陳情に対する各会派の意見表明

陳情に対する各会派の意見表明
[自由民主党]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号につきましては,第
35 号議案を承認することなどから,本件9件の陳情を「不採択」といたします。
[公明党]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号につきましては,以
下の理由から不採択といたします。
これらはいずれも神戸市立幼稚園の存廃や機能に関するものですが,議論の背景は
一にかかって子育て支援策における市立幼稚園の存在意義の問題であり,9件一括し
て理由を申し上げます。
市立幼稚園の廃止につきましては,残念ながら神戸市も少子化傾向にあること,幼
稚園よりも保育園に対する需要が急速に高まっていること,そのような状況を反映し
て市立幼稚園に通う園児数が減少していることなどから,公立・私立幼稚園関係者,
学識経験者などで構成する「神戸市立学校園のあり方懇話会」では,「公私幼稚園が
役割分担を明確にし,連携・協調しながら幼児教育の充実を図ること」,そして市立
幼稚園は「園児数の推移を見ながら園数の削減を行うこと」とされ,その提言を受け,
徐々にその数を減らしてきたところです。
総括質疑においても議論したように,最も大事な点は,幼稚園のあり方を考えると
き,就学前の子供たちの教育,養育をどう支援していくか,様々な施策全体を見て判
断すべきであるという点です。
それは,私たちが子育て支援策に充てる公費を大幅に増やそうとしている中,これ
までの保育園,幼稚園の制度では,保護者の間での公平性,平等性を損ないかねない
からです。
そもそも,公私の幼稚園・保育園に通うお子さんと,通っていない,あるいは希望
しても通えないお子さんがいます。幼稚園に通っているお子さんの間でも公私によっ
て保育料などの経済的負担は異なります。子供を幼稚園,保育園に通わせるか否か,
どこに通わせるかは保護者の自由と言われますが,市立幼稚園は園区が設定されてい
るため,誰でも通えるわけではありませんし,保育園に入ることはいまだ保証の限り
ではありません。
市立幼稚園に限って言えば,保護者の皆さんがおっしゃるように,市立幼稚園では
知識,経験豊富な教員が多く,また定員も私立幼稚園に比べてかなり少ないことから,
教育環境にも余裕があり,その教育は高く評価されています。これを守ってほしいと
のご要望もまた当然のことであると思います。
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ただ,優秀な教員,余裕ある教育環境を保っていくには大変大きな費用が掛かりま
す。市立幼稚園では園児一人当たりに年間約 100 万円の費用が掛かっており,私立幼
稚園保護者に対する公費支援たる就園奨励助成金の平均的な金額に比べると 10 倍以
上の格差があります。
もし市立幼稚園に掛かる費用を就学前の神戸の子供たち全てに掛けるとなれば,10
倍の予算が必要となり,卒園後の子育て支援策に充てる公費がその分削られることに
なります。
予算は青天井ではありませんので,子供たちが自立するまで成長に応じてバランス
良く子育て支援を行うような施策が必要です。
そのような要請から,就学前の子供たちでは特に近年保育所ニーズが急速に高まる
中,幼稚園と保育園の壁を取り払って保育所ニーズに応える,そして公私間の経済的
負担の格差を無くすことを目指して,子ども子育て新システムを推進しています。そ
の一環として市立幼稚園の一定数の廃止が提案されているものです。
しかし,ここで私たちは,営々と築いてきた神戸市の公立幼稚園教育は当然守るべ
きであると明確に申し上げておきたいと思います。
そのために,高い幼児教育力,経営の心配の無い市立幼稚園の良さを,十二分に生
かす必要があります。それは子供の少ない地域,すなわち私立幼稚園では採算の合わ
ない地域の子供たちの幼児教育を受ける権利を守ること,そして,障がいなど特別な
配慮が必要な,神戸市内の全ての子供たちの教育に力を入れてもらうことが必要です。
このように幼稚園,保育園のそれぞれの良さ,公私の良さを生かしつつ,いかに神
戸の就学前の子供たちの教育,養育を平等に保証していくかを慎重に考えなければな
りません。当然,施設だけではなく,子育ての経済的負担軽減策にも十分な公費を充
てる必要があります。
そのような全体的な観点からの検討結果として,一定の市立幼稚園の廃園は,異な
った状況にある就学前の子供たちが,等しく,平等に子育て支援策を享受するために
はやむを得ないものであり,また民業圧迫に及ぶ市立幼稚園の機能の変更は当然妥当
ではなく,さらに市長との直接対話については市長自身が判断すべきものであること
及び第 35 議案を承認することなどから,不採択とするものです。
[日本共産党]
予算特別委員会に送付された陳情第 51 号から陳情第 53 号,陳情第 55 号から陳情
第 60 号の9件の陳情については,いずれも採択とします。
予算特別委員会において陳情者の口頭陳述では,「子供たちの成長の場を失わせな
いでほしい」
「公立幼稚園に魅力を感じて引っ越してきた」などの声が出されました。
同時に「公立幼稚園で培った保護者のきずなが,小学校・中学校のPTA活動など
に生きている」「地域で守ってきた幼稚園を無くさないでほしい」など,市立幼稚園
がコミュニティーの「核」になっていることが生き生きと語られました。
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負担の公平性などを理由にした市立幼稚園の廃園計画の押し付けは,子供たち,保
護者,PTA,自治会など地域の皆さんの反対を無視したものであり,その地域の住
民自治を壊すことに直結します。少子化高齢化の問題への対応にも逆行し,地域の持
っている活力を弱める市立幼稚園廃園計画の撤回を求める立場から,採択を主張いた
します。
[民主こうべ]
陳情第 51 号公立幼稚園の再編計画見直し等を求める陳情,陳情第 52 号神戸市立奥
の池幼稚園の存続を求める陳情,陳情第 53 号神戸市立幼稚園の再編計画を見直し、
9園の存続等を求める陳情,陳情第 55 号神戸市立住吉幼稚園、遊喜幼稚園の存続を
求める陳情,陳情第 56 号神戸市立すずかぜ幼稚園の存続を求める陳情,陳情第 57 号
神戸市立木津幼稚園閉園に関する陳情,陳情第 58 号神戸市立木津幼稚園閉園に関す
る陳情,陳情第 59 号神戸市立幼稚園の再編計画を見直し、奥の池幼稚園閉園の撤回
を求める陳情,陳情第 60 号神戸市立幼稚園存続に関する陳情。
神戸市においても少子社会が到来し,市内の幼稚園の定員数が供給過剰となること
などから,市立幼稚園と私立幼稚園の役割分担について,必然的に市立幼稚園の存廃
も含めて検討せざるを得なかったことは理解できるところです。
そのような中,我が会派からも激変緩和として東灘・垂水・須磨区において,それ
ぞれ1園の閉園を1年延期する要望をし,受け入れていただきました。
今後,特に閉園する園児や保護者に対しては誠意ある対応をお願いしたいと思いま
す。
また,これからの市立幼稚園の役割として,幼児期における特別支援教育の充実を
図り,相談・研修等を実施する地域における幼児教育のセンター的な役割を持たせ,
幼保小の連携窓口になることなどにより,神戸市全体の幼児教育の水準向上に取り組
んでおり評価できます。
さらに,3歳児保育については,平成 30 年度以降に向けて子ども・子育て支援新
制度の動向や市立幼稚園の在り方などを考慮しながら,実施園の一部拡大を検討中と
お聞きしています。
よって,本件9件の陳情については,第 35 号議案を承認することなどから,不採
択とします。
[維新の党・民主党]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号については,我が会
派としては,公から民へ,また行財政改革の観点から全体的な市立幼稚園の見直し計
画の方向性については異論の無い立場であります。しかし,毎回同様の陳情が出され
ており,告知の時期を含めて地域の理解を得るための努力が十分であったか疑問が残
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るところであります。
その意味で我が会派は当初全体計画の再編を1年先延ばして地域への周知期間の
徹底を求めてまいりましたが,一連の陳情が示しているようにそれぞれの地域で閉園
に対する認識が浸透してきたこと,さらに当初予算案全体は関連議案を含めて承認及
び可決すべきとの立場から,上記陳情9件には,「不採択」とします。
[神戸維新の会]
陳情第 51 号及び陳情第 53 号の市立幼稚園の再編に関する部分,並びに陳情第 52
号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号につきましては,市立幼稚園を取り巻く環境の変
化により,多くの幼稚園児が私立に通園している現状をかんがみて,行財政改革の観
点から限られた予算の中では,官から民への流れは避けられないと考えるため,及び
第 35 号議案を承認するため。
陳情第 51 号及び陳情第 53 号の3歳児保育の実施に関する部分につきましては,3
歳児の市立幼稚園に通う園児は約9%と少なく,大多数が私立幼稚園に通っており,
行財政改革の観点からやむを得ないと考えるため。
陳情第 51 号の預かり保育に関する部分につきましては,3歳児の大多数が私立幼
稚園に通っている現状を踏まえ,民間が担えるものは民間に委ねると考えるため。
陳情第 51 号の今後の市立幼稚園の活用に関する部分につきましては,神戸市では
保育施設等の整備や学童保育の充実などの拡充施策を行っていると考えるため。
本件9件の陳情を不採択とします。
[新社会党]
陳情第 51 号公立幼稚園の再編計画見直し等を求める陳情,陳情第 52 号神戸市立奥
の池幼稚園の存続を求める陳情,陳情第 53 号神戸市立幼稚園の再編計画を見直し,9
園の存続等を求める陳情,陳情第 55 号神戸市立住吉幼稚園,遊喜幼稚園の存続を求め
る陳情,陳情第 56 号神戸市立すずかぜ幼稚園の存続を求める陳情,陳情第 57 号神戸
市立木津幼稚園閉園に関する陳情,陳情第 58 号神戸市立木津幼稚園閉園に関する陳
情,陳情第 59 号神戸市立幼稚園の再編計画を見直し,奥の池幼稚園閉園の撤回を求
める陳情,陳情第 60 号神戸市立幼稚園存続に関する陳情については,陳情趣旨に賛
同するため,採択を求めます。
[神戸志民党]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号につきましては,市
立幼稚園と,私立幼稚園との連携・役割分担の下,適正規模化を図るため一定の再編
をすることはやむを得ないこと及び,第 35 号議案を承認することなどから本件9件
の陳情を不採択といたします。
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[岡島委員]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び陳情第 55 号から陳情第 60 号の計9件の陳情に
つきましては,第 35 号議案等を承認することなどから本件9件の陳情を不採択とい
たします。
[浦上委員]
陳情第 51 号から陳情第 53 号,陳情第 55 号から陳情第 60 号までの陳情について
は陳情趣旨に賛同するため,採択を求めます。
[松本(し)委員]
陳情第 51 号から陳情第 53 号及び第 55 号から陳情第 60 号につきましては,幼稚園
において市内の定員数が,幼稚園での教育を希望する子供の数を大きく上回り供給過
剰となっていること,昨年 10 月に行った来年度の市立幼稚園の園児募集では,申込
者数が前年から 10%減少していること及び平成 26 年度の外部監査においても見直し
を進めるべきとされていることから,一定の市立幼稚園の再編はやむを得ないこと,
及び第 35 号議案を承認することなどから本件9件の陳情を不採択とします。
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