イベント報告・告知 - 自然科学研究機構

核融合科学研究所
2015.1.14 vol. 3
イベント報告・告知
[10/24] NINS
英 国 大 使 館 内 に て 、Nature Publishing
Group主催、NINS、英国大使館、ブリティッ
シュ・カウンシル協力のもと 、
「日本の研究
大学 の 国際化 に む け て 出来 る こ と」と 題 し
た Nature Café が 行 わ れ ま し た。イングラ
ン ド 高 等 教 育 財 政 カ ウ ン シ ル(HEFCE)の
David Sweeney 氏 お よ び 文部科学省 研究
振興局 学術研究助成課長 合田哲雄氏、岡山大
学 理事・副学長 山本進一氏、筑波大学 副学
長 キャロライン・ベントン 氏、東京大学 カ
ブリ数物連携宇宙研究機構 機構長 村山斉氏
が 、トークと活発なパネルディスカッション
を行いました。研究力強化ネットワークから
の参加者も含め 、60名ほどの参加者があり 、
イギリスの研究評価(Research Excellence
Framework : REF)についてや 、国際化の意
味、海外の学生や研究者の渡日を阻む障害に
ついて議論されました。
小森 彰夫 所長
核融合科学研究所は 、核融合プラズマの学理とその応用の研究を推進
することを目的に 、全国の大学の共同利用機関として設置されました。
この目的達成のため 、我が国独自のアイデアに基づく世界最大の超伝導
大型ヘリカル装置を用いた実験研究および理論・シミュレーション研究
などを推進し 、世界の核融合研究に貢献することが求められています。
この理念の下、現在、核融合科学研究所では 、大型ヘリカル装置計画、数
値実験炉研究、核融合工学研究の 3 つのプロジェクトを柱に 、核融合炉
実現に必要な理学・工学の体系化と、25 〜30年後の核融合炉実現を視
野に入れて 、研究を進めています。また 、これらを着実に進めるため 、
10年程前から 、毎年夏に東濃地方の 22 〜30会場で地元の理解を得る
活動を行ってきましたが 、最近は 、東京でも Fusion フェスタin Tokyo
と銘打って 、広報活動を行っています。キャッチコピーは 、
「地上に太陽
を」です。
さらに 、研究推進のため 、これまで 、研究のプロジェクト化、組織・機能の大幅な見直しなど 、多
くの改革に取り組んできましたが 、これからは 、機構としての改革が求められています。皆さんと
協力して進めて行きたいと思います。
[10/24-25] NAOJ
「 三 鷹・ 星 と 宇 宙 の 日( 特 別 公 開 )
」が 、
NAOJ、東京大学天文学教育研究センター、総
合研究大学院大学天文科学専攻の 3者共催の
もと国立天文台三鷹にて開催されました。メ
インテーマに は 、ハワイ・マウナケア 山 に
建設が始まった 30 メートル望遠鏡TMT を取
り上げ 、TMT をはじめ 、様々なプロジェク
トが展示やミニ講演、楽しいクイズなどを通
じて 、研究の紹介を行いました。講演会も人
気で 、200名程度収容できる会場は満席とな
りました。今年は 2日ともさわやかな秋晴れ
となり 、4,768名(24日 600名、25日 4,168
名)という 、過去最高数の来場者をお迎えす
る こ と が で き ま し た。会場 は 終日賑 や か な
声で溢れ 、研究者と市民の活発な交流が行わ
れていました。
[10/25] NIFS
ファレンスを開催しました。会期中の 11 月
5 日には市民学術講演会を開催。熊本大学大
学院自然科学研究科の尾上哲治准教授を講師
に招き 、「恐竜時代の巨大隕石衝突〜岐阜か
らみつかった世界初の証拠〜」と題した講演
を 行 い ま し た。メイン 会場 の 定員 を 超 え る
170 名 の 参加者 が あ り 、サテライト 会場 も
用意する盛況ぶりでした。講演では 、尾上氏
の研究グループが 、岐阜県坂祝町の木曽川河
岸の岩石(チャート)から 2億1500 万年前の
巨大隕石衝突の証拠を発見し 、三畳紀末の生
物絶滅が隕石衝突に起因する可能性が高まっ
た こ と が 紹介 さ れ ま
し た。 尾 上 氏 は 、 宇
宙・ 地 球・ 生 命 の ダ
イナミックな営みと 、
そ の 謎 を 探求 す る 喜
びを分かりやすく解
説し 、質疑応答では 、
参加 し た 市民 か ら 熱
心 な 質問 が 相次 い で
寄せられました。
[11/11-14] NIFS
「プラズマが も た ら す 未来 の エネルギー」
と い う テーマで オープンキャンパスを 開催
しました。約2000人が来所されました。
[11/4-7] NIFS
「 E x p a n d i n g H o r i z o n s o f P l a s m a
and Fusion Science through CrossFertilization」というテーマで国際土岐コン
NIFS では 、毎年、大型ヘリカル装置(LHD)
の プラズマ 実験期間中 に 、消火訓練 を 実施
し て い ま す。今年 の 訓練 は 、プラズマ 実験
の第2 週目にあたる 11 月11 日から 11 月14
日にかけて 、毎朝9 時15 分から行いました。
後半の 2 日間の訓練は 、2016 年度から実施
が予定されている重水素実験 を 想定 し て 行
われ 、各日とも 70 名を超える実験関係者が
参加しました。
訓練は 、プラズマ実験中に本体室内の LHD
上部のコイルから出火したとして 、火災報知
器を模擬発報させて開始しました。制御室で
は 、実験責任者の指示により、安全確保や装
置停止など非常時の措置が取られるとともに、
緊急連絡体制に従った関係部署への模擬連絡
が行われました。本体室では 、職員で構成し
た自衛消防隊の隊員が 、制御室からの指示に
より、模擬出火現場での初期消火活動や LHD
関係装置の状況確認などを迅速に行いました。
一連の対応状況は制御室に掲示されたチェッ
クシートに集約され、訓練終了後にはミーティ
ングを行って、非常時の指示系統や状況確認
の手順などについて改めて確認しました。
ウィーン 大学 で は、JSPSボンセンターが
開催する、渡日プログラム説明会に参加し、
ウィーン大学から60名ほどの学生、教員、研
究者等が参加しました。在ウィーン日本大使
館、国際交流基金、JSPS等から留学支援制度
について、機構からは日本の研究組織および
機構について紹介しました。
日本の参加大学
(計
14大学)からは各々の大学紹介がありました。
[12/2-5] NIFS
[11/21] NIFS
次期所長に竹入康彦教授が内定しました。
[11/22] NAOJ/NIFS/NIBB/NIPS/IMS
東京にて 、大学共同利用機関協議会および
大学共同利用機関機構長会議主催、文部科学
省ご後援で『大学共同利用機関シンポジウム
2014「研究者博覧会」』が開催されました。
高校生141 名 を 含 む 362 名 が 来場。研究者
トークには NIBB の藤森俊彦教授が参加しま
した。また 、機構すべての研究所が工夫を凝
らしたブース展示で来場者を迎えました。
[11/26-28] NINS
自然科学研究機構が世話役となり、大学研
究力強化ネットワーク参加校の内4大学(岡山
大学、信州大学、農工大学、広島大学)および総
研大とともに、マックス・プランク協会本部
(MPG)およびウィーン大学を訪問しました。
機構からは井本敬二副機構長・生理学研究所
長、関口和寛国立天文台教授、岡村昇一核融合
研究所特任教授、小泉周研究力強化推進本部特
任教授、三浦耕太同特任准教授、清水秀一事務
局次長が参加しました。
MPGで は、MPGの 概要、キャリアパス、
生化学研究所の支援体制、研究評価、論文成果
測定基準について説明を受けたのち、質疑応
答 が 参加機関との間で 行われました。MPG
とNINSとの打合せでは、新分野開拓のための
NINSコロキウム(国際版)開催に向けて議論
しました。
総研大アジア冬の学校が開催されました。
テーマは「プラズマ物理と核融合科学におけ
る複合的アプローチ」。
[12/5] CNSI
CNSIイメージングサイエンス 研究分野 の
木森義隆特任助教が岡崎市立矢作北中学校の
2年生を対象に出前授業を行いました。
「コン
ピュータの世界 情報の表現・伝達・認識」と
題された授業は、コンピュータが文字や画像
をどう認識しているかを知り、ゲームを通し
てその数理的処理方法を理解するものでした。
MRIによる脳の内部情報の抽出、胸部X線画
像によるがん細胞の識別、シャーレのコロニー
数自動カウントなど 、実際の解析画像を用い
ながらデジタル処理の有用性を解説しました。
また、アナログ形式とデジタル形式の二通り
を体験しながら理解するゲームを通して、デ
ジタルが効率的で正確に伝える手段であるこ
とや、デジタルでは処理の難しい対象でも自
然に処理をしてしまう、人が持つ優れた認識
能力についても紹介しました。3D プリンタ
で製作したポリオーマウイルスの模型に触れ
る体験など、デジタルで処理されるコンピュー
タ解析を、描く、見る、触るという行動と感覚
を使って紹介した本授業は、複雑で数理的な
コンピュータの世界を楽しく学ぶ機会となり
ました。
[12/10-11] NIBB /CNSI
「生物画像解析トレーニングコース」として、
ImageJを用いた比較的初心者向けの画像処
理・解析の講義・実習が開講されました。22
名の受講定員に対し44名の応募があり、
“必
要性の高さ”を基準として受講者の選考が行
われました。
NIBBより野中准教授、
村田准教授、
小山助教、
CNSIより木森特任助教、加藤特任助教が講師
役を、8名のチューターが実習の補佐を務め、
亀井特任准教授の案内で顕微鏡設備の見学も
行われました。代表の野中准教授は「このコー
スは昨年度から始めて今回は 2回目ですが 、
本年はより実践的な実習を指向し、特に受講
者自身の扱っている画像データに基づく議論
を充実させました。初心者にはかなりハード
な内容でしたが 、一定のスキルは身についた
のではないかと思います。また、共同研究の
きっかけになることを期待しています」と言っ
ています。
[3/18] IMS
市民公開講座 第104回分子科学フォーラ
ムを開催します。
【受賞】
H26年度プラズマ・核融合学会賞
技術進歩賞
須藤滋教授(NIFS)と 田村直樹助教(NIFS)
が受賞
対象実績:
「プラズマ計測のためのトレーサー
内蔵ペレット手法の開発」
H26年度プラズマ・核融合学会賞
技術進歩賞
柳 長門教授(NIFS),伊藤 悟助教(東北大),橋爪秀利教授(東北大)
,相良明男教授(NIFS)
,
寺義朗(総研大)が受賞
対象実績:
「核融合炉マグネットへの適用を目指した 100kA 級高温超伝導導体と機械的低
抵抗ジョイントの開発」
PLASMA2014 若手優秀発表賞
神尾修治助教(NIFS)が受賞
発表タイトル:
「磁気リコネクションにおける局所発光を用いた粒子の振る舞いの研究」
[12/1-3] 第3回
NINS Colloquium
「自然科学の将来像」を開催
NINS Colloquiumは、自然科学をとりまくさまざまな分野の研究者が集い、自然科学の現状と将来の方向性について様々
な観点で議論し、機構内外の研究者の交流を促進すること、自然科学の発展に向けた新たな方策を提案し、自然科学研究分野
のコミュニティ全体の発展に寄与することを目的とした研究会です。
日本全国から約100名の研究者が参加し、
合宿スタイルで実施されました。
1日目に、6人の研究者により、
「自然科学の将来像」
のテーマに関する講演が行われ、2日目には、参加者が 3つの分科会に分かれ、ブレインストーミングを実施し、技術の作り手
―使い手間の意見交換や、
研究分野ごとの科学的論理展開の相違点についての議論などが盛り上がりました。また、
特別セッショ
ン
「基礎科学研究者と社会:その社会的責任とは?」も行われました。
3日目には、
各分科会で議論された内容や結論の発表の後、
「全
体討論会」が行われました。他にも、若手研究者が中心となり研究内容を発表する「ポスターセッション」では、夜遅くまで議論
が交わされ、分野を超えた連携の活性化に向けて、意識基盤の形成を目指す3日間でした。
プレスリリース
[10/10] NIBB
星野敦助教らと鹿児島大学、サントリーグ
ローバルイノベーションセンター株式会社
「幻のアサガオ」といわれる黄色いアサガ
オを再現
[10/14] IMS
横山利彦グループら 放射光硬X線用いた雰
囲気制御型光電子分光法による燃料電池電
極のその場観察に世界で初めて成功
[10/16] NIBB
愛媛大学および野中茂紀准教授、成瀬清准
教授ら 新しいレーザー光源を用いた生体
深部を高速かつ広い視野で観察できる顕
微鏡を開発
[10/30] NIPS
富永真琴教授ら 口腔の創傷治癒を促進す
る生体メカニズムを解明
[11/7] NAOJ
アルマ望遠鏡、
「視力2000」を達成!— 史
上最高解像度で惑星誕生の現場の撮影に
成功
[11/13] NAOJ
天文学専用スーパーコンピュータ「アテル
イ」
、さらに2倍の計算速度へ
[11/17] IMS
柳井毅グループら 脂肪酸が生体内で不飽
和化される化学反応を理論解明― 金属酵
素による反応活性化機構の高精度計算に
新しい道
【分科会1◆「科学的論理展開の在り方—物理学と生物学は分かり合えるか—」報告】
分科会1では自然科学研究領域の諸分野、
特に物理学と生物学における研究目標、
仮説の検証方法、
学術論文の論理構成などについての異同点を分析・
摘出することで相互理解を深め、異分野融合研究促進のための土台作りとすると同時に、次世代の自然科学研究の新たな方向性と課題を提起すること
を目標とした。最初に、星元紀先生(東京工業大学)
、長谷川眞理子先生(総合研究大学院大学)から話題提供があり、それを受けて、自然科学研究領域の
諸分野に対する疑問を出し合うところから議論が始まった。その結果、数学・物理学では、標準化・均一化によって普遍性を求めるのに対し、生物学で
は、普遍性とともに、それぞれの生物や現象ごとの多様性も考慮に入れて研究を行っていることが違いとして挙がった。そうした議論の中で、野生生
物のまれな行動や、特殊な天体現象など、一度しか観察できない現象について取りあげられ、これらを科学的に記述するためには、現象をありのまま
に精密に観察し記録する「イメージング」が不可欠との意見があった。
異分野融合研究の促進には、科学的手法の中に「異分野連携」を埋め込む、その精神の醸成が一番重要という結論になった。精神の醸成には、①各分
野におけるquestionや技術の見本市を適切な規模で行い、ニーズとシーズを共有、②異分野の人が集まるカフェやサロンなど、日常的に異分野交流で
きる環境の醸成、③教育制度の改革(特に、特定の分野に限定しない、かつ現状の科学に即した新しい教養教育)
、が必要との結論になった。 次世代の
自然科学研究については、アイデアをあげるにとどまり、
具体的な議論まではできなかったことが心残りだが、
実際に広く異分野融合研究を行っている方、
または異分野交流に興味がある方と議論できたことが大きな収穫だった。
(玉田洋介 基礎生物学研究所 助教)
)
【分科会2◆「光でひも解く自然科学—光技術のニーズとシーズ—」報告】
「観自然」という言葉に触発され、物理学の世界に足を踏み入れた方も少なくないのではないだろうか?私もその言葉に魅了され、物理学の世界に立
ち入った一人である。今回の分科会ではその言葉を思い返さざるを得なかった。分科会【光でひも解く自然科学—光技術のニーズとシーズ—】では全体
講演を行ってくださった大阪大学の高部英明先生と分子科学研究所の平等拓範先生による極限レーザーに対する見解から始まり、国立天文台の田村元
秀先生による天文観測技術の開発、北海道大学の大友康平先生および(株)ソニーの岸本拓哉先生による超解像顕微鏡や2光子励起顕微鏡などを用いた
生体ライブイメージングに関する話題提供をもとに小グループに分れて議論を行った。どの小グループでも個々の研究に立脚しながら互いに共通するテー
マを探っていたように見えた。その中でうまれたものが「
【ありのままの自然の姿】を光を用いて描きたい」という要求であった。これまでは時空間ご
との階層で閉じた学問領域が形成されてきたが 、これからは階層間を論理的に繋ぐ現象を見ていく必要性がある。そのためには現存の光技術を更に
向上させる必要性があると感じさせた。最後には、ありのままの自然の営みを様々な光技術を通じて観た後に、
「どのような自然観が待っているのか?」
という壮大な夢とも思われるテーマについても議論が及んだ。今回は共通項を探すことで時間切れになってしまったが 、個々の研究を集約した先にあ
る「未来像」について「光」という共通のキーワードで集まった人たちで多少なりとも議論出来たことは個人的には嬉しかった。最後に本分科会に参加し
ていただいた皆さんはもちろんのこと、分科会内での適度な緊張感と誰もが発言・参加しやすい環境を用意していただいた分科会世話人の国立天文台
の石川遼子先生、生理学研究所の和氣弘明先生、分子科学研究所の石崎章仁先生に感謝を申し上げたい。
(鹿野豊 分子科学研究所 特任准教授)
【分科会3◆「シミュレーションの正体と招待」報告】
計算機シミュレーションは、現在の自然科学になくてはならない研究手法である。しかし、年々高度化していく技術的専門性が一因となり、それを専
門としない研究者に対して本質とは異なった印象を与えている。
分科会3では、
「シミュレーションの正体と招待」と題して、
実験研究者
(実験屋)とシミュレー
ション研究者(計算屋)の双方からの率直な意見交換をベースにシミュレーションの本質に迫ること、認識を共有することを目標に議論を進めた。尾形
先生(名工大)
、三浦先生(九州大)による全体講演と、佐藤先生(東京大)による分科会講演を受けた討論課題は、計算手法の普及、分野間連携の方法など、
多岐に渡った。中でも、シミュレーション観については、
実験屋と計算屋の間に大きなギャップがあることが浮き彫りとなった。実験屋には、シミュレー
ションは実験で到達不可能な領域で現象を実行出来るという理想があり、計算屋には、そこに仮定や非現実的な「嘘」が入っているという疾しさがある。
この認識の差は、
数理モデルにより現象が説明出来ればよしとするのか、
第一原理計算による現象の再現まで目指すのか、といった研究目的の差に通じ、
重く認識すべき課題となる。
では、自然科学において我々は何をもって「理解した」と言えるのか?また、研究者はそれを一致させねばならないのか?この問いに対する、本分科
会で得られた答えは、理解したといえるゴールを研究者間で一致させる必要は必ずしもなく、互いの認識差の上に立って自身の貢献を意識していくこ
とが重要ということだ。そのためには、共同研究相手に対して自身の研究活動のレスポンスを常に早めていくことが 、分野間連携を成功させる具体的
方法であることも確認できた。これは、この分科会で得られた大きな成果の一つだった。
(沼波政倫 核融合科学研究所 助教)
[11/18] NIBB
石東博研究員、藤森俊彦教授らと、京都大
学、ルーヴァン・カトリック大学 卵管が卵
を一方向に運ぶようになる仕組みを発見
[11/18] NIBB
平本昌宏グループ 有機半導体のドーピン
グ効率を100%にできる「ドーピング増感
効果」を発見 ― 高性能有機太陽電池や有
機デバイス実現の基礎技術を確立
[11/19] NAOJ
すばる望遠鏡の限界に挑んだ最遠方銀河
探査 〜 宇宙初期に突然現れた銀河を発
見〜
[11/19] NAOJ
巨大黒点の出現と、
「ひので」がとらえた磁
場構造
[11/24] NIBB
平理一郎助教、松崎政紀教授らと埼玉大学、
日本医科大学 2 光子イメージングのリア
ルタイム解析法によって動物が 1 個の神
経細胞の活動を意志で操作できることを
証明
[12/4] NAOJ
双子の赤ちゃん星を育むガスの渦巻き
[12/5] NIBB
WatchFrog社と荻野由紀子助教、井口泰
泉教授ら 環境水中の男性ホルモン、抗男
性ホルモン作用を示す物質を検出するバ
イオモニタリングメダカの作出に成功
[12/9] NIPS
横井紀彦特任助教ら タンパク質の異常構
造を修復することによりてんかんを軽減
[1/8] NIFS
居田克巳教授グループと九大応用力学研究
所 磁気面の壊れによるプラズマ流の減衰
Pick UP 1
NIFS 後藤基志 准教授
核融合 プラズマ 解析 の 力 を
太陽探査に活かす
核融合科学研究所(NIFS)の准教授で
ありながら、国立天文台(NAOJ)の准
教授の肩書きももつ後藤基志さん。
「機
構内併任」第一号で 、いまだに他に例
のない異色の存在だ。NIFS の基幹装置
LHD(大型ヘリカル装置)内のプラズマ
状態の診断法を探求する一方で 、太陽
の磁場計測をめざす国際プロジェクト
CLASP(Chromospheric Lyman-Alpha
SpectroPolarimeter)チームの 一員 で
もある。
「 き っ か け は『Plasma Polarization
Spectroscopy』という教科書の分担執
筆でした」と後藤さん。後藤さんの専門
はプラズマ分光学。10年ほど前に、原
子から放出される電磁波のスペクトル
が磁場や電場の中で複数のスペクトル
に分裂する“ゼーマン効果”
、
“シュタル
ク効果”を解説した。この本に目をとめ
たのが 、2010年当時、太陽探査に挑む
“ひので科学プロジェクト”室長だった
常田佐久さん。太陽の水素原子から放
出されるライマンアルファ線を計測し、
偏光データから太陽周辺の磁場を算出
する“ハンレ効果計算”に力を貸してく
れる研究者を探していた。
「CLASP の目
的は太陽表面を覆う彩層・遷移層の磁
場を測定することです。遷移層のさら
に外側にあるコロナは200万℃にも上
りますが 、太陽表面の温度は6000℃。
何がここまでコロナを熱しているのか、
ほぼすべての太陽物理研究者が取りく
んでいる謎です。注目されているのが 、
間にある遷移層の磁場です。CLASPで
は、NASA の ロケットで 高 度150 km
の大気圏外に分光器を飛ばし、滞在時
間5分間の中で 、遷移層にある水素原
子からのライマンアルファ線を観測し、
シミュレーション計算の結果と突き合
わせて、遷移層の磁場を測定しようし
Pick UP 2
ています」と後藤さん。
CLASP参加国は、日本、米国、スペイ
ン、ノルウェー、フランスの5国。日本
は望遠鏡や分光器といった観測装置の
開発を牽引している。
「そもそもハンレ
効果計算はスペインの担当なんです。
でもスペインチームによるシミュレー
ション結果の検証を国内でできないこ
とに疑問を感じた常田さんが 、自然科
学研究機構内を見渡し、NIFSに属する
私に目をとめてくれました。NIFSでは
核融合プラズマしか相手にしていませ
んが 、NAOJの併任の准教授になるこ
とで 、異分野でありながら研究のバッ
クグラウンドが近いスペインチームと
議論する機会に恵まれましたし、太陽
物理の国際会議にも参加しました。ま
た、先述の教科書の『ハンレ効果』の章
を担当されたアメリカのロベルト・カ
シーニ博士とも夜を徹して議論し、シ
ミュレーションモデルをさらに洗練す
る機会も。原子物理の知識を使って新
しい現象や理論を見つけられると、研
究意欲が高まりました」
。
異分野に踏み込んだからこそ得られ
た多くの刺激があった一方で 、
大変だっ
たことももちろんあった。
「2012年か
ら2013年 に か け て、NAOJで ハンレ
効果について5回程度の講義をしまし
た。準備 が 大変 でし た。な に せ1000
ページ近い教科書の内容を数回で説明
するのですから。ただ 、NAOJに行っ
て太陽探査チームと会話をすることで 、
NIFSで議論している核融合プラズマと
共通した話題が非常に多いことを実感
しました。キーワードが同じ。そもそ
も相性が良かったのだと思います」
以前から分野間をつなげるしくみが
あればと感じていた後藤さん。
「今は、
各研究所がお互いの研究内容をほとん
ど知らない状態です。もし機構内で『ハ
ンレ 効果 の 計算 をし てくれ る 人 を 募
集!』といった公募情報が気軽に流れれ
ば 、手をあげてみようかという気にな
るのでは」
。
NIFSと連携するメリットは、
という質問には、
「LHDは複数のパラメー
ターを制御してプラズマを作ることが
できます。例えば宇宙観測のために開
発した機器の性能の検証に、分子科学
研究所 のUVSOR のようにLHDを 光源
として活用してもよいのでは」とのコメ
ント。
実は後藤さん 、
今 回CLASP チ ー
ムが 開発 し た 偏
光 素 子 を 借 り、
LHD プ ラ ズ マ 計
測用の分光器に組み込んだところとい
う。
「CLASP チームが 、5分の観測のた
めに 、5年以上もかけてゼロから機器
を開発し 、想定できるあらゆる問題に
徹底的に対応策を考え 、精密に検証を
繰り返す姿勢に感服しました。お借り
した偏光素子は 、LHD で予想される偏
光度 の 10倍以上 の 精度 で の 計測を目
標に作られています。準備が整い次第、
すぐに計測したい」
。この記事が 掲載
される頃には 、後藤さんそして CLASP
チームが LHD の成果を受けた新たな機
器開発の一歩を踏み出しているかもし
れない。
(取材:機構本部 広報 松山)
NIPS 深田正紀教授研究グループ
タンパク質の異常構造を
修復することによりてんかんを軽減
北 海 道 大 学、 オ ラ ン ダ Erasmus大
学、東京大学先端科学技術研究センター
のグループとの共同研究により、遺伝
性 て ん か ん の ひ と つ で あ る 常染色体
優性外側側頭葉てんかん(Autosomal
Dominant Lateral Temporal Lobe
Epilepsy:ADLTE)の原因がタンパク
質の構造異常に基づくことを見出し 、
化学シャペロンという薬剤で構造異常
を修復することにより、てんかんが軽
減することをマウスモデルで明らかに
しました。Nature Medicine誌(2014
年12月9日電子版)に掲載。
〒105-0001
東京都港区虎ノ門4-3-13
ヒューリック神谷町ビル2階
研究力強化推進本部 広報担当
TEL : 03-5425-2046
Mail : [email protected]
※NINS bulletinでは、掲載依頼・掲載内容リク
エストを受け付けます。新規プロジェクト募集
や連携先の募集などにぜひご活用下さい。
NINS : 自然科学研究機構
NAOJ : 国立天文台 NIFS : 核融合科学研究所
NIBB : 基礎生物学研究所
NIPS : 生理学研究所 IMS : 分子科学研究所
CNSI : 新分野創成センター