らされてい
たら,定期的検診を受けたと証言している。
⇒当該疾患は,見た目に明らかな疾患であり,医師国家
試験で出題もあるため,専門家でないと診断できないとい
う言い訳も通用しにくい.
【 NF1概論 】
• 神経線維腫症は,2500人に一人と見積もられる,最も
高頻度の単一遺伝子変異を原因とする遺伝性疾患の
一つである。
• 多発性のカフェ・オレ斑,多発性・散在性の皮膚神経線
維腫などにより特徴づけられる。
• NF1の診断は通常臨床所見に基づく.
• 原因遺伝子であるNF1 遺伝子の遺伝子産物である
neurofibromin は,Ras-GAP(GTPase activating protein)
抑制機能を持つ腫瘍抑制遺伝子である.
• NF1に伴う最頻の悪性腫瘍は悪性末梢神経鞘腫瘍で,
罹患者の約10%に発生する.
• NF1では消化管間質腫瘍など様々な腫瘍がみられる.
• NF1に罹患した女性は,50歳以前で5倍,生涯で3.5倍乳
がんのリスクが高い.
【 NIH診断基準 】
以下の所見の2つ以上を有する場合にNF1と診断される.
• 思春期以前では最大径5 mm以上,思春期以降では最
大径15 mm以上のカフェ・オレ斑が6個以上
• いずれかのタイプの神経線維腫が2個以上か,蔓状神
経線維腫が1個
• 腋下や鼠径部の雀卵斑様色素斑
• 視神経膠腫
• 2個以上のLisch結節(虹彩過誤腫)
• 蝶形骨異形成や脛骨の偽関節形成などの特徴的骨病
変
• 一度近親者(両親,同胞,子)に上記の診断基準を満た
すNF1罹患者がいる.
【 結語 】
• 遺伝性疾患に対するリテラシーが,腫瘍を診
療する医師には必要である。
発表者・研究責任者の利益相反開示事項
研究費の財源
□受託 ■寄付 □科学研究費 □その他(
発表者氏
名
)
所属/身
分
該当なし
企業の職員・法人の代表
■
企業等の顧問職
■
株式など
■
講演料など
■
原稿料など
■
寄付金
■
委受託研究(治験等)
■
専門的助言・証言
■
その他
■
該当有りの場合:企業名等
試験責任者氏
名
所属/身分
該当なし
企業の職員・法人の代表
■
企業等の顧問職
■
株式など
■
講演料など
■
原稿料など
■
寄付金
■
委受託研究(治験等)
■
専門的助言・証言
■
その他
■
該当有りの場合:企業名等
財源の供給
元