1. 画像評価(適応とサイジング)

第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:亀井誠二,他
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大動脈ステントグラフト
1 . 画像評価(適応とサイジング)
愛知医科大学 放射線医学講座,血管外科
1)
亀井誠二,萩原真清,石口恒男,石橋宏之
はじめに
腹部および胸部大動脈瘤に対するステントグラフト
治療
(EVAR,TEVAR)
は 1990 年初期から臨床応用され,
1,2)
この十数年で目覚ましい発展を遂げた 。本邦では長
らく正式に認可されたステントグラフトがなく,自作
で対応せざるを得ず,施行可能な施設は限られていた。
近年,腹部,胸部のステントグラフトが相次いで市販
され,本邦でも本格的なステントグラフト治療の幕開
けとなった。
ステントグラフト内挿術は低侵襲で安全性の高い治
療とされているが,適応の決定やデバイスの選択を誤
ると致命的な合併症に結びつくことがあり,ステント
グラフト内挿術において適応とサイジングは最重要ポ
イントであるといっても過言ではない。
本稿では腹部および胸部大動脈瘤に対するステント
グラフト治療に必要な画像評価(適応とサイジング)に
ついて,コツとピットフォールを含めて概説する。
腹部大動脈瘤
2010 年 7 月現在,Zenith(Cook),Excluder(Gore),
図 1 腹部大動脈瘤用ステントグラフト
a : Zenith(Cook)
b : Excluder(Gore)
c : Powerlink(Endologix)
1)
Powerlink(Endologix)
の 3 種類のステントグラフトが認
可されている
(図 1)
。Zenith はメインボディと左右腸骨
動脈レッグからなる 3 ピース構造で,サイズバリエー
ションが豊富で,腸骨動脈が短く拡張傾向のある日本
人でも適応可能なサイズが多い。Excluder は 2 ピース
構造で,展開が容易で,デリバリーシステムが 18 F と
細径のためアクセスルートが細い症例にも対応可能で
ある。Powerlink は 1 ピース構造で留置方法が他のも
のと大きく異なるが,terminal aorta が細い症例にも
留置可能である。
1.
術前検査
術前の画像診断には造影 CT(造影剤注入速度 2.5 ㎖/
秒以上)を用いる。胸部大動脈から大腿動脈を含めて
スキャンし,3 ㎜以下のスライス厚で再構成を行う。
ボリュームレンダリングによる三次元画像再構成(3D
像)
は必須である。
ガイドワイヤーが遠位弓部まで挿入されるため,胸
部大動脈の shaggy aorta の有無を含めた評価が必要で
ある。また,Zenith の場合,トップキャップ先端が下
行大動脈に達するため,下行大動脈に強い屈曲のない
a b c
(333)61
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表 1 腹部大動脈ステントグラフトにおける近位ネックの適応基準
Zenith
Excluder
Powerlink
近位ネック径
18 〜 32 ㎜
(外径)
逆漏斗型は不適
(10%以上の径の変化)
19 〜 26 ㎜
(内径:血栓は含む)
逆漏斗型は不適
(2 ㎜以上の径の変化)
18 〜 26 ㎜
(内径:血栓・石灰化を含む)
近位ネック長
15 ㎜以上
15 ㎜以上
15 ㎜以上
壁の性状
(石灰化・血栓等)
極度のものは存在しない
顕著なものが存在しない
過大な血栓が存在しない
瘤とネックの角度
60°
未満
60°
以下
60°
以下
その他
腎動脈上方の大動脈との
角度が 45°
未満
ことを確認しておく必要がある。
評価には MPR(multiplanar reconstruction)上での計
測が可能なソフトウェアの使用が望ましい。さらに,
curved planar reconstruction(CPR)
の可能なワークス
テーションを用いると計測が容易である。
2 .適応とサイジング
腹部大動脈瘤は,一般的に最大短径 50 ㎜以上,また
は 1 年に 10 ㎜以上拡大する症例が破裂のリスクが高く
3)
治療適応とされている 。ステントグラフトの保険適応
は「外科手術が第一選択とならない症例」とされてお
り,合併疾患,年齢,腹部手術の既往,患者の希望な
どを含めて総合的に判断される。
解剖学的適応については,最初に 3D 像や MPR 像で
3 次元的に全体像を把握し,おおよそのステントグラ
フトの適否,使用する機種,メインボディのアクセス
Zenith: 45°≧
Zenith: 18-32mm (OD)
Excluder: 19-26mm (ID)
Powerlink: 18-26mm (ID)
60°≧
Zenith: 7.5-20mm (OD)
Excluder: 8-18.5mm (ID)
Powerlink: 10-18mm (ID)
Zenith: ≧7.5mm(ID)
Excluder: ≧6.8mm (ID)
Powerlink: ≧7mm (ID)
≧15mm以上
高度の石灰化・血栓がない
Zenith, Excluder: 逆漏斗型は不適当
Zenith: ≧16mm (ID)
Excluder: ≧18mm (ID)
Powerlink: ≧12mm (ID)
Zenith: ≧10mm
(推奨: ≧ 20mm)
Excluder: ≧10mm
(推奨: ≧30mm)
Powerlink: ≧15mm
図 2 腹部大動脈瘤の解剖学的適応条件
OD : outer diameter, ID : inner diameter
62(334)
サイドを決定する。次に左右腎動脈,内腸骨動脈の分
岐レベルを確認し,近位ネック,遠位ネック,アクセ
スルートなどの径や長さを正確に計測する。ステント
グラフトのサイズは実際の血管径よりも大きなものを
使用するため,各メーカーが用意しているワークシー
トに書き込みながら行うとよい。
1)近位ネック(表 1)
(図 2)
径,長さ,血栓・石灰化・血管内壁の状態,瘤と近
位ネックの角度の評価を行う。Zenith では,腎動脈上
方の大動脈と近位ネックの角度の計測も必要となる。
a)
径の評価
Zenith は外径,Excluder および Powerlink は内径で
計測する。Excluder は血栓は含めるが石灰化は含めず,
Powerlink は血栓・石灰化とも含めて計測する点にも注
意が必要である。機種により異なるが 18~32 ㎜が適応
となる。
具体的には低位の腎動脈が左右どちらかを確認し,
低位腎動脈の直下および 15 ㎜尾側で大動脈径をそれ
ぞれ計測する。楕円状の場合は短径を計測する。屈曲
が強い場合は MPR を用いた計測が望ましい。Zenith
および Excluder では,尾側が太い逆漏斗型は不適当
とされている。
b)長さの評価
いずれも 15 ㎜以上必要とされている。
c)
血栓・石灰化・血管内壁の状態
高度なものが存在しないことが条件となる。
d)瘤と近位ネックの角度の評価
瘤の長軸および近位ネックの角度が 60°以下または
未満であることが条件となる。Zenith の場合,腎動脈
上の大動脈と近位ネックの角度が 45°以下であること
も条件として加わる。
2)遠位ネック(腸骨動脈のランディングゾーン)
(表 2)
径,長さ,血栓・石灰化・血管内壁の状態の評価を
行う。
a)
径の評価
近位ネックと同様に Zenith は外径,ExcluderとPowerlink は内径で計測する。機種により異なるが 7.5 ~
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表 2 腹部大動脈ステントグラフトにおける遠位ネック(腸骨動脈),その他の適応基準
Zenith
Excluder
Powerlink
遠位ネック径
7.5 〜 20 ㎜
(外径)
8 〜 18.5 ㎜
(内径:血栓は含む)
10 〜 18 ㎜
(内径:血栓・石灰化を含む)
遠位ネック長
10 ㎜以上
(20 ㎜以上推奨)
10 ㎜以上
(30 ㎜以上推奨)
15 ㎜以上
壁の性状
(石灰化・血栓等)
極度のものは適応外
顕著なものが存在しない
(2 ㎜または 25%以上)
過大なものが存在しない
大動脈分岐の径
(Terminal aorta)
16 ㎜以上を推奨
18 ㎜以上
12 ㎜以上
低位腎動脈
からの長さ
88 ㎜以上
(大動脈分岐まで)
120 ㎜以上
(内腸骨動脈分岐まで)
90 ㎜以上
(大動脈分岐まで)
20 ㎜が適応となる。血栓や石灰化の扱いは近位ネック
と同様である。
b)長さの評価
ZenithとExcluderは最低 10 ㎜とされているが,Zenith
は 20 ㎜以上,Excluder は 30 ㎜以上が推奨されている。
また Powerlink は 15 ㎜以上とされているが構造上総腸
骨動脈が長い症例に限定される。
c)
血栓・石灰化・血管内壁の状態
近位ネックと同様,高度なものが存在しないことが
条件となる。
総腸骨動脈が短い症例,瘤状に拡張した症例など,
これらの条件を満たさない場合は,内腸骨動脈のコイ
ル塞栓術を行い,外腸骨動脈までレッグを留置するこ
とで適応の拡大が可能である。一般に,腸管虚血を防
止するため,原則として一方の内腸骨動脈は温存する
ことが推奨される。
3)
アクセスルート
(大腿動脈および外腸骨動脈)
径,屈曲の程度,血栓・石灰化の状態の評価が必要
で,近位ネックや瘤の形態などと併せ総合的にメイン
Zenith
18F (ID) 7.5mm
20F (ID) 7.5mm
Excluder
18F (ID) 6.8mm
Powerlink
21F (OD) 7.0mm
近位ネック径
Zenith
Excluder
Powerlink
遠位ネック径
ボディのアクセスサイドを決定する。
a)
動脈径の評価
(図 3,4)
いずれの機種も外腸骨動脈の内径を計測する。Zenith
では 7.1~8.5 ㎜以上,Excluder では 6.8 ㎜以上,Powerlink では 7.0 ㎜以上必要とされる。実際には,メイン
ボディ挿入側と対側レッグ挿入側,近位および遠位の
ネックの径によってデリバリーシステムの太さが異な
り,上記より細い場合でも挿入可能なこともあるが,
屈曲・蛇行,石灰化や血栓の状態などを含め総合的に
判断する必要がある。
Zenith の場合,近位ネック径が 29 ㎜以上の場合メイ
ンボディのデリバリーシステムは 22 F(内径)
,23 ㎜以
上の場合は 20 F(内径)
,22 ㎜以下の場合は 18 F(内径)
となる。対側レッグは,遠位ネックの径 15 ㎜以下が
14 F(内径)
,16 ㎜以上が 16 F(内径)
となる。
Excluder は唯一シースを留置してデバイスを挿入す
る。メインボディ用シースは近位ネックの径に関係な
く18 F
(内径)
である。対側レッグ用シースは,
遠位ネッ
ク径が 13.5 ㎜未満の場合 12 F(内径)で 4.7 ㎜以上とさ
22F (ID) 8.5mm
18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
(mm)
14F (ID)
5.3mm
図 3 適合する近位ネック径とメインボディ
のサイズ
OD : outer diameter,
ID : inner diameter
16F (ID) 6.0mm
12F (ID) 4.7mm
9F (OD) 7.0mm
18F (ID) 6.8mm
17F (OD) 7.0mm
8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (mm)
図 4 適合する遠位ネック径とレッグのサイズ
OD : outer diameter,ID : inner diameter
(335)63
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れているが,遠位ネックが 13.5 ㎜以上の場合はメイン
ボディと同じ 18 F(内径)
となる。
Powerlink も近位ネックの径に関係なくメインボディ
は 21 F(外径)
,対側レッグは遠位ネック径が 14 ㎜未満
の場合 9 F(外径)
,14 ㎜以上の場合は 17F(外径)
となる。
外腸骨動脈が細い場合,限局性の狭窄であれば,バ
ルーン拡張(PTA)によって施行可能な場合がある。デ
リバリーシステムの挿入の可否を判断しにくい場合
は,同じ太さのイントロデューサーを用意しておき,
試験的に挿入して判断するのも 1 つの方法である。
b)
屈曲,血栓・石灰化の評価
腸骨動脈に高度屈曲(90°以上)や高度血栓・石灰化
がみられる場合,デリバリーシステムの挿入が困難で
あったり,末梢塞栓のリスクがあるため,メインボディ
は屈曲や血栓・石灰化が軽度なサイドからの挿入が望
まれる。屈曲が問題となる場合,スティフワイヤーを
挿入した段階で血管が伸展することを確認するとよい。
c)
近位ネック,瘤の形状によるアクセスルートの選択
近位ネックが左または右に傾いている場合,Zenith
では傾きと対側,すなわちデバイスが直線的になるサ
イドからメインボディを挿入したほうが正確な留置が
行いやすい。Excluder の場合は,同側,すなわち C 字
状になるサイドからメインボディを挿入すると近位
ネックへの適合が良好とされている。
4)
その他
(表 2)
低位腎動脈から大動脈分岐までの長さは,Zenith で
は 88 ㎜以上,Powerlink は 90 ㎜以上必要である。Excluder では,低位腎動脈から腸骨動脈分岐部までの長
さが 120 ㎜以上必要となる。
ワークステーション上で血管長軸に沿った断面を再
構成して表示する curved planar reconstruction(CPR)
を用いると,屈曲・蛇行の強い症例においても腎動脈
分岐部−大動脈分岐部−腸骨動脈分岐部の距離,およ
び血管径を正確に計測することが可能である(図 5)。
一方,スティフワイヤーを挿入すると血管がある程度
直線化し,ステントグラフトも直線的に留置されるこ
とが多い点を考慮する必要がある。実際には,腎動脈
から大動脈分岐部までの長さは,横断像のテーブル位
置から直線的に算出しても大きな問題はない。
腸骨動脈の長さは,横断像を用いる場合は,上下方
向と横方向の距離から三平方の定理を用いて推定算出
するが,可能であればワークステーションで CPR を用
いて計測することが望ましい。実際の留置に際しては,
マーカーの付いたカテーテルを挿入して造影を行い,
レッグの長さを最終的に決定する。特に蛇行の強い症
例では術前計測と異なることがあるので,前後の長さ
の予備デバイスを用意しておく必要がある。
また大動脈分岐部直上(ターミナルアオルタ)の径が
細い場合,レッグが十分拡張しない場合があるため,
Zenith は 16 ㎜,Excluder は 18 ㎜,Powerlink は 12 ㎜
以上の径が必要とされる。
胸部大動脈瘤
2010 年 2 月現在,TAG
(Gore)
および Talent
(Medtronic)
の 2 種類のステントグラフトが認可されている(図 6)。
TAG は留置手技が簡便で,比較的長い病変の治療に
適している。一方 Talent は正確な留置が可能であるこ
と,屈曲部への追従性の良いことが特長である。
1.
術前検査
術前の画像診断は腹部と同様,造影 CT(造影剤注入
速度は 3 ~ 4 ㎖/ 秒以上)を用いる。大動脈弓部の上部
約 5 ㎝から,アクセスルートの評価を含めて大腿動脈
まで撮影する。左鎖骨下動脈をカバーする留置や,左
総頸動脈,鎖骨下動脈のバイパス再建(debranching)
が想定される場合は,頸動脈,椎骨動脈,Willis 輪を
a b c
図 5 Curved planar reconstruction(CPR)
を用いた計測
a : 正面像(腎動脈分岐部(矢印)を示
す)
b : 側面像
c : 斜位像
(右腸骨動脈分岐部
(矢印)
を
示す)
64(336)
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表 3 胸部大動脈ステントグラフトの適応基準
TAG
Talent
ネック径
23 〜 37 ㎜
(内径)
18 〜 42 ㎜
(内径)
ネック長
20 ㎜以上
20 ㎜以上
壁の性状
(石灰化・血栓等)
極度のものは存在しない
顕著なものが存在しない
アクセルルート
ネック径
23 〜 26 ㎜
26 〜 29 ㎜
29 〜 37 ㎜
太さ
20F(内径)7.6 ㎜
22F(内径)8.3 ㎜
24F(内径)9.2 ㎜
含めた頭蓋内動脈の評価も必要のため,頭部を含めた
撮影,または別途 MRA による評価を行う。
2 .適応とサイジング
胸部大動脈瘤は,一般的に最大短径 60 ㎜以上,ま
たは 1 年に 10 ㎜以上拡大するもの,最大短径 50 ㎜以
3)
上で有症状のものが治療適応とされている 。腹部と
異なりステントグラフトの保険適応の制約はない。
解剖学的適応は,まず 3D 像や MPR で 3 次元的に全
体像を把握し,次に近位・遠位ネック,アクセスルー
トについて評価する。計測部位は腹部よりシンプルで
あるが,弓部分枝に近い遠位弓部瘤の場合,下行大動
脈瘤に比べ術前評価,留置手技ともに難易度が高いこ
とを認識すべきである。
1)
近位・遠位ネック
径,長さ,血栓・石灰化・血管壁の状態の評価が必
要である。また瘤が弓部におよぶ場合は屈曲を考慮し
た詳細な評価が必要となる。
図 6 胸部大動脈瘤用ステントグラフト
a : TAG(Gore)
b : Talent(Medtronic)
ネック径
18 〜 29 ㎜
29 〜 36 ㎜
37 〜 42 ㎜
太さ
22F(外径)7.5 ㎜
24F(外径)8.2 ㎜
25F(外径)8.5 ㎜
a)
径の評価
TAG は内径 23 ~ 37 ㎜,Talent は内径 18 ~ 42 ㎜が適
応となる。
b)長さの評価
いずれの機種も,近位は左鎖骨下動脈または左総頸
動脈の末梢に,遠位は腹腔動脈より中枢側に 20 ㎜以
上のネックが必要である。
c)
血栓・石灰化の状態
腹部と同様,高度なものが存在しないことが条件と
なる。
d)大動脈弓部の評価
弓部の形状や瘤の形状など特に詳細な評価が必要で
ある。ネックの径,長さの評価は横断像のみでは不可
能で,MPR での計測が不可欠である。大弯側でネッ
ク長が 20 ㎜以上あっても,小弯側では 20 ㎜未満のこ
とも少なくない。ネックの短い症例では,予め腕頭動
脈から左総頸動脈,鎖骨下動脈に人工血管バイパスを
作成し(debranching),腕頭動脈の分岐直後からステ
ントグラフトを留置するハイブリッド手術を行うこと
a b
(337)65
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がある。
弓部のカーブが急峻な場合,TAG は近位端の小弯側
の密着が不十分となり endoleak を生じることがある。
また Talent ではシースとプッシャーの摩擦抵抗が強く
展開が困難なことがある。
また瘤が頭側に突出する場合,デリバリーシステムを
進める際に瘤壁と干渉しないよう硬質のガイドワイヤー
を選択し,展開後にステントグラフトが瘤内に入りこ
む可能性を考慮したデバイス長の選択が必要である。
2)
アクセスルート
(大腿動脈および外腸骨動脈)
TAG は腹部の Excluder と同様,シースを留置して
デバイスを挿入する。ネック血管径が 23~26 ㎜の場合,
シースは 20 F(内径)でアクセス動脈径は 7.6 ㎜,26 ~
29 ㎜の場合シースは 22 F(内径)で動脈径 8.3 ㎜,29 ~
37 ㎜の場合シースは 24 F(内径)で動脈径 9.2 ㎜必要と
なる。
Talent はステントグラフトとデリバリーシステムが
一体となっている。ネック血管径が 18 ~ 29 ㎜の場合,
デリバリーシステムは 22 F(外径)でアクセス動脈径
は 7.5 ㎜,30 ~ 36 ㎜の場合 24F(外径)で動脈径 8.2 ㎜,
37 ~ 42 ㎜の場合 25F
(外径)
で動脈径 8.5 ㎜必要となる。
症例によっては外腸骨動脈が細く,上記の条件を満
たさないことがまれではない。その場合は,総腸骨動
脈または腹部大動脈に径 10 ㎜程度の人工血管を吻合
し,アクセスルートとする。
3)
その他
ステントグラフトの長さは,TAG では 10 ㎝,15 ㎝,
66(338)
20 ㎝のバリエーションがあり,長区間の病変にも対応
しやすい。Talent の場合,現時点では 11~12 ㎝の製品
に限られ,複数本必要となることが多い。
複数のステントグラフトが必要となるのは,長い病
変,および近位と遠位のネック径が 3 ~ 4 ㎜以上異な
る場合である。その場合,ネック径からデバイスの径
を選択し,留置範囲の長さとデバイス同士のオーバー
ラップ長を考慮してデバイスの長さを決める。同じ径
のものを複数本留置する場合,TAG は末梢から留置し,
5 ㎝以上のオーバラップが必要である。Talent では中枢
側から留置し,オーバーラップは 3 ㎝以上となる。異
なる径のものを留置する場合は TAG,Talent ともに径
の小さい順に留置し,3 ㎝以上のオーバラップをとる。
重ねるグラフトは,TAG は 1 ~ 2 サイズ異なるものま
で,Talent の場合は 4 ㎜大きなサイズとされている。
【参考文献】
1)Parodi JC, Palmaz JC, Barone HD : Transfemoral
intraluminal graft implantation for abdominal aortic
aneurysms. Ann Vasc Surg 5 : 491 - 499, 1991.
2)Dake MD, Miller DC, Semba CP, et al : Transluminal
placement of endovascular stent-grafts for the treatment of descending thoracic aortic aneurysms. N
Eng J MED 331 : 1729 - 1734, 1994.
3)大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006 年度
改訂版)
.Circ J 70, Suppl Ⅳ : 1569 - 1677,2006.
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‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大動脈ステントグラフト
2 . 胸部大動脈瘤のステントグラフト
(TAG,Talent)
―デバイスの特徴,手技,工夫,合併症など ―
三重大学医学部附属病院 放射線診断科
加藤憲幸
はじめに
TAG(Gore)
本邦における胸部大動脈瘤に対する血管内治療(Thoracic Endovascular Aneurysm Repair, 以 下 TEVAR と
略す)は,過去 10 数年にわたって自作のデバイスを用
いて行われてきた。このため,TEVAR が施行できる
施設はきわめて限られていた。しかし,TAG(Gore)
が平成 20 年に,Talent(Medtronic)が平成 21 年に厚生
労働省の承認を得た。さらにこの二者にやや遅れて,
TX2(Cook)が間もなく承認される見通しとなってい
る。本邦でもステントグラフト実施基準管理委員会が
定めた基準を満たす施設であればどこでも TEVAR が
行えるようになり,胸部大動脈瘤の治療水準がようや
く諸外国の水準に追いついてきた。TEVAR で使用さ
れるデバイスの骨格は直管が基本となっているため,
腹部大動脈瘤の血管内治療(Endovascular Aneurysm
に比べ単純かつ容易に考え
Repair,以下 EVAR と略す)
られがちである。しかし,TEVAR には EVAR と異なっ
た難しさがあり,また,それぞれのデバイスに特有の
難しさがある。また,生じうる合併症は,後遺症の残
るような重篤なものが多い。本稿では,現在 TEVAR
で使用される 2 種類のデバイスの特徴,手技を含む基
本的な知識と,問題が生じた場合のトラブル・シュー
ティングについて解説する。
特 徴
本邦で最初に承認された,胸部大動脈瘤治療用デ
バイスである。構造は,Gore 社製の EVAR 用デバイ
ス,Excluder と基本的に同様である
(図 1)
。すなわち,
nitinol 製のステントと expanded polytetrafluoroethylene
の組み合わせからできている。個々のステントの長さ
はわずか数㎜と短いため,全体として長軸方向におけ
る滑らかな湾曲の形成が可能である。しかし,両端の
約 3 ㎝は,頸部での確実なシーリングを得るために最
外層にさらに薄いグラフトが装着してあることもあっ
て,まったく曲がらない(図 2)
。このため,屈曲の強
い留置部位に留置された場合,デバイスが大動脈の小
弯側に密着せずに浮いてしまう現象−
「bird beak」−が
生じ
(図 3),Ⅰ型エンドリークをきたす可能性がある。
デバイスの径は 26 ㎜から 40 ㎜の 6 種類,長さは径に
よって異なるが 10 ㎝から 20 ㎝までで,両端に鋸歯状の
フレアが付いている。デバイスの選択は,大動脈径の
2 ㎜から 6 ㎜増し,6%から 18%増しのオーバーサイジ
ングが推奨されている。2 個以上を使用する場合,径の
違いは 2 段階まで,すなわち径 31 ㎜のデバイスを使用
する場合,組み合わせて使用できるデバイスは径 26 ㎜
から37 ㎜までとなる。TAG の展開は,デバイスを収納
しているスリーブを固定している糸を引き抜くことに
図 1 TAG
GORE TAG Training program より引用
図 2 TAG の両端 3 ㎝は曲がらない
(339)67
第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:加藤憲幸
技術教育セミナー / 大動脈ステントグラフト
よって行われる仕組みになっている。すなわち,
スリー
ブ装着部の反対側が広がるかたちで展開される。この
ため,極端なオーバーサイジングを行うと,デバイス
が広がりきらず,皺を形成した状態で留置されてしま
うことがある−「infolding」−(図 4)ため,注意が必要
である。
TAG を使用する際に留意するべき点は,デリバリー・
カテーテルの先端に付いているオリーブと固定されて
いるデバイスの間に隙間があることである(図 5)
。デ
リバリー・カテーテルを直線部ですすめる場合には問
題はないが,屈曲部ですすめる場合,この隙間が開大
して大弯側の大動脈壁を擦り,遠位塞栓をきたす可能
性がある。
TAG には,デリバリー・カテーテル先端にデバイスが
装着されているため,この部分に凹凸がある。このた
め,動脈内へ挿入する前にシースを挿入する必要があ
る。このシースが EVAR 用に比べてかなり太く,これ
がこのデバイスを使用する上で障碍となることがある。
図 3 Bird beak
図 4 Infolding
68(340)
手 技
上述のように,TAG の場合,まずシースを挿入する
必要がある。シース全体が動脈内に入ると,シース先
端はほぼ横隔膜のレベルに位置することになる。しか
し,腸骨動脈の径が十分でなく,腹部大動脈まですす
められないことが少なからずある。この場合,後腹膜
腔からアプローチして総腸骨動脈から挿入する,腹部
正中からアプローチして腹部大動脈から挿入する,あ
るいは腹部大動脈に吻合した人工血管から挿入する,
といった方法がある。また,弓部分枝に対するバイパ
ス術を同時に行う症例であれば,弓部分枝,あるいは
バイパスに使用する人工血管からアクセスすることも
可能である。
また,総腸骨動脈に十分な径がある症例では,シー
ス先端が総腸骨動脈に達したところでシース挿入をと
どめ,総腸骨動脈より頭側はデリバリー・カテーテル
のみですすめることで,外腸骨動脈に対する損傷を最
低限におさえることが可能である。
シース挿入後は,デリバリ ー・カテーテルを挿入す
るわけであるが,挿入時にカテーテルの軸方向の向き
を決めておかなければならない。原則として TAG は,
デバイスを固定しているスリーブが残る側が留置部位
の大弯側に一致するように留置する。このスリーブは展
開用ノブの側と反対方向になっているため,カテーテル
挿入時に,展開用ノブが留置部位の小弯側に向いてい
ることを確認しておく。挿入後は,デバイスが留置部
位に到達するまでカテーテルをすすめるが,Excluder
同様,いったん予定部位よりやや近位側まですすめる。
その後に予定部位まで引き戻して,デバイスの位置を
決定する。これはカテーテルにかかっている,近位
方向への力を解放するためである。2 個以上のデバイス
を使用する際には,当然であるが,径の小さいものか
ら留置する。デバイス同士のオーバーラップは,径が
異なる場合は 3 ㎝,径が同じ場合は 5 ㎝以上必要とさ
れている。デバイスの展開時に注意すべき点は,シー
図 5 Olive とデバイスの間の隙間
GORE TAG Training program より引用
第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:加藤憲幸
技術教育セミナー / 大動脈ステントグラフト
スが十分後退しているかを確認することである。後退
が不十分で,デバイスの一部をシース内に展開してし
まった場合,
「wind sock」効果のためデバイス全体が遠
位側へ移動してしまう危険性がある。
すべてのデバイスを展開した後は,バルーン・カテー
テルを用いた圧着を行うことが推奨されている。バルー
ン・カテーテルは,通常のバルーンを用いても問題な
いが,この場合,バルーンの移動防止のため血圧のコ
ントロールを行ったほうが安全である。一方,Gore 社
製の Tri-lobe を使用した場合,大動脈の血流を遮断す
ることにはならないため,血圧のコントロールは不要
となる。
工 夫
① TAG は,留置部位の大弯に沿わせるかたちで留置
するように推奨されている。TEVAR で使用される,
Lunderquist を含む硬いガイドワイヤーをそのままの
状態で使用すると,デリバリー・カテーテルは小弯
側に位置してしまう。この状態で展開すると,図 6
のように展開時にデバイス全体が大弯側に移動し,
留置位置が想定した位置とずれてしまう。これを避
けるためには,まず,硬いワイヤーに強い湾曲を作
成しておくことで,デリバリー・カテーテルを大弯
側に近づけることが可能となる。さらに,シース内
に挿入する前に,デリバリー・カテーテルに装着さ
れたデバイスにも湾曲を作成しておくことで,大弯
側へのより確実な密着を図ることができる。
②留置部位に著しい壁在血栓を伴った,いわゆるshaggy
aorta は本来適応外となっている。しかし,実際の臨
a)小弯側に位置すると…
b)大弯側に位置すると…
図 6 デリバリー・カテーテルが小弯側に位置すると…
GORE TAG Training program より引用
床の現場では,このような症例を治療せざるを得な
い場合に少なからず遭遇する。こういった症例にお
いてもっとも危惧されるのは遠位塞栓である。この
ような症例では,TAG 用シースに代えて Cook 社製
の KTI シースを留置部位の近位部まですすめておく
ことで,危険を防止することが可能である。ただし,
KTI はそのままでは長すぎるため,加工しておかな
ければならない。
③ EVAR 時と同様,視差には十分留意する必要がある。
とくに,留置部位が弓部分枝,あるいは腹部分枝に
近い場合,留置位置のわずかなずれが重大な結果を
招く可能性がある。これを避けるためには,術前の
VR 像を十分検討し,X 線透視の方向が留置部位に対
して垂直となる方向,角度を前もって想定しておく
必要がある。
トラブル・シューティング
① Infolding/Collapse:上述したように,過大なオー
バーサイジングを行うと,デバイスが開ききらない
現象−「infolding」−が生じる。また,留置部位の屈
曲が強い症例では,
「bird beak」の発生によってデバ
イスの「collapse」をきたすこともある。これらの現
象が生じた場合,まずバルーンによる圧着を試み
る。圧着によってデバイスが拡張すれば,infolding
の症例であれば問題は解決することになる。しかし,
「bird beak」に伴う「collapse」の症例では,たとえ
バルーンでデバイスが拡張しても,再度「collapse」
をきたす可能性が高い。これを防ぐには他のデバイ
スで内側から TAG を支えるしかない。留置部位の
a)
KTIを適切な長さに切断する。
b)
シースとバルブを結合する。
図 7 KTI シースの使用
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第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:加藤憲幸
技術教育セミナー / 大動脈ステントグラフト
径が 30 ㎜以下であれば,XL Palmaz で対応可能であ
る。しかし,30 ㎜をこえる場合は,Talent,あるい
は自作デバイスで使用される Z ステントを使用せざ
るを得ない。
Talent(Medtronic)
特 徴
nitinol と polyester の組み合わせでできている。構造
は,Z ステントを使用した自作のものにきわめて近く,
長さ 2 ㎝長,5 ベンドのステントを基本骨格とし,全長
にわたる 1 本の spine がデバイス長軸方向の一側に取り
付けられている(図 8)
。proximal body と distal body の
形状は若干異なり,前者では上端にベア・ステントが
付いているのに対して,後者ではベア・ステントの代
わりに鋸歯状のフレアが付いている。デバイスの径は,
22 ㎜から46 ㎜まで 2 ㎜間隔でライン・アップされ,TAG
に比べ種類が豊富である。オーバーサイジングは一律
に 4 ㎜となっている。2 個以上のデバイスを使用する際
は,あとから留置するデバイスの接合部における径は,
先に留置されているデバイスより 2 サイズ大きなもの,
すなわち 4 ㎜大きい径のデバイスを選択する。デバイ
スの長さはproximal body,distal body 共に,12 ㎝弱で,
オーバーラップに必要な約 5 ㎝を考慮すると,対応可
能な瘤の長さは 18 ㎝弱ということになる。また,屈曲
への追従性は TAG と同程度であるものの,後述するよ
うにデリバリー・カテーテルの問題で,屈曲部への留
置が困難となる場合もある。
デリバリー・システムは自作のものと同様で,シー
ス内に収納してあるデバイスを,プッシャーを固定し
た状態でシースを後退させることで展開する方式であ
る。デバイス長が 12 ㎝弱あるため,上端の展開が始
まっても他の部分はシース内に収納されており,血流
Proximal body
による遠位への移動がないため,心停止,降圧は基本
的に不要とされている。
デバイスの特徴として,長軸方向の一側に 1 本のspine
が取り付けられているため,展開の最初に spine の反
対側が遠位方向に「おじぎ」する現象が起こる(図 9)。
この状態では,近位端が大動脈に鋭角を持って接する
ことになり,エンドリーク等の有害事象につながる可
能性がある。このため,展開は,最終的な留置位置よ
り近位から始め,近位端が遠位方向に傾いて展開され
始めたところでデリバリー・システムごと遠位に後退
させる必要がある。
すでに1990年代からEU諸国で使用されてきており,
信頼性のあるデバイスである。一方,基本設計自体は
きわめて古いため,後発のデバイスに比べやや使い勝
手が悪いのも事実である。
手 技
留置方法は,preloading 方式の自作デバイスの方法
と同様である。デバイスが収納してあるデリバリー・
カテーテルを挿入し,留置予定部位でプッシャーを固
定しながらシースを後退させることでデバイスが展開
される。ただし,プッシャー先端にデバイス遠位端が
はまり込んでいるため,シースを後退しただけでは遠
位端は展開しない。このため,最後にプッシャーを後
退させる必要がある。留置後は,TAG 同様バルーン・
カテーテルで圧着を行うことが推奨されている。
工 夫
① distal body には 4 ㎜のテーパーがあるため,使い方
によって全体として最大 12 ㎜までのテーパーを作
ることができるため,近位部と遠位部で著しい径の
差があるような慢性大動脈解離では役に立つ。
Distal body
spine
図 8 Talent
Talent Training program より引用
70(342)
図 9 Talent の「おじぎ」
Talent Training program より引用
a b
第 38 回日本 IVR 学会総会「技術教育セミナー」:加藤憲幸
技術教育セミナー / 大動脈ステントグラフト
トラブル・シューティング
①このデバイスの最大の弱点は,デリバリー・カテー
テルが屈曲に弱い点である。屈曲の強い部分にデリ
バリー・カテーテルが挿入されると,デバイス収納
部のシースに kink が発生する(図 10)
。この kink が
デバイスに引っかかってしまうと,シースの後退は
一切不可能となる。これを予防するためには,TAG
とは逆になるべくデリバリー・カテーテルが曲がら
ないように注意しなければならない。また,実際に
kink で引っかかってしまった場合,システム全体を
一度下行大動脈の直線部まで戻し,シース先端を少
し後退させてからシステム全体を留置予定部位に戻
す方法が推奨されている。
おわりに
TAG,Talent ともにメーカー製であり,多くの面で
自作のデバイスに比べ優れている。しかし,いずれも
完璧で万能のデバイスというにはほど遠く,症例に
図 10 カテーテルの kink
よっては自作デバイスの方が有利なこともある。いわ
ゆる「dream case」であれば問題が生じることはきわ
めて稀であるが,それ以外の症例では自作デバイスを
含む,トラブル・シューティング用のあらゆる準備を
整えてから TEVAR を行うべきである。
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