要旨 - アイスティサイエンス

ドライアイス凍結粉砕法と STQ 法を用いた
TPN、キャプタン、カプタホール、ホルペットの分析法の検討
○佐々野 僚一 1, 土居 恵子 1, 小西 賢治 1, 斎藤 勲 2
1
株式会社アイスティサイエンス, 2 公益財団法人科学技術交流財団
【目的】食品中残留農薬分析において、
固 相 ミニカラム: Smart-SPE、 自 動 前 処 理 装 置 :
TPN、キャプタン、カプタホール、ホルペッ
ST-L300 、 GC 大 量 注 入 口 装 置 : LVI-S200
ト等は試料粉砕時に分解することが知られて
(AiSTI製)。GC-MS:Q1000GC(JEOL製)。
いる。そのため、個別法ではリン酸添加を行
試料 : キャ ベツ 、 タマ ネギ 、 大根 、 キ ュウ
うことで、QuEChERS法では凍結状態
1),2)
で粉
リ、トマト、レタス、ほうれん草。
砕することで分解を防いでいる。また、キャ
【結 果と 考察 】1 . 常 温 粉 砕 と凍 結 粉砕 の
ベツやタマネギが試料の場合、精製に用いた
比 較 :各試 料 につ いて それ ぞれ の 添加 回収
固相PSAがTPN消失の要因の可能性があるとも
試験を行ったところ、ドライアイス凍結粉砕
報告 3) されている。そこで、これらの情報を
することで回収率が向上した。
基に、ドライアイス凍結粉砕法とSTQ法を用
2 . 疑 似 マ ト リ ク ス PEGの 影 響 : PEG共 注 入
いた分析法の検討を行ったので報告する。
した場合、キャプタン、カプタホール、ホル
【方法】予冷方式ドライアイス凍結粉砕法。
ペッ ト のピ ーク 面 積値 の減 少 がみ られ た 。
添加農薬:0.1%ギ酸含有混合標準溶液
PEGにより、注入口で気化する時の温度が高
くなるために分解されたものと考えられる。
試料 10g
アセトニトリル 10mL
本法ではPEG共注入を使用せずに評価を行っ
撹拌 (手で振とう, 1分)
撹拌 (手で振とう, 1分)
遠心分離(5分, 3500rpm)
クエン酸3Na2水和物 1g
クエン酸水素2Na1.5水和物 0.5g
無水硫酸マグネシウム 4g
分取1mL(アセトニトリル層)
添加 アセトニトリル-水 1mL
抽出液
た。
3 . 添 加時 の標 準 溶液の 溶 媒 につ いて : 添
加時の混合標準溶液にギ酸を加えることで、
キャプタン、カプタホール、ホルペットの回
収率が大きく向上した。
《自動前処理装置》
分取 1 mL
Smart-SPE C18-30mg(精製)
洗液 アセトニトリル-水(4/1) 1mL
流出液
食塩水20mLを加え希釈
Smart-SPE C18-50mg(保持)
乾燥(窒素ガス)
連結固相 PSA-30mg or AXi3-30mg (精製)
溶出 アセトン-ヘ キサン(1/4 ) 1mL
4.固相PSAについて:キャベツやタマネギ
などの硫黄化合物の夾雑成分を含む試料にお
い て は 固 相 PSAを 用 いず 、 代 わ り に 固 相 SAX
や固相AXを用いたところ、TPNの回収率が大
きく向上した。その他の試料に関しては、固
相PSAを 用い て 、ア セ トン -ヘ キ サン ( 1/
4)で溶出させた。
溶出液
定容(1mL, アセトン-ヘキサンで調整)
GC/MS(SCAN) 大量注入(25μ L )
Scheme 1. 試験溶液の調製法
【参考文献】
1) M.Anastassiades; www.quechers.com
2) 斎藤勲ら、日本食品衛生学会第98回A-17(2008)
3) 永井ら、日本農薬学会誌,37(4),362-371(2012)