名勝小金井(サクラ)復活事業の概要

資料1
名勝小金井(サクラ)復活事業の概要
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はじめに
玉川上水堤の桜並木は、200年以上も
前から花見の名所として知られ、全国的に
有名な花見の名所でした。①日本屈指の桜
の景勝地であること、②ヤマザクラの天然
変種が多数あること、③大木が多いこと、
という特徴から、大正13年12月、国の
名勝に指定されています。
小金井橋から下流を見た景観(大正時代)
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名勝小金井(サクラ)復活事業について
花見の名所として知られた名勝小金井(サクラ)の景観は、江戸時代以来、大正13
年の指定を経て昭和30年代までは、ヤマザクラ並木だけであり、法面や並木の林床は、
様々な野草が自生する多様性に富んだ草地でした。
名勝小金井(サクラ)は、近年、交通量の増加やケヤキをはじめとする高木の成長等、
生育環境が悪化したことにより、危機的な状態にあります。これを踏まえ、小金井市は、
平成22年3月、文化財保護法に基づく東京都水道局の「史跡玉川上水整備活用計画」
(平
成21年8月策定)に沿って「玉川上水・小金井桜整備活用計画」を策定し、東京都や
市民団体と協働で、名勝小金井(サクラ)復活へ向けた事業を進めています。
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平成22年度~平成24年度実施整備(モデル区間の整備)
東京都及び小金井市の計画では、ヤマザクラの生育状況が比較的良好である新小金井
橋から関野橋までの640mを特にモデル区間と位置付け、生育環境を整えるため、ヤ
マザクラを被圧する樹木の剪定・伐採を行い、平成22年度から平成24年度までの3
年間で、95本のヤマザクラの苗木を補植しました。
モデル区間(新小金井橋~関野橋)640m
玉川上水
新小金井橋
平右衛門橋
図1
平成22年度~平成24年度整備(モデル区間)の範囲
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関野橋
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平成26年度・平成27年度実施整備(関野橋~梶野橋間の整備)
平成26年度及び平成27年度は、関野橋~梶野橋間の上流・中流域の約270mを
対象区間としています。欠損したヤマザクラに対する補植及びサクラの生育環境を改善
するために、被圧している雑木を伐採し、市民団体と協働でヤマザクラの苗木を計28
本補植しました。
関野橋~梶野橋区間270m
(武蔵野市)
玉川上水
関野橋
梶野橋
図2
平成26年度・平成27年度整備の範囲
他の区間については、これまでの整備についての検証を踏まえて、今後検討していき
たいと考えています。
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樹木伐採が必要な理由
高木に被圧されたヤマザクラは、隣接する五日市街道や市道に向けて枝をのばすこと
となり、しばしば危険な状況を引き起こしています。高木そのものについても、高所か
らの枝の落下や倒木など、大きく成長しすぎたまま放置しておくと、大きな事故につな
がる可能性があります。また、水路法面・法肩に生育する樹木は、国の史跡に指定され
ている玉川上水の法面崩壊を起こす可能性があり、法面を保護するためにもそういった
樹木の伐採は必要です。
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人道橋の架橋について
国史跡玉川上水に架かる小金井公園前歩道橋をより安全な人道橋に架け替える工事を
行ってきましたが、7月31日に完成し開通式が行われました(図1中央)。橋名は、
江戸時代に武蔵野新田の開発に尽力し、玉川上水堤にヤマザクラ並木をつくった、川崎
平右衛門定孝の功績を永く後世に伝えるため、平右衛門橋(市民公募による)と名付け
ました。
平右衛門橋は、
「史跡・名勝を見せる」とともに、その価値を向上させるための新しい
鑑賞スポットとなっています。
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